<あらすじ>
西之園萌絵(武井咲)は、筒見紀世都(中島歩)のアトリエに明日香(山川紗弥)の等身大のフィギュアがあったこと、異常としか思えない一面を目撃したことから、明日香を偏愛する紀世都が彼女を殺害したのでは、と犀川創平(綾野剛)に話す。
そこへ、儀同世津子(臼田あさ美)がやってくる。犀川と約束をしていたらしい世津子の親しげな態度にいらだち萌絵は研究室を出る。すると、浜中深志(岡山天音)が来て封筒を手渡した。紀世都から送られたその手紙を読んだ萌絵はどこかへと向かうが、そのとき、寺林高司(山本耕史)から連絡が入る。寺林はどうしても調べたいことがあり病院を抜け出したという。萌絵が問い詰めると、紀世都のところに行くつもりだと明かした。
萌絵と寺林が紀世都のアトリエの前に来ると、喜多北斗(小澤征悦)と大御坊安朋(小松和重)に声をかけられる。紀世都と連絡が取れないため、心配して来たのだと大御坊は言う。4人でアトリエに入ると、そこはロウソクの光が蛍のように点灯する幻想的な空間だった。紀世都の姿は見当たらないが、大御坊は、紀世都はこれを自分たちに見せようとしているのでは、と鑑賞し始める。そのとき、大きな機械音が響き、アトリエに置かれたペットボトルのロケットが四方に発射される。ペットボトル内の液体が雨のように巻き散らかされるが、それはアルコールでロウソクに引火し炎が上がる。煙が立ちこめるなか萌絵が紀世都を探すと…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
・前回はこちら。
「すべてがFになる」7話「数奇にして模型(前編)【孤独な模型マニアの狂気】」(12月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
明日香と裕子がそれぞれ別の密室内にて殺害された。
容疑者として拘束されたのは両方の密室の鍵を所持していた寺林高司。
だが、寺林は自身の無実を主張する。
また、萌絵は寺林が犯人ならばわざわざ密室化する筈がないと考え、別の犯人が居ると考えていた。
萌絵が考える犯人は明日香の兄・紀世都であった。
ところが、当の紀世都から萌絵に手紙が届く。
其処には紀世都が何者かに殺害されることを予感しているらしき文面が記されていた。
紀世都が危ない!?
驚く萌絵に監視から逃げ出した寺林が接触する。
寺林は萌絵を誘うと紀世都のアトリエへと向かう。
その途中、寺林の逃亡を聞きつけた喜多北斗と大御坊安朋も合流しアトリエへ到着する。
アトリエの中は蝋燭の光に照らし出された幻想的な場所であった。
感嘆の溜息を洩らす萌絵たち。
ところが、その前で例のペットボトルロケットが炸裂。
その中身は前回と異なりアルコールであった。
途端、周囲に引火し辺りは炎に包まれた。
脱出しようとした萌絵は奥の浴槽で死体となった紀世都を発見。
だが、広がる炎の勢いに運び出すことが出来ず、その場を逃げ出さざるを得ないのであった。
数時間後、炎は思ったよりも小規模で収まり消火された。
浴槽の紀世都は感電死していたことが判明。
さらに、紀世都のアトリエから明日香の頭部が発見された。
これにより、紀世都こそが犯人と思われたが……。
だが、萌絵はこれを疑う。
犀川も同様の意見だ。
とはいえ、犀川はこれまで不合理な行動を取って来た犯人が此処で偽装工作を行う必然性に疑惑を抱く。
これから、犀川は論理的アプローチは意味を為さないと結論付けるが……。
紀世都を犯人と思えない萌絵は寺林と共に独自に調べ始める。
2人が犯人と疑っているのは川島教授である。
一方、犀川は大御坊から紀世都死亡の状態について情報を集めていた。
大御坊は当夜の様子を録画していた。
其処には奇妙な光が映り込んでいたが……。
さらに、殺害された紀世都は白くペイントされていたと言う。
これらから犀川は犯人を突き止めた。
直後、犀川のもとに萌絵を名乗る人物からメールが届く。
其処には「寺林と共に川島のアパートを調べる」とあった。
これを目にした犀川は慌てて飛び出す。
その頃、萌絵は寺林の案内で川島のものとされるアパートへ。
其処には明日香の頭部のフィギュアに紀世都の写真や全身の型が積まれていた。
間違いない、この部屋の主が明日香や紀世都を殺害したのだ。
確信する萌絵の背後から寺林が近付いて行く。
そう、此の部屋は寺林の部屋。
そして、彼こそがすべての真犯人だったのだ。
寺林に気絶させられ倒れ込む萌絵だが……。
数時間後、寺林の部屋に犀川がやって来た。
犀川は寺林と対決する。
犀川は「信じられない」としつつも、寺林の思考を追った。
寺林の目的は紀世都にあった。
寺林は紀世都の身体を型に取りたいとの願望を抱いていた。
そして、明日香の頭部を切断したのは寺林であった。
寺林は紀世都の型取りの前に明日香の頭部で練習したのだ。
では何故、頭部だったのか?
