日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第15話「鮎川教授最後の授業」(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
雨が降りしきる森の中、1人の男が猟銃を手に先を急ぐ。
そんな男の視界に熊が飛び込んで来た。
男は躊躇することなく発砲、被弾した熊はその巨体を静かに横たえた。
その身体から雨に濡らされ体温が奪われて行く。
男はそれを眺めている。
数分後、男の周囲には地元の青年団や猟友会の姿があった。
「これで被害者も浮かばれるでしょう」
男に声をかけた猟友会のメンバーの声。
どうやら、熊には人を襲ったことで射殺許可が下りていたらしい。
その夜、帰宅した男はこの話を傍らの女に聞かせていた。
「可哀想な気がする」
「でも、人を襲ったんだからね。君は優し過ぎるよ」
女の素直な感想を背中にしつつ、男は部屋を後にした。
残された女は何やら考え込む素振りを見せるが……。
それから数日後、特命係に出勤した甲斐(成宮寛貴)は、右京(水谷豊)のデスク下のゴミ箱から彼宛の手紙を発見し興味を抱いた。
それは右京の大学時代の恩師・鮎川の古希を祝う会合への招待状であった。
鮎川は元旧華族出身で東大法学部名誉教授など華麗な経歴の持ち主、右京はその教え子だったのだ。
ちなみに、この鮎川こそが冒頭の男なのだが甲斐がそれを知る筈もない。
そんな甲斐は右京に参加してはどうかと奨める。
当初は参加するつもりのなかった右京だが、いざ甲斐に言われて気にかかり始めた。
結果、会合に参加することに。
参加者は右京を除き5人。
教授の江田哲夫、東大法学部准教授の東義之、財務省の幹部となった小松崎敬三、弁護士の溝口誠、最後にはあの社美彌子(仲間由紀恵)の姿もあった。
右京は知らなかったが、美彌子は右京の後輩だったのである。
ちなみに招待客の基準だが、鮎川によれば特に優秀だった教え子を選んで招いたらしい。
夕食までの間、好奇心の虜となった右京は鮎川家の中をうろうろと観察し続ける。
だが、書斎の中を歩いていたところ、美彌子に見つかってしまう。
「まったく……」
美彌子に叱責されてしまう右京。
とはいえ、美彌子も興味はある様子で右京につられるように周囲を見回す。
すると、薬品棚が目についた。
「へぇ……これは」
目を細める美彌子。
其処にはアスピリン、総合漢方胃腸薬、ステロイドの他に青酸カリ、テトロドトキシン、ニコチンまでもが並び、きちんと施錠されていた。
毒物に詳しい美彌子に驚く右京。
美彌子によれば「別れた男を殺す為に勉強した」のだそうだ。
呆気にとられる右京に「冗談ですよ」と笑う美彌子。
同じ頃、甲斐は悦子から「妊娠したかもしれない」と告げられ、こちらも絶句していた。
その夜、集まった面々は鮎川と暮らす黎子(石野真子)の手料理に舌鼓を打っていた。
この黎子こそ冒頭の女性なのだが、これまた彼らが知る筈もない。
美味しい物を口にすれば会話も弾む。
各人の成績についてなど昔語りも始まり、楽しい想い出となる筈だったが……。
突如、鮎川は驚愕の質問を口にする。
「なぜ人を殺してはいけないのだろうか?」と。
右京は日に2度も絶句する羽目に。
その頃、甲斐は悦子の妊娠を確認し大喜びしていた。
一方、右京たちに異変が起こっていた。
小松崎や溝口が鮎川の試験で不可を喰らったことを明かしていたところ、急に押し黙ってしまったのだ。
次いで、ナイフとフォークを手にバタバタと倒れ込んでしまう。
それは右京や美彌子も同じであった。
