<あらすじ>
人材派遣会社経営の久保田周がバットで撲殺される。現場には凶器と思われる金属バットと古いオモチャのようなものが落ちていた。
京都府警本部長の高倉(大杉漣)から現場に出るよう命じられた宅間善人(草g剛)ら特別捜査係の面々は捜査を開始。すると遺留品の古いオモチャが、10数年前に宅間が京都府警広報課に在籍していたときに作った『京都を守る正義のキョートマン7』というフィギュアだったこと、そして『キョートマン7』はそれぞれ違った職業のキャラクター7人で構成されており、今回の現場に置かれていたものは“検事”を表わすものだったことがわかる。奇しくも久保田は元京都地検の部長検事だった…!
宅間は「これは俺が解くべき事件」と言い、これまでコンビを組んできた姉小路千波(南果歩)にコンビ解消を告げる。独自に捜査を始めた宅間は、警察官だった千波の夫・竹彦が殺された事件の現場に、警察官の制服を着た『キョートマン7』が遺されていたことを発見! 以前に“脚本家”と呼ばれる服役囚・佐神稚洋(上川隆也)が「12年前の姉小路さんのご主人の事件と、あなたが冤罪になった事件は繋がっています」と語っていたことが真実味を帯びてくるのだった…。
宅間の行動を不審に思った千波は彼を問い詰め、その事実を聞き出す。「これからどんな危険なことがあるかわからないから姉小路さんを巻き込むわけにはいかなかった」という宅間を制し、松原唯子(芦名星)、堀川耕平(平岡祐太)ら特別捜査係のメンバーとともに12年前の事件についての捜査を開始。すると、現場に『キョートマン7』が遺された同様の事件が数件存在していたことが判明する!
宅間が作ったフィギュアが関わる数々の事件に関連性はあるのか? あるならば、その犯人とは?
わずかな手がかりから宅間たちは事件の真相に切迫。そして思いがけない人物にたどり着く…!
さらに宅間の冤罪事件に関する衝撃事実も明らかに…!?
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
特別捜査班に属する面々は次の5人である。
10年もの間、冤罪で服役したことで犯罪に精通した宅間。
同じく警察官であった夫・竹彦を12年前に殺害されたことで悪を憎む姉小路。
PCが得意で数ヶ国語を操る松原。
元警備課で体術の達人・堀川。
個性的な面々をまとめ……切れているのかは不明だが、彼らを活かしてはいる係長・猪熊。
彼らは宅間を中心に独自の捜査を展開する。
さらに、犯罪脚本家と称された佐神によれば宅間の冤罪事件と竹彦殺害事件には同じ黒幕が存在しているようだが……。
そんな特別捜査班が今回担当した事件は「立て籠もり事件」である。
錯乱した様子の夫が妻を人質に屋上に立て籠もっているのだ。
駆け付けた姉小路たちだが、道路封鎖に駆り出されることに。
その目の前に現金輸送車がやって来た。
姉小路は迂回路を案内する。
と、其処に宅間から連絡が入った。
どうやら、宅間だけは現場に向かわずテレビ越しに眺めているようだ。
新アイドル・KYT480の歌を聞いているらしい宅間は、唐突に彼が知る犯罪者について語り出す。
その名はミー君。
ある強盗殺人事件が発生した一方で、ミー君は同時期に起こった下着泥棒で逮捕されていた。
ところが、強盗殺人事件の犯人こそミー君だったのだ。
ミー君は下着泥棒で逮捕されることでアリバイを成立させようとしたのである。
「それが何なのよ……」
未だに宅間に慣れない姉小路は苛立ちを隠せない。
ところが、次の一言で色めき立つ。
「だ〜〜〜か〜〜〜ら〜〜〜大きな犯罪を隠す為に小さな犯罪を起こすってこと!!」
