2014年08月31日

「サイレーン」第59話「刑事なのに……」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン」第59話「刑事なのに……」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
高槻とおる:5年前に発生した薬局店息子殺人事件の被害者。
時田:捜査一課未解決事件係の刑事。猪熊の先輩。
舞川:5年前からのカラの常連客。

<あらすじ>

・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第58話「覚悟が違う」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

猪熊を心身ともにいたぶり続けるカラ。
まずは、猪熊が犯人だとした乃花が無実であったことを明かす。
次いで、猪熊が疑いもしなかったカラこそが犯人であり、乃花を殺したことを教えるのであった。

これにショックを受ける猪熊。
なにしろ、疑わなかったどころか彼女を信じ、寧ろ忠告した里見を疑ったのだから。

カラは猪熊がダメージを受けていることを確信すると、さらに言葉を続ける。
タクシー運転手殺害を含め、これまでに6人を殺害したことを告げたのだ。

里見こそが正しかった。
此処に確信する猪熊は、里見の言に従わなかったことを後悔すると共に謝罪する。

抵抗する気力を失った猪熊をカラは壁に打ち付けた手錠で拘束。
その目の前でナイフを取り出すが……。

一方、里見の訴えを聞いて動き出した捜査一課の刑事たち。
これに心当たりを聞かれた渡だが、徹底的に反抗の姿勢を見せる。
そんな渡の態度に刑事たちは閉口する。
しかし、渡のカラへの態度に比べるとカラのそれが冷淡なことに気付く。

同じ頃、里見は猪熊が寮に送った地酒の住所から周辺に拘束されていると判断。
探し出すべく、レナの手助けで病院を抜け出そうとする。

ところが、其処に倉本が現れる。
なんと、意識を失っていた田沢麻弥が何かを喋っているらしいのだが―――60話に続く。

早川書房刊『ミステリマガジン』や『週刊文春』でも取り上げられた本作。
目的を果たすべく逃げるカラを里見が追う。
追い付くことが出来るのか……今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!

<感想>

「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。

そんな「サイレーン」。
遂に猪熊が捜査一課に配属。
これにより「猪熊&里見VSカラ」の物語が明確化されました。
とはいえ、「悪女カラ自身」がテーマだったりもしそうだが。
それだけ、敵役のカラのインパクトが凄い。

その第59話。
サブタイトルは「刑事なのに……」。
猪熊の正義感が遂に揺れた回です。
なんと、自身の信じるモノが根底から覆されてしまいました。

少なくとも、捜査一課行きの決め手となった乃花の事件が冤罪だったことを知った影響は出そう。
これはカラとの決着後に代わりに里見を推薦して捜査一課からの異動を願い出ることになりそうだなぁ。
でないと、猪熊の正義が問われることになるだろうし。

とはいえ、それはこの先の話。
今は大ピンチが続く模様。
カラが取り出したナイフの意味とは……。

一方、此処から里見の怒涛の反撃が開始されそう。
まずは田沢麻弥の証言。
これが月本殺害現場での歯に繋がることになりそうか。
順調に伏線が回収されて行きそう。
最終的には、以前から唱えている「レナとアイの誤認」によりカラに止めを刺すことになりそうかな。

ちなみに、今回により渡の結末となりうる展開が絞られたと見る。
有り得るのは次の2つ。

1.事件解決後、カラの正体を知らされ獄中で泣き崩れる。
2.事件解決後、連行される(あるいは逃走する)カラを「裏切った」として刺殺する。

ただ、渡は里見轢き逃げで収監されており身動き出来ない。
自然、1の可能性が高いだろう。
どこまでも切ない男になりそうだ。

ちなみに、前々から提唱している「展開予想」こと「里見君逆転の秘策」はこちら。

これまでも何度か述べて来たけど、この状態での里見の打開策はレナにあると見た。
カラは里見の協力者が長髪の女性2人(レナとアイ)であることは知っているが、レナがアイそっくりなのは知らない。
そして、アイは渡の別荘で拘束されている。
其処で、レナがアイのふりをしてカラを揺さぶり、アイが脱走したと思い込んだカラを別荘へと誘導させる展開ではなかろうか。

さて、里見とカラは互いに打てる手が限られている。
そんな中、いよいよ来た!!カラによる猪熊殺害実行の日。
カラの殺意を知った猪熊は、その刃から逃れることが出来るのか。
そして、里見は猪熊を助けることが出来るのか。

カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。

キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
カラが猪熊に正義を求めていることも同様。
さらに、高槻とおる殺害の動機は「優しさ」を求めてのモノである可能性も浮上。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
カラの闇は想像以上に深そうだ。

止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……60話に期待!!

コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻、4巻に続き5巻も発売とのこと、こちらも注目!!
興味のある方はアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!

ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。

「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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