2015年01月09日

「観相師」(2013年、韓国)

「観相師」(2013年、韓国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

15世紀半ばの朝鮮王朝。キム・ネギョン(ソン・ガンホ)は、その人の顔から性格や寿命まで見抜く観相師として田舎に暮らしていた。ある日、宮廷で起きた殺人事件の真犯人を言い当てたことで人事官に抜てきされる。ネギョンは王の弟・首陽大君(イ・ジョンジェ)が逆賊の相であると判断。実は、首陽大君は新しい王の暗殺を企てており……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
キム・ネギュン:観相師。
ペンホン:ネギュンの亡き妻の弟。
ジニョン:ネギュンの息子。

首陽大君(スヨンテグン):文宗の弟で野心家。
首曲り:首陽大君に仕える策士。

瑞宋:6代国王。
文宋:5代国王。
キム・ジョンソ:王に忠誠を誓う重臣。

ハン・ミョンフェ:数代に仕えた重臣。

ヨノン:娼館の女主人
使用人:ヨノンの使用人


4代に渡る王に仕え位人臣を極めたハン・ミョンフェに最期のときが訪れようとしていた。
ハンは死を覚悟しつつ、周囲の者に警戒の目を光らせる。
彼は呟く「私はあいつの言う通りに斬首などされてたまるか!!」と。

事の発端は数十年前、時の王・文宗の時代に遡る。
キム・ネギュンは人の顔を見ることで相手の性格や立場、果てはその運命までを見抜くことが出来る「観相師」。
亡き妻の弟で弁が立つペンホン、亡き妻との間に出来た息子ジニョンとの3人で地方にて慎ましく暮らしていた。

ただし、ネギュンにはジニョンに負い目があった。
ジニョンはネギュンの目から見ても優秀。
しかも、実直な人柄で朝廷に出仕するべき逸材であった。
だが、それは叶わぬ未来図であった。

何故なら、ネギュンたちは身を隠しているからである。
実はネギュンの父が反逆者であった。
もしもその親類であることが分かれば命は無い。
だからこそ、ネギュンは身を隠す必要に迫られていた。

また、ネギュンから見たジニョンはあまりに正義感が強過ぎた。
それは長所でもあるが短所ともなりうる。
先頃も巡検使としてやって来た官吏の暴虐に憤り周囲に取り押さえられるとの一幕があったのだ。

ネギュンにとってジニョンは掌中の珠と同じ。
何としても守りたい存在であった。

矢先、ネギュンのもとを都に娼館を営む女主人・ヨノンが訪れた。
店の余興としてネギュンの技術を欲しているらしい。

ネギュンの「観相師」としての才覚は図抜けていた。
人目を憚りつつも、その力が噂となり多くの者が彼を頼っていた。
いつしか、噂は都にまで届いていたのである。
不安を抱きつつも「観相」に自信のあったネギュンはジニョンを残しペンホンと都へと出た。

ネギュンの「観相」は本物であった。
都でもその力を遺憾なく発揮したネギュンは時の王・文宗の腹心であるキム・ジュンソに招かれ朝廷に出仕することとなった。
王の役に立つ人間を見極めるのだ。

そんなネギュンの前に科挙主席合格者が現れた。
彼を見たネギュンは言葉を失う。
なんと、名を変えたジニョンであった。
より良い国にする為に官吏になろうとしているらしい。
驚くネギュンだが、ジニョンの熱意に打たれこれを許すことに。

素直に喜ぶジニョンとペンホン。
だが、ネギュンはあまり喜べない。
何故なら、正体を隠さなければならないジニョンにはどれほど実力があろうとも下級官吏の道しか無かったからである。
もしも、高級官吏の道を望めばそれ相応に身許が調べられ名を騙っていることが露見する危険性も増すからだ。

そんな中、ネギュンが噂を聞きつけた王から密命を受けることに。
その密命の内容は病により余命幾許も無い王に代わり王になろうとする野心家を見出すこと。
王は幼い王子の身を脅かす者を排除しようと考えたのだ。

