<あらすじ>
10年前に起こした殺人の罪で服役していた石神由紀子(安田成美)は、ようやく仮釈放となった。そして由紀子は、同日仮釈放となった逢坂みのり(相武紗季)と、とある食堂で出会う。彼女は二千万円の横領を行い、5年間服役していた。なれなれしくつきまとうみのりをうっとおしく感じた由紀子は、彼女のもとから逃げ去るも、就職場所の工場で再会することとなった。
ある日、由紀子の動向が気になったみのりは、彼女の後を追った。すると、たどり着いたのは養護施設の前だった。由紀子の視線の先には「人殺しの息子」といじめられている、目が見えない男子中学生の姿があった。それは、由紀子の息子の俊(今井悠貴)。助けることを戸惑っている由紀子の姿に気づいたみのりは、代わりに俊を助けた。みのりにお礼を言い、その場を立ち去ろうとした俊は懐かしい匂いを感じ、「お母さん」とつぶやくも、死んだはずの由紀子がいるはずがないと、その場を立ち去った。そんな息子の姿に、由紀子は悲しい表情を浮かべながら、彼女もまたその場を立ち去った。
別の日、由紀子は花巻鉛筆工場の裏山で、木の根元に埋まっている血が黒くこびりついたマトリョーシカを掘り出した。それは、10年前の事件当日に夫・孝典(渡辺いっけい)から花巻社長のもとにあるマトリョーシカを奪ってくるよう指示された由紀子が埋めたマトリョーシカだった。掘り出したマトリョーシカを寮に持ち帰った由紀子は、中から「鹿沼の別荘」と書かれたメモと鍵を見つける。由紀子はこれが何を意味するのか調べ始める。そんな中、みのりが横領をするきっかけとなった元彼の竜二(竹財輝之助)が何者かに殺害され…。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
石神由紀子は10年前に殺人の罪を犯し服役していたが刑期を終えたことで出所することに。
同日、もう1人の出所者が居た。
その名は逢坂みのり。
みのりは2千万円を横領した罪で5年ほど服役していたのだ。
由紀子と出会ったみのりは彼女に興味を抱くが、冷たくあしらわれてしまう。
みのりは実家に帰郷。
だが、其処に彼女の居場所は無かった。
家族が自身の行動で如何に苦労したかを知ったみのりは家を出ると、保護司の仲介で仕出し工場にて住み込みで働き始める。
ところが、寮には由紀子が居たのである。
由紀子も仕出し工場で働いていたのだ。
こうして共同生活を始めた2人。
当初こそ反発し合う2人だが、次第に互いに気に掛け合うように。
そんな中、みのりの横領の原因が交際相手に貢いだ為であることを知った由紀子はある危惧を抱く。
これは案の定、的中。
みのりは貢いだ相手である竜二に復縁を迫ったのだ。
みのりによれば、竜二もまんざらでもないらしいが……。
由紀子はみのりに黙って彼女を尾行し竜二の人柄を窺う。
すると、これまた由紀子の予想は的中。
竜二は複数の女性からみのりのように金を貢がせていたのだ。
だが、みのりはこれに気付かない。
此処で由紀子は一計を案じる。
一方、みのりは由紀子が殺人犯であると知り、彼女の人柄と犯行がそぐわないことに疑惑を抱いていた。
其処で由紀子をこっそり尾行することに。
すると、由紀子の隠された一面が明らかになる。
由紀子には元夫・孝典と目の見えない息子・俊が居たのだ。
だが、孝典は俊を育てることなく施設に預けていた。
俊はその境遇から由紀子が死亡していると聞かされており、またイジメを受けていた。
そんな俊を目にした由紀子は助けたいが飛び出して行けず助けられない。
これに気付いたみのりは偶然を装い俊を助ける。
こうして、みのりは俊と親しくなることに。
数日後、由紀子は花巻鉛筆工場の裏山に居た。
何かを掘り返す由紀子、出て来たのは血塗れのマトリョーシカであった。
10年前、由紀子が殺害したのは花巻鉛筆の社長である花巻。
その際、由紀子は孝典からマトリョーシカを奪って来るよう指示されており、逃亡途中に埋めて隠したのだ。
10年ぶりのマトリョーシカ、その中身は「鹿沼の別荘」と書かれたメモと別荘のものと思われる鍵であった。
翌日、みのりが竜二とデートすることを知った由紀子は遂に計画を実行に移す。
待ち合わせの時間に竜二のもとへ向かったみのり。
ところが、竜二は別の女性と親しそうに話していた。
しかも、その会話の内容は竜二がみのりにしたものと全く同じだったのである。
竜二に疑惑を抱いたみのりは彼を調べ、多くの女性から金を貢がせていることを知る。
騙されていたと気付いたみのりは家族のもとに帰る為にも横領した金を返済するべく竜二に迫る。
しかし、竜二はみのりを相手にせず嘲笑う。
これにショックを受けたみのり。
そんなみのりを人知れず現れた由紀子が慰める。
どうやら、今日もみのりを見守っていたらしい。
と、其処へ竜二が刺されたとの連絡が届く。
竜二が現在交際している相手が犯人だと察したみのりは竜二の携帯にあった電話番号に連絡してみる。
すると、駅のアナウンスが聞こえ切られてしまった。
どうも、駅構内に居るようだ。
もしかして、自殺しようとしているのではないか……。
由紀子とみのりは駅へ向かい、自殺しようとしていた竜二傷害事件の犯人を捕まえる。
それはみのりの予想通り、竜二の現在の交際相手であった。
だが、みのりが目撃した女性とは異なっていた。
奇妙に思うみのりに由紀子が種明かしする。
実は、みのりが目撃した女性は由紀子が用意した仲間であった。
みのりの目を覚まさせる為に由紀子が仕組んだらしい。
とはいえ、まさか同時に傷害事件が発生するとは思っていなかったようだが。
こうして、竜二の本性を知ったみのりは入院中の彼を訪ね、半ば脅しつけることで500万円の通帳を手に入れる。
とはいえ、みのりが貢いだ2000万円には程遠い。
肩を落とすみのりに由紀子は真面目に働いて返済するよう諭す。
この事件により、由紀子に恩義を感じるようになったみのり。
由紀子の為に何かしたいと彼女の様子を観察することに。
すると、由紀子が何かを思い詰めていることに気付く。
みのりは由紀子の過去について調べ始めた。
過去、由紀子は花巻社長に強引に関係を迫られ抵抗したところ誤って死なせてしまったことが判明。
だが、由紀子は誰にもこの事実を明かしていなかった。
しかも、そもそも花巻社長に迫られることになった発端は花巻と孝典の密約にあるらしい。
其処には一体、何があるのか!?