型取りに用いるシリコンは高価な材料、練習するにも限りがあったからである。
紀世都を殺害したのも寺林。
この際、紀世都は全く抵抗しなかったと言う。
それどころか寺林の芸術に率先して協力したらしい。
その後、寺林は萌絵たちを連れて戻り隙を突いて機械を起動させ火を点けたのだ。
寺林が紀世都の遺体を焼こうとしたのは自身の型を唯一の存在にする為であった。
寺林はもはや倫理観をかなぐり捨てていた。
裕子を殺害した際に、新たな境地に辿り着いてしまったらしい。
寺林は人の死に美を見出すようになっていたのだ。
そして、今また萌絵を殺害しようとしている。
犀川は「萌絵を殺せばお前を殺す」と寺林に凄む。
だが、寺林に脅しは通用しなかった。
もはや、萌絵の命は風前の灯である。
手段を選ぶ余裕はない。
犀川は必死に寺林に飛び掛かって行く。
だが、格闘は犀川の苦手分野。
さらに寺林は強かった。
あっという間に犀川は床へと叩き伏せられてしまう。
其処に大御坊が飛び込んできた。
大御坊は勢いをつけつつ、寺島に頭突き一発。
これを床に沈めるのであった。
数日後、犀川の研究室に萌絵、喜多、大御坊が集まった。
犀川は今回の事件について詳細を語り出す。
犀川が寺林の犯行に気付いたきっかけは大御坊が撮影した映像にあった。
映っていた光の正体は、寺林が機械を起動させる為のリモコンを操作した光であった。
そして、紀世都の身体が白く塗られていた理由はシリコンの剥離剤だったのである。
さらに、紀世都の死体が発見された夜に萌絵もまた命が危険に曝されていたことを明かす。
あの夜の時点で、寺林は萌絵を殺害し紀世都同様に型を取るつもりだったのだ。
だが、喜多と大御坊がやって来たことで犯行を見送っていたのである。
衝撃の事実に身体を震わせる萌絵。
それにしても……と萌絵は不可解な表情を浮かべる。
彼女は「寺林が犀川に似ている」と思った。
だからこそ、寺林を信じたのだ。
これに対して犀川は寺林が犀川と同じように信念に生きていたからだと説明する。
寺林の「フィギュア作成」にかける情熱は本物だったのだ。
さらに犀川は裕子と紀世都を殺害したのは寺林だが、明日香殺害は別人の犯行であると口にする。
明日香を殺害したのは裕子だったのだ。
おそらく、裕子は明日香に嫉妬したのだろう。
ところが、現場から逃げる際に誤って寺林を殴りつけてしまった。
この際、裕子は寺林を殺害してしまったと思い込んだ。
これが後の裕子殺害に繋がるのだ。
一方、生きていた寺林は目覚めるなり明日香の死体を発見。
明日香の頭部で型を取る練習をしようと思いつく。
だが、裕子と約束していたことを思い出した寺林は裕子のもとへ。
すると、裕子の反応が明らかにおかしい。
此処で寺林は裕子が襲撃者だったことに気付いた。
すなわち、裕子は明日香が死亡していることを知っている。
型取りを邪魔されたくなかった寺林は裕子を殺害したのだ。
研究室が密室だったのは遺体発見を少しでも遅らせる為だ。
その後、頭部切断用の道具を持って公会堂へ再訪。
頭部を切断した後に、アパートへ戻り型取りを行った。
最後にもう1度公会堂へ訪れて、明日香の首なし遺体の隣に寝転んだのだ。
このすべてが「型取りを邪魔させない為」であった。
寺林の行動は寺林なりの論理に支えられ一貫していたのである。
ただ、あまりに異端過ぎる行動の為に他者が理解出来なかったのだ。
ちなみに、裕子の犯行動機が嫉妬であると聞かされた萌絵は「えっ、それだけ?」と拍子抜けする。
だが、それが大きな原動力となりかねないことは萌絵自身が体感していたのだ。
そう、萌絵は世津子に嫉妬していたのである。
直後、萌絵に西之園から連絡が入る。
呼び出された萌絵に西之園は犀川が萌絵を助ける為に必死に行動したことを教え、あまり心配をかけるべきではないと教え諭す。
これに萌絵は涙を流すのであった。
そんな萌絵の前に世津子が現れた。
萌絵は世津子に犀川との関係を問う。
世津子の答えは明瞭であった……兄妹よ、と。
これに萌絵は機嫌を直す。
数日後、西之園に呼び出された犀川は驚くべき事実を知らされる。
萌絵から犀川に届いたメール。
ところが、それは萌絵が送ったメールでは無かったのだ。
ふと犀川の脳裏に甦るのは真賀田四季の姿。
まさか、四季なのか―――9話「有限と微小のパン(前編)」に続く。
<感想>
ドラマ原作は森博嗣先生「S&Mシリーズ」。
そして、今回はシリーズ第9弾『数奇にして模型』のドラマ化でした。
原作『数奇にして模型』については過去にネタバレ書評(レビュー)ありますね。
ちなみにタイトルにも深い意味が。
・『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、ドラマ感想を。
なかなか良かったですね。
今回も原作に比較するとアレンジされていましたが好印象でした。
ドラマ版だと四季が犀川に急を報せ萌絵を救ったとなりそうか。
そして、まさかの大御坊大活躍!!