この候補となるのは王族の人々。
中でも王が最も危険死していたのは王弟・首陽大君(スヨンテグン)である。

命を受けたネギュンは首陽大君を確認する。
だが、ネギュンが見たところ巷間噂されるほどの野心家には到底思えなかった。
ネギュンはこれを王に伝え、ほっとした王は息を引き取った。

ところが、その葬儀の席でネギュンは自身のミスを知らされることとなった。
なんと、先にネギュンが観相したのは首陽大君の影武者だったのだ。

改めて首陽大君を観察したところ、彼は野心家どころか「完全なる逆臣の相」であった。
どうやら、首陽大君はネギュンの存在を知った上で影武者を用いて騙したのだ。
首陽大君には策士である「首曲り」なる男が付いており、これが策を講じているらしい。

ネギュンはジュンソに首陽大君に謀られたことを伝えた。
ネギュンの報告を受けたジュンソは慌てつつこれを新王・瑞宗に伝える。
しかし、若き新王はネギュンを軽んじジュンソの声に耳を貸さない。

この間にも首陽大君は「首曲り」と計り着々と地位を固めて行く。
遂には新王よりも声望を高めつつあった。
もはや、その叛意は明らかである。

この事態に、ネギュンはジュンソと共に対抗策を練る。
ジュンソは朝廷内における自身の勢力を拡大させるべく、人材登用時に自派の者を優先した。
しかし、これは強引過ぎた為に反発を招くこととなった。

一方、ネギュンは彼をきっかけに新王が否定しつつも「観相学」に興味を抱いたことを利用する。
新王が目を通した「観相学」の本に沿い、首陽大君の相を「分かり易い逆臣の相」に変えることにしたのだ。
首陽大君が風土病に罹患した隙を狙い、ヨノンらの協力で医師として潜入。
首陽大君を眠らせると、その顔に簡単な黒子を加えた。

これは効果覿面であった。
改めて首陽大君の顔を目にした新王は自身の知る「逆臣の相」を其処に見出した。
疑いを抱いた新王は密かに朝廷内を調べ、周囲を首陽大君の勢力に囲まれていることに気付いた。
此処に激怒した新王はジュンソに首陽大君追討を命ずる。

ジュンソとネギュンは話し合い、首陽大君の部下が彼のもとを離れる翌晩が追討決行と定められた、

これで謀叛は阻止された筈であった。
ところが、ネギュンの思いも寄らないことが起こった。

なんと、正義感の強いジニョンがジュンソの人材登用政策に異を唱えたのだ。
ネギュンとジニョンが親子であることは秘密である。
その関係を知らないジュンソの部下はジニョンを襲撃してしまう。
ジニョンは目を潰されてしまった。

甥っ子の負傷を聞いたペンホンは怒りに震えた。
実はジニョンが朝廷へ仕官出来るよう影で協力していたのは彼であった。
ジニョンを襲ったのがジュンソの部下だと知ったペンホンは首陽大君のもとへ走った。
そして、自身が知るすべてを教えてしまう。
其処には新王からジュンソが追討の命を受けたことも含まれていた。

そして悲劇が始まった。

ペンホンの行動を聞きつけたネギュンがジュンソのもとへ急を伝える。
しかし、遅かった。
手勢を連れた首陽大君により、ネギュンの目前でジュンソが殺されてしまう。

首陽大君の暴挙を新王へと訴え出ようとするネギュン。
ところが、王城へと駆け付けたものの門前で追い返されてしまう。

そのとき、既に謀叛が行われていたのだ。
ジュンソ派の者は悉く誅殺されていたのである。

さらに、首陽大君は朝堂にて居並ぶ官吏たちを前に新王に代わり実権を握り摂政となることを宣言。
玉座の前に立つと「これに反抗する者はこちらへ並べ」と右を指差す。

この官吏の中に視力を失ったジニョンも居た。
声は聞こえど目の見えないジニョンは反抗する側に立ってしまう。
こうしてジニョンらは首陽大君に反抗したとして処刑されることとなった。

