<あらすじ>
女流ミステリー作家・薬師寺叡子(財前直見)。大の酒好きでイケメンに弱く惚れっぽいが男を見る目がなく、229回目の失恋をしたばかり。しかし失恋のたびにベストセラーを生み出している。家政婦の神取(戸田恵子)は、「叡子には男運がない!」とハッキリ断言し、仕事一筋に生きた方が幸せだと言う。だが、担当編集者の楓(内山信二)は、ベストセラーのためにじゃんじゃん失恋して欲しいと発破をかけていた。
ある日、自身の新作出版記念パーティーに出席した叡子はその後一人で飲みに出かける。歩いていると橋の上で三上(飯田基祐)というイケメン男性が佇んでいた。ひょんなことから意気投合した2人は鴨川のほとりで飲み明かすことに。旅館「花街道」の支配人だという三上は「最近信じていた人に裏切られたが証拠がない」と叡子に話し、さらに、大江山の酒呑童子の伝説を知っているかと聞く。首塚を掘り起こそうとすると祟りがあると言われているが、この世に人間より怖いものはないという三上だった…。
その翌日、三上が酒瓶を抱え遺体で発見された。そのニュースを見て衝撃を受けた叡子は、個人的に付き合いのある堂島警部(イッセー尾形)が勤める京都下鴨中央署へ早々に出向く。堂島に昨夜の出来事を話すが、堂島の部下・星岡警部補(桐山漣)は叡子に疑いの目を向ける。生意気な口を聞く星岡と一触即発状態になるが、そこへ楓が現れ叡子のアリバイを証明し事なきを得る。
後日、叡子と神取は事件現場に花を手向けに行き、そこで田中優(金子賢)という陶芸家と出会う。優は三上と知り合いで、さらにイタリアンの人気店シェフである弟・秀太(竹財輝之助)とイケメン兄弟として今話題になっている人だった。優からランチに誘われた叡子は、その足で秀太のレストランに向かった。秀太も話題通りのイケメンでトキメキを隠せない叡子だったが、秀太は優とは違い無愛想で取っ付き難い男だった。
その夜、神取は、「花街道」オーナーである松原憲三(若林豪)が新しいホテル建設を進めているというテレビ番組を見ていた。その番組では、ホテル予定地の近くに大江山の鬼伝説で有名な首塚があることから三上の死は祟りではないかという噂があると伝えていた。数日後、怯える神取を伴って、叡子は「花街道」に宿泊することに。三上の弔いで来たと女将の節子(黒田福美)に伝えた叡子だったが、実は事件を調べることが目的だった。館内を探っていた叡子は、オーナー室で松原と新支配人の谷本(松本実)が言い争っている現場に遭遇する。その後、従業員から三上が亡くなる少し前に松原と怒鳴りあっていたことを聞く。
しかし、そんな松原が酒瓶を抱え遺体で発見され…。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
女流ミステリー作家・薬師寺叡子は「大の酒好き」で「イケメンに弱くて惚れっぽい」が「男を見る目が無い」。
結果、たびたび失恋を繰り返し、このたび見事に229回目の失恋を達成したばかりである。
しかし、転んでもただでは起きないのが叡子の特徴。
失恋のたびに大ベストセラーを生み出しているのだ。
だからなのか、家政婦の神取や担当編集者の楓は叡子が張り切る度に失恋するよう願っているらしい。
そんなある日、叡子は1人のイケメンと出会う。
新たな恋の予感である―――たちまち胸をときめかせた叡子。
相手は三上といい、旅館「花街道」の支配人であった。
三上は「最近になって信じていた人に裏切られた」と傷心を吐露。
さらに「花街道」に纏わる祟りについてそれとなく語る。
その翌日、三上が酒瓶を抱えた遺体で発見されてしまう。
叡子の恋は始まる前から終わってしまった。
この三上の死は「花街道」を襲った祟りとして語られ始めた。
一方、三上殺害容疑が叡子へ向かうことに。
しかし、三上と別れた後に楓が叡子を家へと送り届けていたことが判明し事無きを得る。
数日後、叡子に新たな出会いが。
今度はイケメンで知られる陶芸家の田中優。
優にはイタリアンの人気シェフとして有名な弟の秀太がおり、イケメン兄弟で知られていた。
優を介し秀太と対面した叡子。
噂に違わぬイケメンぶりに胸を高鳴らせることに。
だが、秀太は叡子に冷たい。
叡子は心穏やかな優に惹かれて行く。
叡子、230回目の恋の始まりである。
その一方で、叡子は三上の死の謎に興味を抱き「花街道」へ。
其処では三上の死により「祟り」が噂されていた。
「花街道」オーナーの松原憲三はこれを一笑に付すが従業員の動揺は収まらない。
女将の節子や三上の後任として選ばれた谷本らも奔走するが、事態は紛糾するばかりである。
そんな中、今度は松原の遺体が彼の事務所で発見される。
発見者は秀太と松原の秘書・島村の2人だ。
松原の遺体は酒瓶を抱えており、死後に何者かに酒を注ぎこまれた形跡があった。
この前日である殺害当夜にも、秀太が松原の事務所に面会で訪れ島村に断られていたことが分かる。
容疑が秀太に向かうことに。
断られた後に、もう1度松原のもとを訪れ殺害したのではないかと考えられたのだ。
だが、これを叡子が否定する。
実は殺害当日、叡子は優と共に秀太の店で食事を摂っていたのだ。
秀太は厨房にずっとおり、席を外したのは優だけ。
その優も10分の離席のみで到底、事務所への往復は不可能である。
松原の遺体から事務所の鍵が発見。
遺体発見時、事務所は施錠されており、他に鍵を持っていたのは島村のみである。
つまり、密室殺人であった。
一方で新支配人となっていた谷本が姿を消し、松原殺害は彼の犯行とされた。
だが、果たして本当にそうなのか!?