その頃、先程姉小路に迂回路へと誘導された現金輸送車がポニー急便の車に乗った強盗犯に襲撃されていた。
立て籠もり事件は現金輸送車襲撃事件を隠す為のダミーの事件だったのだ。
宅間の指摘に従った姉小路らの活躍により、犯人たちは逃走中に御用となった。
立て籠もり事件を起こした夫婦も「ポニー急便の3人は逮捕した」と告げられるとあっさりと投降する。
立て籠もり犯と人質も強盗犯も共犯だったのである。
立て籠もり事件を起こし道路封鎖に導き、経路を絞らせた上で現金輸送車を襲撃する目的だったのだ。
宅間によれば錯乱した筈の夫がやけに時間を気にしていたこと。
ナイフを決して妻に向けようとしなかったこと。
また立て籠もりにも関わらず要求を行わなかったことから気付いたようだ。
ちなみに、ナイフ自体も玩具であった。
こうして早々に事件を解決した宅間。
「こんなのは俺が解決する事件じゃない」と嘯くが……。
その翌日、人材派遣会社経営の久保田周が撲殺遺体で発見される。
どうやら、前夜のうちに金属バットで殴り殺されたようだ。
久保田の財布からは現金が盗まれており、物取りの犯行と思われたが……。
此処で宅間がユッキーについて語り出す。
ユッキーは痴漢らしい。
ティッシュ配りのバイトをしつつ獲物を物色し、獲物を見つけると不動産鑑定士に変装しその家を突き止めるのだそうだ。
「これまたまどろっこしい」と眉を顰める姉小路に宅間が解説する。
ポイントは「不審に思われないこと」だ。
ユッキーは不動産鑑定士に変装することで住宅街に出没しても疑われないように擬態していた。
では、今回の犯人はどうか。
夜中に金属バットを持ち歩いていれば警戒されて当然だ。
だが、犯人は犯行に成功した。
また、特に目撃証言も出ていない。
此の犯人もユッキー同様に擬態していたのだ。
犯人は野球の練習の振りをして被害者を待ち構えたに違いない。
よく見れば、犯人のものと思われるスパイクの痕跡も見受けられる。
すなわち、完全なる計画犯罪だ。
「これまた俺が解決する事件じゃ……」と言いかけた宅間の声が止まった。
その目は現場付近に置かれた玩具に注がれている。
そっと玩具を取り上げた宅間は「ごめん、これこそ俺が解決する事件だ」と宣言する。
その玩具は宅間が10年以上前の広報課時代に自身で作った広報用のキャラクター「キョートマン」だったのだ。
とはいえ、10年以上前のことである。
「キョートマン」についての情報を求めた宅間は情報屋の「銭ヤン」こと銭家円蔵のもとへ向かう。
「銭ヤン」は「キョートマン」のパンフレットを所持していた。
「キョートマン」は正式名称を「キョートマン7」と言い7体で1セットの玩具。
それぞれ京都の町を守る裁判官、検事、弁護士、刑事、制服警官、刑務官、国会議員の7体となっている。
久保田殺害現場に残されたていたのは「キョートマン検事」。
そして、久保田は過去に部長検事にまで上り詰めていた。
すなわち、被害者に沿った「キョートマン」が残されていたことになる。
「銭ヤン」からピッキング道具をおまけに貰った宅間は「速達郵便」の投函をついでに依頼する。
「銭ヤン」のもとを出た宅間は「さぁ、これから捜査だ」と意気込む姉小路に対しコンビ解消を申し出る。
姉小路は「裏切られた!!」と激怒しつつ、その場を去るが……。
1人となった宅間は独自に捜査を開始。
宅間の脳裏には佐神の言葉があった。
宅間の冤罪事件と姉小路の夫・竹彦殺害事件が同一の黒幕のもとで行われている。
だとすれば、宅間が手掛けた「キョートマン」も竹彦の死に関わっているのではないか。
そんな宅間の推測は的中。
過去の資料を当たったところ、竹彦殺害現場に「キョートマン制服警官」が残されていたことが分かった。
