2014年10月07日

『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)

『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

岐阜県恵那市の旧家、香山家には代々伝わる家宝があった。その名は、「天地の瓢」と「無我の匣」。「無我の匣」には鍵がかけられており、「天地の瓢」には鍵が入っている。ただし、鍵は「瓢」の口よりも大きく、取り出すことが出来ないのだ。
(公式HPより)


<感想>

「S&Mシリーズ」第5弾。

これまた芸術家の業か。
その動機は後のシリーズ第9弾『数奇にして模型』に続くようなモチーフになってます。
ただし、こちらのポイントは「無我の匣」と「天地の瓢」の謎。
これがなかなかになかなかなトリック。
ある種、ミステリのご法度に挑んだと言えるか。

同様の作品を上げるとすれば、あるシリーズものの短編『JAXAでの殺人』がこれに該当するかな。

登場人物の面では瀬戸千衣の存在に注目かな。
この人物、実は……詳しくは『有限と微小のパン』を読むべし。

ちなみに「ネタバレあらすじ」はまとめ易いように一部に改変を加えた上にかなり端折ってます。
本作を正確に味わうには、本作それ自体を読むべし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
犀川創平:国立N大学建築学部の助教授。
西之園萌絵:犀川の恩師の娘にして犀川の教え子。犀川に好意を抱いている。
香山風采:50年前に謎の死を遂げた日本画家。
香山林水:風采の息子。
香山マリモ:林水の娘。
儀同世津子:犀川の異母妹。
瀬戸千衣:世津子の友人だが……。


「天地の瓢」と「無我の匣」なる品がある。
「天地の瓢」には「無我の匣」の鍵が納められているが「天地の瓢」の口が狭過ぎる為に鍵を取り出すことは不可能だ。

ところが、50年前にこれらの所持者であった香山風采は鍵を手に入れると密室で謎の自殺を遂げていた。
現場には凶器も見当たらなかったと言う。

犀川の異母妹・世津子を通じこの存在を知った萌絵は興味を惹かれ調査を開始する。

矢先、風采の息子・林水もまた風采同様に密室で謎の死を遂げたのであった。
これまた凶器は消えていた。
林水の娘・マリモらが疑われることとなるが……。

この謎に犀川、萌絵が挑むことに。

犀川はあっさりと謎を解く。
しかし、それは萌絵のお気に召すものではないらしい。

密室の正体は気圧によるものであった。
気圧によって扉が塞がれたのだ。

そして、消えた凶器の謎。
これは「天地の瓢」と「無我の匣」にあった。

「天地の瓢」の中の鍵はお湯で融解する金属で出来ていた。
「天地」が示す通り逆さまにして「無我の匣」に溶けた金属を流し込むと……。
「無我の匣」の底には凶器となる短剣の型があり、短剣が出来上がるのだ。
「無我」が示すのは「我を失う」、すなわち「死ぬこと」であった。
現場から消えた凶器の正体はコレだったのだ。

これこそが両者の秘密。
この秘密を知った者は死に誘われるらしい。
現に風采と風水は死を選んでしまった。
つまり、自殺である。

もしかして先生も……萌絵が不安がる中、犀川は自分は大丈夫と告げる。
芸術家だからこそ影響を受けたらしい。
犀川は事件を解決しながらも表沙汰にしない道を選ぶ。

一方、犀川たちを巻き込む発端となった世津子は隣家に引っ越してきた瀬戸千衣と親しくなる。
千衣は世津子に教えられた犀川の存在に興味津々の様子だが―――エンド。

◆関連過去記事
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第10弾(最終巻)。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

超再現!ミステリー「巧妙なトリック暴け人気推理小説を超再現謎を解け&犯人は誰?超衝撃の2時間SP 大学内で連続殺人…美女が残した(秘)日記に謎を解くカギ…珍推理佐藤隆太スタジオ爆笑砂羽も紗栄子も超興奮」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

森ミステリィの名作「S&Mシリーズ」がフジテレビ系火曜21時枠にて連続ドラマ化!!タイトルは「すべてがFになる」に!!

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