2014年10月02日

水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎11 房総ローカル列車殺人レール!運転士の夢阻む悲劇……容疑者4人のアリバイを崩せ!!(房総ローカル列車殺人レール 妖刀村正の呪い)」(10月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎11 房総ローカル列車殺人レール!運転士の夢阻む悲劇……容疑者4人のアリバイを崩せ!!(房総ローカル列車殺人レール 妖刀村正の呪い)」(10月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

鉄道警察隊東京駅分駐所の巡査部長・清村公三郎(小林稔侍)は、ある日の休日、いすみ鉄道で千葉県・大多喜町に向かっていた。 そこで美しい運転士・坂上莉緒(藤谷美紀)に目を奪われる。いすみ鉄道には、一般の社会人でも運転士の訓練を受けられる自社養成乗務員制度があり、莉緒はその訓練生。かつて運転士を夢見た清村の興味津々な様子を見た莉緒は、清村を食事に誘う。莉緒の恋人・井上治(河相我聞)も加わった3人での夕食を終え、宿に向かう清村の耳に男の悲鳴が飛び込んでくる。駆けつけると日本刀が深々と刺さった酒造会社社長・坂上幸一(おかやまはじめ)の遺体を発見。鬼の姿も目撃し追いかけるが、姿は林の闇に紛れてしまう。

翌朝、再び現場に向かった清村は、大多喜署の刑事・寺島義彦(林泰文)から、この地に住んでいた伝説の刀匠・村正の話を聞く。村正の刀は徳川家と数奇な因縁があり“妖刀”と呼ばれるようになった。しかも村正は死後も鬼となって刀を打ったという。その鬼を鎮めるべく作られた祠を、幸一は酒蔵を作るため1年前に壊した。そして幸一に刺さっていた刀が妖刀…。まさか村正が蘇ったのではと考える寺島の横で、伝説を利用した何者かの犯行と推理する清村。その冷静ぶりに、寺島から協力して欲しいと懇願された清村は休暇を延長する。早速、幸一の妻・佳恵(秋本奈緒美)、弟・健二(羽場裕一)、顧問弁護士・田中紀明(相島一之)に話を聞くが、皆心当たりがないという。
一方、幸一の妹が莉緒であることがわかり清村は動揺する。

ある日、清村たちは観光センターの今泉恵子(寺田千穂)に呼び止められ新たな情報を得る。1カ月前、幸一と健二が金絡みで揉めているのを目撃したというのだ。東京に戻った清村は、寺島と共に健二のオフィスへ。経営が厳しく借金を頼み断られたのは事実だが、事件当夜は仕事をしていたという。しかし隣の部屋に日本刀が…。更に清村は、東京にいた佳恵にも会いに行き、彼女の腕に傷を見つける。幸一の暴力によるものだった。また、田中は、莉緒が幸一と揉めていたことを明かす。ひとり母親が違う莉緒は、亡くなった母を父と同じ墓に入れて欲しいとお願いするも受け入れてもらえず、屈辱的な暴言も吐いた幸一らを恨んでいた。

金で揉めていた健二、DVを受けていた佳恵、母親のことでいざこざがあった莉緒…幸一に恨みを持つ3人が容疑者として浮上するが、いずれも決め手に欠けていた。
しかしある夜、今度は東京に鬼が姿を現し日本刀で男を突き刺す。刺されたのはなんと健二だった…!
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

清村公三郎は鉄道警察隊東京駅分駐所の職員である。
同時にかなりの鉄道マニアであり、知られてはいないが鋭い推理で幾つもの事件を解決して来た実績も持つ。

そんな清村は鉄道マニアの血が騒ぎ、休日は家族もそっちのけであちこちの鉄道を巡っている。
今日もいすみ鉄道に乗車し千葉県大多喜町へ。
其処で女性運転士・坂上莉緒と出会う。
莉緒は自社養成乗務員制度の適用で運転士となった訓練生であった。

運転士に興味津々の清村に好感を抱いた莉緒。
清村と莉緒は彼女の恋人・井上治を交えて食事を共にするほど親しくなった。

ところが、その夜―――莉緒の異母兄で坂上酒造の社長である坂上幸一が何者かに惨殺されてしまう。
どうやら、般若面の人物に妖刀・村正で斬り付けられたようだ。

坂上家には莉緒、幸一の他に次の面々が居た。
幸一の妻・佳恵、幸一の弟・健二、顧問弁護士・田中紀明である。
憔悴する莉緒を見かねた清村は乗りかかった船とばかりに地元の刑事・寺島と捜査に乗り出す。

