ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧は本記事下部に移動しました。
<あらすじ>
・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第62話「11歳」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
痛み止めを服用するカラ、彼女の中には猪熊を殺すことが出来る喜びに満ち溢れていた。
なにしろ、いよいよ目的を達しようとしているのだ。
嬉しくない筈がない。
唯一、不満な点があるとすれば……猪熊を失った里見の顔を見られないことだろうか。
そう、カラは渡による轢き逃げ失敗を知り、里見が此処に駆け付けて来るであろうことも予想していたのである。
それ故に、その前に猪熊と決着をつけておかねばならない。
カラは改めて猪熊への殺意の道筋をつける。
当の里見はレナと共に別荘へと急ぐ。
事は一分一秒を争うのだ。
その一方で、他の刑事たちは里見ほど事態を深刻に捉えていなかった。
「さて、明日にするか」と笑い合う彼ら、当然、その助力は厳しい状況にあった。
その頃、カラは猪熊へ自分の過去について再び明かし始めていた。
11歳当時、女教師はカラの手により殺害された。
当時のカラは、これを完全犯罪だと思い込んでいた。
ところが、この認識が異なっていたことを直後に痛感させられることとなる。
現場でカラを見たとの噂が出回ったのだ。
その意味するところは1つ、犯人がカラだと言うことだ。
カラは恐れ戦き、1年程引き籠りになってしまった。
そして、その中で如何に自分が浅はかであったかを知った。
もっと綿密に計画し誰にも疑われないようにすべきだったのだ。
あれは失敗だった。
そう認めたカラは殺人者として成長した。
より完璧な計画を行う為に知識が必要だと考えたカラは学校に通い始めた。
それは堂々とした態度であった。
そんなカラの態度に、もはや噂と彼女を結び付ける者は殆ど存在しなくなった。
そして進学し、15歳を迎えた年のこと。
其処でカラは運命の出会いを果たす。
相手の名は橘カラ。
現在のカラが名前を奪った当の本人である―――64話に続く。
早川書房刊『ミステリマガジン』や『週刊文春』でも取り上げられた本作。
目的を果たすべく逃げるカラを里見が追う。
追い付くことが出来るのか……今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!
<感想>
「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
そんな「サイレーン」。
遂に猪熊が捜査一課に配属。
これにより「猪熊&里見VSカラ」の物語が明確化されました。
とはいえ、「悪女カラ自身」がテーマだったりもしそうだが。
それだけ、敵役のカラのインパクトが凄い。
その第63話。
サブタイトルは「15歳」。
62話「11歳」に続き、カラの過去が明らかになりつつあります。
反省し成長する怪物・カラ、恐ろしいです。
そんなカラが、実はカラでは無かったことが判明。
どうやら、「橘カラ」との名前まで他人を殺害し奪ったものの様子。
これは……予想よりも闇が深そうだ。
さらに、カラは里見の来訪を予期している様子。
それまでに決着させるつもりのようだが、里見が急行していることも計算通りなのだろうか。
少なくとも、レナの存在は考慮にないとは思われるが……。
一方、先日ふと思ったのですが61話で明かされたカラの動機に1つ疑問が生じています。
それは……女性マネージャーの「自信」はともかく、高槻とおるの「優しさ」を得た割にカラが全く優しくないこと。
これはもしかして、打倒カラの伏線か?
此の点で精神的に矛盾を突いて彼女の動機を奪い自己崩壊を引き起こさせるのだろうか。
だとすると、かなり丁々発止の遣り取りになりそう。
そして、里見はレナを連れて渡の別荘へ。
これにより61話で「無さそう」とした「レナとアイの誤認」が再び復活。
カラを別荘へ導かせる為に用いるのではなく、カラを猪熊から引き離すべく別荘から誘き出すか動揺させる為に用いそうな予感。
この「レナとアイの誤認」については次の通り。
これまでも何度か述べて来たけど、この状態での里見の打開策はレナにあると見た。
カラは里見の協力者が長髪の女性2人(レナとアイ)であることは知っているが、レナがアイそっくりなのは知らない。
そして、アイは渡の別荘で拘束されている。
其処で、レナがアイのふりをしてカラを揺さぶり、アイが脱走したと思い込んだカラを別荘の外へと誘き出す展開か。
それにしても、カラ篇が終了したとして次のエピソードはあるのか、それともカラの終焉を以て本作も完結するのか……此の点も気になるところ。
ちなみにカラですが、ラストは燃え盛る別荘と共に生死不明になりそうな予感。
でもって、里見と猪熊が街中でカラっぽい人を見かけてエンド的なホラーテイストの結末と予想。
あるいはカラは何処にでも居る的なラストか。
だとすると、やはりカラ篇終了が本作の完結となるのだろうか。
確かに綺麗にまとまるけど、出来れば里見と猪熊で他のエピソードなども読みたいなぁ。
おっと、気が早いか。
それもこれも今後の展開次第かな。
さて、いずれにしても里見とカラの対決はすぐ其処。
果たして里見は猪熊を助けることが出来るのか。
次回に期待!!
コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻、4巻に続き5巻も発売とのこと、こちらも注目!!
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ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。
・「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
・「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から第60話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「サイレーン」第61話「動機」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第62話「11歳」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
高槻とおる:5年前に発生した薬局店息子殺人事件の被害者。
時田:捜査一課未解決事件係の刑事。猪熊の先輩。
舞川:5年前からのカラの常連客。
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