本作はハイセ&クインクス組の日常をほのぼのと描きつつ、その裏に悲劇の種子を孕ませ、同時にハイセの正体発覚からトーカ登場までを怒涛の勢いで活写する……とストーリー漫画としてはこれ以上ないほどの高いレベルでまとめられている作品です。
このそれぞれのバランスがきっちりと成立しているところが本作の最たる魅力なのかもしれません。
さて、前回の【考察】「東京喰種:re」について「7話:昧人」までで考察する!!に続き、今回もいろいろと妄想込みで考察して行こうと思います。
手始めに13話のサブタイから考察。
サブタイは「ああ、降ろう血」。
これは「(佐々木たちからナッツクラッカーへの)アプローチ」をもじったものと「ラストにてニコがグラスを傾けたことで零れかけたワインを血に喩えた」とのダブルミーニングだと思われます。
このサブタイ自体が洒落と後の悲劇を想起させる仕掛けになっていると言えるでしょう。
続いて今回は7話から13話までの気になる内容を列記しつつ、考察を加えて行く。
・ハイセがトーカと再会。
これで気になるのはトーカはハイセをカネキと認識しているのか。
13話にて女装しているにも関わらずニコとロマが「ハイセ=カネキ」を見破ったことから外見から判断は可能な様子。
だとすれば、トーカたちもこれを知った上で敢えて見守っているスタンスと思われる。
ハンカチを貸したり、親しそうに話しかけている点もこれを支持すると考える。
・クインクス適性者は6人居た。
13話にて明らかになった情報。
これは同時にサイコの兄の行方とも絡む。
6人居た筈の適性者だが、実際に投入されたのは4人のみ。
クインクス手術自体を避けた可能性もあるが、残る2人が失敗している可能性も考慮すべきだろう。
その2人のうちにサイコの兄が含まれているかもしれない。
なお、これが事実ならば嘉納と同じく「CCG」側も決して「善なる組織」ではないと言える。
ちなみに13話の描写にて「サイコ、ピエロ説」は消えたと思われる。
・ピエロ健在。
これも13話にて明らかになった情報。
ニコとロマが再臨。
彼らの台詞を見る限り、ビッグマムやナッツクラッカーにも影響を与えることが出来る存在なのか?
そう言えば、レストランには宗太が居たが今回もか!?
・ビッグマムとナッツクラッカー
どうやら、上下関係にある様子。
これは十三との因縁もありそうだ。
・トルソーと六月の関係。
因縁と言えば、これも気になる。
アオギリに保護されたトルソーが頭に思い浮かべたのはおそらく六月のこと。
思わぬ因縁が生まれたか。
・トルソー、アオギリ入り。
トルソーと言えば、彼が最初からアオギリの構成員ではなくフリーの情報提供者だったのには驚いた。
結局、アヤトに助けられアオギリ入りしたようだが……。
こうなると余計にヒナミに渡していたUSBが重要な意味を持ちそうだが。
・クインクスの去就。
ニコとロマが動き出したことにより、どうにも不穏な気配を漂わせることとなったハイセ。
彼の現在の家族であるクインクスの去就はどうなるのか。
サイコは適正値最高だったことが明らかになっており、フレーム解放の段階を上げれば強キャラとなり得ることが分かっている。
だとすれば動機が伴えば化けるキャラになりそう。
シラズはハイセを気遣うキャラ。それ故に精神的支柱となりそう。
ウリは秘密裏にフレーム解放。明らかな暴走フラグである。
これが功を奏するのか、それとも……。
六月はハイセを意識している様子。
ただし、自身の性に否定的であり、此の為にクインケが反応しないのだろう。
つまり、彼女が自身を肯定した時には一気に強キャラ化する可能性あり。
一方、ハイセを慕えばトーカと激突する恐れも……。
トルソーとの因縁も忘れてはならない。
・アモンの現状。
12話にてアモンらしきシルエットが登場。
見るからに厳めしい姿のようだが、果たして彼は「アオギリ」に属しているのか。
さて、13話時点で作中で確認出来るだけでもアヤト、ニコ、ロマ、西尾錦らが「ハイセ=カネキ」であることに気付いている。
これに匂わせているだけのトーカやヨモらを加えても、ほぼ旧作キャラの大半が正体を掴んだと言って良い。
そんな中、ニコとロマが「ハイセ殺害」を匂わせる発言。
これは「殺害=カネキの記憶を呼び起こし、ハイセの記憶を抹殺すること」と思われる。
過去の状況を再現するか、旧知の者に引き合わせるつもりなのか。
それとも、ハイセが大切にしている絆を奪うつもりなのか。
いずれにしろ、波乱の展開になることは間違いない。
今後も「東京喰種:re」からは目が離せない!!
◆関連過去記事
【ヤングジャンプ関連】
・やがて来るであろう第二部に向けて……「東京喰種」を考察してみる
・【考察】「東京喰種:re」について「7話:昧人」までで考察する!!
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