<あらすじ>
検察を辞めて弁護士に転身した葵あかね(賀来千香子)のアシスタントとして働く桜井花子(須藤温子)の友人、井原綾(木内晶子)が嶋田秋俊(石田登星)殺害容疑で逮捕される。綾と嶋田は業界最大手のネット通販会社『クローバー』の社員同士。嶋田には妻子があり不倫の関係だった二人は、半年ほど前から毎週金曜の夜、ホテルの部屋で会うようになっていた。嶋田は、その部屋で撲殺。凶器を手にした綾がホテルマンに発見され逮捕に至った。
綾は犯行を否認。部屋に到着した時点で嶋田は倒れており、自分も何者かに襲われ意識を失ったと主張する。だが、綾が覚えていたのは薄れゆく意識の中で見た男物の靴だけで、警察は取り合わない。花子から懇願され綾の弁護を引き受けたあかねは、その男の存在を証明するため調査を始める。
あかねはまず、嶋田の家を訪ねる。妻の夏恵(中島ひろ子)はあかねへの嫌悪感を隠さず、門前払い。娘の美桜(黒川智花)も冷たく追い払う。嶋田と夏恵は再婚。母親を裏切った嶋田を美桜は許せないのだ。
次に二人の勤務先『クローバー』を訪ねたあかねは、社内にリストラの噂があること、社長の三木武史(国広富之)はワンマン経営者で社員の反発も少なくないこと、その三木から嶋田が頻繁に呼び出され何らかのプロジェクトを進めていたことなどの情報を入手する。また、嶋田のデスクにあった家族写真の裏から、謎の数字が書かれたメモが発見される。
翌日、クローバーに顧客情報漏えいの疑惑が浮上する。その一報がテレビで流れるや否や、堺虎之助(泉谷しげる)があかねに接触してくる。個人情報を流出させた企業を相手に原告団を結成し、集団訴訟でがっぽり儲けようと算段していた虎之助は、クローバーから顧客情報が漏れている決定的証拠をすでに手にしていた。漏えいの数は20万人分。さすがに一人では手に負えないと、虎之助はあかねに協力を求めるが、今のあかねの依頼人は綾。虎之助には貴重な情報に対する礼だけを返し、さっそく綾の事件に情報漏えい問題が絡んでいないか探る。すると、嶋田は三木から、顧客情報を漏らした人物を特定する指示を受けていたとの筋書きが見えてきた。クローバーは業界最大手の大企業。一人で、しかも内密に調べるには限界があるだろう。そう考えたあかねは、嶋田に協力者がいたのではと推理。綾に訊くと、それは嶋田の部下で大学時代の後輩でもあった小早川純平(河相我聞)ではないかと言う。あかねはさっそく小早川と面会。しかし、その時の応対に違和感を抱いたあかねは小早川について調査。すると、さまざまな疑惑が浮上した上に、嶋田が殺害された日のホテルの防犯カメラ映像に、小早川が映っていたことが判明する…!
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)
葵あかねは検事から弁護士に転身した、いわゆる「ヤメ検」である。
あかねは弱者救済をモットーに今日も多くの人々を救っている。
あかねの今回の依頼者は井原綾。
綾はネット通販業界の最大手「クローバー」の社員。
そして、あかねの助手である桜井花子の友人でもあったのだ。
そんな綾が被告にされた事件、それは嶋田秋俊殺人事件。
嶋田も綾と同じ「クローバー」の社員で妻子があったが、2人は愛し合っていた。
そう、嶋田と綾は不倫関係にあったのだ。
2人は半年ほど前から毎週金曜の夜にホテルの一室で密会を繰り返していた。
ところが、嶋田がその部屋で撲殺されたのである。
こうして、綾に容疑が向かったのだ。
これに対し、綾は犯行を否認。
部屋に到着した時点で嶋田が殺害されており、自身も何者かに襲われ意識を失ったと述べる。
しかし、綾は襲撃者の顔を覚えていない。
かなり不利な状況であった。
あかねは嶋田周辺から調査を開始。
だが、妻の夏恵も娘の美桜も何も語ろうとしない。
実は嶋田と夏恵は3年前に結婚した間柄。
美桜は夏恵の連れ子だったのだ。
まったく嶋田に懐いていなかったのである。
美桜はピアニストとして将来を嘱望されており、この成功の為に多額の金が必要であった。
どうやら、夏恵はこの金目当てで嶋田と結婚したらしい。
今では、美桜は雑誌に写真が掲載されるほどになっていた。
情報を求めて「クローバー」を訪れたあかね。
「クローバー」はワンマンで知られる社長・三木武史と常務・飯島誠治の対立が激化していた。
そんな中、大規模なリストラが進められていたことが分かる。
もしかして、この担当者が嶋田だったのでは!?
それだったら、殺害された動機も説明がつくじゃん!?