これにホッとする宅間。
宅間が姉小路にコンビ解消を申し出たのは彼女を巻き込まないようにする為だったのだ。
一方、姉小路は宅間に対し怒りながら、久しぶりに竹彦の遺品を整理していた。
すると其処に竹彦が手掛けた事件をまとめた「スクラップブック」と「キョートマン7」の冊子を発見。
宅間の狙いを察し「宅間だけの事件では無い」と主張する。
こうなれば宅間に拒否権は無い。
姉小路は強引にコンビを復活させる。
2人は竹彦殺害事件について振り返る。
竹彦が殺害される遠因となったのは1件の強盗殺人である。
現場の状況から岡崎和馬が犯人と思われた。
その数日後、通行人の男女が刺された男性を発見する。
当時、地域課係長であった竹彦である。
犯行に用いられたナイフから岡崎の指紋が検出されたことから、逃走中の岡崎による犯行と思われた。
どうやら、竹彦は逃亡中の岡崎を発見し追跡し殺害されたようだ。
……と思われていたのである、今までは。
ところが、12年経過した今になって現場付近に「キョートマン制服警官」が置かれていたことが意味を持って来た。
12年前の竹彦殺害と現在の久保田殺害とに思わぬ関連性があったのだ。
この捜査に特別捜査班メンバーも協力することとなり、同様の事件がないか過去のケースが洗い出されることとなった。
すると、2件ほど同様の事件が発生していたことが判明する。
まずは橋からの転落死。
京都市左京区にて刑務官の中島喜一が不審な転落死を遂げていた。
傍に置かれていたのは「キョートマン刑務官」。
続いて轢き逃げ。
こちらの被害者は元裁判官の杉山彰臣。
傍に置かれていたのは「キョートマン裁判官」。
「キョートマン」の職業と被害者の職業は見事に合致している。
しかも、制服警官、刑務官、裁判官、検事とこれで「キョートマン7」7体のうち4体が消化されてしまっていた。
明らかに連続殺人事件である。
此処で宅間は「キョートマン7」の製作に自分1人だけではなく大宮も関わっていたことを思い出す。
大宮は新聞記者で10年前に宅間が冤罪被害を受けることとなった傷害事件の被害者であった。
傷害事件直後から意識不明の重体であったが、先頃になって意識を回復した。
これにより、犯人が宅間では無いことが明らかとなり宅間が特別捜査班に配属されることとなっていた。
確か、今も入院中の筈である。
宅間は入院している大宮のもとへ向かう。
すると、大宮の周囲には年齢も性別もバラバラな面々が5人ほど立っていた。
「これで完遂出来ますね」
大宮の回復ぶりを喜ぶ若い男性。
他の面々も力強く頷いている。
大宮によれば、彼らは市民サークルの仲間でマッチ棒で有名な建造物を作ることを目的としているらしい。
なんでも、1人此の場に来ていないメンバーが居るそうだが……。
此処で宅間は大宮の手帳に竹彦殺害事件についての新聞記事が残されていたことについた尋ねるが、大宮は知らないと答える。
また、宅間は「キョートマン7」こそが事の発端なのではないかと洩らすが……。
その頃、姉小路は竹彦と親しくしていた沢田副署長の元を訪れていた。
姉小路は竹彦のスクラップブックから15年前の記事が欠落していることに気付いたのだ。
沢田ならば知っているのではないかと考えたのである。
だが、沢田は首を横に振る。
帰宅した姉小路は其処で宅間の元妻・室町美也子と出会う。
美也子によれば宅間から「息子とは会わないから新しい彼と新しい人生を歩んで欲しい」との速達が届いたのだそうである。
先日、宅間が銭ヤンに依頼したものだ。
宅間との仲を取り持てればと美也子と会話する姉小路。
だが、美也子には既に警備会社に勤務する新しい彼がいるそうだ。