事件について、さらに興味を抱いた叡子は「花街道」について調べ始めた。
すると「花街道」の番頭・田中五郎が数ヶ月前に謎の事故死を遂げていたことが判明する。
此処で叡子はあることに気付く。
巷で祟りの噂が立ったのは三上の死亡が契機である。
ところが、当の三上自身が祟りについて口にしていたではないか。
三上は何を以て祟りとしていたのか……。
もしかして、この田中五郎のことではないか。
田中五郎の過去が判明。
田中は真面目な性格で妻と小さな子供と共に慎ましやかに暮らしていた。
その矢先に田中は事業に失敗、松原に「花街道」の番頭として拾われることで何とか永らえたそうである。
ところが、今度は妻が自殺してしまうことに。
傷心の田中を松原が支え続けたらしい。
田中にとって松原は恩人だったのだ。
しかし、そんな田中が突如豹変し松原に反発を始めた。
そして、数ヶ月前に飲酒した状態で謎の事故死を遂げたのである。
そう言えば、松原も殺害された後に酒を流し込まれた形跡があったが……。
姿を消していた谷本が身柄を拘束された。
どうやら谷本は横領の罪を犯しており、それを知った松原から脱税を命じられていたらしい。
松原が殺害されたことを知り、慌てて逃げ出していたのであった。
田中の過去をさらに詳しく調べていた叡子はある事実を突き止め、真相に至る。
優と秀太を呼び出した叡子は「あなたたちが犯人だ」と告発する。
優と秀太は田中五郎の息子であり、田中の復讐を遂げたのだ。
叡子は松原殺害について触れる。
まず、秀太が松原の事務所を訪れた際にこれを連れ帰った。
次いで、優が叡子を連れ来店。
此処で優が食事中に10分離席した。
この間に殺害を実行したのである。
そして叡子が帰った後に、松原の遺体を事務所に運び込んだ。
松原の所持していた鍵を用いて開閉し、第一発見者となった秀太が鍵を戻したのだ。
すなわち密室は存在しなかった。
叡子曰く「密室トリックではなく、抜け出しトリックだった」のだ。
さらに叡子は秀太の出自について触れる。
優は田中の息子だが、秀太は松原の息子だったのだ。
過去、事業に失敗した田中は松原に拾われた。
だが、その背景で恐ろしい取引が行われていたのである。
田中の妻は夫の雇用と引き換えに松原と関係を持ったのだ。
そして、秀太が生まれたのである。
この秘密に耐え兼ねた田中の妻は自殺してしまった。
田中は最近になってこの事実に気付いた。
激怒した田中は豹変し、松原を問い詰めた。
その過程で殺害されてしまったのだ。
これに優と秀太が気付いた。
優は三上にこのことを相談した。
三上は自分が確かめると請け負った。
実は三上は田中に恩義があったのだ。
直後、三上が殺害された。
優たちは松原の犯行だと直感した。
其処で復讐計画を立てたのだ。
秀太は「松原が三上を殺害した証拠写真を優が持っている」と偽情報を松原に吹き込み彼の信頼を得た。
その上で、優殺害に協力して欲しいと松原に持ちかけたのだ。
松原は秀太が実子であることから気を許した。
結果、優と秀太に殺害されたのである。
優と秀太は逮捕された。
こうして、叡子の230回目の恋は終わった。
どうやら、次の作品のベストセラーも約束されたようである―――エンド。
<感想>
新シリーズ「女流ミステリー作家 薬師寺叡子 京都殺人ダイアリー」第1弾。
原作なし、オリジナルドラマです。
では、ドラマの感想から。
テーマ的には「本当に今更ながら」の作品で特に目新しいところはありません。
気軽に視られるシリーズが増えたと喜ぶべきなのか、このシリーズの分だけ本格的な作品が視られなくなると嘆くべきなのか……。
それにしても、本作は「作家探偵・山村美紗シリーズ」に似ているような気がしてなりません。
