<あらすじ>
富樫英里子(建みさと)という女性が自宅アパートで刺され、意識不明で病院に運ばれる。彼女は全盲の6歳の息子・宏哉(横山歩)と二人暮らし。何者かがアパートを訪問してきた際、英里子は宏哉に隠れるよう指示し、その直後に訪問者ともみ合いに。異変を感じた宏哉に呼び出された保育士の矢沢望美(大塚千弘)が、腹を刺された英里子を発見したという。英里子の離婚した夫・横田俊一(井田國彦)がたびたび金の無心に訪ねてきていたようだが、事件当夜は目撃証言もない。部屋が荒らされていないことから物取りの犯行でもなさそうで、宏哉が危害を加えられなかったのも宏哉の目が見えないことを知っていた可能性が高く、顔見知りの犯行の可能性が高い。
英里子が働くベーカリーのオーナー・大山直樹(中村靖日)や従業員は、彼女は人に恨まれるような人物ではないと言う。病室に見舞いに訪れた保険外交員の寒川雄治(窪塚俊介)によれば、もしものときに宏哉が困らないように、英里子は一般より高額な生命保険と学資保険を契約していたという。
そんな中、宏哉は事件現場で、ある携帯の着信音を聞いたことを思い出し…。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
まとめると、次の通りの展開でした。
被害者は富樫英里子。
英里子には宏哉という6歳の息子が居た。
宏哉は現場で犯人を目撃したと言う。
だが、彼は盲目であった。
一方、容疑者は英里子の元夫・横田俊一、宏哉を担当する保育士の矢沢望美、英里子の勤務先のオーナー・大山直樹、足を怪我している保険外交員の寒川雄治の4人。
そんな中、宏哉が嗅覚と聴覚に優れていることが判明。
犯人について3つの手掛かりを提供する。
1.犯人の携帯の着信音。
2.煙草の匂い。
3.階段を下りる音が特徴的。
1と2について、吉永は犯人の偽装の可能性を考慮。
結局、3単独で寒川の犯行を断定する。
寒川は英里子に契約を勧めておきながら、実際には契約していなかった。
つまり、架空契約を行っており、これを隠蔽しようとしていたのだった。
吉永は寒川の足の怪我から階段を下りる音が特徴的になったことを見抜いたのだ―――エンド。
<感想>
「新・刑事吉永誠一」第4話。
このシリーズの原案は黒川博行先生の作品群。
本来ならばネタバレ批評(レビュー)するつもりは無かったんだけど、偶然にも視聴する機会があってツッコミどころ溢れる内容に衝動を抑え切れず記事にしてます。
個人的に気になったのは次の3点。
1.容疑者の人数が恣意的に変更されてた。
2.後期クイーン問題が恣意的に処理されてた。
3.犯人の動機が大問題(←これがメイン)。
まず「1.容疑者の人数が恣意的に変更されてた」から。
本作、前半と後半で2度ほど容疑者が提示されていました。
前半で容疑者とされたのは大山と寒川(捜査会議シーンで口頭で告げられる)。
後半で容疑者とされたのは大山と横田と望美(ホワイトボードにまとめられた)。
この間、特に寒川を容疑者から外すような事態は起こっていません。
むしろ、大山にアリバイが成立していたほど。
にも関わらず、寒川は容疑者から何時の間にか外れていたのです。
此の時点で、犯人は寒川しかあり得ないと多くの視聴者が思ったことでしょう。
なんでやね〜〜〜ん!!
次いで「2.後期クイーン問題が恣意的に処理されてた」ことについて。
中盤、吉永が「犯人が別の誰かに罪を着せる為に演技をした可能性(証拠の信憑性)」について触れていました。
ところが、寒川を犯人だと断定するにあたり足を怪我した様子が真犯人の演技である可能性は全く考慮しない……何故だ!?
なんでやね〜〜〜ん!!
で、これが本作最大の問題点「3.犯人の動機が大問題」。
寒川の動機は「英里子を騙して結んだ架空契約を隠蔽する為」。
ところが、架空契約だったら寒川は英里子に死なれちゃ困るじゃん。
だって、契約の実態が無いにも関わらず英里子に死なれたら保険金を支払う義務が生じるから。
これどうするの!?
えっ、誰も契約の存在を知らなければ大丈夫!?
いやいや、それが吉永たちには契約の存在を知られているのだ。
さらに、宏哉の状況からみて誰かが後見人になるだろうから、英里子が死亡した時点で寒川の架空契約はバレる筈なのだ。
寧ろ、寒川の立場だと英里子に生きて貰わねばならない。
それにしても何故、吉永たちに契約の存在を知られたのか?
架空契約だから契約の存在自体を知られなければ問題は無かった筈であった。
それならば寒川の行動も理解出来る。
ところが、此処で本作最大の謎が生じることに。
なんと、あろうことか寒川は初登場時点で吉永たちに「英里子さんは生命保険と学資保険を契約されてたんです」と自ら述べてしまったのだ。
おいおい、それを隠蔽するのが殺人未遂の目的なのに拡散してどうする!!
其処は「保険加入について相談を受けてまして……」で誤魔化すべきだろう。
何故、素直に吉永に伝えてしまったのか!!
なんでやね〜〜〜ん!!
以上、イロイロ言いつつも楽しめました。
特に宏哉役の横山歩君の演技が凄く良かった。
これだけでも4話を視聴する価値はある。
実は、此の点も伝えたかったので記事にしてたりします。
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・「刑事吉永誠一・涙の事件簿」が連続ドラマ化とのこと!!
・「刑事吉永誠一」がシーズン2で帰って来る!!金曜20時は「新・刑事吉永誠一」に注目せよ!!
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