「金田一少年の事件簿R」第5弾は「蟻地獄壕殺人事件」!!
心理実験を舞台に事件が……
【「蟻地獄壕殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。
馬江田準樹:西東大学心理学部教授。実験の主催者。
巳月七生:高校2年生。赤色
祝木桐彦:大学4年生。オレンジ色
彩世泉:大学3年生。ベージュ
華形拓人:大学2年生。黄色
舞谷かえで:大学2年生。エメラルドグリーン
蜂倉柊太:大学3年生。灰色
司吉里子:高校3年生。黒色
草薙蓮:1年前に溺死体で発見された人物。
いつき陽介:フリーライター、何かと金田一と繋がりのある人物。
マスター:カフェふくろうのマスター。
ホー之介:マスターが飼っているふくろう。
<あらすじ>
・前回はこちら。
「蟻地獄壕殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
1日2万円のアルバイト料につられ、美雪とともに3日間に渡る心理実験に参加した金田一。
金田一たちは「蟻地獄壕」の各部屋にて夕食までの時を過ごしていた。
だが、この実験は意外とキツいものだった。
腕にはバイタルブレスを着用し、服と同じ色の部屋に押し込められ、何をするでもなくじっとしていなければならないのだ。
紫の部屋に押し込まれ、落ち着かない金田一は運動を始める。
すると、馬江田から連絡が!!
なんでも、このバイタルブレス。
5分ごとに定期的に計測しているらしい。
金田一の急な動悸上昇に驚いた馬江田が事情を尋ねて来たのだ。
ちなみに、馬江田によると運動をしたいならば計測直後の3分間ならば計測されないようだ。
その頃、美雪はピンク色の部屋の中で借りて来た猫のように自室で座り込んでいた。
いつきはと言えば一面に広がる青色にトラウマを思い起こし、この実験の意味に気付いた。
そして、お待ちかねの夕食タイム。
皆が実験にストレスを抱き愚痴を零す。
泉はと言えば「部屋が暑い」と繰り返していた。
そんな中、司は特に負担を感じていない様子である。
しかも、食事も1人で取るからと自室に籠ってしまう。
これに「彼女は引き籠りがちなんだ」と説明するいつき。
さらに、いつきは自身の気付きを金田一に教える。
各自に割り振られた色だが、すべてがトラウマに繋がる色らしい。
いつきの青色は「オリエンタル号」沈没(「悲恋湖伝説殺人事件」参照)の際のものだったのである。
そして、金田一たちは知らないが、その背後では黒い影が復讐計画遂行の狼煙を挙げていたのだ!!
夕食が終わり、再び自室に籠った面々。
やることも無く横になっていた泉だが、ふとベージュ色の意味に気付き愕然とする。
それは砂の色だったのだ。
「こんなの着てられない!!」
気付いた途端、服を脱ぎ捨てる泉。
と、其処に来客が。
タオルを身体に巻き出迎えるのだが……現れたのは黒い影。
なんと、泉はあえなく刺殺されてしまう。
黒い影が時計を見ると「22時2分」と表示されていた……。
数分後、金田一のもとに馬江田から連絡が入った。
泉と連絡が取れないらしい。
美雪とも合流し泉の部屋を訪れたのだが……其処に泉の姿は無い。
金田一は此処で部屋割りを思い浮かべる。
「蟻地獄壕」は「蟻の巣状」の試験場で大きく東側と西側に分かれている。
東側には金田一、美雪、馬江田、泉、巳月の5人(含む空き部屋)。
西側にはいつき、祝木、華形、かえで、蜂倉、司の6人(含む空き部屋)。
……となっているのだ。
金田一は「泉が西側に居るのでは」と西側の確認を促すのだが、馬江田は困ったような表情を浮かべる。
西側区画の入り口は内側から施錠されており、東側からでは開けられないらしい。
そのとき、東側のいつきから連絡が入った。
解錠されたとのことで慌てて駆け付けた金田一たちが目にしたものは!!
刺殺された泉の死体だったのである―――3話に続く。
<感想&推理>
「金田一少年の事件簿」が「金田一少年の事件簿R」として帰って来ました。
その第5弾は「蟻地獄城殺人事件」……ではなく「蟻地獄壕殺人事件」です!!
どうやらタイトルが「蟻地獄城」から「蟻地獄壕」へと変更になった様子。
「城」ではなく「壕」であることに深い意味があるのだろうか。
だとすれば「蟻の巣」状の連結構造に何かありそうだが……。
そんな「蟻地獄壕殺人事件」の第2話。
第1の殺人事件が発生。
被害者となったのは「彩世泉」でした。
東側区画の自室で殺害された筈の泉ですが、死体が発見されたのは東側区画からは密室となっていた西側区画!!
