2015年01月31日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第9話「初恋と殺人装置」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第9話「初恋と殺人装置」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第9話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

蛍の父:赤木興業の社長。
蛍の母:バーのような店を経営している様子。

真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第8話「兄の死のナゾ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

真島慎一は高校生。
赤木興業に勤務する父を手助けすべく、同じ職場でアルバイトしている。

とはいえ、賃金は余り高くない。
その上、キツイ。
さらに、危険でもある。

正直、同年代の友人たちからは「なんで、そんなとこで働いてるの?」と不思議がられる。
慎一自身もそれについては何度も考えた。
だが、ある1つの理由が彼を赤木興業に捕えて離さないのだ。

その理由が―――幼馴染の少女・赤木蛍である。
慎一は蛍に恋心を抱いているのだ。
もっとも、それに蛍が気付くことは無さそうだが……。

でも、それでも良い!!
慎一は心底そう思う。
もちろん報われた方が良いに決まっている。
でも、せめて傍に居るだけでも……それだけでも慎一は満足なのだ。
しかし、そんな僅かな願いも最近では厳しくなっている。

慎一と蛍は生まれてからずっと同じ時間を過ごして来た。
家は隣近所、学校も同じ。
ところが、高校進学で道が異なってしまった。

蛍は家事万能、成績優秀。
気付けば聖マルス学園に特待生として進学していた。
残念ながら慎一に聖マルスに進むだけの力は無い。
結果、慎一は聖マルス以外の学校に進むこととなった。

以来、慎一と蛍の接点は赤木興業のみとなってしまったのだ。
今では、アルバイト時間を増やすべきかとさえ考えている慎一であった。

そんな慎一の目の前で、蛍は物憂げな溜息を吐いていた。
赤木興業存亡の危機が迫っていたからである。

8話ラスト、蛍の父が狼狽していた理由が其処にはあった。
赤木興業の経理全般を任せていた会計士の実山と連絡が取れなくなってしまったのである。
もしも、この状態が続けば運転資金を持ち逃げされたと同じとなり、赤木興業は倒産してしまうのだ。

溜息の止まらない蛍。
これに見かねた慎一が声をかけて来た。

蛍は事情を簡単に事情を説明する。
顔色を変える慎一。
赤木興業が倒産してしまえば、目の前の愛らしい少女に出会えなくなってしまうではないか!!

思わぬ危機の到来に慌てる慎一は、数日前に蛍の母の店に実山が居たことを思い出す。
それはかなり親しそうな様子であった。
もしかして、其処に何かあるのかも……と洩らす慎一。

これを聞いた蛍は実山と母の関係を疑う。
ふと浮かぶのは、実山が赤木興業の金を母に渡したのではないかとの懸念だ。

家族全体の問題に溜息どころか頭痛まで発生した蛍は「何とかしなければ」と決意を固める。
蛍が目を留めたのは慎一である。

数時間後、蛍は変装した慎一を連れ実山会計事務所の前に姿を現していた。
もちろん、圭一も同行している。
圭一は家族の危機にも関わらず、蛍に悪い虫が付かないようにと寧ろ慎一を警戒していたのである。

