<あらすじ>
ある日、北海道警察大通署管内の山中で焼死体が見つかった。被害者は20代から30代の女性で腕には数珠が。死後2週間ほど経過しているようだ。
数日後、大通署生活安全課の小島百合(財前直見)のもとに水沢彩(由月杏奈)から電話があった。友人の坂本麻美(長谷部瞳)と連絡が取れないというのだ。彩と麻美は百合が支援している児童養護施設の出身で互いに家族のような存在。職場のレストランが貸切で抜け出せないという彩のために、百合はそのレストランに赴く。
彩が働くレストランで百合がオーナーの楠木奈津子(東風万智子)と立ち話をしていると、二人の男性がやってきた。そのひとり、元小樽市議の瀬戸裕二(河合我聞)は店内にいた来見田幸子(黒坂真美)に用があると言う。幸子の父親・山科邦彦(陰山泰)は警察庁の刑事局長で、数年前までは道警の本部長を務めていた。瀬戸と共にやってきた男・中島美喜夫(せんだみつお)は山科が本部長時代に強姦殺人の容疑で逮捕され、服役したがのちに冤罪であることが発覚した被害者だった。瀬戸と中島はレストランにいた全員を人質に立て籠もり、幸子に父親へ状況を連絡するよう指示する。人質にされた百合は隠し持った携帯電話で状況を佐伯(鈴木一真)に送る。
その頃、道警大通署には山科から人質監禁事件の通報があり、特殊捜査班がレストランに急行する。現場が混乱するなか特殊捜査班が突入、立て籠もり事件は解決する。
解放された百合は瀬戸があっさり投降したことに疑問を持ち、彼を調べ始める。そして数日後、瀬戸の毒殺死体が発見される・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
小島百合は大通署生活安全課に勤務する婦警である。
そんなある日、管内で焼死体が発見された。
被害者は20代から30代の女性と見られ数珠が握られていた。
死後2週間ほどが経過しているようだが……。
この事件は殺人事件と判断。
捜査が開始され、刑事で百合の剣道の弟子でもある宏一が乗り出した。
矢先、当の百合は水沢彩から相談を受けることに。
彩によれば友人である坂本麻美が消えてしまったらしい。
レストランで働く彩から詳細を聞くべく訪れた彩。
オーナーである楠木奈津子と話していると、突然、2人組の男性が乱入して来る。
乱入者は元小樽市議の瀬戸裕二と中島美喜夫。
瀬戸によれば、レストランにピアノ演奏にやって来ていた来見田幸子に用があるらしい。
実は中島は冤罪被害者であった。
そして幸子の父・山科邦彦こそは中島を犯人だとした本部長。
瀬戸はレストランの客を人質に籠城すると山科に中島へと謝罪するよう要求する。
さらに瀬戸は奈津子の父が代議士の楠木であると知るや楠木からも山科に口添えするよう要求。
奈津子が楠木へ連絡を入れる中、奇妙な事件が並行して起きていた。
なんと、十勝総合病院前に「ドクターヘリ導入に使ってください」とのメモと共に「3億円」が置かれていたのだ。
人質籠城事件と3億円放置事件は関係しているのだろうか……。
状況が紛糾する中、人質籠城事件はあっさりと終結を迎えた。
捜査班が突入するや否や瀬戸が投降したのだ。
これにより、人質籠城事件は無事に解決する。
大人しく投降したこともあり、瀬戸と中島は翌日には保釈された。
一方、麻美の所持品から検出されたDNAと焼死体のDNAが合致し、遺体が麻美と断定される。
さらに、麻美の遺体の手首に合った数珠の購入者が瀬戸だと判明。
その直後、今度は瀬戸が毒殺されてしまう。
百合は人質籠城事件時の瀬戸の不審な様子から本当の狙いは謝罪以外にあったと判断。
並行して発生していた3億円放置事件に注目する。
十勝総合病院院長・鷲尾亮一はこの3億円でドクターヘリが導入出来ると意気揚々としていた。
彼に接触した百合は鷲尾が麻美と面識があったことを突き止める。
どうやら、鷲尾は麻美の命の恩人で彼がドクターヘリを欲していたことを知っていたらしい。
そして、その障害が利権に敏い楠木であったことも。
調べたところ、麻美が楠木のもとに家政婦として潜り込んでいたことが判明。
それも消息不明になる直前のことであった。
