2014年08月21日

水曜ミステリー9「多摩南署・たたき上げ刑事近松丙吉12 幻の男〜一夜の男に魅かれた女の誤ち…現場一徹刑事が追う空白の30分!逆転の結末は」(8月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「多摩南署・たたき上げ刑事近松丙吉12 幻の男〜一夜の男に魅かれた女の誤ち…現場一徹刑事が追う空白の30分!逆転の結末は」(8月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

建設会社社長・友部雄一郎(川井つと)が自宅で殺害された。多摩南署の刑事・近松丙吉(伊東四朗)は現場に急行。第一発見者は雄一郎の妻で料理研究家の蕗子(伊藤裕子)。金庫からは2千万円が消えていて、凶器の灰皿からは蕗子の指紋が検出される。蕗子は殺害時刻には近くのスナックで知人と会っていたと主張するが、その人物の名前も連絡先も分からないと言う。
近松は同僚の刑事・西尾昭夫(マギー)とともに、蕗子がいたというスナックへ。ママの松尾安美(秋本奈緒美)は、蕗子が男性と会っていたこと、そして途中で30分ほど店の外へ出ていたことを明かす。

多摩南署の取調室では警視庁捜査一課の長谷川翼(内田朝陽)が、灰皿についた血の上に指紋が残っていたと蕗子に詰め寄っていた。捜査会議では友部夫妻の関係がうまくいっていなかったことが報告され、離婚話のもつれによる犯行説が強くなる。
近松はスナックから友部邸への道は急坂で、状況から見ても30分間での犯行は困難、まずは蕗子も素性を知らないというスナックにいた男を探すべきだと異議を唱える。 しかし、捜査を混乱させる発言は慎むようにと管理官・山形治(三浦浩一)は、近松の意見を一蹴し、蕗子の逮捕状請求を決める。山形に目の敵にされ続ける様子を見て、係長の村越実(角野卓造)は近松の身を案じるが、近松は独自で捜査を続行する。

長谷川らは蕗子のアシスタント・石井昌子(あいはら友子)から、料理教室で使う食器が全て陶芸家・夜須久範(弓削智久)のものであることを聞く。夜須を訪ねると、蕗子の愛人であることは認めたもののアリバイがあった。
その頃、近松が再びスナックを訪れると、安美は「蕗子といた男は陶芸に詳しかった」と言い、さらに男も一時外出していたと話す。
そんな中、蕗子は嫌疑不十分のため釈放されることになる。

長谷川は友部邸の前で出くわした葉山康晴(斉藤佑介)という男の父親が、雄一郎に会社を潰され自殺し、負債金額が2千万円であったことを知る。しかも最近、周辺には資金の目途が立ち会社を再建すると語っていたという。長谷川は蕗子と葉山、両建てで捜査を進めるべきだと山形に提案する。

一方、近松はこの事件の謎を解く鍵は蕗子が語る“幻の男”にあると考えていた。地道な聞き込みでようやくそれらしき男が泊まったホテルを探し出し、宿泊名簿を見せてもらうと、男の住所は栃木県益子町で、名前は香川透と判明。
近松と西尾が早速、益子町へ向かおうとした時、二人の前に蕗子が現れる。自分で無実を証明するため“幻の男”を探していたのだという。蕗子を連れ近松たちは益子町を訪れるが、香川は争った形跡が残る部屋の中で倒れていた…。
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……。

建設会社の社長である友部雄一郎が自宅で殺害される事件が発生。
多摩南署の刑事・近松丙吉がこの事件の捜査に携わることに。

第一発見者は友部の妻で料理研究家の蕗子。
彼女の作るトマトソースは絶品と評判である。

そして現場の状況は次の通りである。

友部の死因は自宅にあった灰皿の直撃を受けたことによる脳挫傷。
凶器の灰皿からは蕗子の指紋が検出されている。

犯人の侵入経路は、その日に限って開いていた窓。
窓の下には普段は陶器が置かれていたらしいが、今は消えている。

さらに、金庫からは2千万円が消えていた。
この状況だけ見れば一見物盗りの犯行と思われる。

しかし、凶器の指紋などから山形管理官は「蕗子犯人説」を主張する。
これを裏付けるように、蕗子には奇妙なアリバイの欠如があった。

犯行時刻、蕗子は近くのスナック「ナタリア」に居た。
蕗子によれば知人と会っていたのだそうだが、その人物の名前も連絡先も分からないらしい。

一方、「ナタリア」のママ・松尾安美は蕗子の来店を認める。
なんでも、蕗子は20時05分に来店し男性と会っていたようだそうだ。
此の点については、後にその男性がマルボロを吸っていたことが明らかになっている。
加えて、相手の男性について、安美は「顔は良く見えなかったので分からない」と証言している。
さらに、蕗子は20時15分から「酔っちゃった」と30分ほど店の外へ出ていた。

