<あらすじ>
警視庁警務部監察官の羽生宗一(中村梅雀)は、組織の中でも恐れられている男。監察官とは、警察内部を監視する、いわば“警察の中の警察”だが、羽生は中でも、その容赦ない監察ぶりから“毒ハブ”とよばれていた。
ある日、監察官室に1通の告発状が届く。封筒の中には「大田中央署の強行犯係・時田実(永島敏行)は、3年前の殺人事件関係者の女と交際している」という手紙と共に、寄り添う男女の写真が数枚入っていた。監察官室のデスク・戸川良子警部(戸田恵子)の調べによると、時田は数々の表彰を受けている、やり手の刑事らしい。
さっそく時田の監察をはじめるため、大田中央署に出向いた羽生と監察官補佐の上原和也(渡辺大)。写真を見せられた時田は、一緒に写っている女性は確かに3年前の殺人事件の被害者・井上光也(尾関伸嗣)の元妻・真由美(大路恵美)だと認める。だが、彼女がひとりで切り盛りするスナックの経営について相談を受けていただけで、男女の関係はないと否定する。しかしながら、時田は悪い評判のつきまとう刑事で、単独捜査を好むため、仲間内でも扱いづらいと敬遠されていた人物だった。
翌日、その時田が死体となって発見される…! 現場は3年前、井上が殺害された事件現場の石段の下だった。捜査本部を率いる橋爪管理官(春田純一)は時田が生前追っていた事件関係者の洗い出しを指示する。だが、羽生は3年前の事件が絡んでいることを直感。井上が殺された事件を調べはじめる。
その結果、井上はかつて暴走族グループの一員だったが、時田のおかげで更正してからは度々、時田に情報を提供し捜査に協力していたと判明。だが3年前のある夜、酔った井上が近くの旋盤工場勤務の岩本大輔(斉藤慶太)とトラブルになり、もみ合った末に突き落とされ死亡したとわかる。岩本は、事件の翌日に出頭、そのまま逮捕送検されて傷害致死で懲役3年の刑に服し、時田が殺害される2日前に出所していた。
そんな中、捜査本部は、時田が直前まで捜査していた違法薬物密売グループ幹部・遠山新(川本淳市)の指紋が付着した凶器を現場付近で発見。橋爪は、遠山の指名手配に踏み切る。だが、3年前の事件で時田と組んで捜査に当たっていた大田中央署刑事・前園由希子(山本未來)は岩本のことが気にかかり、上層部の命令に反して彼の勤務先工場を訪ねるが…!?
その後、告発状を送った意外な人物が発覚!! 事件の謎が深まっていくと共に、犬猿の仲である羽生と橋爪の対立も激化していき…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
羽生宗一は警視庁警務部監察官。
特に羽生はその切れ者振りから「毒ハブ」と呼ばれ怖れられていた。
そんな羽生のもとに1通の告発状が届いた。
中身は大田中央署強行犯係の刑事・時田実の行状について。
なんでも、3年前の殺人事件関係者の女性と交際しているらしい。
其処にはご丁寧にも盗撮されたと思しき時田と女性の写真も添えられていた。
こうして、羽生は監察業務を開始する。
告発状の内容について羽生から確認を求められた時田は、女性が3年前の殺人事件の被害者・井上光也の元妻・真由美であることを認めるが不適切な関係については否定する。
その夜、時田は何者かによって殺害されてしまう。
現場は3年前に井上が殺害された現場であった。
その付近からは何者かの靴跡が検出されるが……。
これに橋爪管理官は時田が追っていた違法薬物密売グループ幹部・遠山新の犯行と睨み捜査を指示する。
だが、羽生は3年前の事件が根底にあると睨み、井上殺害事件を追う。
井上は暴走族グループの一員で、時田により更生したとされていた。
井上は真由美と結婚した後、時田の情報屋のようなことをしていたらしい。
その井上を殺害したのは、近くの旋盤工勤務・岩本大輔。