彼らは食事中に強烈な睡魔に襲われてしまったのだ―――睡眠薬を盛られたのである。
次に気付いた時、右京たちの姿は外界から遮断された地下室にあった。
どうやら、音楽ルームのようでバッハのレコードがセットされている。
すなわち、防音設備は万全のようだ。
いくら叫ぼうが外には聞こえないだろう。
また、携帯電話も閉め切ってしまっている限りは電波が届かないようである。
右京たちは周囲を見回す。
其処には夕食時のメンバーである江田、東、小松崎、溝口らの姿がある。
全員、命に別状は無いようだ。
それぞれに起き出して来ていた。
状況理解に苦しむメンバー。
そんな中、美彌子が鮎川のものとみられる手紙を発見する。
「優秀なる我が教え子諸君へ」とされた手紙の中には「設問:何故、人を殺してはいけないのか―――経験と知識を用い述べよ」と試験用紙が同封されていた。
夕食に出た問いと同じものだ。
てっきり冗談だと思っていたソレだが、どうやら本気だったようである。
こうして、江田、東、小松崎、溝口らが試験を担当し、右京と美彌子が脱出経路を探すことに。
他の4人と異なり、右京と美彌子は鮎川の書斎にあった毒薬を目にしている。
試験だけに時間を割くことに身の危険を感じていた。
しかし、周囲を見回るが脱出路は無い。
急転直下の夜が明け午前6時54分となった。
試験組の間で、ふと黎子と鮎川の関係について話題に上る。
黎子は鮎川と血縁でもないし、妻でもなさそうだ。
2人の関係は何なのだろうか……。
そんな中、回答期限がやって来た。
地下室の扉が開かれ、同時にこれを待っていた右京たちが飛び出す。
途端……銃声が響いた。
扉の外には猟銃を構えた鮎川が立っていたのである。
鮎川の目はこれが本気であることを示していた。
迂闊に動けば射殺されかねない……右京たちは大人しくすることに。
鮎川は美彌子に解答用紙を回収するよう指示。
従う美彌子に、右京は「上がったら出来るだけ長く扉を開けて下さい」と依頼。
これを承知した美彌子は扉の前で解答用紙を床に落とし、時間を稼ぐ。
この間に右京は確保した電波を通じて甲斐へ電話を入れる。
だが、甲斐は峯秋に「話したいことがあるので時間が欲しい」と電話で訴えていた。
もちろん、悦子の妊娠について報告するつもりなのだ。
仕方なく、右京は朝釣り中の米沢へ電話を入れる。
出ようか出まいか悩む米沢。
だが、諦めたように電話に出る。
そんな米沢に右京は「鮎川に監禁され、おそらくその地下室に閉じ込められていること」を告げる。
今度は米沢が絶句することに。
米沢から甲斐に連絡が入った。
急を聞かされた甲斐は中園に助けを求めるが、中園は相手にしない。
数分後、内村と中園は美彌子の無断欠勤について愚痴を零していた。
此処で、美彌子が鮎川の古希の祝いに参加していたことが判明。
中園は先程の甲斐の話を思い出す。
一方、甲斐は伊丹たちにも助けを求めていた。
しかし、これまた伊丹たちも相手にしない。
其処に中園から鮎川宅へ急行するよう指示が飛ぶ。
どうやら、美彌子も居なくなったことで甲斐の言葉が真実だと察したようだ。
甲斐と伊丹たちは鮎川邸へ急行する。
同じ頃、悦子は産婦人科へ。
妊娠を確認するが「それとは別に深刻な状況が……」と宣告されてしまう。
その頃、鮎川は黎子に「人を殺したい」と語っていた。
その気持ちを抑える為に、答えを右京たちに求めているのだそうだ。
これを聞いた黎子は鮎川に内密に行動を開始。
地下室の扉を開き、右京たちを逃がそうとするのだが……。
直後に、鮎川に見つかってしまう。
