ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
高槻とおる:5年前に発生した薬局店息子殺人事件の被害者。
時田:捜査一課未解決事件係の刑事。猪熊の先輩。
舞川:5年前からのカラの常連客。
<あらすじ>
・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第57話「怪我の功名」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
倉本の病院に入院中の里見。
其処に捜査一課の刑事が訪れる。
もちろん、里見殺人未遂事件の被疑者・渡が供述した内容に間違いがないかどうかを確認する為だ。
その内容とは―――里見が婚約者・カラにストーカーしていた為に排除を目論んだとのもの。
事此処に及び、里見は全てを包み隠さず打ち明けることに。
マネージャーの泥酔事件に始まり、カラへの疑惑が生じたこと。
その後、カラが猪熊に接近。当の猪熊は現在消息不明になっていること。
しかも、カラの過去を知ると思われる月本が殺害され、これにもカラが関与しているらしいこと。
さらに、猪熊が調べていた高槻とおる殺害にすらカラが関わっているらしいこと。
さらにさらに、里見を襲った渡宅が猪熊が住む寮の向かいであり、これを監視していたようであること。
などなど、洗いざらいすべてだ。
これを聞いた担当刑事は顔色を変える。
咄嗟には真偽が判断しかねたのだ。
とりあえず、相手方であるカラからも事情を聞くことに。
すると、カラは里見の供述が全くの嘘だと主張。
逆に、渡の言う通りストーカー被害に遭っていたと述べる。
真っ向から対立する事実の羅列に困惑する刑事たち。
カラが猪熊に連絡したことがあるかどうかを問うが……。
これにもカラは「そんなことは1度も無い」と否定するのであった。
刑事たちと別れたカラは舌打ちする。
里見の生存を知ったからである。
渡を使えない奴と断定するカラ。
しかし……それでいてなお、カラは笑顔を浮かべる余裕があった。
カラは思う―――お前らとは覚悟が違う、と。
この状況下にも関わらず、例の渡の別荘に足を運ぶカラ。
其処には猪熊が拘束されている。
自身を睨みつける猪熊を嘲笑うカラ。
「自由にして欲しければアイを殺せ」と叫ぶ。
しかし、これに猪熊が応じる筈がない。
猪熊は隙を見てカラに挑みかかるが……カラに一蹴されてしまう。
「あんたは生まれつき綺麗な顔で恵まれている」と洩らしたカラは心理的な攻撃を開始。
まずは、猪熊が犯人と断定した乃花について触れる。
さらに、里見が轢き逃げに遭い助けに来られないことを伝え、絶望させようと試みるが―――59話に続く。
早川書房刊『ミステリマガジン』や『週刊文春』でも取り上げられた本作。
目的を果たすべく逃げるカラを里見が追う。
追い付くことが出来るのか……今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!
<感想>
「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
そんな「サイレーン」。
遂に猪熊が捜査一課に配属。
これにより「猪熊&里見VSカラ」の物語が明確化されました。
とはいえ、「悪女カラ自身」がテーマだったりもしそうだが。
それだけ、敵役のカラのインパクトが凄い。
その第58話。
サブタイトルは「覚悟が違う」。
今回はカラの覚悟のほどが窺える回でした。
そして、遂に里見が全てを捜査一課に打ち明けることに。
これにより、捜査が開始されるかと思いきや……カラは悠々と別荘に登場。
ということは、尾行もなしか……。
これは長期戦になるかもしれないなぁ……。
一方、当のカラは猪熊へ心理的な攻撃を開始。
精神的に追い詰めて、猪熊の正義感を抹殺するつもりか。
その第一歩が猪熊に絶望感を与えること。
其処で、彼女が正しかったと未だに信じている乃花の件を持ち出し、それを否定することで正義感を揺さぶるつもりなのだろう。
最終的には、猪熊にアイを殺害させることで正義感を放棄させることが狙いなのかもしれない。
それがカラにとって、猪熊から正義感を奪ったことになるのか。
恐るべし、カラ。
一方で、気になるのはカラが猪熊の容姿に触れたこと。
カラと月本に関連がある以上、整形が施されていることは間違いない。
さらに、他者から奪うことを目的とするカラ。
となれば、怪物・カラの誕生にはやはりコンプレックスが根底にあるのか。
此の点にも注目だ!!
ちなみに、前々から提唱している「展開予想」こと「里見君逆転の秘策」はこちら。
これまでも何度か述べて来たけど、この状態での里見の打開策はレナにあると見た。
カラは里見の協力者が長髪の女性2人(レナとアイ)であることは知っているが、レナがアイそっくりなのは知らない。
猪熊が別荘内に人の気配を感じていたこともあり、アイは渡の別荘で拘束されていると考える。
其処で、レナがアイのふりをしてカラを揺さぶり、アイが脱走したと思い込んだカラを別荘へと誘導させる展開ではなかろうか。
さて、里見とカラは互いに打てる手が限られている。
そんな中、いよいよ来た!!カラによる猪熊殺害実行の日。
カラの殺意を知った猪熊は、その刃から逃れることが出来るのか。
そして、里見は猪熊を助けることが出来るのか。
カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。
キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
カラが猪熊に正義を求めていることも同様。
さらに、高槻とおる殺害の動機は「優しさ」を求めてのモノである可能性も浮上。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
カラの闇は想像以上に深そうだ。
止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……59話に期待!!
コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻、4巻に続き5巻も発売とのこと、こちらも注目!!
興味のある方はアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!
ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。
・「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
・「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から第50話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「サイレーン」第51話「幕開け」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第52話「下を見たら…」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第53話「傲慢」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第54話「殺します♡」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第55話「第一幕 コスプレ大会」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第56話「第二幕 対面式」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第57話「怪我の功名」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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