2014年08月29日

「思春鬼のふたり」第26話「夏祭りのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第26話「夏祭りのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(必殺仕事人)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・夏祭り編(25話終盤から)
紡木茨:9歳にして大量殺人を行い逃亡した人物。WCOからは「最重要お掃除対象」とされている。
飯田華夜:白雪の友人。私立揺籃高等学校の生徒。
筒川:辻の友人。華夜のことが好き。私立揺籃高等学校の生徒。
坂田:辻の友人。私立揺籃高等学校の生徒。

<ネタバレあらすじ>

【前回までのあらすじ】

黎盟高等学校演劇部を舞台に暗躍するお掃除対象を、白雪の助力を得て無事に葬った辻。

その頃、陸は彼女が追っていたお掃除対象の行方を遂に突き止める。
ところが、お掃除対象は謎のミイラとなっていた。
前日までは生きていたことが確認されていたのだが……これは一体、どういうことなのか!?
新章の幕が開く―――。

【今回あらすじ】

今日は一学期の終業式、明日からは夏休みの始まりだ。
数時間後の自由に期待しつつ、整然と並ぶかに見える生徒たち。
だが、実際は夏休みの予定を頭に思い浮かべ落ち着きがない。
とはいえ、ところどころで聞こえるざわめきの原因はそれだけでは無かった。

その声を拾ってみれば、意外なことに気付くだろう。
彼らは自身の周囲で起こった事件について触れているのだ。

まずは学内に居た解体魔について。
生徒たちは互いに顔を見合わせ「あんなのはもうゴメンだ」と囁き合う。

続いて黎盟高等学校演劇部での連続不審死について。
事件にはなっていないが、舞台上で人が塩酸で溶けるさまを上演したらしい。
そんな惨事が起こりながらも、舞台は続行。
さらに犠牲者が出たことで演劇部は解散させられたらしい。
主要メンバーにおける生存者はわずか2人(砂織零子と赤川のこと)だったと言う。
この舞台を目にしていた者は「あれも二度とゴメンだ」と呟く。

そんな中、その2つの事件に関与していた人物が静かに立っていた。
もちろん、辻である。
だが、辻の耳にその声は届いていない。
何故なら、彼こそ夏休みの予定に胸を焦がしていたからである。
辻にとって夏休みとは大忙しなのだ……。

こうして、いよいよ始まった夏休み。
その夜、早くも辻は夏休みの宿題に追われていた。

辻の周囲で断末魔の声を上げつつ倒れて行く人々。

そう、これがお掃除人としての宿題だ。
夏休みとなると羽目を外す者が続出する。
これを片付けるのも辻の役割なのである。

一方、白雪はと言えば今日に限っては辻を尾行していない。
今、彼女が共に居るのは同級生で親友の飯田華夜であった。

年頃の少女に相応しく2人の話題は恋話に集中する。
華夜に辻との仲を尋ねられた白雪は「ドキドキするのが恋」と教えられ、此処で初めて辻に恋していたことに気付く。
どうやら、今までのストーカー行為は意識せず天然で行っていたことらしい。

そんな白雪の天然ぶりに呆れる華夜だが、白雪が辻とメールの遣り取りを(一方的に)行っていることを知り驚く。
さらに、白雪が恋を意識せずとも既に告白(24話「劇中のふたり」)したと聞くや2人の関係に困惑する。

「思春鬼のふたり」第24話「劇中のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「もしや、白雪が辻に良いように利用されているのでは……」と心配し始めた華夜は夏祭りに白雪を誘う。
実は、華夜自身が辻の友人・筒川と坂田に誘われていたのである。
もちろん、その場には辻も参加する予定であった。
この機に乗じて、辻と白雪の仲について実態を確認しようと考えたようだ。

これを聞いた白雪に「否や」はない。
白雪は辻にとって夏が一番多忙な時期であることを知っており、それ故に尾行すら遠慮していたのだ。
この機会を逃す手は無かった。

こうして、夏祭り当日の夜がやって来た。
浴衣に身を包んだ白雪と華夜のもとに、同じく男性用浴衣を着用した辻、筒川、坂田が集合する。

辻の着流しぶりに、改めて胸を高鳴らせる白雪。
これを目にした華夜は一計を案じる。

一方、男性陣では筒川がこれを機に華夜との距離を縮めようと目論んでいた。
坂田に協力するよう根回しする筒川だったが……。

華夜は筒川に用件を言いつけると、自身は坂田と腕を組み出かけてしまう。
辻と白雪を2人きりにさせる作戦なのだ。

華夜の配慮に感謝する白雪。
だが、筒川は思わぬ展開に悔し涙を流すことに。

居並ぶ屋台の中を、連れ立って歩く辻と白雪。
白雪の胸は鼓動を抑えられない。

と、そんな2人の姿を樹上から確認する人影があった……陸である。
陸は「ほう……」と洩らしつつ、自身のターゲットを探そうと試みる。

陸のターゲットの名は紡木茨。
9歳にして大量殺人を行い施設に収監されたが脱走。
その後も大量殺人を繰り返していたことでWCOから「最重要お掃除対象」に指定された人物だ。
その右腕には「茨の刺青」が施されているのが特徴である。

