ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
動画投稿サイトに忽然と現れた、四つの映像。『回線上の死』と題されたその不鮮明な映像には、四人の男女が残酷な方法で殺される様子が映し出されていた。悪戯? それとも本物なのか? 期限付きの捜査を命じられたクロハは、映像の中の音に、奇妙なずれがあるのに気付く……。圧倒的な緊迫感と、想像を遙かに超える展開。熱狂的支持を集める「クロハ」シリーズ第二弾!
(光文社公式HPより)
<感想>
結城充考先生による「クロハシリーズ」第2弾です。
シリーズには2014年12月現在で既刊として本作以外に長編『プラ・バロック』、短編集『衛星を使い、私に』の計2作が存在。
・『プラ・バロック』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
タイトル『エコイック・メモリ』の意味は「聴覚情報の感覚記憶(聴覚記憶)」のこと。
視覚情報の感覚記憶である「アイコニック・メモリー」に比較して長く記憶されるのだそうです。
これは犯人の名前が「エコー」であり、その動機がアレであることを示しているとも言えるでしょう。
内容的には前作同様に構成力が高い。
ただ、今回は前作『プラ・バロック』ほどは仮想世界があまり意味を為してないかな。
とはいえ、此処から是非「クロハシリーズ」の世界観に嵌って欲しい。
ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変を加えているので注意!!
クロハとサイとの駆け引きなども省略してます。
あらすじを読んで興味を持たれたら本作にチャレンジすべし!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
クロハ(黒葉佑):射撃の名手である女性刑事。
黒葉諒:クロハの姉。前作『プラ・バロック』にて殺害される。
アイ:諒の息子、クロハの甥。
サイ:殺し屋
エコー:今回の犯人
鼎計:???
ミハラ:諒の元夫、アイの実父。
キリ:仮想世界での友人。
動画投稿サイト上に『回線上の死』と題された映像がアップされた。
其処には4人の男女が残酷な方法で殺害される様子が映し出されていた。
一部には悪戯かと思われていたが……。
クロハはこれが本物の殺人であると見抜く。
犯人は「エコー」なる人物。
実は「エコー」は人の記憶に残ることを狙い、犯行に及んでいたのだ。
クロハはエコーを追うことに。
さらに、「エコー」に殺害された被害者から依頼された殺し屋・サイも加わり三つ巴の争いに。
一方、実生活でもクロハを悩ませるような出来事が。
アイを巡り、その実父であるミハラが親権を主張したのだ。
クロハにとって安息の象徴であるアイを失うことは身を切られるより辛い出来事であった。
こうして、2つの事件を抱えるクロハ。
矢先、「エコー」の正体が「鼎計」という女性と判明。
遂に直接対決に。
しかし、鼎計は強かった。
クロハと異なり人を殺すことに躊躇が無いのだ。
これはサイも同じである。
超人的な力を発揮し戦うサイと鼎。
だが、鼎の執念がサイを上回りサイは死亡する。
残るはクロハと鼎である。
クロハはあくまで鼎を殺さないと決意。
武器のみを狙い撃つことで相手の抵抗を封殺し逮捕することに成功するのであった。
残るはアイの親権問題である。
ミハラは「父子で居させて欲しい」とクロハに土下座。
クロハもこれを認め、アイはミハラに引き取られることとなった―――エンド。
◆関連過去記事
・『プラ・バロック』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ドラマスペシャル「クロハ 機捜の女性捜査官 連続殺人と集団自殺…2つの捜査本部8日間の激闘!!悪意に立ち向かう家族の絆!!真相にたどり着いた女刑事が交わす涙の約束とは!?冒頭20分…この中に犯人がいる」(2月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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