<あらすじ>
刑事チュンドン(キム・ガンウ)は、ある日、壁一面にスプレーで描かれた奇妙な落書きを発見する。ちょうどそれを描いていた青年(キム・ボム)を捕まえ話を聞こうとするが、まんまと逃げられてしまう。その後、ソウルで発生した誘拐事件で少女が遺体となって見つかり、チュンドンは先日の落書きが殺人事件現場に酷似していることに気付く。
(公式HPより)
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
チュンドン:どこまでも豪放磊落な刑事。だが、あるトラウマを……
キム・ジュン:サイコメトラー
ダヒ:誘拐された少女
獣医:???
チュンドンは刑事である。
しかし、彼はあまりに型破りなそのスタイルが災いし、職場では完全に浮いていた。
もともと、職務態度も良くなかったこともあって誰もが彼を軽んじていたのだ。
そんなある晩、チュンドンは街を流していて壁にスプレーで落書きする青年に出会う。
其処には大胆な筆致で男の姿と彼が殺したと思しき子供の絵が描かれていた。
なんとも悪趣味な代物である。
肩を竦めつつ、落書き青年に声をかけたチュンドン。
ところが、相手はチュンドンが刑事と知るやスプレーを吹きかけ逃げ出してしまう。
「くそっ……」
思わぬ被害に遭ったチュンドンは吐き捨てるように叫ぶが。
その数日後、チュンドンは連続児童誘拐殺害事件の新たな被害者が出たことを知らされる。
これを聞いたチュンドンの胸に重いモノが落ちた。
「くそっ、くそっ……」
またも吐き捨てるように叫びつつ、現場へ向かうチュンドン。
だが、其処で驚愕することに。
なんと、現場はあの落書きにソックリだったのだ。
しかも、被害者の顔も寸分違わず同じだったのである。
これを見たチュンドンは「あいつが犯人だったか」と歯噛みして悔しがることに。
遅まきながら上司にあの青年のことを報告するチュンドンだが、普段の彼の行動が原因で誰も信じようとしない。
これに怒ったチュンドンは、これ以上の被害を出さない為にも自身の手で青年を捕まえようと奔走し始める。
その甲斐あって青年の居場所を突き止めることに成功するのだが……。
青年の名はキム・ジュン、世間との関わりを自ら絶ち孤独に生活していた。
チュンドンは事件が発覚する前に被害者と現場を絵に出来たことから彼こそが犯人だと確信。
いきなり詰め寄るのだが。
ジュンは人を突き放すような目でチュンドンを見詰めたかと思うと、彼の手に触れ始めた。
途端、ジュンは何やら名前を口にし始める。
それはチュンドンの亡き弟の名であった。
実はチュンドンは幼い時分に、弟を変質者に殺害されていた。
怯える弟を放置し遊びに出掛けたことが原因であった。
以来、チュンドンは子供が被害者になることに耐えられない痛みを覚えるのだ。
誰にも明かさなかったトラウマをズバリと言い当てられたチュンドンは慌ててジュンのもとを逃げ出すことに。
同じ頃、同一犯と思われる誘拐未遂事件が発生していた。
被害児童によれば、犯人は「凍死した犬の死体で気を惹き連れ去ろうとした」らしい。
同時刻にジュンはチュンドンと居た以上、犯人ではない。
チュンドンはガックリと肩を落とすが、同時に彼の力の秘密に気が付き始める。
ジュンの周囲を調べたチュンドンは、ジュンが唯一心を許していた同級生から彼の悲しい過去を聞くことに。
ジュンの力の正体はサイコメトリーであった。
物や人に手を触れることで残留思念やその人の想いを読み取ることが出来るらしい。
だが、これはジュンの身体に過度の負担を与えるものだった。
しかも、ジュンはこの力によりバケモノと周囲に怖れられ迫害を受けた。
さらには、ジュンから逃げようとした母が事故死を遂げていたのだ。
ジュンの事情を知ったチュンドン。
一方、犯人による新たな被害者が出ていた。
その名はダヒ。
酒飲みの父親に虐待を受け続ける少女で、チュンドンとも顔見知りであった。
どうやら、父親の目の前で誘拐されたのだが、飲んだくれの父親はこれを放置していたらしい。
ダヒの危機を知ったチュンドンはジュンに頭を下げて協力を依頼する。
サイコメトリーでチュンドンの真意を知ったジュンは協力することに。
ダヒのものと思われる遺留品から、犯人がカラーボールが転がる場所に子供を監禁し携帯でその様子を撮影している光景が浮かぶ。
