ネタバレあります、注意!!
あの名作「MASTERキートン」の続編が「ビッグコミックオリジナル」に掲載されています。
今回で8話目です。
早速、その感想をお伝えするべくこうして記事にした次第!!
「MASTERキートン」をご存じの方はもちろん、ご存じない方も本作に興味を持って頂ければと思います。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
キートン:シリーズ主人公。「栄光の八人」の1人。
マイク:過去の上陸作戦に参加した1人、そのメンバーを「栄光の八人」と称した。
イアン:「栄光の八人」の1人。地雷原で白骨死体が発見される。
アダム:「栄光の八人」の1人。崖から転落死を遂げる。
ヴィック:「栄光の八人」の1人。
ボブ:「栄光の八人」の1人。
アビー:ボブの妹。
キートンが現役軍人であった頃、とある島への上陸作戦が行われていた。
参加メンバーはキートン、マイク、イアン、アダム、ヴィック、ボブら8人。
彼らは、今回の軍事作戦に正義があると信じていた。
そして作戦は無事に成功。
この際、マイクが自身らを「栄光の八人」と名付けたのである。
そして現在、「栄光の八人」の1人であったキートンは同じ仲間の1人・ボブのもとを訪れていた。
しかし、ボブは無言である。
何故なら、ボブは薬物中毒で病院に運び込まれ意識不明の状態だったのだから。
ボブの妹・アビーによれば、最近のボブは様子がおかしかったらしい。
どうも、3週間ほど前に目にした新聞記事が原因だったらしいのだが……。
其処に「栄光の八人」の名付け親・マイクが見舞いにやって来る。
思わぬ再会に旧交を温めるキートン。
近況について尋ねるキートンにマイクは緊張した様子で答える。
なんでも、退役後にイアン、アダム、ヴィックと共に「民間軍事会社」を起業したのだそうだ。
しかし、ヴィックは起業直後に理念を異にし退社。
22年前にイアンが行方不明になったかと思えば、最近になって白骨死体で発見されたらしい。
さらに、数日前にはアダムまでもが崖から謎の転落死を遂げたのだそうだ。
どうやら、事情があるようだ。
「今はボディーガードが必須だ」と語るマイクの傍には屈強な男が2人控えていた……。
別れ際、マイクはヴィックの居所を調べるように依頼。
これをキートンは引き受けることに。
早速、調査を開始するキートンだが……。
ヴィックは3週間ほど前から姿を消していた。
どうやら、ある新聞記事を目にしてのことらしい。
その新聞記事こそがイアンの白骨死体発見の報。
なんでも、地雷原の中心部に埋められていたのだそうだが。
どうも、イアンの死が絡んで来ているようである。
イアンの遺体発見状況について調べるキートン。
担当警部によれば、イアンの白骨の足には狙撃された痕跡があったそうだ。
だとすれば、何者かにより故意に殺害されたことになる。
さらに、警部の見立てではどうもマイクはイアンが埋められていることを知っていた節があるらしい。
しかも、マイクの会社が戦中に暴虐を働いていた組織に対し依頼を受けて制裁を加えていたことが判明する。
つまり、マイクやアダムたちは戦中に非道な行いを働いていた者を私的に裁いていたのだ。
この為か、マイクの会社は相当に評判が悪い。
そんな中、アダムが転落した崖に足を運んだキートン。
其処で真新しい発射済みの弾丸を拾う。
どうやら、アダムも事故では無く、何者かに銃で脅され転落死を遂げたらしい。
それとなくマイクを監視し始めたキートン。
その前で、マイクはボディーガードに命じ狙撃用ライフルを準備させ始める。
さらに数日後、マイクは見晴らしの良い廃屋を訪れていた。
その周辺には2人のボディーガードが狙撃用ライフルを手に獲物を待ち構えている。
一方、キートンはその付近にてヴィックを捕まえる。
ヴィックもまた狙撃用ライフルを手にしていた。
一体、どういうことなのか!?
