2014年09月07日

「金田一少年の事件簿N」第7話「真夏に降る雪の足跡トリック…暗闇の犯行唯一のミス(雪影村殺人事件)」(9月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿N」第7話「真夏に降る雪の足跡トリック…暗闇の犯行唯一のミス(雪影村殺人事件)」(9月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

300年以上前から、お盆の時期の朝に雪が降るという不思議な現象が起こる田舎の漁村・雪影村。はじめ(山田涼介)にとってこの村は、中学2年生の夏休みを過ごした思い出の地だった。
この夏、はじめは再び雪影村を訪れることに。夏に降る雪に興味を持った佐木(有岡大貴)と真壁(浅利陽介)も、一緒に来ていた。
はじめは、3年前、雪影村で仲良くなった友人の島津匠(須賀健太)、立石直也(入江甚儀)、魚住響四郎(上遠野太洸)、太刀川都(山下リオ)、社冬美(藤原令子)、蓮沼綾花(平祐奈)と久しぶりに再会。しかし、友人の一人・葉多野春菜(小川涼)の姿がなかった。はじめは、春菜が1年前の夏の雪が降る朝に自殺したと聞かされる。自殺の理由は不明で「うれしい色だったはずが、許されない色だったなんて。もう死ぬしかない」という謎めいた文面の遺書が残されていた。春菜の死には他にも謎があり、葬式のとき古くからの村のしきたりで遺体の胸に置かれる三本の矢“上送りの矢”が春菜の遺体からいつの間にかなくなっていたという。はじめは、亡くなった春菜が自分を雪影村に呼び寄せたのではないかと思いを馳せる。
翌朝、はじめは、夏の雪を見ようと島津たちと集まって中学校へ向かった。校庭に着いたはじめたちは、雪が降り積もる校庭で倒れている冬美の遺体を発見する。冬美の喉元には、なくなったはずの“上送りの矢”が刺さっていた。校庭には、冬美のものと思われる一つの足跡しかなかった。別件で雪影村に来ていた剣持警部(山口智充)は、現場の状況から自殺の可能性が高いと判断するが、はじめは他殺の可能性を口にする。
そんな中、またもやはじめの旧友の一人が犠牲者として発見される…。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

雪影村は300年以上前からお盆の3日間だけ朝に雪が降るという不思議な現象が起こる長閑な漁村であった。
そんな雪影村に金田一が足を運ぶことになった。

実は雪影村は金田一にとっても想い出の地。
3年前、中学2年生の一時期を其処で過ごし地元に友人も居たのだ。
これを聞きつけた真壁と佐木も「夏の雪」に興味を抱き同行することに。

雪影村を再訪した金田一を温かく迎え入れる地元の友人たち。

まずは当時野球部のエースであった島津匠。
そして、島津とコンビを組んでいた捕手・立石直也。
ギター奏者を目指していた魚住響四郎。
絵本作家が夢だと語っていた太刀川都。
女優になろうと活動していた社冬美。
テニス部で活躍していた蓮沼綾花。

一見、彼らは当時のままに見えた。

しかし、1人足りない。
そう、画家を目指していた葉多野春菜の姿が無かったのだ。
「春菜は?」と無邪気に尋ねる金田一に、仲間たちは顔を背ける。

なんと、春菜は1年前の夏に自殺していたのである。
しかも、夢を想い描いていた仲間たちも今はそれぞれに現実にぶつかっているらしい。

ギター奏者を目指していた魚住は家業に忙しく夢を諦めていた。
綾花はプロテニスプレイヤーに挫折し、学校の後輩を指導する日々。
島津は右腕を故障し野球部を退部。
立石もこれに従ったらしい。
女優を目指す冬美も思うように行かず苦戦。
そして、画家を目指していた春菜はもう居ない。
唯一、絵本作家を目指した都のみが奮闘しているようだ。

その夜、民宿を営む都の実家に宿泊した金田一たち。
都によれば、春菜の自殺にはいろいろと不審な点が残されているらしい。

まず、自殺の理由が不明であった。
遺書は残されていたが「嬉しい色だったはずが、許されない色だったなんて。もう死ぬしかない」と記されていたのみだったと言う。
さらに、葬儀の際に雪影村で古くから伝わる儀式―――遺体の胸に「上送りの矢」と呼ばれる三本の矢を置くのだが、この「上送りの矢」が何時の間にか盗み出されていたそうなのだ。