「やっぱりね、君ならこうすると思ったよ」と述べる鮎川。
黎子へと猟銃を突き付けつつ、地下室へと降りて行く鮎川。
右京たちに「君たちの答えには誠実さが無い。真剣味が足りないからだ」と主張。
見せしめに1人殺害すると宣言する。
これに右京と美彌子は「追試をして欲しい」と依頼。
未だ試験に回答していない2人にチャンスを欲しいと訴えたのだ。
鮎川は了承し、タイムリミットを3時間延長することに成功する。
同時刻、甲斐と伊丹が鮎川邸に到着。
しかし、其処はもぬけの殻である。
それもその筈、右京たちが閉じ込められていたのは鮎川邸ではなく別の場所だったのだ。
右京たちが眠りこけている間に、鮎川と黎子が別の場所に運び込んだのだ。
これでは甲斐たちが辿りつける筈がない。
この事態に甲斐が気付いた。
「何処に居るんですか、杉下さん……」
甲斐の呟きが虚しく木霊する。
右京も黎子から此処が鮎川邸ではないことを知らされ困惑していた。
仕方なく右京と美彌子は追試を受けることに。
他の面々は正解さえすれば解放されると励ますが、右京は呟く。
「明確な回答など有り得ないことを確かめているのではないか」と。
つまり、鮎川は自身の殺意を肯定する為に回答を求めているのではないか。
だとすれば、いずれにしても右京たちは―――第15話了。
・後編はこちら。
「相棒season13」第16話「鮎川教授最後の授業・解決篇」(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<感想>
シーズン13第15話。
脚本は輿水泰弘さん。
サブタイトルは「鮎川教授最後の授業」。
前後編の前編です。
終盤に向けて怒涛の展開ですね。
メインストーリーは「右京さん監禁事件」。
その傍らで「悦子妊娠」が発覚。
さらに「悦子の妊娠と同時に何らかの不測の事態が併発していること」も判明することに。
まずは「右京さん監禁事件」から。
こちらは恩師である鮎川の暴走……と思いきや、もう1つ裏に何かありそうな印象。
どうも、鮎川は右京たちの時間稼ぎに敢えて乗っているような気がする。
気になるのは黎子の存在か。
鮎川は黎子と2人で暮らしているが、其処に意味がありそうだ。
此処からは1つの推測。
もしかして、鮎川は黎子に命の大切さを教える為に今回の事件を起こしたのではないか。
例えば、黎子は自殺志願者であり彼女が自身の命を絶たないように鮎川が事を起こした。
鮎川は書斎に薬品を置き、他者が触れられないように施錠していた。
ポイントは施錠していた点だ。
鮎川家に暮らしていたのは鮎川以外には黎子しかいない。
すなわち、鮎川は黎子の手に薬品が渡らないように心掛けていたことになる。
他にも熊射殺の件で黎子は「可哀想」と述べつつ微妙な反応を示していた。
おそらく、熊への思いやりこそあれど、熊が殺害した被害者へのソレが無かったからだろう。
これもやはり、命を軽視していた為ではないか。
つまり、黎子は何処か精神的に不安定な状態。
だから、鮎川は敢えて大騒ぎを起こすことで反面教師的に彼女を立ち直らせようとしているのではないか。
ちなみに、鮎川ではなく黎子が殺人願望の持ち主の可能性も無くは無い。
このパターンだと鮎川が黎子に命の大切さを教えることになるか。
ただ、それだと当の鮎川が黎子に未だ殺されていない点が謎になるのでこれは可能性としては低いのではないかと思う。
それと、鮎川が優秀だからと呼び集めた6人ですが、右京と美彌子以外は劣等生も混ざっていたようですし、他に意味があるのかも気になるところ。
此の中に、黒幕が居る可能性もある……!?