数分後、マイクの前にヴィックが現れた。
マイクはボディーガードに「今だ!!」と狙撃命令を出すのだが……。
ボディーガードは動かない。
何故なら、彼らの胸元にはレーザーポインターの照準が定められていたからである。
そして、マイクの胸元にも……。
レーザーポインターの主はキートンであった。
キートンは油断なくレーザーポインターの照準をマイクに定め、真相を告白するよう迫る。
これに応じたのはヴィックであった。
事の発端は22年前に遡る。
マイクたちと意見を異にし会社を辞めたヴィックのもとに、イアンから連絡が入った。
何でも私的制裁を行っていたのだが、標的を間違えて無実の人を殺害してしまったのだそうだ。
イアンはそれを後悔していた。
これにヴィックは自首するよう促した。
イアンはアダムに相談してみると答えていたが……。
以来、イアンからの音沙汰は無い。
不安に思っていたヴィック。
すると、3週間ほど前にイアンが白骨死体で発見されたとの記事が報じられた。
ヴィックはすぐに察した―――イアンは口封じされたのだ、と。
だからこそ、ヴィックはイアンの敵討ちをするべくアダムを殺害したのである。
そして、今またマイクをも手にかけようとしていたのだ。
それこそが、ヴィックの贖罪なのだそうだ。
これにマイクは「すべてアダムがやったことだ」と主張する。
しかし、キートンは「マイクがアダムの行為を知っていながら黙認したのなら同じことだ」と指摘。
さらに、キートンは手にしたレーザーポインター付属の銃が玩具であると明かし、仲間として「栄光の八人」の名を汚さないように求める。
こうして、ヴィックは自首し、マイクはすべてを公表することを決める。
数日後、意識を回復したボブのもとを再びキートンが訪れていた。
ボブはキートンに語る。
「あの上陸作戦以来、俺たちは頭の中の羅針盤がおかしくなってしまった」と。
ボブにとって、戦場は悲劇の現場であった。
3週間前、イアンの白骨遺体発見の記事を目にしたボブ。
このとき、イアンが進んであの悲劇の現場に戻っていたことを信じられない思いでボブは知った。
ボブは「イアンの頭の中の羅針盤がおかしくなっている」と考えた。
そして、自身の「羅針盤」も。
その為に、薬物に溺れたのだそうだ。
これを聞いたキートンはボブに告げる。
「私が君の島になろう、代わりに君が私の島になってくれないか」と。
ボブは涙ながらに「ああ」と頷くのであった―――エンド。
<感想>
「Reマスター」第8話「栄光の八人」です。
キーワードは「正義の行方」でしょう。
上陸作戦に従事したメンバーを「栄光の八人」と名付けたマイクとそれに追従したアダムたち。
彼らにとってその行動は栄誉であり、正義でした。
彼らはその栄誉を押し進めたのですが、結果、正義を見失ってしまった。
一方、上陸作戦がトラウマになり彷徨うことになったキートン、ボブ、ヴィック。
彼らにとって其処に正義は無かった。
以来、本当の正義とは何かに迷うことになった。
これがボブが述べた「頭の中の羅針盤を見失った」との言葉の正体。
これにより、キートンは自身の夢を追い軍を除隊、ボブは現実逃避すべく薬に溺れ、ヴィックは一時的にマイクに従うとそれぞれの道を選ぶことに。
とはいえ、ヴィックは意見の異なるマイクについていけず離脱。
その後、過ちを犯したことで自身と同じ結論に至ったイアンに自身を重ね、これが殺害されたと知るや、報復することに。
これもまた正義の暴走だったのかもしれません。
同様にキートンは自身の正義を追い、ボブは正義から逃げた……いや、ボブの場合は正義の所在が分からなくなっていたのでしょう。
所在に迷うということは正義を追っているから起こること、すなわちボブもまた正義を求めていることになります。
そんな中、キートンがボブの、ボブがキートンの島になる約束を交わしたのは素晴らしかった。
互いの位置を確認することで、互いが互いの指針となり互いの向かう先―――すなわち行いが正義であるかどうかを確認するのでしょう。
それこそが「栄光の八人」のうち、安易に正義を結論付けず、その在処を真摯に追い求めている2人の義務なのかもしれません。
ネタバレあらすじでは本作の良さは伝えられていません。
是非、「ビッグコミックオリジナル」本誌をご覧になって頂きたい。
ちなみに「MASTERキートン Reマスター」のコミックスが発売されることが明らかになりました。
なんでも2014年11月末発売予定とか、こちらももちろんチェックすべし!!
◆関連過去記事
・「MASTERキートン」続編決定!!タイトルは「MASTERキートン Reマスター」、舞台は20年後とのこと!!
・「MASTERキートン Reマスター」第1話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第2話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第3話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第4話「ハバククの聖夜」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第5話「女神とサンダル」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第6話「オオカミ少年」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第7話「マルタ島の女神」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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