きっと、リストラされた社員が恨んでの犯行なんだよ。
と思いきや、嶋田が担当者ではなかったことがあっさりと判明。
続いて、嶋田が顧客情報流出事件を追っていたらしいとの情報が飛び込んで来る。
矢先、嶋田のデスクにあった夏恵らとの家族写真から8ケタの数字が見つかる。
あかねは「9月8日20時29分」と読み解き、顧客情報が持ち出しされた時間に違いないと考える。
やはり、嶋田は顧客情報流出事件を追っていたのか?
そんな中、匿名の告発により「クローバー」の顧客情報流出が報道され始める。
堺虎之助はあかねを呼び出すと「クローバー」への訴訟に手を貸すよう依頼する。
何でも、堺は漏洩した1万人分のリストを既に手に入れているようだ。
顧客情報流出は間違いないことらしい。
嶋田が複数回接触していた人物の存在が浮上。
嶋田の後輩・小早川純平である。
ところが、小早川は綾のストーカーであった。
しかも、嶋田殺害時にホテルに居たのである。
こうして、小早川が容疑の筆頭に。
綾によれば、小早川のストーカー行為に困った為に営業部の江崎部長に相談を持ちかけたところ、事態が解決したとのこと。
江崎部長は飯島派の人間である。
反面、嶋田は三木派の人間。
何かある―――と考えるあかね。
その数日後、「クローバー」内でクーデターが発生。
顧客情報流出を理由に飯島が三木を解任し、後任の社長の座を得たのだ。
あかねは小早川を訪ね、綾を助けたいので真実を明かして欲しいと依頼。
これに小早川は事情を明かす。
綾が江崎にストーカー行為について相談したことで、小早川は飯島たちから処分されたくなければ「顧客情報」を盗み出すよう命令されたらしい。
これを実行した小早川。
だが、情報は盗み出されたものの、外部には流出していないらしい。
あくまで盗難され事実により三木を解任するのが目的だったと言う。
あの日、ホテルに向かったのは嶋田に真相を伝える為だったそうである。
もちろん、殺害への関与は否定する。
その頃、ホテル周辺の防犯カメラ映像から「頬に傷のある男」が浮上。
調べたところ、神戸出身の相原努と判明する。
直後、相原が何者かに殺害されてしまう。
その死に秘密があると考えたあかねは神戸へ。
相原は震災で妻子を失ったと周囲に洩らしていたらしい。
しかも、相原が上京したきっかけが美桜が掲載された記事にあったことも判明する。
これを聞いたあかねは真相を察する。
あかねは夏恵を呼び出した。
呼び出された夏恵は拍子抜けするほどあっさりと全てを語り出す。
実は夏恵も神戸の出身。
夏恵には誰とも知れぬ男との間に美桜が生まれていた。
ところが、其処に震災がやって来た。
本物の美桜は家具の下敷きになり死亡してしまう。
そんな中、被災直後の相原が連れていた赤ん坊に目が向いたのだ。
妻を亡くしたばかりで気が立っていた相原は赤ん坊を怒鳴りつけていた。
その様子を見ていた夏恵は赤ん坊を美桜と呼び、連れ去ってしまう。
そして、連れ去った赤ん坊を美桜として育てたのである。
ところが、相原が成長した美桜に気付いた。
嶋田を殺害したのは相原であった。
相原は美桜が誘拐された娘だと主張し嶋田を脅迫したのだ。
これに嶋田は200万円を用意したが、相原は不服とし嶋田を殺害してしまったのである。
数日後、相原は夏恵を呼び出し嶋田の生命保険を全額寄越すように迫った。
さらに、今後の美桜の稼ぎを譲れとまで主張した。
なんやねん、それは!!
夏恵はキレた。
そして「えいやぁっ!!」の掛け声と共に相原を殺害することに。
あかねは「夏恵の犯行自体は許せないが、美桜への愛情は本物だった」と何故か妙な評価を下し場をまとめるのだった―――エンド。
<感想>
「ヤメ検の女」シリーズ第5弾。原作なしオリジナル作品です。
前作は2013年12月21日に放送されており、1年ぶりの放送となった本作。
シリーズ過去作はネタバレ批評(レビュー)ありますね。
興味のある方は過去記事をどうぞ!!
早速、感想を。
美談ぶってるけど、全然良い話じゃないなぁ……。
夏恵は1人の女児を誘拐してるし、その実父を殺害しちゃってるし。
摩り替えが成立している以上、本物の美桜は弔われていないワケだし。
そもそも、父親の居る幼児を連れて行く必要があったのか。
震災で両親を共に亡くした子供では駄目だったのか。
なんで、これが「良い話」テイストでまとめられているのだろうか……理解に苦しむ。
そして夏恵と美桜が嶋田の不倫を責めていたが、果たしてそれは正しいのか?
