2015年01月08日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「被害者、加害者、目撃者」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「被害者、加害者、目撃者」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

清川:立樹の母方の祖父。立樹が通う高校の理事長。

耳下花男:鞄の持ち主を主張する男性。
眉口瞳:鞄の持ち主を主張する女性。

<91話あらすじ>

清川と共に初詣に訪れた森羅と立樹。
森羅が「お雑煮」に心を躍らせる中、立樹は「ある光景」を目撃してしまう。

人波から外れた境内の森の中で、何やら2人が揉めているのだ。
どうも鞄を中心に取り合いをしているようである。

「放して」と叫ぶ女性の声に立樹は我に返り現場に駆け付けた。
ところが……其処には誰も居ない。
ただ、中央にポツンと鞄が落ちていた。

引ったくりの可能性を思い浮かべた立樹は警察に通報。
直後、自分こそが鞄の主だと名乗る男性が現れる。

男の名は耳下花男。
鞄の持ち主である証拠に男物の財布に3000円が入っていると言う。

ところが、もう1人持ち主を名乗る女性が現れた。

女性の名は眉口瞳。
鞄の持ち主である証拠に女性用のポーチが入っていると言う。

鞄の中身を確認すれば、いずれが持ち主かはすぐに明らかになると思われたが……。

なんと、鞄の中には「男物の財布に入った3000円」と「女性用のポーチ」が共に入っていたのである。
これに対し、耳下は「ポーチは同棲中の彼女のもの」、瞳は「男物の財布は父からプレゼントされたもの」と主張する。
これではどちらが持ち主か分からない。

其処で別々に鞄が本人である証拠を告げさせることに。
ところが、これも上手く行かない。
なんと、共に「鞄の持ち手に傷がある」と主張し実際に確認されたのである。

なんとも不可解な状況に立樹は森羅に意見を求める。
ところが森羅はどうにもやる気がない様子。
ただ、2人が隠し事をしていることを明かす。

この森羅の助言に沿い、改めて2人から事情を聞いたところ意外な事実が発覚する。
なんと、2人は元恋人だったのである。

まず、耳下の供述はこうだ。

耳下は教育課程を勉強中の苦学生。
常にバイトに追われる身だそうだ。
瞳とは同棲していたのだが、そんな耳下に瞳が愛想を尽かし部屋から追い出されたのだと言う。
今では、別の同級生の女性と同棲しているらしい。

続いて、瞳の供述はこうだ。

確かに耳下は教育課程の学生。
だが、苦学生どころか遊び呆けては瞳から金を無心していた。
最近では、勝手に財布から金を盗んでいたらしい。
これについては黙認していたのだが……。
先日になって帰宅したところ耳下の浮気現場に遭遇。
堪忍袋の緒が切れた為に、パンツ一丁の裸で追い出したらしい。

共に一歩も退かない耳下と瞳。
これを聞いていた森羅は「どちらでもいいよ」と全くやる気を見せない。
結局、その場は耳下も瞳も引き下がることとなった。

納得がいかない様子の立樹は森羅の怠慢ぶりを責めるが……。
森羅は既に手を打っていると言う。

それから数時間後、銀行のCD機前に現れた耳下が身柄を確保された。
これを聞いた森羅は今回の事件について語り出した。

森羅は早々に鞄の持ち主を判断していたらしい。
ポイントは2つ。

まず、耳下が「財布に3000円入っていた」と断言したこと。
一度は奪われた鞄である。
金額が3000円だと断言出来たのは犯人が手を付けていないことを知っていたからである。

そして、何より鞄の中身だ。
ポーチの中は化粧品であった。
その口紅の色が瞳のものと同じだったのだ。

耳下の狙いは瞳のキャッシュカードだった。
耳下は同級生の彼女との浮気現場をわざと瞳に目撃させパンツ一丁で追い出させた。
此の時点で、耳下は何も持っていない。
だが、その少し前に鞄に瞳のキャッシュカードを隠していたのだ。
そしてタイミングを計って瞳から鞄を奪おうとした。
この際にキャッシュカードを入手すると鞄はすぐに瞳に返却する。
そうすれば、瞳は鞄の中の財布やポーチを確認し「何も盗られていない」と安心する筈だ。
それこそが耳下の計画だったのである―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2015年2月号掲載「91話 被害者、加害者、目撃者」です。

今回のキャラ名は「顔の部位」ですね。
「耳」「下(舌)」「花(鼻)」男と「眉」「口」「瞳」。
おそらく年始1回目で「福笑い」からの連想でのネーミングかな!?
なかなかの遊び心です。

ちなみに内容ですが、謎それ自体や導入部分は物凄く魅力的なんだけど、結末に問題があるかなぁ。

耳下は「瞳に耳下がキャッシュカードを盗み出したことを気付かれない為にトリックを弄した」ワケです。
だが、このキャッシュカードが何時盗み出された物か確認を取っていない限りは同棲時に耳下が持ち出した可能性は何処までも残るワケで……ほぼ犯行は無意味。
さらに、確認を取っている限りは犯行は物理的に不可能だし。
正直、浮気現場を見せてパンツ一丁で追い出されるほどのメリットを感じない。

導入から中盤部分までが秀逸だっただけに此の点がモヤモヤしたかな。

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

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