ネタバレあります、注意!!
第1話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪してしまう。
ガイコツ:圭一を名乗る幽霊。蛍にしか見えない。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
赤木蛍は町工場を営む大家族の長女。
多くの兄妹は未だ幼く、蛍は母親と共に常に世話を焼いている。
同時に蛍は成績も良好。
その甲斐あって有名校「聖マルス学園」へ特待生での進学が決まっている。
そんな蛍にはある秘密があった。
話は2ヶ月前に遡る。
ある日、蛍は妹たちを連れてデパートに出掛けた。
幼い妹がトイレに入ったそのとき、不意に蛍の脳裏に声が響いた。
声は蛍を執拗に呼んでいる。
慌てて妹を連れ出そうとした蛍。
そのとき、隣の個室からカメラが覗き込んでいることに気付いた。
盗撮だ!!
近くから警官を呼び、盗撮犯は御用となった。
しかし、あの声の正体は杳として知れない……。
数日後、蛍は2階に設えた物干し場に足を運んだ。
先日の不思議な声のことを考えつつ手摺にもたれかかったところ、またも例の声が響いた。
驚き慌てて身を退いたそのとき、急な地震がやって来た。
同時に手摺が地面へと崩れ落ちて行く。
どうやら老朽化していたようだ。
もしも身を退かなければ蛍は地面に転落していたことだろう。
我知らず冷や汗を拭う蛍。
だが、声は止まない。
恐れ戦く蛍、その目の前にぼんやりと警官の制服を着用したガイコツが浮かぶ。
と、ガイコツが蛍へと覆い被さって来た。
腰を抜かし、その場に仰向けに倒れ込む蛍。
と、地震の余波だろうか……何かの部品が飛んで来た。
それはガイコツの身体で阻止される……かと思いきや通り過ぎ蛍に当たってしまった。
部品自体は小さく大した痛みはない。
それよりも、蛍はガイコツが自分を庇ったように見えて他ならなかった。
そう言えば、トイレの声も妹を助ける為のもの。
今の声も蛍を助ける為のものだ。
そして、ガイコツが着用している制服は警官の物。
まさか……蛍は「圭一お兄ちゃん!?」と問いかける。
圭一は蛍の兄である。
正義感が強く長じては警官になったのだが、ある日を境に姿を消していた。
これに頷いたガイコツは急展開に呆然とする蛍の前を通り過ぎふらふらと室内へ。
其処で寝ている兄妹たちを慈しむように触れようとするが……実体がないために触れない。
先程、蛍を庇ったにも関わらず部品が当たったのは此の為だ。
しかも、蛍以外には姿が見えないらしい。
その姿に圭一だと確信した蛍。
蛍の呼びかけにガイコツも自身が「圭一」であることを認め、兄妹は感動の再会を果たす。
圭一によれば、生前の圭一としての記憶はあるのだが失踪直前とその後の記憶が曖昧らしい。
暗闇の中で光を求めたところ、何時の間にか蛍のもとに居たそうだ。
以来、圭一は蛍の傍を離れない。
そして数日前にまたも事件が起こった。
川沿いの道を歩いていた蛍。
すると、川で溺れる幼い男の子が。
母親らしき人物も近くに居るのだが、慌てているのか悲鳴を上げるだけで助けに行こうとはしない。
しかも、良く見れば男の子の隣には何やら奇妙な影が……。
見かねた蛍が男の子のもとに駆け付け引き上げようとするが、男の子は影に掴まれているようで微動だにしない。
その内に傍観していた母親が「誰か助けて!!あの娘が子供を沈めようとしている!!」と蛍を批判し始めた。
その声に惹かれ周囲に集まり始めた人々。
マズイ……焦る蛍だが男の子は動かない。
其処に圭一が飛び込んで来た。
圭一は奇妙な影に一撃を浴びせる。
怯んだ影の隙を突き、男の子を助け出す蛍。
その間にも圭一は影と格闘を続け遂に退治していた。
後に分かることだが影は霊だったのだ。
同じく霊体となった圭一だからこそ退治できたのである。
男の子を無事に救い出した蛍に、圭一は同じようなことが今後も起こることを伝えるのであった。
だからこそ、圭一は蛍の前に現れたらしい。
そして今日、蛍は「聖マルス学園」に入学を果たした。
登校初日だけに緊張する蛍。
そんな蛍に圭一は早速、此処で事件が起こることを予告するのであった―――次話に続く。
いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
なかなかに刺激的なスタートとなりました。
とはいえ、初回はあくまで登場人物と設定紹介といったところでしょうか。
まずは主人公の赤木蛍。
大家族の長女でドクロ型の髪止めが特徴的な人物、苦労人のようです。
続いて蛍の兄・圭一。
失踪後、ガイコツ姿になって戻って来た元警察官。
どうやら、彼の失踪には大きな秘密があるようだ。
この秘密こそが本作のメインストーリーか。
その上で気になるのは彼の生死。
ガイコツ姿で霊体である以上、死亡していると思われる。
だが、生霊の可能性もあるかもしれないな。
いずれにしろ、事件を解決して行きつつ圭一を蛍が救う展開になりそう。
そもそもあのガイコツは本当に圭一なのかも謎だ。
まぁ、これについては蛍が認めている以上流石に圭一なのだろうとは思うが。
今のところ、一番気になるのは蛍のドクロ型アクセサリー。
あれが光るたびに事件が起こっているので感知装置のようなものだと思われる。
何故、それを蛍が所持しているのか……秘密がありそう。
話が進むであろう2話目以降に要注目!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆関連過去記事
・「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪してしまう。
ガイコツ:圭一を名乗る幽霊。蛍にしか見えない。
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