すると、観光センターの今村恵子から有力な情報が寄せられた。
なんでも、幸一と健二が財産を巡り争っていたらしいのだ。
健二には幸一殺害の動機が存在したワケだが……。

ところが、佳恵も幸一から虐待を受けており恨んでいた。
しかも、莉緒自身も幸一どころか健二とまでも衝突を繰り返していたのである。

そんな中、今度は健二が般若面に村正で殺害されてしまう。
続いて佳恵までもが般若面に村正で殺害されることに……。
まさに般若面による連続殺人である。

坂上家に連なる3人が殺害されたことで容疑は唯一の相続人である莉緒に向かう。
だが、莉緒にはいずれの場合にもアリバイがあった。

矢先、当の莉緒が般若面に襲撃を受ける。
この場に行き合わせた清村は般若面と対決しこれを捕まえることに成功する。
般若面の正体は顧問弁護士の田中であった。
だが、田中はこれまでの犯行については否定する。
どうやら、本物の般若面に便乗し莉緒を殺害することで坂上家の財産を奪うつもりだったようだ。

田中を問い詰めた清村は、彼が今村恵子を疑っていることを知る。
どうも、恵子が坂上家について調べていたらしい。

恵子と坂上家の繋がりを調べた清村。
すると、25年前に発生した坂上酒造の失火事件が浮かび上がる。

当時、坂上酒造は経営危機にあり、この失火により保険金で持ち直していた。
そして、この失火の原因とされたのが恵子の父・今泉だったのである。

もしかして、この失火は保険金詐欺だったのではないか。
其処で犯人とされた今泉の復讐に恵子が動いたのでは……そう考えた清村は恵子のアリバイを調べる。
しかし、健二の際にこそアリバイが無かったが、幸一と佳恵殺害時には確たるアリバイが存在することが判明する。

だが、清村には25年前の失火事件が関わっているように思われてならなかった。
其処に、莉緒が3人を殺害したと出頭して来る。
莉緒によれば人を雇って殺害したのだと言う。

これを聞いた清村は莉緒が誰かを庇っていると察する。
だとすれば、恋人の井上しか居ない。

井上の過去を調べた清村は彼の母・黒田晴美が25年前の失火で死亡していたことを突き止める。
井上にも幸一たちを殺害する動機があったのだ。
だが、井上には幸一殺害時にこそアリバイがないが、健二と佳恵殺害時にはアリバイが存在していた。
特に佳恵殺害時には終電車に乗り遅れ犯行現場から遠く離れた地にあったのである。

しかし、これを聞いた清村は真相を突き止めた。

莉緒、井上、恵子を集めた清村は今回の連続殺人が「1人による連続殺人」ではなく「2人による連続殺人」だったと指摘する。
井上と恵子による共謀だったのだ。

幸一殺害は井上による犯行。
健二殺害は恵子による犯行。
佳恵殺害は井上による犯行だったのである。
すなわち、互いにアリバイの無い時こそが実行犯となっていたのである。
しかし、佳恵殺害時には井上にはアリバイがあった筈だが……。

このアリバイも崩れていた。
終電後、井上は軌道バイク(軌道自転車)を用いて近くの別の鉄道まで移動し現場へ向かっていたのだ。

清村に犯行を暴かれた井上は動機を明かす。
25年前、経営に行き詰っていた幸一、健二、佳恵は保険金詐欺を目論み、今泉に命じて放火させた。
ところが、この現場を黒田晴美に目撃されたのだ。
其処で幸一と健二が晴美を気絶させると、放火に巻き込み口封じしたのである。

今泉はこれを後悔しており、その手記を恵子に預けていた。
これを目にした恵子は真相を知り、井上に報せた。
其処で井上たちが復讐に乗り出したのである。

莉緒は井上の犯行に気付き、これを庇おうとしていたのであった。

井上は莉緒を巻き込み運転士の夢を危険に曝したことを詫び、逮捕される。
これに莉緒は自身の夢を成し遂げることを誓うのであった―――エンド。

<感想>

「鉄道警察官 清村公三郎」シリーズ第11弾。
前作は2013年6月12日に放送されており、実に1年3ヶ月ぶりのシリーズ新作となりました。
前作などについては過去記事がありますね。
興味のある方はリンクよりどうぞ!!

