2014年09月23日

『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)

『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

同級生で同僚の喜多北斗に誘われ、彼の在籍する「極地環境研究センタ」を訪れた犀川と萌絵。極地研では、氷点下20度という低温の状態で様々な実験が行われていた。犀川たちが訪れたその夜、衆人環視かつ密室状態の冷たい実験室の中で、男女2人の院生が刺殺体となって発見される。殺害された2人と犯人はどのようにして実験室に入ったのか。
(公式HPより)


<感想>

「S&Mシリーズ」2作目にして、実は森先生の処女作。
『すべてがFになる』ではなく、本来はこの『冷たい密室と博士たち』がシリーズ第1作となる筈だったそうです。

内容は密室殺人の謎に挑む「ハウダニット」もの。
果たして、謎の密室殺人のトリックとは!?

ちなみに、木熊たちは研究者の純真を邪な行動により穢した丹羽が許せなかったんだろうなぁ。
また、それ故の大胆な行動にも注目。
まさか、アレまで実行するとは……まさに行動が精神を表現する好例でしょう。
それだけ強く、木熊は市ノ瀬と想い丹羽を憎んだことになりそうです。

そう言えば、本作にはモデルとなる人物が実在しているそうです。
こういった点も人物描写に深みを与えている理由なのかもしれません。

ちなみに「ネタバレあらすじ」では詳細を描き切れていません。
「Shika」の件とか省略しているので、興味を持たれた方は原典を読むべし!!
きっと、シリーズ続編も読みたくなる筈だ。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
犀川創平:国立N大学建築学部の助教授。
西之園萌絵:犀川の恩師の娘にして犀川の教え子。
喜多北斗:犀川の友人。
木熊:「極地環境研究センタ」教授。
市ノ瀬里佳:木熊の助手。
丹羽:「極地環境研究センタ」院生の1人。
服部珠子:「極地環境研究センタ」院生の1人。
増田:2年前に失踪した院生。


友人・喜多に誘われ「極地環境研究センタ(極地研)」を訪れた犀川。
もちろん、萌絵も同行することに。

教授の木熊、助教授の市之瀬里佳らが固唾を飲んで見守る中、院生の丹羽と服部珠子による実験が開始。
実験の内容は、木熊と市ノ瀬が別室から無線で指示を出す中、丹羽と珠子が1人ずつ指示に従い冷凍実験室に出入りし実験を行うとのもの。
冷凍実験室の出口の1つには喜多や犀川達が詰め、その様子を眺める手筈であった。

そうこうしている内に実験室から人影が現れ、実験開始。
無線からは木熊の指示が飛ぶ。
丹羽と珠子と思しき人影の表情は、全身を覆い尽くす防寒スーツにより窺えないが緊張していることは間違いないだろう。
こうして拙いながらもそれぞれに実験を終えるのだが……。

直後、当の丹羽と珠子が冷凍実験室内にて死体で発見されてしまう。
どうやら、何者かに刺殺されてしまったようだ。

しかし、衆人環視の中である。
どうやって、丹羽と珠子を殺害したのか?

実験室へと続く出入り口は全部で3つ。
1つ目は犀川たちの目があり、出入りは不可能。
2つ目は実験室の裏口となっているが、これは内部の人間しか使用できない。
3つ目は外部と直接繋がっているが、出口の先にはシャッターがある。

他の2つに比べれば、シャッターを開閉さえすれば犯行可能な3つ目が考慮されるのだが……。
すなわち、外部犯行説である。

ところが、この日に限って外へと通じるシャッターが故障していたことが判明。
すなわち、外部犯では有り得ないことが分かる。

犀川は、犯人にはシャッターの故障が予測不可能であることから、本来ならば外部犯に偽装するつもりだった計画に思わぬ齟齬が起きたに違いないと断ずる。
さらに、木熊のゼミでは2年前に増田なる男子院生が失踪していたことも明らかに。
そんな中、犀川はもろもろの状況から当の木熊を疑うが……。

矢先、事件を独自に調べていた萌絵が何者かに襲撃を受けてしまう。
犀川が駆け付けたことで事無きを得たのだが、これに続くように木熊の死体が発見される。

この第一発見者は市ノ瀬。
遺体の状況から、木熊はクレーンで宙吊りにされ絞殺されたと思われた。
しかし、当のクレーンが片付けられていたことから他殺と判断されることに。

当然、市ノ瀬に容疑が向かうのだが……当の市ノ瀬には死亡推定時刻に県外に居たとの鉄壁なアリバイがあった。

しかし、犀川は木熊を疑った時点で真相に辿り着いていた。
犀川に呼び出された犯人は、彼から逃げ出し自殺を試みるも一命を取り留める。
犯人の正体は―――市ノ瀬であった。

真相の説明を求められた犀川はすべてを語り出す。
すべては木熊と市ノ瀬の共犯だったのだ。

実は丹羽と珠子は内密に婚約していた。
木熊と市ノ瀬はこれを利用したのだ。
祝いたいからサプライズパーティーに協力して欲しいと持ち掛け、丹羽が木熊と、珠子が市ノ瀬とそれぞれ実験直前に入替り、その場で殺害していたのである。
木熊と市ノ瀬は互いに互いのアリバイを偽証することで、容疑から逃れようとした。

ところが、想定外のシャッターの故障で外部犯行説が消え、内部犯行がクローズアップされることとなった。
これにより、木熊が疑われることに。

木熊は自身が疑われていることを知り、市ノ瀬を守るべく彼女のアリバイがある日に自殺した。
第一発見者となった市ノ瀬はクレーンを片付け、自殺を他殺に偽装したのだ。

しかし、何故、木熊は市ノ瀬の為に其処まで出来たのか?
また、殺害の動機は何だったのか?

2年前、市ノ瀬は増田と交際していたのだが、飲み会の席で丹羽に飲まされ酩酊したところを暴行されてしまった。
これは市ノ瀬にとっては許し難い屈辱で誰にも明かせない秘密であった。

ところが、事もあろうに丹羽は増田にこれを明かしてしまう。
悩んだ増田は失踪(自殺)してしまうことに。
市ノ瀬は丹羽を憎んだが、此の時点ではまだ沈黙を貫いた。

しかし、丹羽は増田と市ノ瀬の関係を掴むと、助手と生徒との恋について脅迫し始めた。
さらに、丹羽は珠子と婚約することを木熊に伝えた。

これを木熊から聞かされた市ノ瀬はすべてを木熊に訴えた。
何故なら、秘密にされていたが木熊こそ市ノ瀬の実父だったからだ。
木熊は市ノ瀬から事実を聞かされ、研究者の純粋が穢されたと怒った。
それまで丹羽の正体を知らず可愛がっていたこともあって、木熊は激しく憎悪した。

此処に木熊と市ノ瀬は丹羽殺害を決める。
珠子が殺害されたのは、婚約者として丹羽からすべてを聞かされている恐れがあったからだ。

これこそがすべての真相だったのである―――エンド。

◆関連過去記事
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第10弾(最終巻)。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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