・水曜ミステリー9「作家探偵・山村美紗2 京都紅葉寺殺人事件 隠れ湯に散った愛憎劇 七草呪いの殺人連鎖がオペ室の巨悪を裁く(〜秋の七草の秘密〜 秋の七草が隠す4人の女の不倫愛憎の秘密)」(12月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
共通項を挙げてみると……。
・女流ミステリー作家が主人公。
・京都が舞台。
・担当編集者らと事件解決に挑む。
・思わせぶりな土地の伝説が語られるが、特に関係は無い。
ざっと、これくらい。
なんだろ、何故この作品をオリジナルでする必要があったのか理解に苦しむ。
まぁ、気軽には視られるから良いけど。
そう言えば、キャストはやけに豪華だったなぁ。
此の点は評価出来るのではないでしょうか。
ちなみに叡子231回目の失恋(シリーズ第2弾)が描かれるかどうか……はどうなんだろう。
本作最大の謎は作中ではなく、実は其処にありそうである。
<キャスト>
薬師寺叡子:財前直見
神取琴子:戸田恵子
田中 優:金子 賢
大原 楓:内山信二
星岡巧警部補:桐山 漣
田中秀太:竹財輝之助
田中吾郎:冨家規政
三上浩司:飯田基祐
野沢節子:黒田福美
松原憲三:若林 豪
堂島勉警部:イッセー尾形 ほか
(公式HPより、敬称略)
【関連する記事】
- 月曜名作劇場「駅弁刑事・神保徳之助10 〜近江八幡人情編〜 人気シリーズ第10弾..
- 土曜ワイド劇場「再捜査刑事・片岡悠介9 死を呼ぶプロポーズ〜結婚詐欺連続殺人!美..
- 月曜名作劇場「横山秀夫サスペンス 刑事の勲章 横山秀夫最高傑作「64(ロクヨン)..
- 土曜ワイド劇場「森村誠一の棟居刑事 偽完全犯罪 美女作家のニセ者は二度死ぬ?血痕..
- 水曜ミステリー9「マザー・強行犯係の女〜傍聞き〜 伝えたい話を別人の会話から漏れ..
- 月曜名作劇場「横山秀夫サスペンス 陰の季節 横山秀夫最高傑作「64(ロクヨン)」..
- 「科捜研の女 春スペシャル 謎の美人四姉妹の周りで次々と殺人が!犯人は…魔女!?..
- 土曜ワイド劇場「温泉(秘)大作戦(17) 香川うどん県こんぴら温泉 瀬戸内海の孤..
- 金曜プレミアム「松本清張スペシャル 一年半待て 密室夫殺人事件!正当防衛を訴える..
- 水曜ミステリー9「ソタイ2 組織犯罪対策課〜この男、危険なり! ドラッグ密売組織..
- 月曜名作劇場「税務調査官 窓際太郎の事件簿30 月曜名作劇場第一弾は窓際シリーズ..
- 土曜ワイド劇場「検事・朝日奈耀子(17)医師&検事〜2つの顔を持つ女! イケメン..
- 金曜プレミアム「松本清張スペシャル かげろう絵図 大奥に暗躍する巨悪に立ち向かう..
- 土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル10 狙われた社長令嬢・誘拐犯が殺された!2..
- 「松本清張特別企画 喪失の儀礼 松本清張の長編推理小説!中伊豆の旅館と深大寺の公..
- 月曜ゴールデン「内田康夫サスペンス 浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香 尼寺で..
- ドラマスペシャル「ストレンジャー バケモノが事件を暴く 永遠の時を生き続ける不老..
- 土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌39 スキャンダルな乗客 舞台上の連..
- 金曜プレミアム「山村美紗サスペンス 赤い霊柩車36 惻隠の誤算 放送開始24年目..
- 水曜ミステリー9「犯罪科学分析室 電子の標的2 猛毒ウィルスを密かに開発していた..