宅間もそれを知って身を退いたようである。
ちなみに、姉小路は速達郵便の中にストラップに見せかけた高性能盗聴器を発見する。
これまた銭ヤンが宅間におまけしていたものだ。
どうやら、口では諦めつつも宅間としては元妻子が心配のようである。
いや、だからこそ身を退いたのか。
と、其処へ美也子の新しい交際相手・武藤久志がやって来た。
なかなかの好青年のようだが……。
矢先、5番目の事件が発生した。
被害者は……あの沢田副署長である。
どうやら、毒殺のようで傍には「キョートマン刑事」が置かれていた。
沢田は元強行班の刑事だったのだ。
宅間は沢田殺害により、初めて犯人がヒントを残したと指摘。
親しくしていた竹彦と沢田が共に殺害されたことに理由が見出せる筈と考えたのだ。
さらに犯行手口の違いに興味を示す。
宅間の指摘で竹彦と沢田の共通点を調べた特別捜査班メンバー。
すると、15年前に西大路署に勤務していたことが分かる。
15年前と言えば、例のスクラップブックの欠損箇所だ。
どうも15年前に何かが起こったようだ。
殺害直前の沢田の携帯の通話記録が判明した。
沢田が電話を架けたのは「芸能事務所」と「大手コンサルティング会社・天谷総研」。
これを見た宅間は犯人の次の標的が分かったと述べる。
まず、「芸能事務所」に所属していた弁護士・南佳代子。
続いて「天谷総研」の代表で元国会議員の天谷隆治。
すなわち、残る「キョートマン弁護士」と「キョートマン国会議員」だ。
早速、2人にアポを取るのだが2人ともこれを拒否。
さらに、隆治の息子・天谷裕作から圧力がかかり捜査が困難を来たしてしまう。
途端、佳代子に対するスキャンダルがネット上で続発する。
これは宅間の仕業であった。
佳代子の周辺に人目を集め、犯人が目的を達成出来ないように仕組んだのだ。
とはいえ、これも時間稼ぎに過ぎない。
「キョートマン7」はあくまで連続殺人であることの表明でしかなく、真の共通点が何処かにある筈と指摘する宅間。
それを以て突破口とするべく、15年前の事件を中心に天谷や佳代子と関係したものを調べるが……。
浮かんだのは、当時の天谷と佳代子が愛人関係にあったことだけであった。
行き詰った宅間は古巣の刑務所を訪れる。
所長から宅間に事件解決の依頼があったのだ。
どうも最近になって「不正通信」が横行しており、その原因を特定して欲しいらしい。
不正通信を行った人物のリストを目にした宅間はすぐに原因を突き止めた。
共通点が看守長だったのである。
看守長の手に高級腕時計が嵌められていることを指摘した宅間。
看守長が「不正通信」に協力する代わりに利益供与を受けていたと告発する。
これにより、看守長が身柄を拘束され事件はあっさりと解決した。
感謝する所長に、宅間はある報酬を求める。
数時間後、宅間は佐神に接触していた。
これこそ、宅間が所長に求めた報酬だ。
宅間は佐神の助言を求めたのだ。
宅間から事件の概要を聞いた佐神は次の2点に興味を示す。
1つ目、連続殺人なのに手口が異なるのは何故か?
2つ目、連続殺人が11年前までに3件で止まり今年に入って再開したのは何故か?
また、佐神は犯人の動機が「復讐でも快楽殺人でもなく目標である」と指摘する。
さらに見えているものは氷山の一角に過ぎないようだ。
宅間は佐神の助言に感謝しつつ「あんたも不正通信を行ってるでしょ」と指摘する。
実は看守長以外に佐神も行っていたのだ。
これを「黙っていてやるよ」と告げる宅間に、佐神はお土産を渡す。
直後に佳代子が縊死体で発見された。
どうやら、宅配業者を装った男性に絞殺されたようだ。
