<あらすじ>
警視庁総務部情報管理課の高梨葵(菊川怜)は、仕事場の機械に囲まれた狭い空間を好み、周りから“コックピット・ポリス”と呼ばれていた。そんなある日、葵は特命捜査対策室への異動を命じられる。そこは未解決事件の継続捜査を専門とする部署で、膨大な捜査資料を適切にデータベース化して管理する人材が必要だと白羽の矢が立ったのだ。
村上和彦(笹野高史)の班に配属されるが、間もなく19年前の事件の凶器が発見され、村上班が担当することに。葵が用意した資料によれば、美容師アシスタントだった佐伯真奈美(坂井裕美)の家から110番通報があったものの応答がなく、その20分後、真奈美が刺殺体となって発見された。その凶器として美容師が使うハサミが事件現場である団地内の工事現場で発見されたのだ。かつて捜査線上にあがっていたのは、当時の交際相手・鬼頭靖史(東幹久)と、元交際相手の森川哲郎(湯江健幸)。森川は鬼頭が殺したのではと言い、鬼頭もまた森川が怪しいと思っていたが、いずれも裏付ける証拠はなかった。のちに鬼頭はカリスマ美容師となり、大手チェーン店創業者の娘・早智子(伊藤裕子)と結婚。社長となり実業家としても成功している。まずは真奈美の姉・佐伯晴香(国生さゆり)を訪ねることにするが、資料管理に専念するはずだった葵も、村上班の中でも変わり者の曽根正光(田中哲司)とコンビを組み捜査するはめに…。
凶器発見現場に着くと、19年前と変わらず団地に住む晴香がいた。一周忌の時に時間がないと線香をあげることすら拒んだ鬼頭を恨み、犯人だと思っている晴香。しかも事件後、間もなく今の店の社長令嬢と交際したことから、真奈美が邪魔になって殺したのではと思っていた。そんな中、凶器の持ち主が鬼頭だったとの一報が曽根に入り、2人はその足で鬼頭のもとへ向かう。鬼頭は事件の数日前にハサミを失くしたと言い張るが、曽根の挑発的な言葉に、気もそぞろな様子。ところが、そんな中、葵は鬼頭の息子が誘拐されていることを知る。要請を受け、警察が逆探知の設置を終えた頃、誘拐犯から電話がかかり一千万円の身代金を要求。しかし葵は、上場企業にしては身代金が少ないことに疑問を抱く。
葵ら捜査員が見守る中、指示された通り車で待機する鬼頭の携帯に、犯人から連絡が入る。身代金と共に車で向かうよう指示された場所は、なんと凶器が発見された団地の工事現場だった!
誘拐犯は19年前の事件の関係者なのか?果たして真奈美を殺した犯人は…?
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
高梨葵は警視庁総務部情報管理課の職員で通称「コックピット・ポリス」と呼ばれている。
デジタル機材に囲まれた環境を好むからである。
ところが、そんな葵に特命捜査対策室への異動が決まる。
特命捜査対策室は未解決事件の継続捜査を専門とする部署、葵のデータベース化の技量が必要とされたのだ。
こうして、葵は村上和彦の犯人配属され、曽根正光とコンビを組むことに。
そんな中、19年前の殺人事件について捜査の命が葵に下る。
被害者は美容師アシスタントの佐伯真奈美。
橡団地26号棟の真奈美宅から通報があったのだが無言。
20分後に現場に駆け付けたところ、刺殺体で発見されたのである。
その凶器は美容師が使う専用の鋏であった。
19年前に容疑者とされたのは2人。
1人は真奈美の交際相手の鬼頭靖史、もう1人は元交際相手の森川哲郎であった。
鬼頭と森川は互いに互いの犯行を主張し譲らない。
結局、迷宮入りとなっていたのである。
現在の鬼頭はカリスマ美容師として、大手チェーン「レディーローラー」創業者の娘・早智子と結婚。
社長として成功しつつ、早智子との間に一子をもうけていた。
まずは真奈美の姉である佐伯晴香を訪問する葵たち。
晴香は橡団地に移り住み、19年前の真奈美の部屋で生活していた。
当時の現場資料と付き合わせ、19年が経過しつつも団地の変わらぬ光景に驚く葵。
そんな葵に晴香は「犯人は鬼頭に違いない」と主張する。
鬼頭が真奈美死亡後に早智子と交際を開始したことから、真奈美が邪魔になったから殺したと考えていたのである。
矢先、凶器の鋏が鬼頭の物であると確認された。
葵たちは鬼頭のもとへ向かうのだが……驚くべき事態を知ることに。
なんと、鬼頭と早智子の息子が誘拐されていたのである。
こうして、誘拐事件の捜査にも関わることとなった葵たち。
その目の前で身代金要求の電話が入る。
金額は1千万円、葵は「レディーローラー」の資本規模から考えて金額が少な過ぎると首を傾げる。
身代金を用意した鬼頭は誘拐犯からの要求に従い指示された場所へ。
其処は橡団地であった。
直後、鬼頭は真奈美殺害について自供を行い一大スキャンダルとなる。
さらに、犯人からの連絡が途絶えてしまう。
これに、息子を想う早智子は鬼頭の部下である中丸圭子と共に橡団地を訪れる。
早智子は真っ直ぐに26号棟へと向かうのだが、事態が改善されることは無かった。