翌朝、金田一は真壁たちに「夏の雪」を見せるべく、島津たちと計って早朝から中学校の校庭へ向かう。
待ち合わせ時刻に遅れた魚住と合流し、何故か現れない冬美を不安に思いつつ校庭に到着した一行。
ところが、校庭の中央には俯せに倒れ込んだ冬美の姿が。

見れば、上送りの矢が首筋に突き刺されている。
冬美は既に事切れていた。
周囲は降り積もる雪に覆われており、足跡は中央へと向かう冬美のもの1つしかない。

果たして、自殺か他殺か。
やがて、雪が雨へと変わりすべてを洗い流し始めた……。

こうして事件が発生したことで剣持警部が現場に到着する。
自殺の可能性に触れる剣持だが、冬美の自宅から古いローファーが盗み出されていたことが判明。
それは冬美の遺体が履いていたものと同じであった。

これを聞き、作為を感じ取った金田一は他殺を疑うことに。
金田一の仮説はこうだ。
犯人は降雪前に冬美を校庭に呼び出し殺害。
雪が降り出しある程度積もったところで盗んだローファーを履き後ろ向きに現場を逃げ出したとのものだ。
これならば、足跡が1つしかないことも納得できる。

だが、このトリックが成立するには雪が雨に変わり靴跡を洗い流す前に目撃者が必要である。
つまり、金田一たちの来訪を知らなければ成り立たないのだ。
だとすれば、仲間の中に犯人が居ることに……。

そんな中、真壁は待ち合わせに1人だけ遅れた魚住が犯人だと主張。
しかし、金田一は異を唱える。
足跡トリックを成立させるには降雪前に校庭に居る必要がある。
魚住が遅れたと嘘を吐き時間を稼ぎ出したとしても5分程度のもの、到底、間に合わないのだ。

直後、綾花がその場を離れたことに気付いた金田一は彼女を追う。
すると、綾花はテニス部の部室へと消えて行った。
後から部室に入る金田一、電灯のスイッチを押すが明かりが点かない。
金田一に気付き笑いかける綾花。
どうやら、蛍光灯が切れているようだ。
交換しなくちゃ……と洩らす綾花だが。

その夜、蛍光灯を換えようとした綾花が犯人に襲われることに。
翌朝、冬美と同様に上送りの矢で殺された綾花の死体が発見される。

2人目の犠牲者に金田一は放心してしまう。
しかし、此処で挫ける金田一では無い。
2人の仇を討つと捜査を開始する。

まず、春菜の自殺について調べ始めた金田一。
すると、奇妙な遺書の宛名が春菜の父親・今井龍矢宛になっていたことが判明。
さらに、綾花殺害現場となったテニス部の部室の様子から犯人が何かを物色したことを突き止める。

矢先、島津たちのバッグに入っていた数珠が紛失していたことが分かる。
それは金田一たちが仲間と共に購入したお揃いの品であった。

まさか……と思った金田一はテニス部部室を調べる。
すると、床から千切れた数珠の珠が発見される。
どうやら、綾花と揉み合った犯人の数珠が千切れて零れたもののようだ。
犯人は自身の所持する数珠が欠けていることを隠す為に、他の仲間の物も盗み出したのだろう。

そして、綾花が付け替えようとして果たせなかったものだろう、無造作に置かれた蛍光灯を目にした金田一はあることに気付く。

なるほど、そうだったのか。
だとすれば、犯人はあいつしかいない。
しかし、そんなことは信じたくない。

走り出した金田一は埠頭で釣りをする男性と出会う。
その男性は島津の父らしい。

「此処には雪が積もらないんですね……」
ふと洩らす金田一。
これに「何を言ってるんだ」と笑う島津の父。

埠頭にはほぼ雪が積もらない。
何故なら、埠頭は海水に濡れているからだ。
塩分を含む海水は融解熱が大きいのだ。
だから、降った傍から溶けてしまう。

へぇ〜〜〜と頷きかけた金田一はそれこそがトリックに繋がることに気付く。
さらに、島津の父が持つクーラーボックスに書かれた「今井龍矢」とのネームに驚くことに。
どうやら、春菜の父と島津の父は同姓同名らしい。
地元では、よくある苗字と名前の組み合わせなのだそうだ。
しかも、春菜の父は彼女が幼い頃に離婚しており春菜は父の顔を知らないのだそうだ。

