2014年09月02日

「最強少女さゆり」第26話(31話)「川遊びとバーベキュー」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第26話(31話)「川遊びとバーベキュー」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの元経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。
豪田彩花:さゆりの母、元祖・最強少女。
森:彩花が入院していた杏森病院の担当医師。
インリン・マールィ:レガード(遺産調査団)所属の宇宙人。
雑草マン:さゆりたちがこよなく愛するアニメの主人公。
グータラ大魔王:雑草マンの宿敵。
柏木さん:駐在さんにやっと出来た後輩の婦警さん。たぶん、拳銃ラブな人。
さゆり父:25話時点で名前は不明。どうやら社会的地位の高い人物のようだが。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「大丈夫か、さゆり」
橋の上、バニーに声をかけられるも恐怖から彼女に抱き縋るさゆりに返事は無い。
当のバニーも心の準備が整っていないのか、声が上ずっている。

今、バニーはさゆりを胸に抱き欄干に腰かけていた。
これから川への飛び込みにチャレンジするところである。

「おら、早く行け」
と、其処へ容赦なく背後から蹴りが。
誰あろうリコスである。

「きっ・さっ・まぁ〜〜〜」
不意討ちに対し途切れ途切れに叫びつつ、眼下の川へと落ちて行くバニー。

数分後、ぐっしょりと濡れそぼったバニーはさゆりを抱えてリコスの前に立ち塞がった。
その表情は前髪に覆われ窺えないが、肩が小刻みに震えている。

「いけ、さゆり!!」
バニーの指示と共にさゆりがリコスに飛び掛かる。

「ぐわっ、やめっ……」
リコスの悲鳴は声にならない。
さゆりがその力を存分に奮い、リコスの断末魔が……。

これが、さゆり、バニー、リコスによる川遊びの結末であった―――26話了、と思わせて。
まだまだ26話は終わっていないのだ。

さて、躯になりかけたリコスに遅れてやって来た源さんが声をかける。
そう、今日はさゆり、バニー、リコス、豪田、源さんの5人で川原を舞台にバーベキューパーティーを楽しむ予定なのである。
川遊びはその余興に過ぎないのだ。

そんな余興の段階で絶命しかけたリコスだが、驚異の生命力で回復。
源さんも揃ったところで、バーベキューパーティーの準備が行われることに。

何事にも器用さを見せるリコスはてきぱきと準備をこなして行く。
その一方で、バニーは最近になって発覚した不器用さを見せることに……。

「あいつはお嬢だからなぁ……」
ぼやくリコス。
そんなリコスを見返すべく奮闘するバニーだが、空回りばかり。

食材の準備を任せれば、食材ではなく自身の手を切ってしまう。
火の準備を任せれば、並べても居ない薪の中へ無造作にマッチを放り込み「いつまで経っても火が点かない」と小首を傾げていた。

この様子を見ていたリコスは「結局、仕事が増えるだけだ」と断言。
「やれやれ」と首を左右に振りつつ、すべてをこなして行く。

そんなリコスを尊敬の瞳で見つめるさゆり。
これにバニーは危機感を抱く。

マズイ、このままでは……駄目な大人と思われてしまう。
焦るバニーだが彼女に出来ることは……ない!!
結局、木陰で膝を抱えて座り続けることに。

いじけるバニー。
ところが、此処でもリコスは大人であった。
そんな彼女に声をかけ食事を促す。
これに感動するバニーであったが……。

昼食後、川遊びが再開。
しかし、奇妙なことにリコスは川に近付こうとしない。
あれ、もしかして……。

これに気付かないさゆりは渾身の力でリコスを川へと投擲する。
結果。

「あばば、うわっぷ、うごぉ」
リコスは川で溺れることに。

器用なリコスの弱点、それは泳げないことだったのだ。

思わぬところで弱点が発覚したリコスは意気消沈。
これを励ますバニーとさゆりなのであった―――次回に続く。

コマ割りと展開が魅力の作品です。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

そんな仕切り直しの26話(通算31話)。
サブタイトルは「川遊びとバーベキュー」。
順調にリコスとバニーの掘り下げが続いていますね。

まずはバニーの不器用キャラが発揮。
続いて、リコスの器用さを強調して置いて、弱点発覚の流れ。

まさに持ち上げて落とすというコメディもののシナリオにおける常道がきっちりと嵌った回でした。

そんな本作ですが、コミックス1巻が発売中。
表紙は『ジャポニカ学習帳』をイメージした装飾の中にさゆり、バニー、リコスとメインが並ぶ可愛らしい物に。
ちなみに、2014年8月5日に『ジャポニカ学習帳』のデザインが立体商標化されたことで、ツイッター上のファンから本作の表紙について不安の声が上がる一幕もありましたが、あれはあくまで「同様のデザインを用いたノートに限る」らしいので本作は対象外のようです。一安心。

そして、此処からは今後の展開予想。
最終的には仲間になりそうなマールィだけど、さゆりを疑って報告しちゃうんだろうなぁ。
でもって、彼女の所属するレガード本隊がやって来る展開か。
バニーの上司である花魁課長によると、どうもこのレガードも一癖ありそう。
だとすれば、これまでの予測で唱えて来たバニーとリコスたちが連合して挑む敵はレガードになりそうか。
こんな感じ!?

マールィの報告でさゆりに目を付けたレガードが地球に飛来。
さゆりを連行しようとする。
通常ならば相手ではないが、レガードはさゆりの弱点であるお化けを使用。
しかも、周囲にまで被害を及ぼす。
此処にマールィはレガードに疑問を抱き離反。
もちろん、バニーやリコス、源さん、オヤッサンとタマちゃんらも協力してレガードに抵抗。
とはいえ、多勢に無勢で危機に陥るんだけど、其処に花魁上司たちが登場。
レガードが星々の遺産を不正使用していたとかで逮捕。
さゆりは見逃されるんだけど、バニーとリコスは帰還したかに見せて……実は地球に居るのです、的な結末とか。
でないと、リコス逮捕されちゃうし。
そして、バニーは花魁課長からさゆりとリコスの監視の名目で地球滞在の権利を得るとか。
ちなみに、さゆりがお化けが苦手なのは遺産としての記憶が残っているから……だったりして。
この妄想、果たして的中するでしょうか!?

さて、此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられない。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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