劇中の金田一たちは知らぬことですが、読者視点に立てば「泉殺害は彼女の部屋で22時2分に行われた」ことが明らかになっています。
仮に泉を東側区画の自室で殺害し西側区画に運び込んだとしても、これはかなり困難。
何故なら、西側区画の施錠と共にバイタルブレスの問題があるから。
此処にはトリックが存在する筈。
特に問題なのはバイタルブレス。
犯人が犯行後に遺体を運べば心拍数が上がり記録される筈。
馬江田によれば5分毎に計測し計測直後の3分間ならば大丈夫らしい。
22時2分に殺害されている以上、バイタルブレスに記録されないのは1分しかない。
この状態で区画を跨いで運び込むことは不可能。
犯人視点になっていたので殺害時刻誤認はない。
だとすれば、考えられる可能性はただ1つ。
泉の部屋にトリックが仕掛けられていたのだろう。
この際に考えられるトリックは次の2つ。
1.ベージュ色の部屋を2つ用意し泉に自室を誤認させた。
2.そもそも「蟻地獄壕」の構造にトリックがある。
まず1について検討しよう。
すなわち、泉は夕食後に東側ではなく西側区画に誘導されていた可能性だ。
西側区画の空き室を利用して誤認させたことになる。
おそらく、泉は部屋の色で自室かどうかを判別していた可能性が高い。
だとすれば、照明などで色を誤認させることは可能だろう。
そして2つ目。
どちらかと言えば、個人的にはこちらを推したいと思っている。
と、これについて触れる前に気になる2点について上げる。
・泉の夕食時の発言。
・泉が服を脱いだところを狙ったように現れた犯人。
まず、夕食時に「室温が高く感じる」と述べていた泉。
この意味が気になる。
考えられるのは、これまた次の2通り。
・物理的に暑く感じている。
・心理的に暑く感じている。
「物理的」の場合だと犯人が意図的に室温を上げたことになる。
あるいは、泉の部屋が室温が自然と高くなる場所にあった?
此処で「物理的」の場合に限り「蟻地獄壕の構造にトリックがあるのではないか」との説に絡んで来る。
仮に「泉の部屋が室温が自然と高くなる場所にあった」場合、それは何故か!?
「蟻地獄壕」の見取り図を一見した限りでは平面上に見える。
だが、あれに高低差があったとするとどうだろう。
もしかすると、泉の部屋のみは流砂に埋もれる地下にあったのではないか。
だからこそ、温度調節が自由に出来ず暑くなったのではないか。
例えば、泉の部屋は見取り図上は東側区画にあるが、実際は西側区画の下部にあるのではないか。
だとすれば、泉殺害後に1分で部屋の天井から西側区画の空き室に抜け、西側区画に遺棄することも出来るのではないか。
そして、だからこそ舞台が「蟻地獄城」ではなく「蟻地獄壕」である必然性があるのではないか。
今のところ、個人的には上記トリックを推します。
さて、此処で心理的な場合が残されている。
このケースにも触れておくべきだろう。
「心理的」の場合だと船越英一郎さんが主演された「ホンボシ〜心理特捜事件簿〜」第6話であったように色の持つ意味が影響してそう。
あのときは「赤色だと時間が思ったよりも早く感じる」ことが活かされていました。
同様に、今回もベージュ色により実際の温度よりも暑く感じたのではないか。
では、この意味は何か。
犯人は泉が服を脱いだところをピンポイントに襲撃しています。
これが偶然なのか、先の室温と合せて「泉に服を脱がせる必要があっての仕掛け」なのか。
すなわち、偶然でなければ犯人は「泉が服を脱がなければ殺せなかった」ことになる。
これもまた泉の遺体が本来部屋のあった東側ではなく、西側で発見されたトリックに関連するのかもしれない。
とりあえず、今のところだと未だデータ不足な印象。
次回以降に注目である。
ちなみにトリックを用いる以上、其処にメリットがある筈。
今回の場合は「東側区画のメンバー」にのみ有利に働く(犯行不可能)ことになる。
だとすると、金田一たちは除かれるから犯人候補は少ないね……。
ちなみに、此処で大ニュース。
なんと、2015年1月14日(水)21時56分からTBS系列にて放送予定の「水曜日のダウンタウン」の1コーナーにて、「金田一少年の事件簿」のトリックが実行可能かどうか検証されるのだそうです。
詳しくは次の記事を参照のこと。
・2015年1月14日放送予定「水曜日のダウンタウン」にて「金田一少年の事件簿」トリックが検証されるとのこと!!
そう言えば『小説 野性時代』(角川書店刊)でも樹林伸先生『ドクター・ホワイト』が2014年11月号から連載開始されています。
こちらも注目すべし!!
・綾辻行人先生「Another」シリーズ続編『Another 2001』が『小説野性時代132号(11月号)』にて連載開始!?
◆「蟻地獄壕殺人事件」関連過去記事
・「蟻地獄壕殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿R」より「学生明智健吾の事件簿」のまとめはこちら。
「学生明智健吾の事件簿」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿R」より「狐火流し殺人事件」のまとめはこちら。
「狐火流し殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿R」より「亡霊校舎の殺人」のまとめはこちら。
「亡霊校舎の殺人」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「薔薇十字館殺人事件」のまとめはこちら。
「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
【ドラマ版】
・ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 マレーシアのジャングルで合宿中の生徒達が次々と消えた…太陽と月が交わる時暴かれる驚愕のトリック!謎はすべて解けた!」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」(日本テレビ系、2014年)まとめ
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彩世さんが犠牲になりましたが、犯人があえてトラウマの色に指定したかもしれませんね。
色のせいか、今回の話はよりトラウマを感じさせる話でした。
司ちゃんも怪しいけれど、まだ大丈夫でしょう・・。
黄色の人は、忘れられているけど誰も気にしていません。笑
赤ひげサンタクロースでは、部屋を赤く見せるトリックでしたが、今回は実際にみんな色が染まっているなど、異様さが感じます。
色によって、違う部屋として「見せかけているかも。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
「蟻地獄壕殺人事件」は2話目にしてなかなかに興味深い展開を迎えていますね。
3話目も……かなり気になります!!