ちなみに、この「鉄道警察官 清村公三郎」シリーズは、島田一男先生「鉄道警察隊」シリーズ(徳間書店刊)が原作。
原作に興味のある方は、本記事下部にあるアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!

では、ドラマの感想をば。

最初に気になったのが、これは清村が言うような「不連続殺人」ではないのではないか―――ということ。
確かに実行犯こそ2人だけど「共謀による連続殺人」に過ぎず、単に互いのアリバイを補完しただけで「不連続殺人」の定義にはあたらない気がするのだが。
そもそも「不連続殺人」ってそんな意味だったっけ……。
なので、ネタバレあらすじではその部分は改変してます。

ちなみに「不連続殺人」と言えば坂口安吾著『不連続殺人事件』が思い浮かびます。
読者への挑戦状も付された作品です、あなたは犯人を突き止められるか!?
『不連続殺人事件』については本記事下部にアマゾンさんへのリンクを用意しています。
興味のある方は是非!!
でもって、『不連続殺人事件』についてはこんな過去記事もありました。

映画版『不連続殺人事件』が2012年3月14日にDVD化決定!!

おっと、脱線した。
再びドラマの感想に戻って。

そう言えば、久しぶりに羽場裕一さんが悪役で被害者役だった気がする。
驚いた。

でもって、清村強い、強い。
偽般若こと田中相手に大奮闘でしたね。

そして、般若面の井上は白獅子姿を髣髴とさせたり。
ちなみに、井上のアリバイトリックが軌道バイクである必然性はあったのか……。
普通のバイクで道路を行くのでは駄目だったのだろうか?
あまりに特徴的過ぎて露骨に証拠が残ったようだし。

前回(第10弾)が人情物として完成度が高かっただけに今回はちょっと残念。
本作のポテンシャルはこんなものではない筈。
シリーズ次回に期待!!

◆関連過去記事
水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎10 SL・大井川殺人ルート 天才外科医が堕ちた運命の罠!遠い汽笛が暴く殺人連鎖の謎と時刻表トリック(“白い巨塔”に挑む鉄警の意地!天才外科医が堕ちた罠!!山間に響く涙の汽笛)」(6月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎9 九州殺人紀行 特急ゆふいんの森と新幹線さくらを結ぶ完全犯罪トリック!謎の忍錠と女刑事が堕ちた罠!!(特急ゆふいんの森号九州大分殺人ルート犯人射殺事件の裏に隠された闇!蝶だけが知る鉄壁のアリバイ)」(11月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎8 鎌倉・江ノ電幻の600系追憶の殺人事件花嫁人形が謎解く女の哀しい夢!時刻表の罠を暴く執念の捜査!!(鎌倉・江の島・幻の600系追憶の殺人事件 花嫁人形が暴く記憶を失くした女の謎!時刻表に秘めた黒い罠!!)(鎌倉・江の島〜追憶の殺人〜記憶を失くした女の謎!江ノ電だけが知っている湘南の海に消えた純愛!!)」(2月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「復活シリーズ第一弾!!鉄道警察官清村公三郎 秩父長瀞殺人レールSLの汽笛は弔いの響き…第二の人生の夢が消えた!幻の列車が暴く悲しみの不在証明(秩父・長瀞連続殺人SLを愛す定年の重役殺しを鉄警が暴く!)」(10月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜シアター9「鉄道警察・清村公三郎最後の捜査線『北海道SLニセコ殺意の汽笛エリート官僚の堕ちた罠!小樽〜東京1100キロ幻列車の正体を暴け』(鉄道警察官 清村公三郎6 SLニセコ号 殺意の汽笛)」(3月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

清村公三郎:小林稔侍
坂上莉緒:藤谷美紀
寺島義彦:林泰文
井上治:河相我聞
坂上健二:羽場裕一
坂上佳恵:秋本奈緒美
清村市子:丘みつ子
橋本玲子:根岸季衣
田中紀明:相島一之
坂上幸一:おかやまはじめ
今泉恵子:寺田千穂
山手徹:斉藤清六
山崎萌:小林千晴
加藤:熊面鯉 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


シリーズ原作「鉄道警察隊 走る捜査線 (徳間文庫)」です!!
鉄道警察隊 走る捜査線 (徳間文庫)





「不連続殺人」と言えば本作「不連続殺人事件 (角川文庫)」です!!
不連続殺人事件 (角川文庫)





こちらはキンドル版で「読者への挑戦状」も付いています。
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鉄道ミステリーといえば、西村京太郎先生。
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