さらにさらに、鷲尾の趣味のポケットサックスを皮切りに天池さんなる人物の存在が明らかに。
天池さんは事故で死亡していたが、ドクターヘリがあれば助かったかもしれない人物。
しかも、彼は奈津子と交際していたことが分かる。
どうやってか此処に事件の全貌を見抜いた百合は奈津子に迫る。
問い詰められた奈津子は「ドクターヘリ導入に使ってください」と書かれたメモのことを口走ってしまう。
それは報道されていない情報であった。
関係者以外には知らない筈なのだ。
これに奈津子はすべてを告白する。
鷲尾の理想を果たす為に麻美は楠木の事務所に潜入。
不正の証拠を突き止め、彼にドクターヘリ導入に尽力するよう迫った。
ところが、楠木は軽やかに麻美を殺害する。
この現場を奈津子と弟の智英が目撃してしまう。
自首するよう促す奈津子たちだが、楠木はこれ以上ないほど力強く拒否。
結局、奈津子たちは楠木の命じるままに遺体を処分することに。
ところが、此処を瀬戸に目撃されてしまう。
今度こそ出頭しようとする奈津子と智英だが瀬戸に説得され押し留まる。
瀬戸は楠木の判断の正しさを主張したのだ。
この際、奈津子は瀬戸に麻美に所持させる数珠の購入を依頼した。
この後、奈津子たちからドクターヘリの件について聞いた瀬戸は人質籠城事件を提案。
奈津子たちの賛同を得るや実行に移す。
このとき、奈津子が楠木に電話を入れていたがあれは智英へと架けたものであった。
同じ頃、智英が楠木に電話を入れ、事前に録音して置いた奈津子の声(内容は3億円を要求するもの)を聞かせた。
さらに、楠木の不正の証拠をが送られて来たと突き付け犯人の要求に従うように迫った。
折れた楠木は3億円を支払い、智英が病院前へ放置することに。
此の時点で籠城事件の目的は達せられていたのである。
後はタイミングを計り幕引きするだけだ。
瀬戸は投降し、これですべて上手く行ったかに思われたが。
ところが、此処で瀬戸が本性を現した。
瀬戸の真の狙いはドクターヘリの導入ではなく、奈津子と共謀することで弱味を握ることにあったのだ。
瀬戸は奈津子に結婚するよう迫る。
それにより楠木の後継者になるつもりであった。
しかし、奈津子と智英により毒殺されたのであった。
百合に真相を暴かれた奈津子と智英は瀬戸殺害を認め出頭する。
ついでに楠木の犯罪を告発したそうだ。
3億円は証拠として返還されることになったが、ドクターヘリ問題は広く世間に周知されることになった。
こうして問題提起は為されたのだろう……たぶん。
それはそれとして百合は宏一と笑い合う。
どうやら、ドクターヘリ導入の去就については触れない方が良いようだ―――エンド。
<感想>
「北海道警察」シリーズ第3弾。
原作は佐々木譲先生『人質』(角川春樹事務所刊)。
そのあらすじはこちら。
<あらすじ>
5月下旬のある日。札幌大通署・窃盗犯係の佐伯宏一警部補と新宮昌樹巡査は、札幌で起きた自動車窃盗事件に駆けつけ対応していた。一方、生活安全課の小島百合巡査部長は痴漢被害を訴える女子高生の監視を朝から済ませ、その晩は、以前ストーカー犯罪から守った、村瀬香里との約束でピアノのミニ・コンサートへ行くことになっていた。会場となるのは市街地の藻岩山中腹にあるワイン・バー「ラ・ローズ・ソバージュ」。香里より先に店に到着していた小島は、客たちと店の雰囲気を窺いながらひと息ついていた。しかし、少しずつ客が集まって来た頃、帽子を被った二人の男が突然店内に入って来た。「強姦殺人の冤罪で8年間服役していたが、無罪になり釈放された。その当時の県警本部長に謝ってほしい」という要求を突き付ける男たち。そのコンサートの主役は、来見田牧子、当時の県警本部長の実の娘だった――。小島百合と連絡を取れた香里から事情を聞いた佐伯は事件現場へ向かい、機動捜査隊の長正寺たちと合流したのだが……。閉ざされた空間と、限られた時間。迫真のディテールと、圧倒的な緊迫感で描く、ノンストップエンターテインメント!
(角川春樹事務所公式HPより)
佐々木譲先生は『廃墟に乞う』(文芸春秋社刊)で第142回直木賞を受賞された実力派。
その著作『警官の血』も、既にドラマ化されていますね。
・速報!!第142回「直木賞」&「芥川賞」発表される!!