一方、捜査本部ではこれまでの犯行方法から犯人が業務用冷凍庫を所持しているとの結論に至り、徹底的な捜索を行おうとしていた。
チュンドンはジュンのサイコメトリーで入手した情報を経路を明かさず上司に報告。
業務用冷凍庫とカラーボールのある施設の関係者が犯人として保育園が怪しいと主張する。
さらに、犯人の性格上から携帯に撮影しているに違いないと力説。
業務用冷凍庫と言えどその設置施設は果てしなく広い。
普段にないチュンドンの真剣な説得もあって、捜査は保育園を対象として行われることに。
ところが、これが空振りに終わってしまう。
チュンドンは肝心なことを忘れていた。
業務用冷凍庫とカラーボールを兼ね備えるのは保育園だけではないのだ。
こうして、チュンドンの捜査が失敗に終わったことで批判を浴びることに。
しかも、逆にカラーボール情報が何処からもたらされたのかと問い詰められてしまう。
これにチュンドンはジュンの存在を明かす。
実は、科捜研の調べによりダヒの衣服からカラーボールの痕跡が発見されていた。
つまり、ジュンのサイコメトリーは正しかったのだが、今回はこれが仇になった。
犯人でもない人間が知る筈もない情報をジュンが知っていたと言うことで彼が犯人にされてしまう。
必死にジュンを庇うチュンドンだが、もはや誰も彼の言葉に耳を貸さない。
これに先立ち数日前、被害者遺族である母親が自殺を遂げており、捜査本部は初動捜査のミスだと批難を集めていた。
この批難をやり過ごす為に、捜査本部は犯人を求めていたのだ。
その取調は苛烈を極めた。
チュンドンに裏切られたと思い込んだこともあって、ジュンは罪を認めてしまう。
こうして、全国に犯人として報道されることになったジュン。
その護送が行われることとなったのだが……。
護送車両に一台の車が突っ込んだ。
もちろん、チュンドンの仕業である。
チュンドンはジュンを奪回すると彼を巻き込んだことを謝罪。
もう一度だけ力を貸して欲しいと依頼する。
チュンドンの真剣な態度にもう1度だけ信じることにしたジュン。
しかし、ジュンは脱走犯として追われる身となってしまった。
ダヒ自身の身にも危険が迫っているに違いない。
二重の意味で時間制限が課せられる中、犯人に繋がる手掛かりは業務用冷凍庫とカラーボール以外にない。
ジュンはイチかバチか全国から回収された中古の業務用冷凍庫の残留思念を読み取ることに。
業務用冷凍庫はメンテナンスの問題で短期で回収されているらしい。
だとすれば、犯人が使用した物が回収されている可能性もある。
ジュンは身体の負担を覚えながらも1つずつサイコメトリーを行い、遂に犯人の居場所を突き止める。
それはとある高級マンションであった。
高級マンションへ向かったチュンドンとジュン。
だが、具体的な部屋番号までは分からない。
ジュンを残しチュンドンが一部屋ずつ調べて行くことに。
一方、犯人はダヒに麻酔薬を注入し冷凍庫に放り込んでいた。
そして犯人が出て来た場所の名は―――「動物病院」?
そう、犯人は獣医であった。
だからこそ、凍死した犬を用意出来たのだ。
そして、この「動物病院」こそは例の高級マンション1階にあった。
犯人である獣医自身はこのマンションの20階に居を構えており、其処に被害者を監禁していたのだ。
1人残されていたジュンだが居ても立っても居られなくなってしまう。
自身もチュンドンに協力すべくマンションへ。
エレベーターに乗り込むと其処には……例の獣医が居たのだ。
怯えるダヒの様子を思い返しては薄気味悪い笑いを浮かべる獣医。
と、その様子にジュンは彼こそが犯人だと気付く。
獣医が押した20階のボタンを目にしたジュンはメールでチュンドンに場所を教える。
その一方で自身も20階に用があると獣医に告げるのだが……。
これが不味かった。
20階には獣医宅しかないのだ。
獣医は隙を見てジュンに薬物を注射し放置すると自宅へ急ぐ。
メールを目にしたチュンドンは獣医宅に駆け付けた。
鍵を壊し室内へと突入するチュンドン。
だが、其処はダヒが居た痕跡はあるものの、今やもぬけの空である。
遅かったか……と唇を噛むチュンドン。
身を翻し応援を呼ぼうとした直後、腹部に衝撃が!!
