<あらすじ>
最弱のプロ野球チームであるベアーズに、起死回生のチャンスとなるルーキーが連れてこられる。それは資金難に陥ったサーカスから雇い入れたゴリラのミスターGOだった。ゴリラ使いの少女(シュー・チャオ)と共に初打席に立った彼は、すさまじいパワーで豪速球を打ち返してバックスクリーンを粉砕してしまう。ミスターGOを切り札に快進撃を続け、日本の球界をも巻き込む強奪戦を引き起こすベアーズだが、同じゴリラの投手ZEROSが現れる。さらに、彼との決戦を前にミスターGOの膝が故障してしまう。
(公式HPより)
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
ウェイウェイ:ロンパサーカス団の団長、15歳の少女
ソン・チュンソ:リンリンをスカウトしたスカウトマン。
借金取り:ロンパサーカス団に取り立てを行う債権者。
イトウ:日本にある球団のオーナー。
リンリン:ロンパサーカス団のマウンテンゴリラ、バッター
レイティ:ロンパサーカス団のローランドゴリラ、ピッチャー
奥地にある団員の大所帯ぶりに反して小規模な「ロンパサーカス団」の目玉はバッターを務めるゴリラのリンリン。
リンリンはサーカス団団長にして15歳の少女・ウェイウェイと共に育った。
それ故にウェイウェイに懐いており、彼女の命令は絶対だ。
今日も鞭を浴びつつ、ボールを打っている。
そんなウェイウェイとリンリンを横目に眺める別のゴリラが居た。
その名はレイティ。
こちらはピッチャー役の筈なのだが、ウェイウェイに懐かずどれだけ鞭を浴びようとも従おうとしない。
遂にはウェイウェイに向けボールを投げつけるほどだ。
ある日、ロンパサーカス団に借金取りの男が訪れる。
実は先代団長の放漫経営が仇となり、サーカス団は多額の負債を背負っていたのである。
其処へリンリンの噂を聞きつけた球団スカウトマンがやって来る。
彼の名はソン・チュンソ。
やり手だが、悪どいことで有名で業界の鼻つまみ者であった。
そんなチュンソが目を付けたのがリンリン。
チュンソはウェイウェイを騙し、リンリンをバッターとして万年最下位球団であるベアーズにスカウトする。
サーカス団にはレイティらが残されるが……。
こうして前代未聞のゴリラ選手が誕生。
リンリンは「ミスターGO」として打席に立つことに。
世間からは批判が殺到。
ところが、これが成功したから、さぁ大変。
「ミスターGO」は打席に立つと人間離れした膂力で次々とホームランを量産。
敬遠しても、どんな不自然な体勢からでもホームランにしてしまう「ミスターGO」に他球団は頭を抱えた。
これにウェイウェイは大満足。
その一方で「ミスターGO」ことリンリンは無理が祟って膝に爆弾を抱えつつあった。
だが、ウェイウェイはリンリンを顧みようともせず酷使を続ける。
その一方で、チュンソはベアーズを裏切り日本の球団オーナー・イトウと高額での契約を密かに進めてしまう。
同じ頃、サーカス団に残されたレイティの特技に借金取りが気付いた。
借金取りはこれをリンリン同様に利用しようとすることに。
数日後、ゴリラ投手の「ZEROS」がライバル球団に登場する。
もちろん、正体はレイティだ。
借金取りがチュンソの真似をして売り込んだのである。
レイティのパワー投手ぶりは圧倒的。
捕球したキャッチャーが吹き飛ぶ威力である。
こちらも、ミスターGO同様に快進撃を続ける。
いよいよ、直接対決を迎えることに。
だが、その直前でミスターGOの爆弾が遂に破裂した。
立ち上がろうともがくも立てないリンリン。
それでもウェイウェイは打席に立つように命令する。
一方、イトウはミスターGOに見切りをつけ「ZEROS」に乗り換えてしまう。
これにショックを受けたチュンソはリンリンに無理をさせないようにウェイウェイを諭す。
だが、ウェイウェイは強情であった。
その願いに応えたのか、リンリンは遂に打席に立つ。
鞭で合図を出すウェイウェイ。
しかし、故障を抱えるリンリンにそちらを見遣る余裕はない。
足を庇ったリンリンはウェイウェイに背を向けて打席に立つ。
此処で初めてウェイウェイは気付いた。
リンリンが彼女の合図を必要としないことに。
リンリンは鞭ではなく自身の意志でウェイウェイに従っていたのだ。
こうして「ZEROS」と対決する「ミスターGO」。
振り遅れることなく投げられたボールを真芯で捉える。
パワーとパワーの激突。
これに耐えきれずボールが破裂した。
この場合、ボールの破片を集めてゲーム続行である。
守備陣は必死に破片を集め始めた。
