集英社刊『週刊ヤングジャンプ』誌上にて連載されていた本作が遂に最終回を迎えました。
本作は「ライアーゲーム」なる騙し合いのゲームに参加するプレイヤーの虚虚実実を描いたサスペンス作品。
だとすれば、充分に本ブログが鑑賞すべき作品です。
もちろん、管理人自身がファンであることもありますが。
というワケで、ネタバレ批評(レビュー)です。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これまで幾度となくゲームでぶつかり合って来たアキヤマとヨコヤ。
そんな中、ヨコヤが必勝法を手に入れたと豪語する。
なんと、ライアーゲームの内容をそのまま活字化した小説を発見したらしい。
其処には今後行われるゲームの内容から攻略の仕方までが書き込まれていたと言う。
ただでさえ頭脳の冴えを見せるヨコヤに必勝法と来れば「鬼に金棒」だ。
これに他の参加者は揺れた。
そもそも、ゲーム内ではアキヤマ(に加えてナオ)とヨコヤの一騎打ちになっていたのである。
そんな中、迎えた最終ゲームは「三国志」ならぬ「四国志ゲーム」。
「魏」「呉」「蜀」「倭」の4国に4人ずつのプレイヤーが所属し互いに保有するポイントを攻防によってゼロにするゲームだ。
最後までポイントを残した国が勝利者である。
なお、攻防それ自体にもポイントを消費する。
アキヤマとヨコヤの去就に注目が集まる中、「魏」にヨコヤ、「倭」にアキヤマが所属する。
実質、「魏」と「倭」の一騎打ちになったかに思われたが……。
此処から意外な展開に。
ヨコヤが「魏」の敗退を餌に「呉」と「蜀」を味方につけ「倭」を攻撃したのだ。
ヨコヤにはこれまでのゲームで稼いだ豊富な資金力があった。
それ故に敗退もデメリットにはならなかったのだ。
ヨコヤはあくまでもアキヤマとナオへの完全勝利を目論む。
戦力差1対3である。
こうして「倭」が真っ先に消えた。
続いて約束通り「魏」が消えた。
残るは「呉」と「蜀」。
此処でアキヤマの秘策が炸裂する。
アキヤマは「呉」と「蜀」が均衡状態になるようヨコヤの策を知りつつ放置していたのである。
アキヤマは早くもヨコヤに勝利を宣言する。
なんと、アキヤマもヨコヤ同様に自身の勝利に拘りを抱いていなかった。
彼が戦いを挑んでいたのは「ライアーゲーム事務局」であった。
アキヤマはこのゲームを膠着状態にするつもりなのだ。
「四国志ゲーム」はナオが信じる「人の和」こそが重要であった。
「魏」は「鬼に委ねる」、「倭」は「人に委ねる」と書く。
奇しくもアキヤマは勝利を人に委ねたのである。
残された「呉」と「蜀」は互いにポイントを減らしつつ、遂に膠着状態に陥った。
残されたのは1ポイントずつ。
攻防にポイントを消費する以上、先に手を出した方が負けるのだ。
そう、状況は千日手に陥っていた。
これでは勝負はつかない。
事此処に至り、敗北を認めたのは「ライアーゲーム事務局」であった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<最終話あらすじ>
敗北を認めた事務局に所属する仮面の1人・アーチアは「LIAR GAME」の成り立ちについてすべてを明かす。
まず、アーチアはヨコヤが必勝法と語っていた小説が存在することを認める。
25年前、紛争が続く某国にて著名な小説家が全3巻の作品をものした。
それこそがヨコヤが見つけた小説である。
しかし、ヨコヤは肝心なことを隠していた。
彼が目にしたのは2巻までだったのである。
何故なら、3巻は巷間に出回っていないからだ。
どうして3巻は世に出なかったのか。
理由はその内容にあった。
小説の内容は某国の体制を批判するもの。
2巻までは某国も検閲しつつも出版を許可した。
ところが、3巻の発表直前に小説家は不審な死を遂げた。
暗殺されたのだ。