岩本によれば、酔った井上に絡まれ揉み合ったところ井上が死亡してしまったらしい。
岩本は事件の翌日に弁護士の三村に伴われ出頭し3年の刑に服していた。
ちょうど2日前に罪を償い終え元の勤務先へ戻り、社長の古市克己に温かく迎え入れられていた。
どうやら、時田は岩本の身辺を調査していたようだが……。
そんな中、捜査本部は時田殺害現場付近から遠山の指紋が付着した凶器を発見。
遠山の犯行と断定し指名手配をかけていた。
しかし、捜査本部の一員で時田の相棒であった前園由希子はこれに疑問を抱く。
本命は岩本にこそあるのではないか……羽生同様の考えに至った由希子は岩本を調べ始める。
矢先、告発状の送り主が投函先の防犯カメラ映像などから判明した。
なんと、時田本人だったのである。
しかも、同じ頃に時田が遠山から現金を受け取っている映像も発見される。
これを見た羽生は時田がワザと人目に付くようにしていると指摘。
まず、告発状を送ったのは観察対象となることで上司の命令を受けることなく自由に捜査を行う為であったと推測。
遠山から現金を受け取ったのも敢えて遣り取りを記録に残すことで遠山の犯罪を立証するつもりだったのではないかと考える。
直後、遠山が逮捕された。
遠山は時田を金で買収しようとしたが逆に記録に残されてしまったことに逆上。
これを襲ったことを認める供述を行う。
事件は解決したかに思われたが……。
加賀医療製作所の社長・加賀孝一郎が溺死体で発見される。
加賀医療製作所は先代から続く古市のお得意先。
また、孝一郎は岩本とともに古市のもとで修行していたこともあったらしい。
どうやら、孝一郎は何者かに殺害されたようだが……。
周囲を調べたところ、時田殺害現場と同じ靴跡が発見されたことで事態は混迷する。
加賀孝一郎が井上と同じ暴走族グループのメンバーであったことが判明。
さらに、真由美とも関係があったらしいことも分かる。
どうやら、時田は孝一郎と真由美についても調べていたらしい。
此処で新事実が発覚。
井上の殺害に先立つ1ヶ月前に孝一郎の弟・新次郎が謎の事故死を遂げていたのだ。
加賀医療製作所は本来ならば新次郎が跡を継ぐはずであったが、この死により孝一郎が後継者となっていた。
さらに、三村弁護士は加賀医療製作所の顧問弁護士だったのだ。
直後、真由美が孝一郎への脅迫罪で逮捕される。
これを取り調べた羽生は、真由美が孝一郎をある写真で脅迫していた事実を突き止める。
実は孝一郎が会社を手に入れるべく新次郎を事故に偽装して殺害していたのだ。
これを井上が撮影した写真で脅迫していたらしい。
その写真を真由美が引き継いでいたのだ。
羽生はこれに事件の全貌を見抜く。
一方、由希子はある人物を犯人として呼び出したが昏倒させられてしまう。
埠頭に連れてこられた由希子に犯人の手が迫る。
其処に羽生たちが現れる。
由希子を襲ったのは岩本であった。
岩本は時田殺害と孝一郎殺害を認めるが……。
羽生はそんな岩田を連れ古市のもとへ。
そう、真犯人は古市だったのだ。
3年前、加賀孝一郎は脅迫して来た井上を殺害した。
孝一郎はその理由について井上に妬みから絡まれた為と嘘を吐き、古市に身代わりになるよう依頼した。
古市は孝一郎の父に恩義を感じており、これを了承する。
ところが、これを岩本が盗み聞きしていた。
岩本は古市を尊敬しており、彼の為の身代わりを買って出た。
こうして岩本は逮捕されたのだ。
それから3年が経過した。
岩本が罪を償い、古市のもとに戻って来た。
これですべてが上手く終わったと思ったのだが。
時田が事件に疑問を抱き、単独捜査に乗り出した。
これに孝一郎は危機感を抱く。
其処で孝一郎は3年前と同じく古市に泣きついた。
対処に困った古市だが、時田を尾行することに。
すると、時田が遠山に襲われ負傷してしまう。
此の時点で、時田は辛うじて生きていた。