城中の様子を外から窺うネギュン。
その目の前で首陽大君によりジニョンが刑場へと引き立てられて行く。

ネギュンはジニョンを救うべく涙ながらに首陽大君に助命を訴える。
そんなネギュンを嘲笑する影―――それこそ「首曲り」ことハン・ミョンフェであった。

首陽大君とハンは助命の条件としてネギュンの「観相」にとっての命である目を差し出せと迫る。
ジニョンの為なら……とこれに応じるネギュン。

そんなネギュンの覚悟を見た首陽大君は目の代わりに自身の観相を行わせる。
それは「逆臣の相」である。
だが、ネギュンは「名君の相」だと嘘を吐く。

これに首陽大君はネギュンへの興味を失う。
ジニョンも解放され、親子共に助かったと思われたが……。

振り返るやハンが「これは観相の礼だ」と矢を放つ。
その矢は違うことなくジニョンを貫いた。

何が起こったのか呆然とするネギュン。
責任を感じ様子を眺めていたペンホンはハンに激怒。
「殺してやる」と迫るが兵に取り押さえられてしまう。

先を行く首陽大君に追い付くべく、ハンは後を追った。
残されたのは息子を殺害されたネギュンと後悔の叫びを上げるペンホンであった。

首陽大君が王となって数年後、都を離れ元の土地に戻ったネギュンたちのもとをヨノンが訪れた。
これを笑顔で迎えるペンホンだが、其処には声がない。
自身の行動がジニョンを殺したことにショックを受けたペンホンは声帯を切り裂いたのだ。

旧交を懐かしむようなペンホンに申し訳なさそうに謝るヨノン。
実はハンが同行していたのである。

権勢を得たハンは今更ながらネギュンに興味を抱いたらしい。

ネギュンの顔を見るなり、他者の運命を見抜くことが出来ながら自身に敗れたことを揶揄するハン。
そんなハンにネギュンは「私は波を見ていたに過ぎず、波を起こす風を見ていなかった」と洩らす。
首陽大君らの謀叛は時代の流れとして留められるものではなかったとの想いらしい。

これを「そうだろう、そうだろう」と喜ぶハン。
しかし、直後に表情が変わった。

ネギュンはこう続けたのだ。
「だが、それは一時的なものに過ぎない。いずれ別の波に飲まれる」と。
さらに、ネギュンはハンに「お前は最期に斬首されるだろう」と告げるのであった。

それから数十年、老いたハンはあれからのことを振り返る。
ハンはネギュンの言葉を聞いてから、常に死に怯えるようになった。
常に周囲を注意し、自らを律し続けて来たと言う。
その甲斐あって、王に次ぐ地位にありながらも4代の王に仕え続けることが出来たのだ。
あのときのネギュンの言葉は苦し紛れの嘘に違いない。
そんなものに踊らされるなんて……ハンは怒りと安堵を交えつつ目を閉じた。
そして、大往生を遂げた。

だが、この物語には続きがある。
さらに数年後、ハンの遺体は時の王により掘り出された。
謀叛の罪を問われたハンは死してなお斬首されたのであった―――エンド。

<感想>

史実に即し造反劇を描きつつ、其処に運命を見抜く目を持ちながら時流に翻弄される「観相師・ネギュン」を加えた作品。

果たして、ネギュンの観相は何処までを看破し切れていたのか。
すべてを見通せていればジニョンを失うことは無かった。
とはいえ、ハンの末路を言い当てたのもネギュンでした。

劇中でジニョン相手に語られましたが、ネギュンによれば「観相」は生き方により変わるらしい。
だとすれば、ハンが長寿を誇れたのもネギュンの言葉があったからなのかもしれない。
それにより、ハンが身を慎んだ故に身を守れたのかも。

だが、ハンは長く生きながらも常にネギュンの言葉の実現に怯えていたことだろう。
だとすれば、ハンはネギュンによって常に脅かされていたとも言える。
そして、その期間はハンが長く生きた分だけ続いたのだ。
これこそがネギュンの復讐だったのだろうか。

そして、気になるのはネギュンが首陽大君の人相に手を加えたこと。
それにより、彼の「逆臣の相」を完成させたことこそが「事を為さしめた」のかもしれない。
だとすれば、ネギュンの行動こそが謀叛を完結させたのかもしれない。

様々に考えられ、それにより二転三転するストーリーを楽しむべし。

ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変しています。
是非、本作そのものを視聴するべし!!

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ラベル:観相師
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