「ナタリア」から現場までは地図上の距離にして10分程度。
往復に20分だとすれば、十分に犯行が可能である。

こうして、山形は「蕗子を逮捕しろ!!」と指示を出すが……。
例の如く、これに近松が異議を唱える。
地図上は10分の距離だが、実際は急な上り坂が続く為に30分での犯行は不可能だと訴えたのだ。
近松は既にこの経路を試していたらしい。
その上で、蕗子と会っていた「幻の男」の正体を特定すべきだと捜査を始めることに。

命令を聞かない近松に、面目を潰された山形は激怒。
「今度こそ、あいつをギャフンと言わせてやる」とばかりに山形は秘密兵器を投入する。
山形が用意したのは捜査一課のエース・長谷川。
こうして、山形の指示を受けて長谷川が動き出した。

まず、長谷川は蕗子のアシスタントである石井昌子から、陶芸家・夜須久範の存在を聞き出す。
どうやら、蕗子は夜須と不倫の関係にあり、これを金銭的に支援していたらしい。
しかし、夜須は雑誌記者・本田雅彦から取材を受けていたと犯行当夜のアリバイを主張する。

本田に確認を取る長谷川。
本田はこれを認めるが、その直後に夜須に何やら連絡を入れていて……。

その頃、「幻の男」について調べる近松。
安美から「幻の男」もまた蕗子が戻って来た後に10分ほど席を外したと聞き疑問を抱く。
その時、男は煙草を買って来ると外出したのだそうだ。

ところが、調べてみたところ、「ナタリア」付近ではその時刻に営業しているタバコ屋は存在しなかったのである。
なんとも奇妙な話である。

奇妙と言えば、他にも奇妙なことがある。
安美の証言が事実ならば、蕗子と「幻の男」は出会ってたった15分後に蕗子が30分も席を外し、蕗子が戻って来たと思ったら、今度は「幻の男」が10分も席を外していたことになる。
なんともチグハグではないか!!
近松は「幻の男」の行方を追うことに全力を尽くすことを決める。

他方、長谷川は葉山康晴という男に注目していた。
葉山の父親は友部に会社を潰され自殺していたのだ。
長谷川は蕗子と葉山のいずれかが犯人に違いないと睨むが……。

「幻の男」を追っていた近松は、タクシーを経由しホテルの宿泊者名簿からある人物に辿り着いた。
その人物の名は香川透、栃木県益子町に住んでいるらしい。

香川こそが「幻の男」なのか?
現地に飛んだ近松、しかし、香川は何者かにより殺害されていた!!

矢先、重光という男が「自分が幻の男だ」と出頭して来ることに。
蕗子は重光が「幻の男」であると認める。
しかも、重光は当日夜に蕗子と2人で撮影した写真も所持していた。

さらに、重光は蕗子が席を外したのは精々10分程度だったと証言。
こうして、蕗子のアリバイが成立することに。
同様に葉山にもアリバイが判明し、長谷川が見込んだ容疑者は誰も居なくなってしまう。

逆上する山形に対し、長谷川が次に容疑者として提示したのは……夜須であった。
なんと、犯行当夜に夜須が女優とホテルに居たことが報道されたのだ。
どうやら、夜須は蕗子以外に本命の交際相手が居たらしい。

そして、この記事を書いたのが本田であった。
つまり、夜須と本田のアリバイは嘘だったのだ。
しかも、ホテルから犯行現場までは車で10分の距離である。
犯行は可能であった。

その翌日、夜須の工房に踏み込んだ長谷川。
すると、多額の紙幣と共に重光の遺体が発見される。
どうやら、何者かに殺害されたようだ。
長谷川は夜須を殺人罪で連行することに。