ところが数日前に事態は急変した。
茨の居所を掴み急襲した陸だったが、其処には「腕に茨の刺青が残されたミイラ」が転がっていたのだ。
ターゲットである茨自体は前日まで出歩いていたことが確認されていたにも関わらずである。

どうやら、本物の紡木茨は過去の時点で殺害されており(ミイラ化した遺体)、以降に茨の犯行とされたものは彼の名を騙った偽物による犯行らしい。
そして、その偽物がこの夏祭りに潜んでいるのだ。

ふと、1つの屋台の前を通り過ぎた辻と白雪。
その足元には右腕に茨の刺青を施した人影が縁日に興じていた―――27話に続く。

新章・夏祭り編に突入!!
今回の敵は「最重要お掃除対象」!?
気になる展開は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載中です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと必殺仕事人。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛するストーカー少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

そんな「思春鬼のふたり」コミックスが1巻に続き2巻も2014年8月8日に発売。
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。

さて、その26話ですが……。
なんとも不可思議な展開を迎えることに。

まず、紡木茨ですが……これ、もしかして辻の父の仇の可能性も出て来たのではなかろうか。
どうにも以前に唱えていた「WCOこそが黒幕で、辻とWCOが袂を分かつ」展開は無さそうだし、年代的にもWCOの格付け的にも紡木茨はかなりの強敵っぽいし。
そんな印象を受けるのだけど……違うのかなぁ。

そして、どうやら夏祭りを舞台に辻が同級生から正体を隠しつつ攻防することになりそう。
白雪が要所要所で同級生たちの目を惹く間に、辻が茨と戦うパターンかな。
他にも、夏祭り特有の金魚すくいとか水風船とかで白雪が茨を攪乱しそうだなぁ。

そう言えば、白雪に妙なフラグが立ったような……。
華夜から「ドキドキするのが恋」と教えられて、辻を好きなのだと認識した様子。
24話「劇中のふたり」での告白は「人としての好意」で、今回から「男女の愛」に変わったということなのだろうか。
とはいえ、ドキドキするのは恋だけとは限らないワケで。
最後の敵が白雪になるのなら「辻を殺りたい」から「ドキドキしていた」とかのオチも考えられそうだが……。
さり気ない伏線なのか、それとも考え過ぎか。

一方、今回の標的である紡木茨には他にも気になることが……。
陸によれば、ミイラ化した遺体こそ紡木茨本人で、その後に行われた茨の犯行とされるものは茨の名を騙る別人によるものらしい。
しかし、ミイラ化遺体それ自体が紡木茨によって用意された偽物の可能性は考慮しなくて良いのだろうか。
もっとも、それで鳴りを潜めていたのならともかく、その後も茨の名で犯行を続けている以上、死を偽装する意味がないのでこれはないか……。

そしてもう1つ、茨の顔を伏せているところを見ると、正体は今少し隠すことになるのか。
もしかして、演劇部編と同様に次回以降に茨候補たちが登場するのかな。
その中から、茨と思われる人物を特定するとか。
あるいは、既に登場した人物の中に茨を騙った人物が居るということかもしれない。

そもそも、あのミイラのくだりは「別人設定の為だけなのか」も気になる。
かなり思わせぶりに登場していただけに、他に意味があっても不思議ではないと思うが……果たして。

おおおおおおっ、いろいろと気になる!!
果たして、次回は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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「思春鬼のふたり」第25話「終劇のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・もう1人の掃除人篇(1話から5話まで)
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。

・辻の過去篇(6話)
辻の父:何者かにより惨殺される。
辻の母:父の死にショックを受け自殺。

・解体魔篇(7話から10話まで)
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。

・星野銀華篇(11話から17話まで)
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から25話まで)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
安土礼雄:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣・ポローニアス役。

・夏祭り編(25話終盤から)
紡木茨:9歳にして大量殺人を行い逃亡した人物。WCOからは「最重要お掃除対象」とされている。
飯田華夜:白雪の友人。私立揺籃高等学校の生徒。
筒川:辻の友人。華夜のことが好き。私立揺籃高等学校の生徒。
坂田:辻の友人。私立揺籃高等学校の生徒。

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