見れば目の前には例の獣医が立っていた。
しかも、手には血に濡れた包丁を握り締めている。
チュンドンは獣医に刺されたのだ。
止めを刺そうと襲い掛かる獣医。
これに抵抗するチュンドンだが、最初の一撃の影響から力が入らない。
みるみる劣勢に追い込まれてしまう。
これまでか……チュンドンが諦めかけたそのとき、薬品で朦朧としながらジュンが駆け付けた。
獣医は標的をチュンドンからジュンへと切り替える。
迫る刃を躱しつつ、獣医を取り押さえようとするジュン。
同時にその思念を読み取ろうとする。
ダヒの行方を探っているのだ。
しかし、獣医の心の中は真っ黒な闇に覆われていた。
その間にも包丁はジュンに迫る。
ジュンは身体中から血を流しつつ、獣医を押し返すと窓際に。
遂には窓を割り、これを宙空へと突き飛ばす。
20階の高所から重力に引かれ堕ち行く獣医。
その手をジュンが掴む。
思わぬ展開に「助けてくれ、助けてくれ」と繰り返す獣医。
その心の隙を突き、ジュンが思念を読む。
―――と、ダヒが運び込まれた場所が浮かび上がった。
1階の「動物病院」だ。
此処までで力尽きたジュン。
獣医ごと重力に呑まれそうになるが……その身体をチュンドンが支える。
まずジュン、次いで獣医が助け上げられた。
応援が駆け付け「動物病院」からダヒが救出、獣医も逮捕された。
チュンドンは入院することに。
「誰も見舞いにも来やがらねぇ……」
退院の日、ぼやくチュンドン。
そんな彼に看護師は「あら、弟さんお見えになってましたよ。ほら、イケメンの」と告げる。
どうやら、ジュンがこっそりやって来ていたらしい。
「ああ、弟なんです」チュンドンはジュンを自慢そうに語る。
喜んだチュンドンは退院したその足でジュンの自宅を訪ねるが……。
其処は既に引き払われた後であった。
ジュンは姿を消したのだ。
数日後、世の中は一向に安定しない。
またも連続殺人事件が発生していた。
犯人の目星もつかず迷走する捜査。
「またかよ……」
チュンドンは不満を洩らしつつ、街を車で流す。
……と、壁に目を留めた。
其処には犯人と思しき人物の居場所がダイナミックな絵で描かれていた。
「あいつ、元気にやってるのか」
チュンドンは久しぶりに豪快に笑うのであった―――エンド。
<感想>
刑事と超能力者による変則的な相棒(バディ)物。
チュンドンとジュン、2人は遠く離れたところにあっても心は兄弟のように繋がっているんだろう。
チュンドンにとって、ジュンは亡き弟のようなんだろうし。
それを知るからこそ、ジュンもまたチュンドンの力になろうとしているのだろう。
もちろん、ラストのアレはジュン自身が力の意味を求めて役立てようとしているのもあるのだろうけど。
そんな本作は、日本で2時間ドラマ化も面白そうだと思った。
ちなみに、その際の獣医役は既に決まっている―――佐戸井けん太さんでお願いします。
もう彼しか居ないし、彼以外思い浮かばない。
たぶん、佐戸井さんだったら物凄くハマる役だと思う。
そう言えば、ツッコミどころもそれなりにありましたね。
例えば中古冷凍庫の件もそうだし、エレベータの件もそう。
まず、中古冷凍庫。
サイコメトリーの為とは言え、終盤の中古冷凍庫の出し方は些か強引に思う。
あの中にあるとは限らないし、あるとしても獣医以外の残留思念もあるだろうし。
そしてエレベータ。
獣医がジュンに薬物を注射しながらエレベータに放置してたけど、他の住人によりエレベータが動いたら犯行が露見しかねない筈なのに。
もしかすると、気付いていないだけで理由があるのだろうか。
ただ、いろいろ気になるところがあるけれど、それを上回るくらいキャラが良かった。
当初、破天荒過ぎて好意的に見られなかったチュンドンも後半くらいから良キャラに。
ジュンはもっと活躍しても良かったかもしれないけど、なかなかでした。
そして、児童殺害しか記憶に残していない獣医に戦慄。
サスペンスの華は犯人なのかもしれないなぁ……。
それだけに獣医はキャラとして見事に成立してた。
それと、ダヒも上手かったね。
ただ、彼女が救われたのは良かったけど、あの父親のもとでの今後を思うとスッキリとはいかないかな。
ここらはもう少しフォローが欲しかったところ。
ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
本作を実際に視聴して、何処を改変したかを楽しむのもアリかも。
ラベル:サイコメトリー〜残留思念〜
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