同じ頃、近松は重光が証拠として提示した写真にある発見をしていた。
数時間後、近松は蕗子と対決することに。
近松は蕗子ではなく、重光こそが友部を殺害したと主張する。

近松が注目したのは煙草の銘柄であった。

「ナタリア」で検出された「幻の男」が吸っていた煙草は「マルボロ」であった。
しかし、重光が提出した写真に残された煙草は「ケント」である。
従って、重光は「マルボロの男」ではない。
そもそも、「ナタリア」近辺では21時以降煙草は購入出来ないのだ。

これらの事実から近松は「幻の男」は2人居たとの結論を導き出す。
2人1役だったのである。

最初の「幻の男」を演じたのは香川。
その間、重光は友部を殺害していた。

その後、煙草を買うとの口実で香川が外出。
しかし、実際に戻って来たのは犯行を終えた重光であった。

これに「相手が入替れば分かります」と述べる蕗子。
近松は「そりゃそうですよね、だって知ってたんでしょ」と応じる。
そう、蕗子も共謀していたのだ。

あの日、蕗子は窓の鍵を架けなかった。
さらに、窓の下に置かれていた筈の陶器がその日に限って移動させられたのだ。
すべては実行犯である重光の侵入経路を確保する工作だった。

蕗子が30分の空白を用意したのは一旦、容疑を自身に向けて晴らすことで疑いを逃れる為であった。
そして、一度、蕗子のアリバイが成立すれば「幻の男」のアリバイも疑われない。
これは重光のアリバイ証明にもなる一石二鳥の策であった。

「其処まで言うからには証拠があるんですか!?」
近松に詰め寄る蕗子。
これに「いえ、ありませんでしたよ。今日までは」と近松。

そう、皮肉にも重光が殺害されるまでは証拠など無かったのだ。
蕗子は盗まれたとされる金庫の現金をトマトソースの箱に隠していた。
実はこれは重光への友部殺害の報酬だった。
そして、夜須の工房で発見された重光の遺体傍に落ちていた現金からもトマトソースが検出されたのだ。
おそらく、蕗子が報酬を渡すことを口実に重光を呼び出し殺害したのだろう。
トマトソースが蕗子と重光を繋げたのだ。

さらに、蕗子が重光を夜須の工房で殺害したのは、自身を裏切った夜須への復讐だったに違いない。
そんな近松の言葉を聞いた蕗子は罪を認める。

蕗子が友部を殺害したのは、不倫相手である夜須の為であった。
蕗子は夜須とやり直したいし、彼を支援するべく金が必要だった。
友部は離婚は承諾したが、慰謝料の支払いは拒否した。
財産分与のつもりもない。
それでは困る。

そんなある日、蕗子は重光と出会った。
重光は会社を立て直す金が必要だった。

其処で2人は結託したのだ。
ちなみに、香川は重光の知人だったそうである。

2人1役トリックにて友部を殺害した蕗子と重光。
ところが、香川が重光を脅迫したのだ。
其処で、重光が香川を殺害したらしい。

「あなたさえいなければ……」近松に向けてそう告げる蕗子。
しかし、言葉とは裏腹に何処かほっとしたような表情を見せていた。
こうして、蕗子が逮捕されることに。

その数時間後、蕗子逮捕の一報を遅れて受けた山形は「今回も近松が捜査を攪乱した。もう許せん!!」と憤る。
これに「いえいえ、私は管理官の仰る通り蕗子を逮捕しましたよ」と嘯く近松。
山形は怒りのあまり言葉を失ってしまう……。

夕日の中、今回の事件を振り返る近松と村越。
「1人の男の為に……か」溜息を吐く村越に。
「ええ、1人の為です」と頷く近松。
2人は、蕗子の情熱が引き起こした事件に恐ろしさを憶えると共に悲哀を感じるのであった―――エンド。

<感想>

「多摩南署・たたき上げ刑事近松丙吉」シリーズ12作目。
前作は2013年8月21日に放送されているので、実に1年ぶりの新作となりました。
過去記事にてネタバレ批評(レビュー)していますね。
興味のある方はどうぞ!!
ちなみに、このシリーズは第10弾が2012年8月15日、第11弾が2013年8月21日、第12弾(今回)が2014年8月20日に放送されており此処3回がすべて8月中旬頃の放送となっています。
此の点で2サスファンにとっては「夏の風物詩」ともなっており、「水曜ミステリー9」からの「残暑見舞い」と言える番組なのかもしれません。