傍には「キョートマン弁護士」が残されていたが……。
事態の急変を迎え特別捜査班へと戻った宅間は佐神のお土産に秘密が隠されていることに気付く。
土産にはアルファベットが刻まれていた。
どうやら所定の行動により、意図したメッセージが表示される仕組みらしい。
早速、試したところ現れたのは「SIMPLECORD」の文字。
宅間はそれが「キョートマン7」のキャッチコピーを指すと考え、これを縦読みする。
すると「おりはたまこと」なる言葉が浮かび上がる。
「おりはたまこと」と「15年前」で調べたところ織旗誠なる男性の自殺に行き当たることに。
事の発端は不良グループ内で星田翔太が殺害されたこと。
この犯人として逮捕されたのが織旗誠だったのだ。
織旗は無実を主張するが有罪とされ、絶望から自殺してしまっていた。
この関係者こそ、連続殺人の被害者たちであった。
織旗を逮捕したのは「制服警官」であった竹彦。
事件捜査を担当したのが「刑事」であった沢田。
この事件を担当した「検事」が久保田。
この事件を担当した「裁判官」が杉山。
織旗が自殺した際の担当「刑務官」が中島。
織旗の担当「弁護士」が佳代子。
すべて織旗誠の死に関連していたのである。
織旗誠の死にこそ、事件の根源がある。
こうして関係者を調べ始めた宅間たち。
織旗の父は3年前に他界し、その妻も離婚後に織旗姓から照屋姓に戻っていた。
さらに、織旗に弟が居たことが判明。
その名は照屋勇。
この名前に引っ掛かりを覚えた宅間。
調べたところ、竹彦刺殺事件の通報者が当時17歳の照屋勇と星田満子なる女性と判明。
なんと、星田満子は星田翔太の母親であった。
此処から宅間は竹彦刺殺犯が岡崎では無いと考え始める。
おそらく、竹彦は岡崎を確保した隙を突かれ殺害されたのだ。
おそらく、織旗誠の罪は冤罪だったのだ。
他のメンバーが真犯人を庇って織旗に罪を着せたのだろう。
連続殺人は其処に動機があるのだ。
照屋勇と星田満子の写真を入手した宅間は愕然とする。
それは大宮を囲んでいた市民サークルのメンバーの2人だったからである。
すなわち、大宮も彼らの仲間なのだ。
そもそも「キョートマン7」に沿って犯行が行われたのではない。
犯行の下準備に「キョートマン7」が作られたのだ。
此処に佐神が興味を示した1点に解が出た。
連続殺人が11年前までに3件で止まり今年に入って再開したのは何故か?
同時に、宅間の冤罪が明らかになった途端に再開したことにも意味があった。
それは10年前にメンバーの1人であった大宮が何者かに襲われ意識不明で入院していたからだ。
宅間の無罪を明かした大宮もまた実行犯であり、彼が回復するまでメンバーが待っていたからである。
宅間は大宮の行方を追うが、大宮は既に退院した後であった。
おそらく最後の1人を狙うつもりなのだ。
この連続殺人は犯人が罪が軽いと考えたものから裁かれている。
まず、自殺を見逃した刑務官・中島。
犯人だと思い込み逮捕した警官・竹彦。
真相を見抜けなかった裁判官・杉山。
否認していたにも関わらず起訴した検事・久保田。
織旗が犯人ではない可能性を知りながら無視した刑事・沢田。
織旗を守らなかった弁護士・佳代子。
そして、佳代子にそんな行動を取らせた天谷隆治。
おそらく天谷は愛人であった佳代子に織旗を犯人に仕立て上げるよう言い含めたのだろう。
そして、天谷が絶対に足を運ぶ場所が佳代子の死により生じた。
それこそ、佳代子の葬儀場である。
だが、葬儀場ともなれば人も多い。
滅多なことでは行動には移せない筈だ。
犯人はどのような方法を考えているのか。
これまでの方法は転落死、撲殺、毒殺、轢き逃げ、絞殺、刺殺―――残るは射殺だ!!