ところが、翌日となって急展開を迎える。
鬼頭の息子が発見されたのだ。
どうやら、監禁場所から脱出したところを保護されたらしい。
これを聞いた鬼頭は「良し!!」と叫ぶ。
実は鬼頭は19年前の真奈美殺害の罪を認めるよう犯人に強要されていたそうだ。
息子が無事だったと知るや犯行を否認する。
さらに、事件の推移から誘拐事件の犯人は晴香に違いないと主張することに。
晴香と直接言葉を交わした葵はそれが信じられない。
独自に捜査を続け、誘拐事件の受益者を突き止めた。
それこそ中丸圭子であった。
鬼頭の自供により「レディーローラー」の株価は下落した。
その隙を突き、投資ファンドに会社を乗っ取らせる目的だったのだ。
そもそも身代金自体が偽りの狙いだったのである。
息子が保護されたのも、目的を果たしたからに過ぎなかった。
こうして主謀者である圭子と誘拐の実行犯であった堀部亘が逮捕された。
残るは真奈美殺害事件の真犯人だ。
此処で曽根は鬼頭の自供に注目。
実は鬼頭の供述内容には1点だけ不自然な箇所があった。
真奈美の首には致命傷となった傷以外にもう1つ小さな刺し傷が残されていたのだが、鬼頭はこれを言い当てていたのだ。
それは犯人以外知り得ないことの筈であった。
鬼頭はこの傷についてこう語った。
真奈美に別れ話を切り出したところ、逆上した真奈美が自殺を仄めかし鋏を咽喉に突き付けた……と。
しかし、葵は鬼頭が肝心の致命傷となった傷について曖昧な供述をしたことに注目。
鬼頭は途中までその場に居たが逃げ出したのではないかと考える。
つまり、真奈美が自殺を仄めかす中で鬼頭は逃亡し、その後に真犯人が現れたとの見解である。
このとき、葵の脳裏にある光景が浮かんだ。
葵は真犯人に見込みを付けた。
さらに、晴香が所持していた真奈美の物とされる靴によりこれが裏付けられた。
翌日、葵たちは鬼頭家を訪ねる。
葵が真奈美殺害の犯人として名を挙げたのは早智子であった。
誘拐事件を受けて橡団地を訪れた早智子。
だが、彼女は案内板を見もせずにまっすぐ26号棟へと向かった。
周囲が似たような建物ばかりにも関わらず。
何故、それが可能だったのか。
簡単だ―――早智子は過去に26号棟を訪れていたからである。
そう、真奈美殺害時に。
真奈美の物とされた靴は当時の早智子の靴だったのだ。
鬼頭は知らないが、早智子は当時から鬼頭に恋心を抱いていた。
影ながら鬼頭を見守っていたのである。
しかし、鬼頭には真奈美が居た。
そんな折、鬼頭が真奈美に別れ話を持ちかけた。
どうやら、真奈美の性格について行けなくなったらしい。
これに思い詰めた真奈美は逆上。
鬼頭の鋏を咽喉に突き付け、自殺を仄めかす。
狼狽した鬼頭はその場を逃げ出してしまった。
早智子はこの一部始終を覗いていたのである。
そして、真奈美が鬼頭を道連れにすべく「鬼頭に刺された」と偽の通報を行おうとしていることに気付いた。
早智子は鬼頭を救うべく、部屋に乱入するとこれを阻止しようとする。
しかし、急に現れた早智子を目にした真奈美は彼女こそが鬼頭の新しい彼女と思い込み、これに掴みかかった。
結果、揉み合いとなり真奈美が死亡してしまったのだ。
こうして、真奈美殺害の真相も明らかになった。
それはとても切ないものだったのである。
この経験を機に葵は機材だけではなく、人を見ることを学んだ。
曽根と共に今後も事件に立ち向かう決意を固めるのであった―――エンド。
<感想>
新シリーズ「警視庁特捜対策室 迷宮捜査の女」ドラマ版第1弾。
原作は無し、オリジナル作品です。
では、ドラマ感想を。
公式HPのあらすじを目にした当初はタイトルから「ケイゾク」的な物語になるのかな……と思っていましたが、カラーがかなり異なっていましたね。
どちらかと言えば、現在の事件が発生し過去の事件の真相が明らかになる構図から、デジタル版「おみやさん」的な印象。
そんな本作ですが、本家「おみやさん」同様に現在の事件と19年前の事件がきちんと関連付けられていてなかなか良いのではないでしょうか。
「案内板を見ずに目的地に辿り着けた」との伏線も団地という設定を活かしつつ、現在と過去を織り交ぜた物でしたし。
ただ、キャラクターが些か弱かったか。
ですが、その分はストーリーでフォロー出来ていたように思います。
このクオリティのストーリーが約束されるならシリーズ化もアリの一作ではないでしょうか。
◆関連過去記事
・「ケイゾク」(TBS系列、1999年)まとめ
<キャスト>
高梨葵:菊川怜
曽根正光:田中哲司
村上和彦:笹野高史
佐伯晴香:国生さゆり
鬼頭靖史:東幹久
中丸圭子:濱田マリ
鬼頭早智子:伊藤裕子
荻野刑事:石井正則
森川哲郎:湯江健幸
小松原警部:高杉瑞穂
堀部亘:青島健介
婦人警官:和泉ちぬ
会社員:小磯勝弥 ほか
(公式HPより転載、順不同、敬称略)
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