2015年02月08日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第10話「初恋と殺人装置2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第10話「初恋と殺人装置2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第10話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

蛍の父:赤木興業の社長。
蛍の母:バーのような店を経営している様子。

真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。

実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第9話「初恋と殺人装置」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

蛍の父が経営する赤木興業に未曾有のピンチが訪れていた。
経理を任せていた会計士の実山が会社の金を持った状態で姿を消してしまったのだ。
このままでは赤木興業は倒産してしまう。
蛍は工場を救うべく、幽霊となった兄・圭一と幼馴染の真島慎一と共に事態の解明に挑む。

紆余曲折を経て、圭一が実山のマンションに辿りついたまでは良かったが、圭一の目の前で実山は殺人機械に縊り殺されてしまう。
どうやら、何者かが実山に罪を着せて殺害したようだ。
霊体の圭一はこれを止めることが出来ず、座視するしかなかった。
無力感を抱く圭一だが……。

それから数分後、マンションの玄関で控えていた蛍のもとに圭一が戻って来た。
圭一は実山を救えなかったことを蛍に伝える。

これに蛍も圭一と同じ結論に辿り着いた。
何者かが実山に罪を着せたのだ。
こんなことが出来るのは実山会計士事務所の職員しかいない。

容疑者は4人である。

まず、比較的若手の貝塚俊雄。
事務所の紅一点である役丸みつえ。
太めの職員である三島。
ダンディな丸木田。

このうちの誰かが犯人なのだ。

圭一によれば、実山は殺人機械で殺害されている。
だとすれば、犯人は殺人機械を回収する必要がある。
つまり、マンションへやって来る公算が大きい。

蛍と圭一は犯人を待ち伏せすることに。

ところが、其処に見慣れた女子高生がやって来た。
少女の正体は蛍と同じ聖マルス学園の緑川楓。

慌てて隠れる蛍たちだが、楓は勘が鋭くあっさり見つかってしまう。
制服を着ていないこともあって、仕方なくマンションの住人を装う蛍。
だが、これもあっさりと見抜かれてしまう。
楓は記憶力も優れており、蛍をクラスメートだと覚えていたのだ。

何とか必死に誤魔化そうとする蛍。
そんな蛍を疑わしげな目で見遣りつつ、楓は自身を「探偵だ」と名乗る。
何でも彼女も消えた実山を追って、このマンションに辿り着いたらしい。
蛍は自身と違い単独で此処まで辿り着いた楓の力に感嘆する。

一方、蛍と楓の遣り取りに気付き逃げ出した人影があった。
これに気付いた蛍は圭一に後を追うよう依頼する。

人影の正体は……貝塚であった。
犯人は貝塚だったのだ。
貝塚は殺人機械を回収しに来ていた。
だが、マンションの玄関前で何やら話している蛍たちの目に触れることを怖れたのである。
貝塚はタイミングを見計らうべく身を隠した。

貝塚が隠れたと同時に慎一がマンションへ現れた。
蛍を心配し迎えに来たのだ。
蛍はこれを利用し楓の追及を逃れることに。

慎一と共にマンションを出た蛍はこっそり圭一と合流。
これを確認した貝塚は入替るようにマンションの中へと消えて行った。

蛍は圭一から犯人が貝塚であること、また彼が入替る様にマンション内に入って行ったことを聞かされた。
途端に蛍が顔色を変える。

蛍と別れた楓はエレベーターに乗っていた。
おそらく、実山の部屋へ向かったに違いない。
だとすれば、貝塚と遭遇する可能性が高いではないか!!

同じ頃、楓は蛍の予想通り実山の部屋に忍び込んでいた。
其処で変わり果てた実山の姿を目にする。
状況から見て何者かに殺害されたようである。

と、楓は気配を感じ咄嗟に携帯していた特殊警棒を振り上げる。
しかし、相手の方が早かった。

特殊警棒は撥ね退けられ、楓は相手に押し倒され組み臥されてしまった。
もちろん、相手の正体は貝塚だ。

「参ったなぁ……もう1人殺すことになるとは」
貝塚は馬乗りになり、楓の首を絞める。
楓は悲鳴を上げるまでも無く青褪めて行く―――次話に続く。

いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。

さて、その10話。

やはり、犯人は貝塚でした。
おそらく貝塚は実山に横領の罪を着せるつもりなのでしょう。
その狙いは九分九厘成功しています。
貝塚にとって思わぬ要素となった楓も、もはや風前の灯。

ただ、貝塚はある人物の存在を失念している。
そう、蛍です。
まぁ、そもそも貝塚は蛍の存在の重要性を知らないワケなのですが。

次回、蛍は楓を救うべく貝塚と対決することになる筈。
貝塚は蛍の奇襲攻撃に曝されることになりそうです。
これにより貝塚の犯罪は頓挫することとなるのでしょう。

ただ、そうなると楓に蛍が「尋常ならざる人物」であると知らせてしまうことになる。
自身が探偵であることに誇りを抱いている様子の楓。
今後は蛍を「少女探偵」の同志、あるいは良きライバルとして認識し物語に関わって来そうです。

それにしても、楓は「少女探偵」だったのか……まさにサプライズでした。
蛍と共に良キャラになりそうな予感です。

そして、もう1人。
サブタイ「初恋」の由来となっている真島慎一も忘れてはいけない良キャラ。
ある意味、圭一に続く蛍の助手的ポジションの彼は今後も蛍を助けることでしょう。
また、圭一からは警戒されているようですが、読者は彼のピュアな恋を応援したいところ。

次回も見逃すなかれ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第1話「再会とはじまり」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第2話「もう1つの兄妹」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第4話「恐喝王」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第6話「恐喝王3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第7話「恐喝王4」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第9話「初恋と殺人装置」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
蛍の母:バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
真島が登場したタイミングと、圭一が警戒しているという描写が重要な伏線になりそうですよね。

蛍と真島が親密になったタイミングで、真島が圭一を殺した犯人だと判明する
という展開が見える気がします。
ピュアというよりはストーカー気質に近いのではないかと。
Posted by 和泉 at 2015年02月09日 16:51
Re:和泉さん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

なるほど、出来れば爽やかな純愛路線を求めたいところですが、確かにそういった見方も出来ますね。
これはますます慎一から目が離せなくなったか……。
Posted by 俺 at 2015年02月10日 00:51
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