あの役どころを大御坊が演じるとはなぁ。
設定を上手く活かした改変でしたね。
犀川と萌絵の距離も縮まり、萌絵が抱える傷の正体も明らかにされつつある。
次回への続き方としては、まさにベストの出来。
それと論理的アプローチが役立たないとした犀川ですが、実はこれが異なっており寺林には寺林なりの論理が働いていたことも本作のポイントでした。
そう言えば、タイトルの意味「数奇にして模型(好きにしてもOK)」もきちんと描かれていましたね。
ドラマ版の紀世都の方がより強調されていたかな。
ラストの模型の意味は「紀世都は犯人が誰か知っており、自身の結末を悟っていた」ことを示しています。
これを「数奇にして模型(好きにしてもOK)」とのタイトルで表現していました。
ちなみに、世津子ですが正確には「犀川の異母妹」にあたります。
この複雑な事情はあるシリーズをご覧頂ければ分かる筈。
それにしても、瀬戸地衣はどうなるのか……登場しないのかなぁ。
そう言えば『すべてがFになる』アニメ化も発表されています。
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!
それと今回のドラマ化はシリーズ第2弾『冷たい密室と博士たち』に始まり、第5弾『封印再度』、第1弾『すべてがFになる』、第9弾『数奇にして模型』、第10弾(最終巻)『有限と微小のパン』が予定されており、各話が前後編となるので全10回が予想されています。
そんな次回は「有限と微小のパン(前編)」。
一際異彩を放ったあの人が再来。
そのとき、犀川は……。
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【S&Mシリーズ】
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・「すべてがFになる」1話「冷たい密室と博士たち(前編)」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」2話「冷たい密室と博士たち(後編) 【暴かれる冷たい密室の謎と哀しき殺人者の記憶】」(10月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」3話「封印再度(前編) 【呪われた仏画師一族と家宝が眠る密室の殺人】」(11月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」4話「封印再度(後編) 【50年の時を超えた殺人と封印された真相】」(11月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」5話「すべてがFになる(前編)【天才博士が仕組んだ孤島の謎】」(11月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」6話「すべてがFになる(後編)【美しき狂気の殺人者】」(11月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」7話「数奇にして模型(前編)【孤独な模型マニアの狂気】」(12月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・超再現!ミステリー「巧妙なトリック暴け人気推理小説を超再現謎を解け&犯人は誰?超衝撃の2時間SP 大学内で連続殺人…美女が残した(秘)日記に謎を解くカギ…珍推理佐藤隆太スタジオ爆笑砂羽も紗栄子も超興奮」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・森ミステリィの名作「S&Mシリーズ」がフジテレビ系火曜21時枠にて連続ドラマ化!!タイトルは「すべてがFになる」に!!
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!
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こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ご質問について管理人なりの解釈になりますが……。
紀世都が萌絵に手紙を遺した理由は「紀世都が真犯人を知っており、それを誰かに伝えたかった」ことを示していると思われます。
ただし、紀世都自身はサブタイの通り寺林の行動を容認しており、それほど強く告発したいワケでもない。
あるいは紀世都殺害が終わるまでは寺林を止めたくない。
それであの些か遠回しな方法が採用されたと思っています。