<あらすじ>
関東監察医務院の監察医・篠宮葉月(高島礼子)と、元城北署の署長・蜂須賀芳樹(小野武彦)は長野にいた。城北署の刑事を引退後、長野で警察学校の講師をしていた仙道篤志(地井武男)が亡くなり、仙道の娘・みゆき(伊倉愛美)のもとを訪れていたのだ。みゆきは近所のカフェ・デザートムーンでアルバイトをしていて、葉月と蜂須賀をカフェの店主・望月敦子(とよた真帆)とその息子・一彦(柳下大)に紹介する。聞けば一彦は警察学校に通っていて仙道の最後の生徒だという。
東京に戻った葉月は、野々村家具社長・野々村剛(菊池均也)の遺体の解剖を担当することに。自宅の浴室で発見され、状況から死因は心不全かと思われたが、葉月は殺人と判断する。遺体から取り出されたペースメーカーを調べた結果、通電による故障の痕跡があり、胃からは大量のアルコールが検出されたことから、酩酊状態で浴槽に運ばれ心臓近くに電気を流され死に至ったようだ。
警視庁捜査一課の風間亮介(細川茂樹)と城北署の浅野(六角慎司)は、剛の会社で話を聞くが、仕事は順調でトラブルの心当たりもないという。しかも実際の経営は副社長・竹中恭介(阿南健治)と専務・安田(阪田マサノブ)が任されていた。独身だった剛は、銀座のクラブに勤める井坂真美(阪田瑞穂)と付き合っていた。しかし剛は近頃別の女性のもとに通うようになり、真美とは別れ話が出ていたらしい。
さらに一週間前に長野のホテルのラウンジで剛とある女性がトラブルを起こしていたという情報も得る。
葉月は再びみゆきと会うためにカフェ・デザートムーンにいた。するとそこに突然風間が現れる。実は剛とトラブルを起こしていたのは望月敦子で、事情を聞きに来たのだ。敦子はトラブルの内容を一切明かさなかったが、みゆきは店に剛から電話があり、敦子の様子がおかしかったことを思い出す。
後日、葉月は蜂須賀から剛の父親で野々村家具の先代社長・一郎(野村昇史)も2年半前に長野の別荘の浴室で死んだことを聞く。しかも死因は心不全。当時、仙道は検死に疑問を持ったが入浴中の事故として処理されていた。
そんな中、剛の葬儀に現れた井坂真美は、私のお腹には剛の子供がいると言い放ち、関係者を困惑させる。
一方、一彦のもとには野々村家具の顧問弁護士・富山孝作(中丸新将)が現れ、一彦の父親は野々村一郎だと告げる。
さらに一郎の息子の剛が亡くなった今、一彦は野々村家の財産を受け継ぐ唯一の相続人になるのだと言う。父親は自分が生まれる前に事故死したと聞かされていた一彦は、突然の富山の話に動揺する…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
関東監察医務院の監察医・篠宮葉月は仙道篤志の葬儀に参列すべく長野を訪れていた。
その傍らには、元城北署の署長・蜂須賀芳樹も立っている。
葉月と仙道は「監察医」と「刑事」と立場は違えど、共に悪を憎み真実を追い求めて犯罪と戦う同志であった(仙道と蜂須賀は旧・死体は語るシリーズのレギュラー)。
仙道は城北署の刑事を引退後に長野で警察学校の講師をしていたのだが、死去してしまったのである。
数年ぶりにみゆきと再会した葉月は大きくなった彼女に目を綻ばせる。
一方、みゆきは葉月にカフェの店主・望月敦子とその息子・一彦を紹介する。
みゆきは敦子が経営するカフェ・デザートムーンでアルバイトをしており、一彦と交際していたのだ。
ちなみに、一彦は仙道にとって最後の教え子になるらしい。
一彦によれば、彼は父の顔を知らず、敦子もそれを教えようとしない。
だからこそ、一彦にとって仙道は父のような人なのだそうだ。
その日、葉月たちは仙道の人柄を偲ぶ……。
翌日、東京に戻った葉月に早速事件が。
野々村家具社長・野々村剛が自宅浴槽から遺体で発見されたのだ。
状況からは心不全と思われたが、葉月は殺人と判断。
遺体から取り出されたペースメーカーには通電による故障の痕跡があり、胃からは大量のアルコールが検出されたのだ。
どうやら、酩酊状態で浴槽に運ばれ心臓近くに電気を流され死亡したらしい。
こうして、警視庁捜査一課の風間亮介と城北署の浅野が捜査に乗り出すことに。
野々村家具では剛の急死によりお家騒動が持ち上がっていた。
なんと、創業者である野々村一族が剛の代で途絶えてしまったのである。
これにより、会社の覇権を巡り副社長の竹中恭介と専務の安田が鎬を削る状態に。
また、独身だった剛はプライベートで銀座のクラブに勤める井坂真美と交際。
しかし、最近の剛は別の女性とも交際を始め、真美と別れ話も浮上していたようだ。
そんな中、1週間ほど前に剛がホテルのラウンジで女性と揉めていたことも明らかに。