その頃、由紀子はマトリョーシカ内のメモにあった鹿沼の別荘からビデオテープを入手していた。
その中身を見た由紀子は密約の真の意味を知り、孝典へ復讐を決意する。
ビデオの内容をSDカードにダビングした由紀子は孝典を呼び出すことに。
一方、みのりは由紀子が急に仕事を辞めたことを聞かされ変事に気付いた。
由紀子の所持品を調べたみのりは其処にアイバンクのカードを発見。
カードには俊への提供を希望する旨が記されていた。
みのりは由紀子が死ぬつもりであると結論付ける。
数時間後、暗くなった花巻鉛筆工場の裏山で由紀子と孝典が再会していた。
とはいえ、其処に感動は無い。
あるのは冷たい憎悪だけだ。
由紀子は自分が花巻を殺すことになった密約の正体を明かす。
10年前、孝典は花巻の工場前で借金取りを殺害していたのだ。
ところが、これを防犯カメラに録画されていた。
花巻はこの映像を利用し、前から狙っていた由紀子を差し出すよう孝典を脅迫。
1回由紀子と関係を持つごとに、データの入ったマトリョーシカ1個を渡す約束を交わしていた。
孝典は由紀子を裏切りこれに応じつつ、花巻をも裏切りマトリョーシカを全て盗み出して来るように由紀子に指示したのだ。
逆上した様子の由紀子は孝典を殺そうとするが……みのりが駆け付ける。
みのりは「由紀子が孝典を殺害し、その罪で死刑になることで俊に目を提供しようとしている」と指摘。
思わぬみのりの乱入に動揺する由紀子は、その隙を突いた孝典に刺されてしまう。
だが、由紀子の真の狙いは別にあった。
孝典に殺害されることで、孝典を殺人犯にしつつ由紀子の目を俊に提供することが狙いだったのだ。
しかし、みのりはそんな由紀子を許さないと批判。
由紀子の狙いに反し助けることに。
それから数ヶ月後、由紀子とみのりは「あったかご飯 みのり食堂」をオープンした。
みのりは由紀子に俊の携帯電話の番号を教え、いつか名乗りを挙げられるよう応援するのであった―――エンド。
<感想>
原作なし、オリジナル作品です。
本来ならば2014年11月21日(金)の放送予定でしたが、高倉健さん追悼番組「南極物語」の放送があり放送日が変更されていました。
では、ドラマの感想を。
裏番組は金曜ロードShow「幸せの黄色いハンカチ」でした。
これは高倉健さん追悼番組であると同時に、奇しくも本作と同じ「前科者の再生物語」とのテーマに。
とはいえ、あちらが2時間かかった家族(想い人)宅への帰還を、こちらは5分ほどで達成(みのりの場合)していましたが。
本作と「黄色いハンカチ」は取り扱うテーマこそ同じとは言え、内容の描き方が大きく異なっていました。
それが大きな差に繋がっています。
もちろん、テレビ番組と映画だから描き方が異なるのは当然だし、ジャンルもあちらは「サスペンス」では無いし。
とはいえ、此処まで印象に差が出るものとは思わなかった。
少なくとも本作はテーマの重さに比して描かれ方があまりに軽過ぎました。
何だろうなぁ……テーマに対して結論が安易と言うべきなのかなぁ、実際に視ると物凄く軽い。
それと、本作は割とあらすじ詐欺が酷い。
本記事上部にあるモノが公式のあらすじなのですが……竜二、殺害されたことになってるけど死んでないじゃん。
サスペンス色も思ったより薄いし、視聴前に想像したのとは全くの別物だったかな。
そう言えば、途中で竜二から500万円の通帳を入手した由紀子とみのりだが通帳だけで現金を下ろすことが出来たのだろうか。
それとあれを元手にあちこちから金を借りれば竜二に復讐出来た気がしないでもないが、気の所為だろう。
それにしても、竜二の所為で横領犯に殺人未遂犯が生まれた割に竜二への罰が軽過ぎたのが納得いかない。
全体的に軽く描くなら、もっとその辺りは納得行くようにして欲しかった。
なんで、その辺りだけは妙にリアルなのか。
さて、いろいろ述べた。
どうも、事前に思い描いていたモノとの差が大き過ぎたのが辛口評価の原因なんだろうと思う。
それにしても、何でこのテーマであんなに軽く描けてしまうのだろうか……。
これが何より不思議だ。
まぁ、気軽に視聴出来た点を評価する向きもあるかもしれないのだが……。
<キャスト>
安田成美
相武紗季
木南晴夏
竹財輝之助
朝加真由美
島田洋七
七瀬なつみ
渡辺いっけい ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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