<あらすじ>
スーツケースを手にした西之園萌絵(武井咲)は、ナノクラフト社が運営する「ユーロパーク」に到着した。パーク内の貸別荘で犀川ゼミの旅行が計画されていたが、大株主である萌絵は前乗りしてナノクラフト社長の塙理生哉(城田優)と食事の約束をしていた。塙は現在のIT業界で一番の成功者と言われる人物で、かつて萌絵との縁談が浮上したこともあった。
事情を知った儀同世津子(臼田あさ美)は、犀川創平(綾野剛)に萌絵が心配ではないのか、と聞く。
萌絵を出迎えたのは、塙の秘書の新庄久美子(青山倫子)だった。久美子は萌絵をパーク内のホテルに案内すると、343と部屋番号の記された鍵を渡した。早速、部屋に入った萌絵は、電話の横のメモに書かれた不可思議なメッセージに目を留める。すぐに犀川に電話をし、それが自分の死を予告するものではないか、と話すが、犀川は単なるいたずらだから気にすることはないと答える。
塙との会食の時間になり、萌絵は久美子とエレベーターに乗り込む。久美子がエレベーターにカードキーを差し込むと、表示パネルにはなかった「B1」のボタンが現われた。地下にナノクラフトの研究施設があるが、その存在を知っているのは社内でも限られた人間だけだ、と久美子は話した。地下に着くと通路を歩き、さらに別のエレベーターで今度は1階に上がる。地上に戻ったと思いきや、エレベーターホールの外に出ると、そこは教会の内部だった。すると、塙が現われて…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
「ユーロパーク」はIT業界の雄・ナノクラフト社が運営する複合型アミューズメント施設。
その社長の塙と言えば、知らない者は居ない時代の寵児であった。
そんな「ユーロパーク」に萌絵の姿があった。
萌絵はナノクラフト社の大株主にして、社長の塙の元婚約者でもあったのだ。
萌絵としては塙は本来避けたい相手なのだが「ユーロパーク」が犀川ゼミの合宿先となったこともあって渋々足を運んでいたのである。
そんな萌絵の出迎えに現れたのは、塙の秘書・新庄久美子。
久美子の案内でホテルの343号室に部屋を取った萌絵。
ところが、其処で萌絵自身の死を予言するようなメモを発見する。
驚いた萌絵は犀川に連絡を入れるのだが……。
何故か、犀川は「忙しいから」と電話を切ってしまう。
犀川の態度に憮然とする萌絵。
ラウンジで自棄酒を煽ろうとしたところ、既に先客が居た。
ナノクラフトの社員・松本だ。
松本によれば「ユーロパーク」には騎士の亡霊が居るらしい。
先日も、男性が殺害されてしまったと言う。
ところが、その死体は消えてしまったそうだ。
冗談かと笑い飛ばそうとする萌絵だが、松本の様子は普通ではない。
其処に久美子が現れた。
塙が会食を申し込んで来たのだ。
萌絵はこれを受けることに。
久美子に連れられホテル内を移動する萌絵。
エレベーターに乗り込むと、パネルに隠されていた「B1」のボタンが表示される。
これはごく一部の者だけが知る秘密の場所らしい。
辿り着いた先は研究施設。
其処を抜けて今度は別のエレベーターで1階へ。
ようやく到着した先は教会であった。
と、目の前には殺害された男性の遺体が……先程の松本である。
何が何やら分からず、必死に外へと助けを求める萌絵。
人を呼び、警察に通報する。
その間に、教会の中から今度は久美子の悲鳴が!!
慌てて戻ってみると松本の遺体が消えていた。
久美子によれば松本の遺体が宙に浮き、ステンドグラスを割って消えたらしい。
そんな馬鹿な!!
絶句する萌絵だが、そんな彼女を嘲笑うかのように久美子が指差す先では実際にステンドグラスが割れていた。
松本の死体が消えてしまったのだ。
通報を受けて地元警察が到着した。
ショックを受けた様子の久美子は早々に自室に引き籠ってしまう。
萌絵は1人で事態を説明しようとするが、あまりにも非現実的過ぎて上手く説明出来る筈もない。
結局、久美子に改めての説明を求めるべくその部屋へ向かうのだが……。
なんと、中から久美子の悲鳴が!!