では、ドラマ版感想を。
原作は未読なんだけど、上手く消化し切れていなかったのだろうか……。
今回のドラマを一言で表現すると「悉く回りくどい」。
例えると「激安のピーマンが遠方で買えると聞いて、わざわざ高い旅費を使ってまで買いに出掛けた」ほど回りくどい。
他に例えると「こんな例を管理人が出す」ほど回りくどい。
何しろ、弟の智英が共謀している以上、携帯のトリックを使わずともあの不正の証拠だけで楠木を動かすには十分だよなぁ。
正直、あの携帯のトリックは奈津子の犯行を暴く為の物でしかなくなってる点が不満。
そもそも奈津子にとっては人質籠城事件自体が不要。
繰り返すけど、麻美殺害と不正の証拠だけでも楠木から3億円引き出すことは充分に出来るだろうしなぁ。
瀬戸の場合も楠木の麻美殺害を知った時点で、脅迫材料には十分で人質籠城事件起こす必要が無いし。
奈津子と智英を仲間にしている時点でもう勝ったも同然。
籠城事件を起こして共謀して弱味を握る必要なんて欠片も無い。
なんで、あんな行動を取る必要があったのか……全然分からない。
まさに「1つの激安ピーマンを買う為に見合わないほど高い旅費を払って遠方から新幹線で出向いた」ようなもの。
そのリスクを背負う必要が何処にあるのか?
この点について敢えて理由があるとすれば、2時間もたせる為と話を派手にする為しか考えられない。
それと百合に事件を解決させる為だ。
つまり、作劇上の事情だ。
内容についても触れてみよう。
劇中だと奈津子と智英が良心の呵責に悩む人間のように描かれていたが果たしてどうだろうか。
本当に父である楠木の不正を憎むのならば早々に告発していれば済んでいた筈だ。
もしかして、奈津子と智英には自主性が無いのだろうか……とも思うが、違うな。
あれは自分にとって都合の良いものを選択しているに過ぎない。
最初は生活を守る為に楠木と瀬戸の言い分を採用。
次いですべてが露見し旗色が悪くなったから、百合側に就いたに過ぎない。
有利な側を選択しただけのような気がするけどなぁ……。
なんだか、いろいろモヤモヤした。
折角シリーズ化されているので次回に期待!!
◆関連過去記事
・『巡査の休日』(佐々木譲著、角川春樹事務所刊)ネタバレ書評(レビュー)
・月曜ゴールデン「北海道警察 巡査の休日 札幌で発見された白骨死体…北海道に舞い戻った指名手配犯…YOSAKOIソーラン祭りで何かが起きる!直木賞作家が送る至極ミステリー」(10月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 北海道警察 笑う警官 警官殺しの男は道警の闇を知る証人だった!?タイムリミットは48時間…札幌の街で繰り広げられる追跡劇 容疑者を死守せよ!」(7月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 制服捜査 敏腕刑事が左遷で青森・八戸の駐在所へ…牧場主が猟銃で惨殺された!20年前の不審な火事と妻の死?制服警官が知った哀しい親子の愛〜」(8月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
小島百合(北海道警察大通署生活安全課 巡査部長):財前直見
佐伯宏一(北海道警察大通署刑事課 警部補):鈴木一真
大塚サキ(北海道警察大通署生活安全課 巡査):松本莉緒
楠木奈津子(レストランオーナー):東風万智子
瀬戸裕二(元小樽市議会議員):河合我聞
鷲尾亮一(十勝総合病院院長):佐戸井けん太
中島美喜夫(冤罪被害者):せんだみつお
渡辺秀明(北海道警察大通署刑事課 巡査長):松田悟志
楠木善男(政治家):寺田 農
長沼行男(北海道警察大通署生活安全課課長):高田純次 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
当ブログを楽しんで頂いているとのこと、2時間ドラマファンとして嬉しいです!!
管理人も2時間ドラマが大好きです。
その魅力としては「何かをしながらの視聴や途中参加も可能な懐の深さ」や「それでいて時にじっくり腰を据えて楽しめるストーリー性の高い作品にも出会える喜び」が挙げられると思います。
個人的には長くシリーズ化している作品に強い魅力を感じます。
やはり、長く続くにはそれだけの理由がある。
中でも、ご指摘にあった「十津川シリーズ」は好きですね。
展開の妙や視覚的にも楽しめるように工夫されているように思います。
もちろん、ツッコミどころが多いというところも管理人にとっては重要なポイントです(^O^)/!!
おっと、どうやら「語り出すと止まらなくなる」のも2時間ドラマの魅力の1つと言えそうです。
これからも良作に巡り合えるよう期待したく思います。