「嶋田が不倫したから夏恵たちが嫌悪感を抱いた」のではなく、そもそも「夏恵たちがピアノ資金の為だけに嶋田と結婚し、それに気付いた嶋田の気持ちが離れたから不倫した」のかもしれないではないか。
卵か先か、鶏が先かは不明だが、少なくともあの状況下では不倫しても不思議ではない。
何しろ、家庭での優先順位がピアノ以下にされちゃなぁ……。
嶋田は何か、あの母娘にとっては金を稼いで来る機械なのか。
それでも健気に相原に200万円も支払おうとした嶋田。
そして、金額が不服であっさり殺害されてしまう。
どこまでも悲惨である。
嶋田自身は家族写真まで大切に飾っていたのに。
そもそも、夏恵との結婚は大失敗だろ。
夏恵は完全に金目当てだぞ。
それにより、嶋田は命まで奪われてしまった。
2年半ほど待って綾と結婚していれば、こんなことにはならなかったのだ。
何で早まって夏恵と結婚してしまったのだ嶋田……。
嶋田の両親は夏恵母娘に対し怒っても良い。
ちなみに、今回の「クローバー」関連全般こそが「相棒13」9話で言われていた「サイドストーリー」だな。
此の点で佳枝の言葉に偽りはない。
別にカットしても本筋に影響はない。
やっぱり、あの回の佳枝たちの立ち位置はそもそも「サイド」じゃなくて完全に「メイン」だよなぁ。
そして、此処で本作最大の謎が残された。
堺が所有していた1万人分の顧客リストは何処から洩れたのだろうか……。
小早川によれば流出の事実は存在していないそうである。
では、あのリストは何だったのか。
全く別の会社の顧客情報が偽装されたものだったのか?
それとも、また別ルートで流出していたのか?
いずれにしろ、三木を追ったものの飯島にも説明責任が生じると思うのだが大丈夫なのか!?
この謎の解は何処にあるのだろうか!?
教えてよ、あかね先生!!
そして、相変わらず優秀な花ちゃん。
もしかするとあかねよりも有能なのではないか。
あかねの躍進は、あかね自身の努力はもちろん、花ちゃんあっての物なんだろうなぁ……。
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「ヤメ検の女」(11月14日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「『ヤメ検の女2』殺人を隠蔽する検察!?夫は自殺じゃない!権力に塗り替えられた真実・・・謎のペンダントに隠された哀しい過去 」(2月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「『ヤメ検の女(3)』検察を辞めた情熱弁護士!父を殺された難病少女を救え!死者が残したメッセージ“うして”の謎!?連続殺人の闇・・・」(7月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「ヤメ検の女(4) 検察を辞めた情熱弁護士!半落ち!?動機を語らぬ犯人!消えた指紋の謎 遺留品に潜む復讐殺人の罠?愛娘に迫る死のタイムリミット」(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
葵あかね:賀来千香子
葵健介:温水洋一
桜井花子:須藤温子
野瀬剛史:市川知宏
嶋田夏恵:中島ひろ子
嶋田美桜:黒川智花
小早川純平:河相我聞
井原綾:木内晶子
飯島誠治:新井康弘
金子修:城咲仁
嶋田秋俊:石田登星
江崎功:芦川誠
相原努:斎藤歩
高岡宗一:中西良太
三木武史:国広富之
堺虎之助:泉谷しげる ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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美桜のピアニストの才能を引き出せたのは夏恵が攫ったからなんですよね。
夏恵が美桜を攫わずに相原の元にいたら、
美桜はピアニストにはなれずに終わったでしょうし。
娘である美桜には一切罪はないんですよ。
あのまま相原の元にいたら悲惨な人生だったかもしれない。
しかし美桜は結果的に育ての親は殺人犯として逮捕、
実父も殺された上に恐喝殺人犯というもっと悲惨極まりない結末に…。
その相原も元からゲスだったのか、妻を亡くし娘も攫われたから
殺人と恐喝をするようになったのかは解りませんし。
何だか相原は夏恵を良い人扱いにする為に
強引に作中で悪人に仕立て上げられたとしか思えません。
この辺りもっと自然に納得が行くようにしてほしかったですね。
一部ちょっと理解できないとこがあり、コメントされました。
最後の方で、
数日後、嶋田は相原の生命保険と美桜の稼ぎを要求するようになったというような文がありましたが、嶋田と相原が逆ではないでしょうか?
それだとスムーズに内容が理解できるのですが…
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:翔丸さん
ご指摘の通り。
確かに夏恵だったからこそ、美桜が救われた部分があるのも事実。
その上で、些かモヤモヤが残る印象。
例えば、美桜がピアニストになったのは本当に彼女自身の純粋な意志だったのか、其処に夏恵の意志が介在していないかが気になります。
夏恵は本当に美桜への愛の為にその行動を取ったのだろうか、実はピアニストにする為だけに子供を欲したのではないか……とすら思える。
だとすれば、実は夏恵の美桜への態度は嶋田へのソレと同じなのかもしれません。
このモヤモヤの原因もまさにご指摘の通り。
夏恵の美桜に対しての行動がほぼ何の反証も無く肯定されているのが原因のような気がします。
ある程度、反証された上で肯定されれば別の視方も出来たのかも。
Re:美桜さん
ああっ、その箇所は仰る通り相原と嶋田が逆ですね。
正しくは次の通りになります。
誤:嶋田は夏恵を呼び出し相原の〜
正:相原は夏恵を呼び出し嶋田の〜
早速、訂正しますね。
ご指摘頂き感謝です(^O^)/!!