登場人物一覧:
英玖保嘉門:往年の名探偵、引退を考えていたが……。ポアロポジション。
朝倉平助:英玖保の元助手、ブラジルから帰国した。ヘイスティングズポジション。
馬老大人:華僑の元締。英玖保の依頼人。
加藤警部:地元の警部。
バーバラ・アレン:被害者。
プレンダーリース:バーバラと同居していた女性。
西喜一郎:バーバラの婚約者。
ユースタス:バーバラの元夫。貿易商。
<2話あらすじ>
・1話はこちら。
「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第1話(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
バーバラ・アレンが自室で死亡した。
一見、自殺の状況。
だが、其処には何者かによる作為の痕跡が残されていた。
この事件に興味を抱いた英玖保嘉門は探偵業引退を撤回し捜査に乗り出す。
まずは、バーバラの同居人にして第一発見者であるプレンダーリース女史への聴取である。
些かお調子者の気がある朝倉はプレンダーリース女史が美人と聞くや相好を崩す。
早速、プレンダーリースと面会した英玖保たち。
朝倉は噂に違わぬ美女ぶりにデレデレだ。
そんな朝倉の前で、プレンダーリースは無造作に煙草に火を点けると紫煙を燻らせながら死体発見時の状況について語り出した。
プレンダーリース女史は桜木町のバー「ピエタテール」のホステス。
仕事を終え朝一番で戻って来たところ、バーバラの部屋をノックしても返事が無い。
見れば鍵もかかっているようだ。
其処で警察に通報し、部屋の中を覗いたところ死亡していたらしい。
バーバラを亡くしたことについて励ます朝倉。
しかし、プレンダーリース女史はにべもない。
どうやら、バーバラとは余り仲が良くなかったようだ。
プレンダーリース女史によればバーバラとは3年前に旅先の京都で出会ったそうだ。
異郷の地で出会った同朋に親しみを感じたプレンダーリース女史が同居を持ちかけたらしい。
ところが、いざ同居してみるとバーバラは掃除、洗濯、料理と何も出来ない。
仕事もしないバーバラに、プレンダーリース女史は内心業を煮やしていたようだ。
(なんて冷たい人なんだ……)
バーバラを突き放したようなプレンダーリース女史の言葉に絶句する朝倉。
そんな朝倉に英玖保は「バーバラの異性関係を問う」よう指示する。
これにプレンダーリース女史は「バーバラに婚約者が居た」ことを明かす。
婚約者の名は西喜一郎、職業は役人だそうだ。
だが、西には3日前から海外に出張中でアリバイがあった。
他に1年程前からバーバラと頻繁に密会していた男が居たそうである。
男は馬車道で貿易商を営んでいるらしい。
その貿易商の名はユースタス。
加藤警部はこの男を疑っている様子であった。
それもその筈、バーバラとユースタスは元夫婦。
しかも、バーバラからユースタスにあて毎月多額の金が振り込まれていたのだ。
どうやら、ユースタスはバーバラと西が婚約していることを突き止め、過去にあった自分との関係をもとに脅迫していたらしい。
一方、英玖保はと言えばユースタスには目もくれず、バーバラの遺留品を丹念に調べていた。
例えば、バーバラとプレンダーリース女史が暮らす家の物置だ。
其処にはテニスラケットが2つ。
さらに、ゴルフバッグ。
それと、トランクが置かれていた。
トランクの中身に注目する英玖保。
中には古い婦人雑誌が2冊収められていた。
ユースタス犯人説に固執する加藤警部を残し、屋外へと足を運ぶ英玖保と朝倉。
特に手掛かりは無かったと洩らす朝倉だが……。
英玖保はそんな朝倉を「何を見ていたのか!!」と一喝する。
どうやら、英玖保は事の真相を看破したようである―――3話に続く。
<感想>
エルキュール・ポワロが名探偵・英玖保嘉門として我々ファンの前に再臨しました!!