どうやら、何かが起こっているようだ。
慌てて刑事たちとともに萌絵が中に踏み込むと、胸を真っ赤に染めた久美子が倒れていた。
駆け寄った刑事は首を横に振る。
刑事によれば久美子の死因は刺殺。
だが、萌絵たちは確かに外で悲鳴を聞いて飛び込んだ。
当然、犯人に逃げ場はない。
犯人は何処に消えてしまったのか!?
さらに、久美子に案内を受けたエレベーターも存在が確認出来なかったと言う。
しかも、久美子の部屋には「バネと滝」と書かれたメモが置かれていた。
この意味は!?
自分が見たものは夢だったのだろうか……混乱する萌絵に救いの主が現れた。
犀川である。
密かに萌絵に接触した犀川。
犀川は萌絵の電話を受けて慌てて駆け付けたと言う。
電話でのつれない態度は何者かの盗聴を危惧してのことらしい。
犀川としては「ユーロパーク」に来ていることを伏せておきたいようだ。
犀川は萌絵の話を聞くと「まるで夢のようだ」と洩らす。
さらに、ある確信を深めたとも。
教会近くに49、萌絵の部屋番号343、久美子の部屋番号が2401。
そのすべてが7の累乗だったのだ。
すなわち、真賀田四季博士の存在である。
他にも犀川は「バネと滝」について触れる。
「バネ」と「滝」は英語に訳せば「スプリング」と「フォール」。
すなわち「春」と「秋」だ。
さらに、犀川は「ナノクラフト社製」のゲームに「夏」と「冬」を意味する謎かけを見出したと言う。
これで「春夏秋冬」が揃った―――つまり「四季」だ。
今回の事件には間違いなく真賀田四季が関わっている。
犀川は四季から逃げるべきだと訴えるが、萌絵は「対決すべき」と主張する。
その頃、塙は四季と対話していた。
「西之園さん、最期はどんな顔をするでしょう?」
尋ねる塙に四季は「神以外に物語は止められない」と告げるが―――。
一方、犀川は「重要なことは不可能な事件が実際に起こったことだ」と語っていた。
それこそが事件のポイントらしい。
自身の存在を隠し、萌絵を陰ながら監視することにした犀川。
その胸中に「もしかして萌絵は両親を追い死を望んでいるのではないか」との不安が過る。
数時間後、萌絵は塙と対峙していた。
四季の居所を問う萌絵に「素晴らしい」と応じる塙。
早くも四季の存在に気付いたことを評しているのだ。
萌絵の力を改めて知った塙は「公私共にパートナーになって欲しい」と訴える。
これを拒否した萌絵であったが、塙から差し出された飲み物を無防備に口にしてしまい意識を失ってしまう。
次に萌絵が目覚めたとき、其処はあの教会であった。
見上げれば四季が立っており、天井のステンドグラスは何時の間にか元通りになっていた。
四季は萌絵に対し「あなたが生きるこの世界は本当に現実なのかしら?」と迫る。
萌絵のトラウマ、それは両親の事故死を目の当たりにしたことであった。
衝撃を受けた萌絵は自らの世界に閉じ籠ってしまった。
果たして、萌絵は本当に犀川の教え子になっているのだろうか?
それすらも、両親の死にショックを受けた萌絵の妄想ではないのか?
萌絵の精神の均衡が揺らいで行く。
人類が求めるのはその日のパンか、それとも歴史の全てか―――。
問う四季に萌絵は―――最終話(10話)「有限と微小のパン(後編)」に続く。
<感想>
ドラマ原作は森博嗣先生「S&Mシリーズ」。
そして、今回はシリーズ第10弾にして最終作『有限と微小のパン』のドラマ化でした。
原作『有限と微小のパン』については過去にネタバレ書評(レビュー)ありますね。
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、ドラマ感想を。
物凄く良かったです!!
まさにクライマックスの盛り上がり。
『有限と微小のパン』、まさか此処までドラマ化に映える作品だったとは……いや、本当に面白かった。
些か駆け足気味の展開も萌絵自身の不安定さを表現しているようで良し。
そして、萌絵は行動的な割に守られ型ヒロインであることが良く分かる回でしたね。
本作に関しては「現実感に欠ける」との評は批判に当たらない。
むしろ、それが正当な高評価に繋がる作品です。
なにしろ、それこそが……。
その意味は―――後編を視聴するべし!!