だが、古市は此処で孝一郎の言葉を思い出し時田を見殺しにした。
これで今度こそ本当に事件は終わったかに思われたが……。
欲をかいた孝一郎は真由美殺害を古市に依頼したのだ。
この際、孝一郎は新次郎殺害を明かし、井上に脅迫された為に口封じしたことも告白した。
孝一郎の言葉に逆上した古市は「何でそんなに腐っちまったんだ」と揉み合う内に孝一郎を突き飛ばしてしまったのだ。
こうして、孝一郎も死亡してしまった。
古市を尊敬していた岩本は今回も身代わりを買って出るべく由希子を襲撃したのであった。
そして、由希子もまた時田が追っていた事件の真相を掴むべく敢えて危地に身を置いたのだ。
羽生により時田は真面目な警官とされた。
これにより職務中の殉職扱いとされ二階級特進となった。
時田は不義の刑事ではなく、正義の刑事として送られることに。
そんな羽生の背中に上原は改めて心酔するのであった―――エンド。
<感想>
「監察官・羽生宗一」シリーズ第2弾。
原作は無し、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想をば。
テーマは「先達の背中を見て後進が育つ」かな。
時田の背中を見ていた由希子。
古市の背中を見ていた岩本。
羽生の背中を見ていた上原。
それぞれに何か得る物があったことでしょう。
そして、時田は実直な父の背中を追っていたのでしょう。
孝一郎は古市の背中に何も学ばなかったのが痛恨でしたね。
全体的になかなか面白かったですね。
前回に比べると「毒ハブ」の「毒」が些か弱いようにも思えましたが、これはこれでアリですね。
良子のキャラもインパクトがありました。
それにしても上原……前回ラストで羽生に傾倒していたように見えたのですが、そうでもなかったんだなぁ。
今回で改めて羽生に心酔したようですが、どうも同じことを繰り返している印象。
まぁ、前回よりは羽生への反発も小さかった点が差異と言えば差異か。
ああ、そう言えば本作は「実は……」が特に多い作品のように思いました。
実は悪徳警官ではなく正義の警官であった時田。
実は時田に批判的に見えたが割とそうでも無かった由希子。
実は時田により更生した筈なのに脅迫していた井上。
実は井上の死に涙し良妻のように思えたが悪女であった真由美。
実は善良そうに見えて悪人であった孝一郎。
実は不良のように見えて割と誠実だった岩本。
実はクールキャラかと思えば自ら手を汚す武闘派の遠山。
実は反発しているかに見えて羽生に心酔する上原。
実は突拍子もないだけに見えるが実力も備えた良子。
実は冷徹で厳しく見えるが温情も備えた羽生。
こう並べてみると見た目通りのキャラは頑固一徹だった古市と羽生の引き立て役となる橋爪だけだったとは……。
ああ、人は見た目に寄らないんだなぁ。
さて、総評。
シリーズ化されたことで些か味が出て来たように感じます。
もっと良子が活躍しても良いかもしれないなぁ……と思いつつ次回に期待!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「監察官・羽生宗一 毒ハブと呼ばれる男、殺意の銃弾!!交番巡査発砲事件に疑惑あり!!迷子の子ネコちゃんの秘密…」(5月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
羽生宗一:中村梅雀
戸川良子:戸田恵子
大田中央署・前園:山本未來
大田中央署・時田:永島敏行
古市克己:綿引勝彦
井上真由美:大路恵美
上原和也:渡辺 大
橋爪管理官:春田純一
山岡警務部長:国広富之 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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