数日後、デザートムーンに居た葉月は急に現れた風間に驚く。
なんと、剛がホテルラウンジで揉めていた女性こそ敦子だったのだ。
どうやら、剛の父・野々村一郎の死に纏わることが原因のようだが……。
これについて葉月は蜂須賀から事情を聞くことに。
実は剛の父で先代社長である一郎も2年半ほど前に長野別荘の浴室で心不全で死亡していたのだ。
結局、入浴中の事故死とされたようだが、仙道はこの結論に疑問を抱いていたらしい。
剛の葬儀が行われる中、参列した真美は「剛の子供を妊娠している」と主張し、大騒ぎを起こす。
これが事実ならば、野々村家具の後継者は真美のお腹の子供になるのだ。
副社長の竹中が反発するが、専務の安田は真美の子供こそが後継者だと支持し始めるように。
同じ頃、先代から仕える野々村家具の顧問弁護士・富山孝作が一彦の前に現れていた。
富山によれば、一彦の父こそ野々村一郎なのだそうだ。
過去、敦子は野々村家具で働いており、妻子ある身を知りながら一郎に恋をした。
実は剛は妻の連れ子であり、寂しさを抱えていた一郎は敦子と愛し合うことに。
だが、自身が一彦を妊娠したことを知った敦子は一郎の周囲に波風を立てることを避けようと身を隠したのであった。
剛が死亡した今、野々村家の全てを相続出来るのは一彦しか居ないと熱く語る富山。
しかし、この事実を全く聞かされていなかった一彦は激しく動揺する。
一郎は死亡直前まで「後継者は剛では無く敦子の子供」と訴えていたそうである。
富山は生前の一郎から「いざという時のために」と「DNA鑑定用に一郎の毛髪」を預かっていた。
これがあれば、2人の親子関係は証明出来る。
もはや、誰にも文句を言われることはないそうだが……。
そんな中、葉月は仙道の直感を信じ、一郎の死を調べ直し始めた。
一郎はスマホなどで遠隔操作出来る風呂で死亡していたそうである。
さらに、死体検案書の所見から低体温症の症状を発見した葉月は一郎の死を他殺と見抜く。
一郎殺害の犯人は、一郎にアルコールを摂取させ人事不省に陥らせるとこれを氷風呂に放置。
凍死した頃合いを見計らって遠隔操作で風呂を沸かし、心不全に偽装していたのだ。
これを受けた風間は当時の一郎が剛では無く一彦を後継者に望んでいたと知り、剛が一郎を殺害したと結論付ける。
その頃、当の一彦は富山から預かった毛髪を手に葉月に親子鑑定を依頼していた。
これを知った敦子は「他人からではなく自分の口から真相を報せたい」と葉月に懇願。
葉月もこれを了承する。
同じ頃、野々村家具では竹中と安田の対立が激化。
真美とお腹の子供を支持する安田が優位に立ちつつあった。
富山に協力を依頼する竹中に、富山はもう1人の後継者の存在を匂わす。
そして、遂に親子鑑定の結論が出た。
ところが、その夜、富山が刺殺体で発見されることに。
しかも、現場には敦子が凶器を握り放心状態で座り込んでいた。
風間の取調べを受けた敦子は犯行を認めるが……。
葉月が解剖した結果、不審な点が多々見つかることに。
まずは、W型の刺創。
どうやら、刺した時と抜いた時で角度が異なったことから付いた傷のようだ。
しかも、その間にはかなりの時間差があるようだ。
さらに、富山の咽喉から糸くずが検出された。
これは鑑定に出されることに。
風間は敦子が返り血を浴びていないことと刺創の時間差から彼女の犯行ではないと断定。
同日夜から姿を消した一彦を疑う。
敦子が庇うとすれば、一彦しかあり得ないからだ。
其処に糸くずの鑑定結果が届く。
糸くずの正体は軍手に付着したらしい木屑とニスだったらしい。
どうやら、真犯人が富山の口を塞いだ時に彼の口に入ったようだ。
これに風間は覚えがあった。
風間は一彦も犯人ではないと判断。
だとすれば、一彦は富山殺害前後の時点で真犯人に拘束されており、すべての罪を着せられ殺される危険がある。
これを聞かされた敦子は「倒れた富山を見下ろす一彦の写真」が添付された「誰の物とも分からないメール」に騙され庇ってしまったことを告白。
一彦の保護を訴える。
その頃、当の一彦は真犯人により自殺に偽装し殺害されかけていた。
だが、風間が駆け付け事無きを得る。
真犯人の正体は……竹中と真美であった。
2人は対立しているように見せかけ共謀していたのだ。
動機は野々村家具乗っ取り。
竹中とも交際していた真美は剛に捨てられかけていた。
そんな折、真美が竹中の子供を妊娠する。
竹中は真美のお腹の子供を剛の子供に仕立て乗っ取りを画策する。
其処で剛にアルコールを摂取させ風呂に寝かせてスタンガンで殺害した。
そして、対立する安田が真美を担ぎ上げるように仕組んだ。