早速、葬儀場に向かった宅間は銃を構えた大宮を発見する。
これを受けて一斉に確保に動く特別捜査班の面々。
だが、到底間に合わない。
此処で機転を利かせた宅間により、セレモニー用の鳩が解き放たれた。
これに虚を突かれた大宮の銃弾は標的を外れた。
さらに宅間は周囲に隠れているメンバーを呼び出す。
この呼びかけに応じ現れたのは照屋勇や星田満子らだ。
大宮の本当の狙いは天谷裕作であった。
星田翔太殺害も彼の犯行。
裕作は父・隆治に泣きつき、事態の収拾を図ったのである。
そして、大宮たちが照屋や満子に協力した理由は彼らが織旗誠の死に罪悪感を抱いていた為であった。
大宮は新聞記者として織旗誠の事件を記事にし織旗犯人説を後押ししてしまった。
そんなある日、彼の罪を批難する怪文書を受け取ったのだそうだ。
其処で照屋と満子に謝罪に赴いたところ、他にも同じように怪文書を受け取った人物が居たのだそうだ。
それぞれ、織旗誠のバイト先の女性、織旗誠の担任たち。
彼らは自分がもっときちんと織旗誠の無実を訴えていればと後悔していた。
大宮を含めた5人全員が織旗誠の冤罪の死に責任を感じていたのである。
其処で照屋と満子は贖罪の方法を提示した。
それが久保田らの殺害であった。
そして、実行に移されたのである。
「これは復讐ではない」と主張する照屋たち、すべては生きていた証を残す為の行動らしい。
此処でもう1つの謎も解けた。
何故、7人の殺害方法が異なっていたのか?
それは大宮たち7人がそれぞれの復讐相手を選び、1人が1人ずつ殺害を行っていたからである。
自身の得意な方法を用いていた為であった。
ちなみに、佳代子は照屋による犯行らしい。
さて……と周囲を見回した宅間が硬直した。
大宮たちは全部で6人しか居ない。
だとするとメンバーが1人欠ける。
何しろ、照屋たちは6人だが標的は7人存在するのだ。
此処でもう1人メンバーが居る筈だと気付く宅間。
そう言えば大宮が病院で「来ていないメンバーが居る」と口にしていたではないか!!
残るメンバーについて尋ねた宅間。
大宮が手にしていたメンバーの写真を目にした宅間は「嘘だろ……」と呻く。
其処には美也子の新恋人である武藤が写っていたのだ。
此処で宅間は気付いた。
すべての事件を武藤が計画していたことに。
宅間は美也子にそれと知らせずに贈っていたストラップ型盗聴器を起動する。
其処からは武藤と美也子の声が漏れだす。
「なんだぁ〜〜〜大宮さん失敗しちゃったんだぁ。だとしたら追いかけて来るよねぇ宅間が」
カーラジオで天谷殺害失敗の報を聞き、ぼやく武藤。
どうやら、美也子は武藤に捕まっているようだ。
宅間はその背景に流れる音から「唄と拍手」を聞き「KYT480」との解を導く。
「KYT480」はハーバーモールでイベント中であった。
つまり、武藤たちはハーバーモールに居る。
早速、駆け付けた宅間。
その前で武藤は美也子にナイフを突きつけ人質とする。
武藤は全てを語り出す。
もともと怪文書を書き、大宮たちを操ったのは武藤であった。
「キョートマン7」も含め、全て武藤の計画だったのだ。
「生きる目的としての殺人」、照屋たちの動機さえも武藤が吹き込んだもの。
また、竹彦を刺殺したのも武藤であった。
武藤は竹彦に織旗誠が冤罪であると教え、それとなく竹彦を追い詰め操った。
その上で、武藤は元刑事として岡崎を餌に竹彦を誘き寄せると隙を突き刺殺したのだ。
そして、照屋たちに通報させた。
大宮を襲って宅間を冤罪に陥れたのも武藤。
それもこれもすべては宅間に理由があると言う。
織旗誠を利用したのは大宮を取り込む為の手段に過ぎなかったらしい。
武藤が大宮に目を付けたのも宅間と親しかったからだそうだ。
だが、宅間には武藤の動機が分からない。
「なんで?」
「おたくが我々の存在に気付いちゃったからだよ」
「殺人を楽しむことが出来るヤツらってこと?」
宅間の問いにも武藤は答えない。
代わりに懐から薬瓶を取り出すと、宅間に美也子を殺されたくなければ服毒しろと迫る。
どうやら、別れた妻を新恋人から取り戻す為に拉致騒ぎまで起こし服毒自殺したとのシナリオのようだ。
其処に危機一髪、銃を構えた姉小路が飛び出した。
此処に状況は三竦みとなった。
姉小路により武藤が撃たれるか。
武藤により美也子が刺されるか。
宅間が毒を飲むのか。
武藤は姉小路に決断を迫る。
と、不意に武藤が崩れ落ちた。
急を聞いて駆け付けた特殊班に狙撃されたのだ。
美也子は宅間に救出された。
だが、姉小路は竹彦の仇を討つべく武藤に止めを刺そうとする。
しかし、最後の最後で自制心が勝り思い留まるのであった。
直後に武藤は息を引き取った。
最初の一撃が彼の命を奪っていたのだ。
数時間後、本部長の高倉は宅間の盗聴器を傍受した音声データを再生していた。
彼が気に留めたのは武藤が語っていた次の台詞だ。
「おたくが我々の存在に気付いちゃったから」
そう「我々の存在」である。
宅間はこれを「快楽犯罪者」と受け取っていたが、果たしてソレは正しかったのか。
「我々の存在、我々の存在……か」
高倉は繰り返す―――エンド。
<感想>
草g剛さん主演スペシャルドラマ「スペシャリスト」そのシリーズ第3弾です。
原作はありません。
過去記事ありますね、興味のある方はリンクよりどうぞ!!