そして、後編に繋がる謎とその解のすべては、あらすじ中に盛り込まれています。
ポイントは「胸を真っ赤に染めた久美子」の描写あたりかな。
さらに分かり易く、敢えて刑事さんたちの名前は省略しています。
これは、すなわち彼らが作中では記号に過ぎないことを示しています。
でもって、舞台は「ユーロパーク」。
これに四季が関わっているとなれば……。
ただ、もう1人の意志が介在していることで複雑化しているのが重要な点です。
1つ指摘しておくと、すべてが塙の狙い通りに進んでいるワケではありません。
四季は真相を知りつつ見守っています。
それと萌絵に衝撃を与える四季。
その狙いとは!?
これも後編で明かされます。
最終回となる「有限と微小のパン(後編)」見逃すな!!
そう言えば『すべてがFになる』アニメ化も発表されています。
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!
それと今回のドラマ化はシリーズ第2弾『冷たい密室と博士たち』に始まり、第5弾『封印再度』、第1弾『すべてがFになる』、第9弾『数奇にして模型』、第10弾(最終巻)『有限と微小のパン』が予定されており、各話が前後編となるので全10回が予想されています。
そんな次回は「有限と微小のパン(後編)」。
一際異彩を放ったあの人が再来。
そのとき、犀川は……。
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【S&Mシリーズ】
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・「すべてがFになる」1話「冷たい密室と博士たち(前編)」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」2話「冷たい密室と博士たち(後編) 【暴かれる冷たい密室の謎と哀しき殺人者の記憶】」(10月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」3話「封印再度(前編) 【呪われた仏画師一族と家宝が眠る密室の殺人】」(11月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」4話「封印再度(後編) 【50年の時を超えた殺人と封印された真相】」(11月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」5話「すべてがFになる(前編)【天才博士が仕組んだ孤島の謎】」(11月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」6話「すべてがFになる(後編)【美しき狂気の殺人者】」(11月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」7話「数奇にして模型(前編)【孤独な模型マニアの狂気】」(12月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」8話「数奇にして模型(後編)【殺人者の異常な愛情】」(12月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・超再現!ミステリー「巧妙なトリック暴け人気推理小説を超再現謎を解け&犯人は誰?超衝撃の2時間SP 大学内で連続殺人…美女が残した(秘)日記に謎を解くカギ…珍推理佐藤隆太スタジオ爆笑砂羽も紗栄子も超興奮」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・森ミステリィの名作「S&Mシリーズ」がフジテレビ系火曜21時枠にて連続ドラマ化!!タイトルは「すべてがFになる」に!!
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!
【関連する記事】
- 「歴史紀行バラエティー GOSISON 三国志・英雄たちの子孫」(5月4日放送)..
- 「僕のヤバイ妻」3話「魔女の新たなる罠!戦慄の夫婦生活の果ての殺人!?」(5月3..
- 木曜ミステリー「警視庁捜査一課長」3話(4月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)..
- 木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」第2話(4月28日放送)ネタバレ批評..
- 「僕のヤバイ妻」2話(4月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」第1話(4月21日放送)ネタバレ批評..
- 土曜ドラマ「64(ロクヨン)」最終話(第5話)「指」(5月16日、5月22日放送..
- 「僕のヤバイ妻」1話「妻殺しを計画した不倫夫、妻を誘拐される!?」(4月19日放..
- 「スペシャリスト」最終話(10話)(3月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」最終話(10話)「チーム解散!・最後の敵は最強の毒..
- 「スペシャリスト」9話(3月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」9話「資産家殺害!犯人は家政婦か娘か?」(3月9日..
- 「スペシャリスト」8話(3月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」8話「仲間が逮捕!?殺された暴行犯の謎」(3月2日..
- 「スペシャリスト」7話(2月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」7話「宿命の2人…明かされる衝撃の真実」(2月24..
- 「スペシャリスト」6話(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」6話「明かされる秘密!父を殺した男の謎」(2月17..
- 「スペシャリスト」5話(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」5話「嫉妬と羨望…天才バレリーナの悲劇」(2月10..