一方、実山会計事務所前では大騒動が勃発していた。
赤木興業と同様の事件がたび重なり、クライアントが押し寄せていたのだ。
これでは中に入れない。

そう……普通の人々ならば。
しかし、圭一は幽霊である。
蛍の頼みで扉をすり抜け、中の様子を確認することに。

中では実山会計士事務所の4人の職員が顔を突き合わせて今後を相談していた。
どうやら、実山の行方は彼らも掴めていないらしい。

「先生は何処へ……?」
不安を抑えられない様子の紅一点・役丸みつえ。

「うむむむむむむ」
唸り声を上げ続ける太めの職員・三島。

「電話、繋がりました!!」
ようやっと実山への電話が繋がり受話器を翳す若手職員・貝塚俊雄。

「おっ、よくやった!!」
快哉を叫ぶ髭もダンディな職員・丸木田。

貝塚は繋がった実山への電話をスピーカーモードに切り替える。
実山の声が室内に響き渡った。

どうやら、実山は今回の騒動の責任を取り自殺するつもりらしい。

驚き慌てる4人は警察に通報すると共に、外で待つクライアントに事情を説明しようとする。

これを盗み聞いていた圭一は逸早く蛍に報告。
赤木興業の為にも死なれてたまるか、と蛍は実山の自宅であるマンションへ電車で向かう。

さて、電車内で慎一を置いて来てしまったことに気付いた蛍。
メールで連絡を取りつつ、実山会計士事務所の状況について問う。
どうやら大混乱の極みにあるらしい。

添付された写真を見れば、もみくちゃにされる職員や必死に説明する職員が写っていた。
これを見た蛍は何かに引っ掛かりを覚えるが……。

実山のマンションに到着した蛍と圭一。
例の悪意があれば蛍ではどうしようもない。
其処で圭一を先行させ蛍は階下で様子を窺うことに。

実山の部屋へ向かう圭一は「こういった場合は死を偽装し逃げるのがセオリーだけど」とぼやく。
ところが、室内に入ってみるとそれどころでは無かった。

意識の無い実山が何かの機械に引き摺られていたのだ。
実山の首にはロープらしきものが巻き付いている。
これを機械が巻き取っているのだ。
明らかな殺人装置だ。
放置すれば実山が死亡してしまう。

圭一は慌てて止めようとするが、悲しいかな彼には実体が無い。
翳した手は何度となく空を切るのみだ。
圭一は必死に蛍の名を呼ぶのだが―――次話に続く。

いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。

さて、その9話。

圭一が目にしたのは殺人装置。
これを用いるからには実山の自殺は偽装であり、殺害されそうになっていると判断するべきでしょう。
どうやら、何者かが実山に横領の責任を着せつつ口封じに抹殺しようとしている様子。
そして、わざわざ機械を用いて犯行を進めるからには同時刻に並行して犯人はアリバイを用意している筈。

此処から導き出される犯人の条件は2つ。

1つ、実山の実務に触れ彼の横領を仕立てることが出来るほど身近な人物。
2つ、作中にてアリバイを擁している人物。

これを満たすのは実山会計士事務所の人間のみ。
すなわち、容疑者は貝塚俊雄、役丸みつえ、三島、丸木田の4人。

さて、4人のうち犯人は誰か?
ズバリ、管理人が犯人と見込んでいるのは貝塚俊雄。

何故なら、彼が実山の自宅に電話をした人物だから。
トリックを仕掛けられるのは彼しか居ない。

まず、実山が自殺ではない限り例の電話も犯人のトリックとなる。
おそらく考えられるトリックとしては「事務所で圭一たちが耳にした実山の電話が事前に留守番電話に録音された音声である」こと。

通常ならば、これは前後に不自然な箇所が残る(会話が成立しない)筈だ。
其処で貝塚自身が電話を架けることで不自然に聞こえないように会話を運んだ。

これが可能なのは貝塚のみ。
よって、貝塚犯人説を推す。

さらに蛍が抱いた違和感の正体だが、慎一からの写真には貝塚の姿が写っていない。
このトリック、殺人装置や電話の仕掛けを回収する必要がある(さもないと殺人がバレる)。
おそらく、貝塚はドタバタの隙に実山のマンションへ向かっているのではないか。
だから、写っていない。

……と思いたいところなのだが、蛍の写真についてのみ、この説には弱点が存在する。
実は蛍は事務所の職員が4人であることをそもそも知らない。
つまり、貝塚の存在自体を知らないのだ。
だから、写真に貝塚が写って居なくとも存在自体を知らないのだから違和感を抱く理由が無い。

だが、だとすると蛍が抱いた違和感の正体が分からないことに。
第一、実際に貝塚らしき姿は其処には無い。
意味があると考えるべきだと思うのだが……。

描写にないが蛍と圭一が記憶を共有したのだとすれば差し支えは無くなるのだが、口頭での報告以外に情報共有を行ったのだろうか。
此の点が気になるところ。

とはいえ、物理的にトリックが可能なのは貝塚。
だからこそ、貝塚犯人説も揺らがない筈。
此処は自信を以て推したい。
おそらく、次回以降は現場に現れた貝塚と蛍が対決することとなるのではないか。

そして、9話で注目は真島慎一の登場。
ある意味、圭一に続く蛍の助手的ポジションの彼は今後も蛍を助けるキャラの筈。
また、圭一からは警戒されているようですが、読者は彼のピュアな恋を応援したいところ。

次回も見逃すなかれ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第1話「再会とはじまり」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第2話「もう1つの兄妹」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第3話「もう1つの兄妹2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第4話「恐喝王」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第5話「恐喝王2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第6話「恐喝王3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第7話「恐喝王4」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第8話「兄の死のナゾ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
蛍の母:バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。

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