この期に及んでもウェイウェイは足を庇うリンリンにベースを回るよう強制する。
足を引き摺りつつ健気にベースを回って行くリンリン。
そして、遂にホームベースへ辿り着く。
一方、守備陣もボールをかき集めホームへ。
リンリンよりも先にボールが届いたかに見えたが……。
守備陣は破片を拾い集め切れていなかった。
こうして、勝負はリンリンが制することに。
飛び上がって喜ぶウェイウェイ。
だが、その様子を見ていたレイティが逆上した。
はしゃぐウェイウェイに積年の恨みを思い出したのだ。
レイティはウェイウェイへと飛び掛かる。
これを止めようとする周囲の大人たちだが、レイティは止まらない。
ウェイウェイに肉薄するレイティ。
その前に疲弊し切ったリンリンが立ち塞がる……が、やはり相手にならず客席へと投げ込まれてしまう。
もはや、レイティとウェイウェイの前に壁は無い。
恐怖に竦むウェイウェイ。
途端、レイティが真横に吹っ飛んだ。
カートに乗ったチュンソがレイティに突っ込んだのだ。
この隙にウェイウェイはカートへと乗り込む。
慌てて全速力でバックするカート。
それもその筈、レイティは未だ健在であった。
器用にボールをウェイウェイへと投擲しつつ、レイティが迫る。
カートが横倒しになり、ウェイウェイが引きずり出された。
レイティの拳がウェイウェイを捉える……いや、届かない。
リンリンだ。
今度はリンリンがレイティに殴り掛かったのである。
2頭のゴリラは互いの死力を振り絞り戦い続ける。
やがて、レイティが押され始めた。
遂にはリンリンに取り押さえられることに。
リンリンのウェイウェイを守りたいと思う心がレイティの復讐心に勝ったのだ。
窮地を脱したウェイウェイ。
だが、この騒動によりリンリン、レイティともに球界追放となった。
レイティの代理人となっていた借金取りは指名手配されることに。
イトウは得るべき物を得られず帰国した。
チュンソもスカウトマンに必要なエージェント資格を剥奪された。
残されたのは無力感だけだったのか。
いや、そうではない。
ウェイウェイとリンリンは改心したチュンソから契約金を受け取りサーカス団へと帰った。
リンリンの膝は手術により劇的に改善した。
さらに後日の事、チュンソもまたサーカス団に加わることとなるのだが……それは別の話である。
そうそう別の話と言えばレイティである。
保護されたレイティは動物園で暮らしていた。
と、其処にラグビーボールが投げ込まれる。
拾い上げたレイティにあの高揚感が甦る。
これを見ていたのは……借金取りだ。
ラグビーボールの主も彼であった。
レイティを用いてもう一旗揚げるつもりなのである。
そう、次はラグビーだ―――エンド。
<感想>
なかなかにスゴイ作品です。
まず、設定からしてスゴイ。
「ゴリラのプロ野球選手」
もう、これだけで「見たい」との気にさせてしまう。
そして、公式のあらすじからは野球メインのストーリーかと思いきや……実はそうでもなかったりする。
かと言って、ウェイウェイとリンリンの愛情物語かと思いきや……割とそうでもない。
だからと言って、レイティによる復讐劇かと思いきや……もちろんソレでもない。
本作はそのどれもを盛り込んだまさに「闇鍋」的な映画なのだ。
そう、闇鍋。
決して、ごった煮ではない。
口に運ぶまで味が分からない作品なのだ。
おそらく、本作を目にした個人の数だけ感想がある映画と言えるだろう。
では、そんな本作について個人的な感想を。
試合に勝って終わりと思いきや、その後のまさかの展開が度胆を抜かれた。
それがレイティによる反乱。
ウェイウェイはゴリラ使いが荒すぎてよほど恨まれてたんだなぁ……。
そう言えば、其処に至るまでのウェイウェイのリンリンへの態度は動物虐待の域にまで達してたな。
ところが、そんなウェイウェイにリンリンは家族の愛情を抱いていた。
だからこそ、ウェイウェイの望みをかなえるべく奔走していたのでしょう。
リンリンがウェイウェイに合せていたんですね。
そして、あのラスト。
おそらく、スカウトマンとして交渉技術に長けたチュンソがプロモーターとしてロンパサーカス団を支えることになりそうか。
レイティによる逆襲も匂わせたのもサプライズでした。
サプライズと言えば、イトウ役でオダギリジョーさんが出演してたのもそう。
このように、本当に本作は掴みどころのない「闇鍋」的な映画なのである。
とりあえず、見てみるべし!!
ラベル:ミスターGO!
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