もともとは東野圭吾先生の短編をテレビドラマ化したこのシリーズ。
管理人にとっては非常に思い入れの深いシリーズとなります。

詳しく説明すると、3作目までが東野圭吾先生原作。
4作目が飛島高先生、5作目がオリジナル、6作目が日下圭介先生の原作と変遷し、7作目からは夏樹静子先生の原作が用いられています。

そんなシリーズ12作目の原作は、これまでと同じく夏樹静子先生の中編『幻の男』(文藝春秋社刊『幻の男』収録)。

<あらすじ>

夏樹ミステリーの円熟を示す傑作中篇集
夫殺しの嫌疑をかけられた妻のアリバイの鍵をにぎる「幻の男」とは誰か。表題作ほか、著者の円熟を示すミステリー中篇三作を収録

夫殺しの疑いをかけられた建設会社社長夫人の友永蕗子。蕗子のアリバイを証明するのは、彼女が誕生日にバーで意気投合した、名前も住所も分からない「幻の男」だけだった−−。意外な結末が日常の脆さをあぶり出す表題作「幻の男」のほか、佐賀と熱海を舞台とした「光る干潟」「揺らぐ灯」を収録した異色のミステリー集。
(文藝春秋社公式HPより)


では、そんなドラマ版の感想を。

近松と山形のくだりはもはや「浅見光彦の刑事局長の弟」と同じだなぁ……。
ある意味、山形なりのコミュニケーションとなりつつあるようです。
とはいえ、この調子でエスカレートするとシリーズ最終話は「ある日、近松が何者かに襲撃されて……その犯人は精神のバランスを崩した山形だった」的な物語にさえなりかねないような気すらする。
山形、事あるごとに面子を潰される気持ちは分かるがとりあえず落ち着こう。
なにしろ、近松が正鵠を射ている場合が多いのは事実なのだから。
其処は認めた上で、新たな関係性を築こうではないか。

深呼吸だ、山形!!
カルシウムだ、山形!!
心理カウンセリングだ、山形!!

とはいえ、物語の要請上から2人が和解するとすれば、それこそシリーズ最終話か山形退場のいずれかのケースにしかならないワケだけど……。
さて、愛すべき憎まれ役・山形にエールを送りつつ、改めて本作の感想に戻る。

当初、「幻の男」についての情報がほぼ「ナタリア」のママ・安美を通じてのことだったので、安美を疑ってしまったよ……。
演じていた役者さんも秋本奈緒美さんだったので、完全にミスリードに引っかかってしまったかなぁ。

そして、此処からは幾つか気になった点。

まず、本田について。
幾らスクープとは言え、自身の偽証がバレるような記事を自分で雑誌に載せるものなのかなぁ……。

そして、それが載ってアリバイが偽証だったと分かったからと言って夜須が犯人だと言い切っちゃう長谷川。
それは普通は逆なんじゃないかなぁ……。

さらに蕗子。
ラストで「あなたさえいなければ……」もなにも肝心の夜須に本命が別に居た時点で計画が目的を見失い既に失敗だからなぁ……。

そう言えば、今回も西尾大活躍でしたね〜〜〜。
頼りになる後輩キャラは珍しく、とても面白かった。

さて、総評。
第11弾が凄く良かっただけに、比較すると今回は「引っ掻き回した割には……」との印象。
評価はほどほどくらいかな。
シリーズ次回に期待!!

◆関連過去記事
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<キャスト>

近松丙吉:伊東四朗
村越実:角野卓造
友部蕗子:伊藤裕子
山形治:三浦浩一
近松春子:市毛良枝
長谷川翼:内田朝陽
西尾昭夫:マギー
松尾安美:秋本奈緒美
石井昌子:あいはら友子
本田雅彦:菊池均也 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)


ドラマ原作「幻の男 (文春文庫)」です!!
幻の男 (文春文庫)





『被害者へのバラ』が収録された「星の証言―弁護士 朝吹里矢子 (徳間文庫)」です!!
星の証言―弁護士 朝吹里矢子 (徳間文庫)





「検事霞夕子 夜更けの祝電 (新潮文庫)」です!!
検事霞夕子 夜更けの祝電 (新潮文庫)





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