では、早速ドラマの感想を。
まず真っ先に日暮さんに謝っておきましょう、ゴメンナサイ。
詳しくは過去記事をご覧頂けると分かると思うのですが、管理人は竹彦殺害と大宮傷害事件に日暮さん黒幕説をとっていました。
ちなみに日暮さんとは第1弾、第2弾にて宅間の弁護士を務めた人物です。
今回「キョートマン7」で「キョートマン弁護士」の存在を耳にしたときに日暮さん出るか……と意気込みましたが、そもそも日暮さん自体が第3弾に登場しないとの予想外の展開。
第2弾までは高倉の友人として皆勤だっただけに「まさか、まさか……」でした。
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト2〜全ての犯罪を知る刑事VS完全犯罪を操る男!京都の街に現れた謎の暗号…女性議員を狙う殺人計画の罠」(3月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
ただ、美也子の新恋人が犯人に近しい立場の人物ではないかとの予想だけは当たってましたね。
いや、これも「犯人に近しい」どころか「犯人そのもの」でしたが。
ただ、まだまだ黒幕の存在が匂わせられており、これで日暮さんが関わるのかもしれないとうっすらと妄想中。
そう、黒幕の存在です。
今作も前作に続き、物凄く次回に続くな終わり方でした。
当然、次回作もあると見るべきでしょう。
その上で、現時点ではっきりと言えるのは武藤が語っていた「我々の存在」は宅間が尋ねた「快楽殺人者」の「ソレ」とは別であること。
つまり、武藤は何処かのグループに所属しその命で宅間を罠に嵌めた。
すなわち、武藤の背後には黒幕が居る。
でもって、今回判明した事実とこれまでに判明した事実を並べると……。
・武藤は元刑事(第3弾)。
・高倉が武藤の「我々」発言に注目(第3弾)。
・佐神も元刑事、15年前に退職している(第2弾)。
なんとな〜〜〜く、片鱗らしきものが見えて来たか。
そもそも事の発端は佐神が退職した15年前にあることになりそうです。
さらに、これらにより予想出来る展開は「警察組織内部に武藤らが所属するグループの存在がある」とのものか。
第4弾は宅間と姉小路らがこれを打破する物語になりそう。
だからこそ、特別捜査班が結成されたのかもしれないなぁ。
だとすれば、高倉は組織内に巣食う闇を排除しようとしていることになるな。
早く第4弾が視たい!!
