ネタバレあります、注意!!
第4話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪してしまう。
ガイコツ:圭一を名乗る幽霊。蛍にしか見えない。
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。
校長:聖マルス学園の校長。
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一には現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。
前回、無事にりかを助け出した蛍。
ほっと一息つく間もなく新生活が始まった。
途中入学組になる蛍にとって「聖マルス学園」はまるで異文化。
担任教師・塞田康平が「あなたたちに殺し合いをしてもらいます」と掴みに例の映画のギャグを口にしても、蛍には何のことだか分からない。
周囲が笑う中で、1人ポカーン状態である。
そんな蛍を1人の女子生徒が見詰めていた。
屋内にも関わらず帽子を被った女子生徒の名は緑川楓。
楓は何かに気付いているようだが……。
休み時間になった。
クラスに馴染めない蛍はあたふたと逃げ出す羽目に。
飲み物を購入し溜息を吐く蛍。
そんな蛍に、その背後に立っていた圭一は「何故、蛍が聖マルス学園に進学したのか不思議だ」と洩らす。
圭一の問いに蛍は言葉に詰まる。
実は、蛍が聖マルス学園に進学した理由は圭一にあったのだ。
圭一失踪時、蛍たちは何度となく捜索してくれるよう依頼を出した。
ところが、担当者たちは同時期に発生していた大金持ちの事件を優先し圭一を無視してしまったのだ。
蛍はこのとき思ったのだ。
自分が偉くならなければ圭一は救えない、と。
だから、良家の子弟が通う「聖マルス学園」を選んだのであった。
とはいえ、これは圭一には絶対に秘密である。
と、蛍は物思いに耽っていたことと、新生活の気疲れから周囲への注意を怠っていた。
前方を歩く男性に衝突してしまう。
当然、蛍の手にあった飲み物は宙を舞い男性の服にヒット!!
派手に汚してしまう。
平謝りに謝る蛍。
さらに、今すぐ服を洗わないと……と洗濯を勧めるが。
相手の男性は激怒しながら「もういい!!」と歩き去ってしまった。
自身に非があるとはいえ、何が何やら困惑する蛍。
圭一は「この調子で大丈夫だろうか」と心配するが……。
とはいえ、蛍は苦労人。
最初こそ戸惑っていたが、数時間もすればクラスに溶け込み始めた。
そもそもコミュニケーション能力は高いのだ。
と、蛍は自身の失敗談として飲み物を零してしまった男性について口にする。
すると、クラスメートたちが顔色を変えた。
さらに、慌てて蛍の周りから逃げ出してしまう。
またもポカーンとなる蛍。
アレレ……と狼狽していたところ、りかが声をかけてきた。
りかは兄・高志と和解したことを嬉しそうに語る。
そんなりかに蛍は先程起こった出来事を説明。
すると、りかは事情を教えてくれた。
何でも蛍が出会った男性―――見場創太は学園内でもかなりの危険人物らしい。
過去、見場はイジメに遭っていたのだが、ある日を境に立場が一変したと言う。
気付けば見場は絶大な権力を有し、同じクラスで彼に歯向かうものは居ないのだそうだ。
その事情が分からない点も、他の生徒を怯えさせるのだそうだが……。
そんな蛍の様子を大きな目の怪物が凝視していた……。
数時間後、当の見場が蛍の前にやって来た。
見場は先の非礼を詫びると、謝罪の印に学園を案内したいと申し出る。
見場の提案に難色を示す蛍。
だが、見場は強引に押し切ると蛍を連れまわすことに。
これが数日続いた。
それから数日後、見場の件を除けば蛍の周囲は平穏そのものであった。
クラスでは一部からは牽制されていたが、りかを始めとした面々からは好意的に受け入れられていた。
ところが、校長から急な呼び出しを受けたのである。
緊張しつつ呼び出しに応じた蛍に、校長は思いも寄らないことを告げる。
なんと、蛍が見場を苛めているとの報告があったと言うのである。
しかも、このままでは退学処分を下されてしまう。
驚く蛍だが―――次話に続く。
いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
さて、その4話。
サブタイトルからもお分かりの通り、今回は「恐喝王」。
すなわち「シャーロック・ホームズ」でもお馴染み「恐喝王 ミルヴァートン」がテーマか。
おそらく、作中に登場した「目の怪物」は「相手を監視し弱味を握ろうとする」との「恐喝王」を示しているものか。
でもって、本作でそのポジションにあるのはズバリ「見場創太」。
もろ名前がミルヴァートンのもじりになってますし。
つまり、見場は恨みを抱いた相手に対し親しさを見せつつ弱味を握ろうとし、弱味を握れば其処を攻撃し屈服させているのでしょう。
だから、誰も彼に歯向かえない。
そして、今回は蛍がこの罠にかかった。
蛍の場合は途中入学組であり、その立場の弱さを見越してありもしないイジメを告発し学園追放を狙っているのでしょう。
果たして蛍はこれにどう対するのか!?
一方、物語の今後に関わるような点が2つ登場。
まず1つ目は「緑川楓」。
どうも、楓は圭一が見えているのではないか。
だとすると、蛍の仲間かあるいは敵か?
蛍が悪意を消す存在だとしたら、それを生み出す存在が居ても不思議ではない。
楓がそれに該当する可能性もある。
要注目のキャラだろう。
そして2つ目は「圭一の失踪と同時期に起こったお金持ちの事件」。
これも事件の根幹に関わっているような気がする。
正義感の強い圭一が自ら姿を消したとは思えない。
この事件に巻き込まれた可能性が高いのではないか。
だとすれば、この事件が「名探偵マーニーでのメカニック」的なポジションになるかも。
次回も見逃すなかれ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第1話「再会とはじまり」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第2話「もう1つの兄妹」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第3話「もう1つの兄妹2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪してしまう。
ガイコツ:圭一を名乗る幽霊。蛍にしか見えない。
【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。
校長:聖マルス学園の校長。
【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
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見場ですが、見方次第ではジュースの件は怒ったのではなく見られるなと警告し、その後はフレンドリーな態度を見せて「蛍は自分の敵じゃない」アピールともとれます
つまり、見場にはやり過ぎかつ歯止めが効かないガードマンがいる
しかし、見場は他人を傷つけたくないのに止められないか、正体がわからない
あの『目』は、見場を見守っているストーカーガードマン
ですが今は動機は不明
別雑誌だと見場はイケメンでしょうが、あるいは眼鏡を外すと実は…(笑)
でも、登場人物が少なくて容疑者がいないし、見場の(守られる)価値とか伏線がないからちょっと自分の推理に自信がないです
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
仰る通り、「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」は連続性があって楽しいですね。
物語全体を通じての謎がより明確になっていると思います。
そして見場の件。
なるほど「目の怪物」が見場以外の可能性もありますね。
それだと最初に見場が蛍を拒否しておきながら、急に親切にしていた理由も分かるし。
誰か第三者へのアピールだった、と。
だからこそ、蛍にとってかなり強引だった。
これで筋も通る。
管理人もご指摘の説の方が好みです。
これはサブタイ「恐喝王」と見場自身の名前に先入観を持たされたかなぁ……。