ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
夢の中
路上刺傷事件発生。彼女が見ているのは、暗いどこかだ
闇の色
せめて、彼女が死んでくれていれば――
(光文社公式HPより)
<感想>
『小説宝石 2014年9月号』に「姫川玲子シリーズ」最新短編が一挙2作掲載されました。
その名も『夢の中』と『闇の色』。
『お裾分け』にて結成された新生・姫川班が挑む2つ目の事件になります。
その中で驚くべき情報が……なんと、解体された旧・姫川班のメンバーの1人が遂に玲子のもとへ帰還することとなりました。
そのメンバーの名は……菊田。
そう、菊田が新・姫川班に復帰したのです!!
果たして、玲子との関係はどうなるのか!?
これは見逃せない作品に。
そんな『夢の中』と『闇の色』ですが、独立した2作と言うよりは前後編ですね。
ある意味、中編を分割して短編2作にした印象。
此の点は注意!!
ちなみに、『夢の中』と『闇の色』により短編集が発刊出来るボリュームは確保出来たと思われます。
これは……新刊発売の狼煙となるか。
あるいは、ドラマ版復活の契機になるのかも……。
そう言えば、JTのサイト「ちょっと一服ひろば」でも「姫川玲子シリーズ」が掲載されていることはご存知でしょうか。
こちらのタイトルは『落としの玲子』。
今泉について意外な情報が明かされています。
最終話まで閲覧可能なのでファンはチェックを!!
<ネタバレあらすじ>
『夢の中』
本部に戻り「新生・姫川班」を結成することになった玲子。
とはいえ、玲子にとって「姫川班」といえば菊田や葉山たちの居た班のことだ。
どうしても、旧メンバーたちも呼び戻したい。
そんな玲子の意を汲み、今泉が動いていた。
そして、遂に1人の旧メンバーを呼び戻すことに成功したらしい。
だが、今泉は確定するまでは明かせないとその名を告げることを避ける。
果たして、呼び戻せた旧メンバーとは誰なのか!?
その矢先、事件が発生。
刃物を持った男が峰岡里美という40代の女性を襲撃。
逃げた里美を追い回すと、里美が助けを求めた先で1人を殺害、1人に軽傷を負わせたのである。
その後、犯人自身も自殺未遂を行っており、今も病院で意識不明の状態らしい。
この事件に、玲子は特別な匂いを嗅ぎ取る。
こうして、小幡らを連れて捜査に乗り出すことに。
まずは重傷を負いながらも一命を取り留めた峰岡里美への事情聴取である。
しかし、里美は犯人のことも含め、どうにも肝心なことを話そうとはしない。
矢先、里美に重樹という名の息子が居ることが分かる。
だが、重樹には就学歴が無かった。
どうやら、里美は育児放棄していたらしい。
しかも、当の重樹自体が幼児期を境に消息不明になっていて―――『闇の色』に続く。
『闇の色』
峰岡里美周辺を調べ始めた玲子。
過去に彼女と息子・重樹が住んでいたアパートを訪ねると、押入れの中から幼児と思われる白骨死体が発見される。
さらに、玲子は室内を見渡すと同じゲームソフトが2本ずつ対になっていることに興味を示す。
再び里美に聴取を行う玲子。
内容が重樹に及ぶにあたり、里美は逆上する様子を見せる。
どうやら、育児放棄をしていたことは間違いないようだが……。
そんな中、里美襲撃犯の意識が回復した。
男のもとを訪ねた玲子は開口一番「峰岡重樹さんですね」と呼びかけ小幡らを驚愕させる。
小幡は幼児の遺骨の主こそが重樹だと思い込んでいたのだ。
それは当の犯人も同じようで、驚きつつも玲子の言葉を認める。
やがて、男……重樹の口から事件の真相が明かされることとなった。
峰岡重樹は今は内田茂之と名乗っていた。
何でも里美に捨てられた後に公的機関に保護された際に認められた名らしい。
そして、彼が捨てられる前、彼には弟が居たのだ。
その名は「ヒロ」。
どんな字を当てるのか、重樹も知らない。
里美が生んだ後に便宜上で付けた名らしい。
この「ヒロ」こそが、遺骨の主の正体であった。
里美はヒロの世話を重樹に任せ、家に寄りつかなかった。
そうこうしているうちに、ヒロが死亡してしまう。
困った里美はヒロの遺体を押入れに隠すと、重樹を捨てた。
当時こそ事情の分からなかった重樹だが長じるうちに、里美の行いが如何に非道なものかを察した。
そして、恨みを募らせ復讐しようと探していたのだ。
それがあの日、遂に発見し切りかかったのであった。
ところが、当の里美への復讐は失敗し、無関係な人間を殺害してしまったのである。
これに重樹は痛恨事だったと涙を流す。
玲子もまたこれに深く同情することに。
玲子は峰岡家にあったゲームソフトから兄弟が居ることに気付いていた。
其処から襲撃犯こそが重樹であることに辿り着いたのだ。
数日後、新生・姫川班を新たに配属された旧メンバーが訪れた。
その人物とは―――菊田であった。
てっきり、葉山だと想像していた玲子は驚き慌てると共に妻帯者となった菊田とどう接して行くべきか悩むのであった―――エンド。
◆「誉田哲也」先生関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『女の敵』(誉田哲也著、宝島社刊『誉田哲也 All Works』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載)まとめ
・『インデックス』(誉田哲也著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー2』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『お裾分け』(誉田哲也著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー3』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【ジウシリーズ】
・『ジウ 1〜3』(誉田哲也著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『ヒトリシズカ』(誉田哲也著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『三十九番』(誉田哲也著、双葉社刊『痛み』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『帰省』(誉田哲也著、小学館刊『東と西 2』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ドルチェ』(誉田哲也著、新潮社刊)ネタバレ書評
【ドラマ版】
・土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」(フジテレビ系、2012年)まとめ
・土曜プレミアム「ストロベリーナイト〜アフター・ザ・インビジブルレイン〜女子高生転落死から始まる官僚連続殺人!!携帯に残された暗号、顔無き真犯人?絡まる5つの謎と共に解ける真実とは!?本日公開の映画と連動する衝撃のミステリー(アンダーカヴァー、東京、サイレントマーダー/沈黙怨嗟、左だけ見た場合、プロバブリィギルティ/推定有罪)」(2013年1月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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【コミカライズ】
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