この英玖保嘉門、まさにポアロそのものの容姿です。
そして、その助手である朝倉もまた、まさに和製ヘイスティングズとの風貌。
これはかなり期待出来そうな作品ではないでしょうか。
2話にして思うのですが、やはり本作は原作のテイストを上手く活かしている印象ですね。
例えば登場人物がそう。
バーバラとプレンダーリース女史、ユースタスと言った登場人物名は原作である『厩舎街の殺人』に従ってます。
そして、西喜一郎は原作のウエストからか。
他にも、原作でのガイ・フォークス・ナイトを春節の爆竹に翻案してたし上手いアレンジです。
そう言えば、ポアロが南瓜づくりに専念しようとしたエピソードやヘイスティングズのブラジル農園のくだりなど、ファンにとってはニヤリとするエピソードも登場。
此の点も喜ばせましたね。
基本原作準拠の本作。
となると……結末もほぼ原作に沿う形になりそうです。
ポイントはプレンダーリース女史の行動。
どう考えても、朝一番にドアをノックして出て来なかったからと通報はしないでしょう。
バーバラが寝入っている可能性を考えるべきです。
そもそも、朝一番に訪れたのも奇妙。
さて、このプレンダーリース女史の行動が示すものとは!?
とはいえ、此処からが一筋縄ではいきません。
もう一捻りが待っている筈。
果たして英玖保が辿り着いた真相とは!!
そして、続く『ABC殺人事件』編も期待大!!
そんな本作ですが今回の原作は『厩舎街の殺人』と『ABC殺人事件』の2作。
中でもバーバラ・アレンの死については『厩舎街の殺人』から。
ちなみに『厩舎街の殺人』は早川書房『死人の鏡』収録作品なので興味のある方はチェックするべし!!
そうそう、ポアロと言えば2015年には三谷幸喜先生版「オリエント急行の殺人」も放送予定。
こちらでのポアロポジションは「勝呂武尊」だそうです。
・アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』が初の邦版翻案ドラマ化!!その名は「オリエント急行殺人事件」!!
過去には赤冨士鷹も居ましたし、今度は勝呂武尊に英玖保嘉門とポアロこそ、まさに八面六臂の活躍を示す怪人物となりつつあるようです。
同時にこれはシャーロック・ホームズに続くエルキュール・ポアロブーム到来の兆しか!?
それを証明するように「カフェ・ポアロ」も期間限定オープン。
さらに幻のシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』も2015年1月9日に発売!!
・2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!
・やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!
ポアロシリーズと言えば、公式に正統続編として認められた『モノグラム殺人事件』もあります。
ファンはチェックせよ!!
◆関連過去記事
・「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第1話(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
【書評(レビュー)】
・「ホロー荘の殺人」ネタバレ書評(レビュー)
「ホロー荘の殺人」(アガサ・クリスティー著、中村能三訳、早川書房刊)
・『オリエント急行の殺人』(アガサ・クリスティー著・山本やよい訳 、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ポアロシリーズ最終作「カーテン」ネタバレ書評(レビュー)はこちらから。
「カーテン」(アガサ・クリスティー著・中村能三訳 、ハヤカワ書房刊)
・「ねじれた家」(アガサ・クリスティ著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)
【映画化関連情報】
・【速報】ミス・マープルものがディズニーで映画化されるとのこと!!
・アガサ・クリスティ原作「ねじれた家(Crooked House)」が映画化!!
・アガサ・クリスティー原作映画「ねじれた家」キャスト発表!!
・シュワちゃんがアガサ・クリスティ原作映画に出演!?「そして(敵が)誰もいなくなった」な映画のタイトルは「サボタージュ(原題)」!!
・映画「オリエント急行殺人事件」がリメイクとのこと!!
【イベントその他】
・アガサ・クリスティー生誕120年展覧会開催中!!
・金沢にてアガサ・クリスティー原作「検察側の証人」舞台上演決定!!
・舞台「検察側の証人」東京公演決定!!
・「名探偵ポワロ」ニュー・シーズン DVD-BOX3は2010年12月3日発売開始!!
・アガサ・クリスティ「ポアロにうんざり」発言にファン「え〜〜〜っ!!」と叫ぶ
・「ザ・リッツ・カールトン大阪」にて「アガサ・クリスティー ナイト」開催!!
・【注目】「アガサ・クリスティ大事典」が話題に
・「名探偵ポワロ DVDコレクション」刊行中!!
・アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』が初の邦版翻案ドラマ化!!その名は「オリエント急行殺人事件」!!
・2014年の今もポアロシリーズ続編が刊行されていた!?その名も『モノグラム殺人事件』(早川書房刊)に注目せよ!!
・2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!
・やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!
アガサ・クリスティを語るには下記の3作は必須!!
是非、この機会に一読を!!
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