おそらく、その内容が某国の闇を震撼させるものだったのだろう。
3巻は完成していたが、こうして闇に葬られた。
その直後、有名映画監督のタッド・ミヤギのもとに映画製作の話が持ち込まれた。
その原作こそが小説家が残した2巻までであった。
ミヤギに話を持ち込んだのは小説家の友人だったのだ。
彼はミヤギにこう訴えかけた。
失われた幻の3巻の内容を知りたくないか。これを知る為に2巻までの状況を参加者にソレと知らせずに創り上げたらどうか、と。
彼は某国が怖れた3巻の内容を世に伝えることで小説家の仇を討とうとしたのだ。
ミヤギはこの計画に同意し、幻の第1回「ライアーゲーム」が開催された。
その推移は驚くべきものだった。
内容を知らされていないにも関わらず、参加者たちは小説の内容通りに行動したのだ。
まさにシナリオ通り。
この状態ならば失われた3巻の内容も早晩分かる筈であった。
そして、決勝を迎えようとしたのだが……。
突如、この話を持ち込んだ男が何者かに殺害されてしまった。
某国の仕業である。
さらに、ミヤギも脅迫を受けることに。
身の危険を察したミヤギはプレイヤーに事情を打ち明けゲームを中止した。
この際、ミヤギは某国から50億円を贈り付けられた。
明らかな警告だ。
ミヤギはこの大金を持って逃亡した。
25年が経過した。
ミヤギはもう大丈夫だろうと判断した。
こうなると、あのときの結末が気になって仕方がない。
50億を用いて「ライアーゲーム」を再開することに。
其処でミヤギはアーチアとなって、当時のプレイヤーに声をかけた。
この呼びかけに応じた者たちこそが、今回の事務局メンバーである。
そして、プレイヤー側としてナオ、ヨコヤ、フクナガらが集められ、アキヤマが参加したのである。
以後の推移は第1回とほぼ同じとなった。
そして、前回果たせなかった最終ゲーム「四国志ゲーム」に突入。
その結果がプレイヤーによる事務局打倒であった。
この結果を生んだのは「人が人を信じる力」である。
それこそが最も必要とされるものだったのだ。
某国の闇はこれを怖れたのだろう。
アーチアは今回の映像を公開したいと申し出る。
これに誰あろうヨコヤが賛同する。
その顔は負けたにも関わらず晴れやかであった。
アキヤマ、ナオらもこれに続く。
異を挟む者は誰も居なかった。
この様子を見ていたラブレー、実は彼こそはヨコヤ父である。
無敗の彼は敗北を知ったが故に一回り大きく成長した息子を讃える。
そして「LIAR GAME」映像公開の日がやって来た。
ネット上の動画を再生するアキヤマ、ナオ、フクナガたち。
ところが、途中で動画が消えてしまう。
見れば、それは何者かにより削除されてしまっていた。
アキヤマは呟く「闇に消された」と―――エンド。
<感想>
深い闇が25年の時を経てもなお健在であった―――衝撃的な最終回でしたね。
「ライアーゲーム」の正体も判明しましたが、こちらもサプライズでした。
殺害された小説家が意図したことは「ライアーゲーム事務局」こそが「某国」、「プレイヤー」こそが「国民」の暗喩だったのでしょう。
そして最終ゲームの結論は「プレイヤーの団結による事務局の打倒」。
これはすなわち「被支配者層の団結による支配者層の打倒」に他なりません。
闇はこれを怖れ、今なお暗躍したと言えそうです。
虚虚実実の連載、その掉尾を飾るに相応しいインパクトのあるラストでした。
甲斐谷忍先生、連載お疲れ様でした。
「LIAR GAME」は原作、ドラマ版、映画版とメディアミックスが行われましたが、それぞれがそれぞれに特徴を活かしたことでより世界観を広げた稀有な作品であったと思います。
だからこそ、これほど大きなファンからの支持を集めたに違いありません。
いずれ訪れるであろう新作も心待ちにしております。
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