そう言えば、武藤は竹彦刺殺時に岡崎に顔を見られているのに放置して良かったのだろうか。
此の辺りにも秘密があるのかどうかが気になる。
ちなみに番組ラストでも述べられていましたが本作が「ドラマスペシャル スペシャリスト2&3 ダブルパック」としてブルーレイ化、DVD化されるそうです。
2015年9月2日発売予定とのこと、既にアマゾンさんで予約開始されています。
興味のある方は是非!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト〜無実の罪で10年服役した刑事と殉職警官の妻…異色タッグが京都を揺るがす4つの殺人連鎖に挑む!」(5月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト2〜全ての犯罪を知る刑事VS完全犯罪を操る男!京都の街に現れた謎の暗号…女性議員を狙う殺人計画の罠」(3月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
宅間善人:草g 剛
姉小路千波:南 果歩
松原唯子:芦名 星
猪熊佐千夫:佐戸井けん太
佐神稚洋:上川隆也(特別出演)
大宮敏郎:徳井 優
室町美也子:紺野まひる
銭家円蔵:田中要次
堀川耕平:平岡祐太
姉小路小枝:江波杏子
高倉紀一郎:大杉 漣
武藤久志:要 潤
星田満子:洞口依子
照屋 勇:高田 翔(ジャニーズJr.)
天谷裕作:弓削智久
沢田篤史:国広富之
南佳代子:山下容莉枝
天谷隆治:団 時朗 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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今回の事件の発端と佐神の退職が15年前
てっきり佐神の退職の理由はこれだと思っていましたがどうやら違ってそうですね
しかし武藤は美也子を殺す理由がないと言ってましたがむしろ生かすことでのデメリットしかなかったように思えたのですが
馬鹿正直に美也子を解放したらその足で警察に行かれるしいくら恋人でも元夫を自殺に追い込みまた自分にナイフを突きつけた相手を庇う訳もない
多分宅間が自殺したら美也子も殺害するつもりだったんだと思ってます
それに武藤が大宮を襲った理由もいまいち良くわかりません。万が一死んでしまったらどうするつもりだったのでしょうか
実際意識不明になったせいで10年以上計画がストップしてますし
武藤の行動は整合性がなかったように思えます
武藤の「我々〜」と宅間は何を見たのかが次の話のメインでしょうか
おそらくは宅間は無意識に「我々〜」の正体に対する「何か」を偶然掴んでしまったor向こうにそう思われてしまった
組織武藤に宅間の廃除を依頼、武藤、大宮と宅間を襲撃
これが宅間の事件の真相といったとこでしょうか
宅間の見た「何か」で今のところ一番怪しいのはキョートマン7でしょうか
実は組織はキョートマン7と同じ編成だった、そのために口封じされたとか?
なんにせよ次があるなら楽しみです
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
確かに武藤についてはいろいろと謎が残りますね。
そもそも今回の計画自体が壮大な反面で、ある意味で遠回りでもありますし。
ただ、武藤の最大の目的があくまで宅間にあったことは間違いない。
此処からはあくまで仮説に留まりますが、次のように考えるべきなのかもしれません。
まず、武藤が大宮に近付いたのは宅間を陥れるのに彼と親しかった大宮を利用する為。
これは劇中でも語られていました。
織旗の件を利用したのは、たまたま大宮がこれの記事を担当していたから近付き易かったから。
おそらく、大宮がこれに関係して居なければ他の方法でのアプローチを探ったに違いないでしょう。
つまり、武藤にとっては「織旗の件」よりも「宅間を罠に嵌める」ことが優先。
「織旗の件」は大宮を絡め取る手段に過ぎない。
なので、10年前に武藤が大宮を襲撃し、その罪を宅間に着せた時点で目的は達成済み。
本来ならば、これで終わっていた筈だった。
当然、手段に過ぎなかった「織旗の件」は此処で放置された。
ところが、宅間はこれに屈することなく10年後に再起した。
同時に大宮も復帰。
其処で「織旗の件」が再開された。
疑問なのは、此処で武藤が宅間に対して美也子経由以外でのアクションを起こしていないこと。
ラストで行おうとしたように直接的な排除(抹殺)も選択肢としてあった筈なのですが、何故か宅間が真相に迫るまで様子を見るに留まっています。
此の点、武藤の性格が出たのかもしれないし、他に何か理由があるのかもしれません。
そもそも、10年前の時点で宅間を抹殺しなかったことも謎となってますね。
これにも何か理由があるのか……。
個人的にポイントとして見ているのは「武藤も佐神も高倉も宅間も刑事である(あった)」こと。
つまり、組織は其処に存在している可能性が高いのかもしれませんね。
いずれにしても、次回が気になるところです!!