これを聞いた金田一は春菜が当時「白は嬉しい色」と語っていたことを思い出す。
もしかして「嬉しい色だったはずが、許されない色だったなんて。もう死ぬしかない」の意味とは……。

あの人物の犯行に確信を抱いた金田一は思い悩むことに。
そんな金田一を見かねた剣持は手を引くよう奨める。
剣持の気遣いに感謝する金田一だが、敢えて犯人告発に挑む。

翌日、金田一はある人物と対峙し自首を促す。
金田一は犯人に自身の推理をぶつける。

きっかけは数珠であった。
その数珠は修学旅行で仲間たちがお揃いで購入した物。

綾花殺害時、犯人は所持していた数珠を引き千切られてしまった。
これは現場に転がっていた数珠が証明している。
其処で、慌てて拾い集めようとした。

ところが、此処で犯人は1つ奇妙な行動を取った。
交換用の蛍光灯があった以上、交換を済ませれば室内を照らし出し転がった数珠を回収出来た筈なのだ。
ところが、それをしなかった。
結局、暗闇の中では思うように効率が上がらず回収し切ることは出来なかった。
そして、より手間がかかるであろう仲間全員から数珠を盗み出す方法を選んだ。

何故か。

犯人は右腕を故障しており、天井の蛍光灯を交換できなかったのだ。
すなわち……犯人は右腕を故障し野球部を引退した島津である。

金田一の前に立つ犯人、島津は不敵に笑っていた。
彼にはまだ冬美殺害トリックが残されいてたのだ。
しかし、これも金田一に破られてしまう。

トリックのキーは塩にあった。
雪と塩が混ざるとその部分だけ溶けてしまう―――融解熱だ。

事前に冬美のローファーを盗み出した島津は足型を作った。
これを用いて前夜の内に校庭の中央へと向かうよう歩幅を調節し塩を撒いたのだ。

翌朝、雪が降る前に校庭に冬美を呼び出した島津はこれを殺害する。
その後、雪が降り始める前にその場を立ち去ったのである。
あとは融解熱で足型通りに雪が溶け、さも中央へと歩いた足跡のように見えるとの寸法であった。

では、島津の動機は何か。
それは春菜の自殺にあった。

島津と春菜は交際していたのだ。
腕を壊し野球を諦めた島津を春菜は励ました。
やがて、島津と春菜は愛し合うようになった。
そして、春菜は島津の子供を妊娠する。
島津は春菜と結婚するつもりであった。

ところがある晩、春菜が島津に「あなたと私は兄妹だった」と連絡を入れる。
ワケが分からないと混乱した島津が駆け付けたが既に遅かった。
春菜は自殺していたのだ。

何でこうなったのか……失意に襲われる中、島津は冬美と綾花の話を立ち聞きしてしまう。
冬美と綾花は島津と春菜の父親が「今井龍矢」と言う同姓同名であることを利用し、2人が異母兄妹だと嘘を吐いたのだ。
これを真に受けた春菜が自殺してしまったのである。
嬉しい色が許されない色に変わった……とは妊娠を知った春菜が赤ん坊用に編んでいた白い服が異母兄妹で関係を持ったと誤解したことで絶望の色に染まったことを示していた。

冬美と綾花殺害は復讐だったのだ。
金田一により、すべてを見破られた島津は残された上送りの矢の最後の一本で自殺を敢行しようとする。

其処にボールが飛んで来た。
ボールは島津が手にした矢に直撃、彼の自殺を止める。

現れたのは魚住、立石、都たちだ。
立石がボールを投げて島津の自殺を阻止したのである。

「なんで、相談してくれなかった……」
涙ながらに訴える立石たちに、島津は自殺を思い留まるのであった。

こうして島津は剣持に逮捕された。

「帰ろう」
傷心の金田一に真壁が声をかける。
金田一は真壁や佐木たちに連れられ駅へ。

と、其処には美雪が立っていた。
どうやら、追って来たようである。
大切な人を目にし元気を取り戻した金田一は雪影村を後にするのであった―――エンド。

<感想>

ドラマ原作は『金田一少年の事件簿 雪影村殺人事件』。
原作シリーズでは「ファンが認めるシリーズ屈指の哀切な作品」とされています。
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では、ドラマ版の感想を。