次いで、サブストーリーの「悦子妊娠」。
さらに「悦子の妊娠と同時に何らかの不測の事態が併発していること」。
問題となりそうなのは「新たに発覚した不測の事態」だな。
悦子が赴いたのは産婦人科の筈なので、婦人科系の病気が疑われるが……。
これが、おそらく甲斐卒業へ向けての布石となりそう。
この病気の治療の為に悦子に付き添い海外へ……といった形での卒業ではないか。
なお、甲斐卒業について詳細は次の記事からどうぞ。
・【至急報】3代目相棒・甲斐享が「相棒season13」にて卒業とのこと。
甲斐卒業と言えば、今回の美彌子は何処となく右京の相棒の風情でしたね。
これまでの美彌子とキャラが違っていて、かなり柔らかくなった印象です。
もしかして、候補として上がっていて反響をテストしているのかなぁ……。
どちらかと言えば、美彌子は右京たちと対決するキャラだと思っていたのだけど。
さて、此処まで述べておいてなんですが、今回の感想の内容についてはあくまで予測になります。
特に鮎川教授の真意などについては思いっきり外すことも考えられます。
次週にて、当たった場合は劇中の悦子妊娠を知った甲斐よろしく狂喜乱舞する予定ですが、外した場合は華麗に出来る限りスルーしたく思います。
その点にお気づきになられても、敢えて触れずに心の中だけで「ああ、こいつ外したな」と温かな対応でお願いします。テヘッ!!
・後編はこちら。
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こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
「右京の大学時代の成績について」のお尋ねですね。
これについては鮎川たちとの夕食時の話題で触れられていた内容だと思います。
放送当日から数日が経過しているので些か曖昧で恐縮ですが、確か「右京が1つ、美彌子が3つ」との流れだったと思います。
それについて周囲が感嘆するとの展開でした。
念の為にネット上で調べてもみたのですが、管理人が調べた範囲内ではこの内容については特に触れられていませんでした。
残念ながら、これ以上の明確なことは分かりかねるようです……。
これでご質問の回答になっていれば良いのですが。
たしか相棒不在の時期に
右京がフランス文学の教諭(キャテリーヌさん?)と再会する話があったかと思います。
その時に唯一成績が悪かった科目だという話をしていたような気がします。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ありました!!
「相棒season7」15話「密愛」のことですね。
確かに、あの回で右京は岸惠子さん演じる大学時代の恩師に対し彼女が講師を勤めた授業を「苦手な科目だった」と述べてましたね。
そして気付いたのですが、その恩師の名が「キャテリーヌ」こと「悦子」だったり。
意外なことに甲斐の恋人と同じ名前だったとは……。
今夜後編なので復習しています。
「キャテリーヌ」なつかしいです。そういえばフランス文学が苦手だという会話を思い出しました。右京さん、その1つが優でなかったんですね。美彌子さんは何が苦手だったのかな?
ずっと前のシーズンから話が続いていて、それを皆さん覚えておられることに感心。すごいです。
相棒はそうですけど、科捜研の女などは今刑事の内藤さんが以前小説家だったりして…。どちらも面白いですけどね。
後編が終わったら、また訪れます。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
16話「鮎川教授最後の授業・解決篇」、怒涛の展開でしたね。
悦子の抱える病気が判明する一方で、鮎川と黎子の意外な関係が明らかにされたり、右京と美彌子が丁々発止の遣り取りを繰り広げるなど見所が盛り沢山でした。
管理人もご指摘頂いて思い出したのが「相棒season7」15話「密愛」。
このように、シナリオに仕掛けられた遊び心などは「season13」までに至る長い歴史がある作品だからこその「味」と言えそうですね。
また、それを視聴者が記憶に留めることで、こうして味わうことが出来る……流石は「相棒」です!!
そして、この「キャテリーヌ」さんの本名が実は「悦子」であるとの意外な発見に繋がったのも驚きでした。
「科捜研の女」も「相棒」同様に歴史あるドラマ。メンバーが変わったり、ドラマのお約束を逆手に取ったりと意欲的な番組です。
特に例として挙げて頂いた内藤さんはプロファイラーから次々と転身を果たし遂には刑事に……って、シーズン5以前は別人設定なんですよね。これを知った時は物凄く驚きました。
これもまた遊び心、そして作品を味わうことなのでしょう。
名作はやっぱり味わい深いです。