2014年09月26日

「最強少女さゆり」第30話(35話)「寝かしつけの達人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第30話(35話)「寝かしつけの達人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

うららかな平日の午後……豪田家ではリコスとバニーがさゆりをあやしていた。
リコスはさゆりを背中に乗せて四つん這いで走る。
これを見て微笑むバニー。

と、さゆりが欠伸を洩らした。
どうやら、遊び疲れたらしい。

「おっ、電池切れか?」
さゆりの様子に気付いたリコス。
バニーはそんなリコスからさゆりを奪い取るや、胸に抱きしめた。
途端、さゆりはスヤスヤと寝息をたてはじめた。

本来、さゆりの寝つきは良くない。
それをこのスピードで寝かしつけた。
バニーならではの流石の早業である。

「すげぇなぁ」
感心するリコス。
「そうだろう、そうだろう」
普段はコンプレックスの塊となりかねないほど不器用なバニーだが、今は鼻高々だ。

と、バニーの身体がぶるりと震えた。
次いで、リコスに寝入ったさゆりを預けて寄越すやバタバタと廊下を走り去って行く。

「なんだ、トイレか〜〜〜?」
慌てて駆けて行くバニーの背中にリコスが声をかける。
その腕の中ではさゆりが不快そうにもぞもぞと身体を動かしていたが……。

「ったく、デリカシーの無い……」
数分後、水の流れる音と共にトイレを出て来たバニー。
愚痴りながらも、リコスへのご褒美に何か飲み物でも用意してやるかと思い立つ。
こうして、バニーは台所で飲み物を用意していたのだが……。

「た、助けてくれ〜〜〜」
何やら悲鳴のようなものが上がる。
音源はリコスとさゆりの居る部屋だ。

さては敵か!?
急ぎ駆け付けたバニーが目にしたものとは……。

怯えるバニーの腕の中で、バチバチと何やら力を蓄えるさゆりの姿であった。
さゆりは歯ぎしりしながら顔を歪めている。
どうやら、ぐずりかけているようだ。

実は、さゆりは寝つきも悪いが寝起きも悪いのだ。
バニーから引き離されたことで無意識のうちに不機嫌になっているようである。
マズイ……さゆりの状態に気付いたバニーは、リコスから彼女を奪い取り抱き締める。
すると……。

あれほど不快そうだったさゆりの表情が安らぎ、再びスヤスヤと寝息を立てはじめた。

「ほへ〜〜〜」
危機を脱し安堵の溜息を吐くリコス。

「まったく、何をやってるんだ」
普段の自分は棚に上げ、ここぞとばかりにリコスを責めるバニー。
これにリコスは言葉もない。

さゆりも含めた3人の様子は、娘を抱えたしっかり者の妻に説教される夫の図そのものであった。

そんな3人の様子を陰からニヤニヤと見詰める豪田。
この視線に気付いた2人は互いに意識し合い何だか気まずくなってしまう。

ちなみに此の気まずさ、2人の間で暫く続くことになるのであった―――次回に続く。

コマ割りと展開が魅力の作品です。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

そんな仕切り直しの30話(通算35話)。
サブタイトルは「寝かしつけの達人」。
今回はほのぼの系のストーリーが展開されました。

普段、不器用キャラとされるバニーが大活躍。
リコスとの信頼関係やバランスもなかなかに良い感じです。

そんな本作ですが、コミックス1巻に続き2巻が発売予定。
1巻表紙は『ジャポニカ学習帳』をイメージした装飾の中にさゆり、バニー、リコスとメインが並ぶ可愛らしい物でしたが2巻はフォームこそ同じですが色調を変えた表紙に。
ちなみに、2014年8月5日に『ジャポニカ学習帳』のデザインが立体商標化されたことで、ツイッター上のファンから本作の表紙について不安の声が上がる一幕もありましたが、あれはあくまで「同様のデザインを用いたノートに限る」らしいので本作は対象外のようです。一安心。

そして、此処からは今後の展開予想。
最終的には仲間になりそうなインリン(あるいは後輩)だけど、さゆりについて報告しちゃうんだろうなぁ。
でもって、彼女の所属するレガード本隊がやって来る展開か。
バニーの上司である花魁課長によると、どうもこのレガードも一癖ありそう。
だとすれば、これまでの予測で唱えて来たバニーとリコスたちが連合して挑む敵はレガードになりそうか。
こんな感じ!?

インリンの報告でさゆりに目を付けたレガードが地球に飛来。
さゆりを連行しようとする。
通常ならば相手ではないが、レガードはさゆりの弱点であるお化けを使用。
しかも、周囲にまで被害を及ぼす。
此処にインリンはレガードに疑問を抱き離反。
もちろん、バニーやリコス、源さん、オヤッサンとタマちゃんらも協力してレガードに抵抗。
とはいえ、多勢に無勢で危機に陥るんだけど、其処に花魁上司たちが登場。
レガードが星々の遺産を不正使用していたとかで逮捕。
さゆりは見逃されるんだけど、バニーとリコスは帰還したかに見せて……実は地球に居るのです、的な結末とか。
でないと、リコス逮捕されちゃうし。
そして、バニーは花魁課長からさゆりとリコスの監視の名目で地球滞在の権利を得るとか。
ちなみに、さゆりがお化けが苦手なのは遺産としての記憶が残っているから……だったりして。
この妄想、果たして的中するでしょうか!?

さて、此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられない。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの元経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。
豪田彩花:さゆりの母、元祖・最強少女。
森:彩花が入院していた杏森病院の担当医師。
インリン・マールィ:レガード(遺産調査団)所属の宇宙人。
雑草マン:さゆりたちがこよなく愛するアニメの主人公。
グータラ大魔王:雑草マンの宿敵。
柏木さん:駐在さんにやっと出来た後輩の婦警さん。たぶん、拳銃ラブな人。
さゆり父:25話時点で名前は不明。どうやら社会的地位の高い人物のようだが。
インリンの後輩:シルエットのみ27話より登場。
小堺さん:豪田家の隣人にして彩花の女友達。別名・手だけの人。結婚指輪をしているので人妻のようだ。

「最強少女さゆり(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
最強少女さゆり(1) (少年チャンピオン・コミックス)





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