後は、竹中の毛髪を剛のものと偽り子供の出自に信憑性を持たせるだけである。
これですべて上手く行く筈だったのだが……。
ところが、一彦のこともあり、富山はDNA鑑定に慎重であった。
彼自身が剛の毛髪を保管していたのだ。
これでは、竹中の偽装工作も見破られてしまう。
困った竹中は金を餌に富山の説得を試みるが……富山は先代から一途に従っていた為に首を縦に振らない。
それどころか、竹中の背信行為を告発すると主張した。
窮した竹中は軍手をはめて富山を殺害。
呼び出した一彦と富山の写真を撮影すると、これをスタンガンで気絶させ拘束したのだ。
そして、敦子にメールを送り時間を稼がせた。
最終的に、敦子の偽証が露見することも織り込み済みで、それにより一彦の犯行に説得力を持たせるつもりだったらしい。
こうして、竹中と真美は逮捕された。
後日、一彦は敦子から父・一郎の真実について告げられ、鑑定書を見るまでもなくそれに納得するのであった。
「時として絆は科学を超えることもあるのだ」葉月はこれに強く頷く―――エンド。
<感想>
上野正彦先生原作の「監察医篠宮葉月」シリーズ第15弾です。
前作は2014年1月8日の放送なので、ほぼ7ヶ月ぶりの新作となりました。
さて、そんなドラマ版の感想を!!
旧シリーズのレギュラーである蜂須賀と仙道が久方ぶりの登場。
シリーズを通じて視聴している方にとっては嬉しいサプライズでしたね。
これも長期シリーズの醍醐味か。
通常だと、サプライズゲストはチョイ役が多いけど、蜂須賀の場合はラスト付近まで登場してたのも良かった。
そして、岡による氷水風呂の実験、本当に寒そうでしたね。
「土曜ワイド劇場・法医学教室の事件ファイル」の永岡のように、着実に篠宮葉月版「実験君」の地位を築きつつある岡。
いつか「実験君と言えば土ワイの永岡、水ミスの岡」と称される日が来るのか。
それにしても……何故、法医学系サスペンスの両雄が共に実験君を必要とするのでしょうか。
そして、何故共に実験君の苗字には「岡」の字が含まれているのか。
この謎が解かれる日は何時か来るのでしょうか……。
そう言えば、動揺していたとは言え、敦子の行動は意味不明だよなぁ。
どう考えても写真撮影して送信して来た奴が犯人だろ!?
息子である一彦は背中を向けて放心してるし……構図から現場に第三者が居ること分かるじゃん。
でもって、その写真を敦子に送信できる時点で、アドレス知ってる人間じゃん。
やっぱり、何らかの罠の可能性が真っ先に頭に浮かぶじゃん。
少なくとも、一彦の行方は確認するし、メールの送信主に対して警戒するでしょ。
それと、メールの送信元を調べれば犯人はすぐ分かった気もする。
それともアレ、一彦のスマホで送ったのだろうか。
だとすると、一彦を気絶させてから写真をメールに添付して……となるけど。
そもそも、一彦の後姿を撮影したカメラは何処から出て来たんだ?
そして敦子が受信したメールが一彦の携帯からだったとすると、構図から写真を撮影した第三者が関わっていることを確信出来るから、やっぱり行動が不自然になる……。
敦子は「一彦が第三者にお願いして富山の死体の前で背中を向けて記念撮影した」とでも思ったのだろうか……。
つまり、どちらに転んでも不自然。
次のようになる。
敦子が受け取ったメールが一彦以外の携帯からの場合:なんで、送信者が敦子のメールアドレスを知っているのかが不自然(仮に一彦や富山の携帯からアドレスを調べたとしても、その時点で作為を感じ取れる筈)。
敦子が受け取ったメールが一彦の携帯からの場合:構図から第三者の存在が確認出来る以上、息子を庇うよりもその安否が最優先に。当然、敦子の行動が不自然。
「W型の刺創」のくだりは良かったんだけどなぁ……。
他が良いだけに、此処がモヤモヤ。
とはいえ、敦子と真美の対比など工夫されていて全体的に楽しめた。
シリーズ次回にも期待です!!
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<キャスト>
篠宮葉月:高島礼子
風間亮介:細川茂樹
望月敦子:とよた真帆
蜂須賀芳樹:小野武彦
畑 総一郎:金田明夫
永瀬哲雄:六平直政
坂巻仁美:北川弘美
富山孝作:中丸新将
竹中恭介:阿南健治
三上良一:西田健
岡 耕介:中村靖日
望月一彦:柳下大
浅野:六角慎司
仙道篤志:地井武男(特別出演) ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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