悪くは無い。
悪くは無いんだが「これが原作にもあった雪影村殺人事件です」と言われたら、なんか違うとしか言いようがないかなぁ……。
おそらく、主に改変点とテンポの問題かな。

まず、テンポ。
1時間の枠に収めようとして「溜めも間も無くなった」ことが原因だとは思うけど、全体的にあっさりし過ぎて哀切も抒情も失われてるかなぁ……、
それと、通り一遍でエピソードだけを並べた感じで凄く勿体ない。
やはり尺不足が大きく響いたか。

続いて改変点。
まず、改変する必要があったからとは言え「嬉しい色だったはずが、許されない色だったなんて」の意味が分からなくなってしまったのは痛い。
原作だと、あれは「妊娠検査薬」のことで「嬉しい色=妊娠発覚の色」が「兄妹での近親相姦と誤解したことで許されない色」に変わることを指す。
ところが、ドラマ版だと春菜の好きな色が白色で、それを用いて赤ん坊用に服を編んでいたところ上記の事実が判明し「白色=許されない色になってしまった」という何とも分かりづらい結論に。
春菜の妊娠まで原作に忠実にしたのなら、検査薬のくだりも忠実にするか、出来ないのならば省略すべきではなかったか。

ラストも原作にあった冬美と綾花へのフォローがカット。
自ら訴え出るほどでは無かったが、春菜の死に責任を感じており罪に苦しんでいたとの描写があった筈。

さらに、タイムカプセルのシーンもカット。
その後に都たちが春菜たちの分まで夢を叶えようと頑張ると誓ってたような。
あれがないと雪影村メンバーが出て来た意味が……もはやオリジナルでも良かったような。

顧みるに、なかなかに際どい改変だったと思います。
さて、この改変。
あなたはどう受け止めたでしょうか。

ちなみに管理人としては、もし1時間で収めるなら次のようにまとめるのもアリじゃないかなぁ……と提案します。

まず、被害者は冬美に絞り、第2の綾花殺害をカット(ただし、綾花自体は登場)。
もちろん、メイントリックも「夏の雪」だけで。
さらに、春菜妊娠の事実は省略し「春菜は島津に好意を寄せていたが冬美の嘘から異母兄弟と誤解し絶望から自殺した。これを知った島津も実は春菜を愛しており冬美に復讐した」に改変。
でもって犯人を島津と断定する腕の故障の件も、冬美に身長設定を加え、刺さった矢の角度から絞り込むように改変。
これと同姓同名の父を持つ描写で春菜と島津の恋を匂わせ、島津犯人を特定する。
島津犯人発覚後、冬美から事情を聞いていたとして綾花が冬美が詫びていたことを明かす。
で、残った尺すべてを各キャラクターの描写に充てて深みを与えると共に、タイムカプセルのエピソードを挿入して締める。

どうかな……って、これでは「雪影村殺人事件」の面影が無いか。
う〜〜〜ん、難しいねぇ。
やっぱり、これも前後編にすべきだったのかなぁ。

そして、8話は「薔薇十字館殺人事件(前編)」。
こちらは「鬼火島(3、4話)」「決死行(5、6話)」に続くドラマ版3度目の前後編です。
さらに、過去に原作をネタバレ批評(レビュー)してますね。
金田一と宿敵・高遠が共闘することになる作品。
原作ファンの間では賛否両論あったロジックは再現されるのか!?
そして、あのラストはどうなる!?
注目です!!

「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

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posted by 俺 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あの土曜日の放送枠、昔から高校生が主人公で大量の人が死ぬ・・・・
今の時代、タブーに挑戦するのはいいですよね
Posted by カズ at 2014年09月10日 21:41
Re:カズさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

サスペンス枠の宿命かもしれませんね。

そして畠山刑事、遂に8話の冒頭で登場してました。
これで一安心です!!
Posted by 俺 at 2014年09月14日 00:36
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