2014年12月10日

「なくした僕の心はどこにあるのか」(阿部共実作、講談社刊『週刊ヤングマガジン』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「なくした僕の心はどこにあるのか」(阿部共実作、講談社刊『週刊ヤングマガジン』掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

なんと、なんと……『空が灰色だから』で知られる阿部共実先生が『週刊ヤングマガジン』本誌に12ページからなる短編で登場!!
短編の名は「なくした僕の心はどこにあるのか」!!

当然、これを見逃せるワケもなし。
語るしかない!!

と言うワケで、実に『空が灰色だから』最終回より1年半ぶり、「ボクの憂鬱」からは1年ぶりの阿部共実先生作品のネタバレ批評(レビュー)です。

それにしても、これにより阿部共実先生は秋田書店、小学館、講談社の各雑誌に掲載を果たしたことになります。
こうなると、残るは集英社の雑誌に掲載を果たすことか……。
ファンは応援の手を緩めないように!!

<ネタバレあらすじ>

ワイワイと何やら話し合いながら教室へと入って来たのは女子高生の雫と副島。

此処は彼女たちが通う高校の教室。
遊び人風の雫と真面目な風貌の副島はタイプは異なれど親友である。

と、教室内は先客が居た。
冴えない男子同級生・山田だ。
山田は他に誰も居ない教室で空を眺めながらポエムを呟いていたのである。

突然の闖入者に驚きつつも、取り繕おうとする山田。
そんな山田を見た雫は副島が止めるのも聞かずからかい始める。

山田はそんな雫に反論しながらも視線を常に逸らしていた。
この様子に雫が気付いた。

さては……とばかりに「このスケベ」と責め立てる雫。
雫は山田が異性を意識しているからこそ目を合わせようとしないと思ったのだ。

この意図に気付いた山田は「俺は硬派なんだ」と主張する。
もちろん、視線は外したままである。

これを聞いた雫。
自身を恋愛経験豊富な猛者と称しつつ、山田の理性を揺さぶるべく攻撃を開始する。
「おっぱい、おっぱい、おっぱい」と連呼し続ける雫。

山田の頬がどんどん上気して行く。
やはり、山田は異性を強く意識していたからこそのあの態度だったのである。

これに何かを刺激された雫は山田への攻勢を強める。

「しりとりをしよう」と提案する雫。
もちろん、尋常なしりとりではない。

「おっぱい」からスタートしたしりとり。
山田が「インダス」と応じれば「○○○なおっぱい」と「しりとりの禁じ手」である「形容詞付」で返したのである。
これはすなわち、山田にとっては「い」から始まる言葉でしか回答できないことを意味していた。

だが、山田はこれを語彙の豊富さでクリアする。
その一方で雫の声に露骨に反応を示す山田。
その視線は導かれるように雫の胸へと……。

そんな山田に雫は「このスケベ」と繰り返す。

イチャイチャと続く山田と雫のやりとり。
これを傍で見ていた副島があることに気付いた。

からかっている筈の雫も、何やら汗をかいていたのである。
山田だけではなく、雫も動揺していたのだ。

「まさか、雫……」

副島の指摘に激しく動揺する雫。
だが、思い切ったように言い切る。

恋愛経験豊富と自称し遊び人のように思われていた雫。
ところが、雫は未だ誰とも交際したことが無い純真な少女であった。

思わぬカミングアウトに絶句する副島の前で、雫はさらに驚くべき行動を取る。

山田へと頭を下げると「友達から付き合ってください」と交際を申し込んだのだ。
実は雫、山田が好きだったのだ。
だからこそ、不器用ながらも自身に注目させようとからかったのだろう。
これに山田は……。

「こちらこそ」
あっさり応じることに。
実はこちらも取り繕ってはいたが異性への好奇心でいっぱいであった。

「なんだ、全然硬派じゃないじゃん」
副島のツッコミが入るも、当の本人たちは満足そうであった―――エンド。

<感想>

阿部共実先生の新作短編が『週刊ヤングマガジン』に掲載されました!!
その名も「なくした僕の心はどこにあるのか」。

12ページの短編ですが、あらすじをご覧になってお分かりの通り『空が灰色だから』のテイストを色濃く受け継いだ作品でした。

やっぱり、心に来るわ〜〜〜っ。

今回、中心となっているのは2人の男女。

1人は硬派を自称する山田君。
もう1人は遊び人を自称する雫ちゃん。

2人とも周囲の目を気にするあまり「本当の自分を表に出せない人々」。
すなわち、これこそがタイトルである「なくした僕の心はどこにあるのか」の意味。

さて、彼らの心はどこにあったか?

まずは山田君。
硬派を気取っていましたが、実は年頃相応に異性に興味津々。

そして雫ちゃん。
遊び人を気取っていましたが、実は恋愛経験なしの純情派乙女。
しかも、山田君ラヴ!!

そんな2人がカップルに。
それが2人の心の在処でした。

副島は立会人であり、読者と同じ立場。
上手くダシに使われた副島同様に読者の溜息も聞こえて来そうですね。

とはいえ、若いカップルに祝福あれ!!

管理人にとって久しぶりの阿部共実先生作品、今回も良かった。
阿部先生、各社制覇ももちろんのこと、4ページでも良いので『週刊少年チャンピオン』で本格的に連載して欲しいです!!

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