ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家たちの書き下ろしミステリー・ブックです。海堂尊の人気ミステリーの続編ついに登場!「加納&玉村」シリーズ「発心のアリバイ」、『さよならドビュッシー』の中山七里が描く大人気・音楽シリーズ「どこかでベートーヴェン」第3話、絶好調「死亡フラグ」シリーズの七尾与史によるジェットコースター・ミステリーがついに完結!「僕はもう憑かれたよ 最終話」、上甲宣之「JC科学捜査官」シリーズ・最新短編「雛菊こまりと“メリーさんの電話”殺人事件」、スマッシュ・ヒットの佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ「ペテン師のポリフォニー」、千里眼をもった金平糖屋のひとり娘が事件解決に挑む伽古屋圭市「なないろ金平糖」第2話など、話題作家競演の一冊。
(宝島社公式HPより)
<感想>
中山七里先生「岬洋介シリーズ」の最新作『どこかでベートーヴェン』の第3話が発表されました。
長編第3作である『いつまでもショパン』と同様に『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』に掲載されています。
これにより、何時か来るシリーズ第4作『どこかでベートーヴェン』の発売が明らかに。
そんな「岬洋介シリーズ」は「難聴を抱える天才ピアニスト岬洋介が関わった事件を描く」シリーズ作品。
あくまで関わった事件なので、中心視点人物は各作品ごとに別の人物となっており、岬は事態解決やアドバイスなどを行う探偵役の立場となっています。
いつか岬自身が視点人物となる日がやって来るのでしょうか。
なお、今回の『どこかでベートーヴェン』は『いつまでもショパン』の後から始まる物語。
ただし、ある事柄により一躍有名になった岬を見かけた高校時代の同級生が当時の事件について振り返るとの内容になっています。
この為、実際は回想が主になりそうかな。
そして、3話も岬を取り巻く不穏な空気を描きつつも事件は未だ発生せず。
これ自体が何かの伏線なのか!?
あるいは岬の青春が主眼となるのか……目が離せません。
さらに本作はタイトルが『どこかでベートーヴェン』とされている通り、岬の難聴も大きく絡んで来るのかもしれません。
ちなみに、「岬洋介シリーズ」には長編が『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』、『いつまでもショパン』の3作(刊行順、作中時系列順)と短編が短編集『さよならドビュッシー前奏曲(文庫化に際し『要介護探偵の事件簿』を改題)』(『さよならドビュッシー』の前日譚を描いたスピンオフ)、『間奏曲(インテルメッツォ)』(『いつまでもショパン』とう同時期に起こっていた事件を描くスピンオフ)の2作が存在しています。
記念すべきシリーズ第1作『さよならドビュッシー』は映画化もされています。
書籍版については、すべてネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はネタバレあらすじ後の関連過去記事へどうぞ!!
ネタバレあらすじについては、管理人によりかなり改変されています。
本作を楽しんで頂くには直接お読み頂くことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
岬洋介:シリーズ主人公、今回は高校時代が描かれる。
鷹村亮:『どこかでベートーヴェン』の視点人物。音楽科の学生。
岩倉:音楽科の学生の1人。
板台:音楽科の学生の1人、バンドを組んでいる。
春菜:鷹村が憧れる同級生。
棚橋:音楽教師。
佐久間:数学教師。
・2話はこちら。
『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
岬による「月光」の演奏から鷹村のクラスは変わった。
それまで、クラスではあくまで厭世観から来るモラトリアムが蔓延していた。
そんな気分が岬の演奏で吹っ飛んだのだ。
何しろ、「自分だけは特別だ」と信じる面々が「本物の特別」を目にしてしまったのである。
まさに青天の霹靂とでも言うべき出来事であった。
その反応は様々な形で出た。
鷹村は岬を「破壊神」だと考えた。
それは本人の意志に関わらず、周囲の者を振り回す。
春菜は岬に憧れ、彼に近付く方法を得ようと動き出した。
今では鷹村から岬の情報を引き出そうと必死だ。
岩倉は常にクールを気取っていた彼の仮面をかなぐり捨てて、岬排除に躍起である。
岬に悪意が無いことを知る鷹村は岩倉を押し留めようとするが効果のほどは分からなかった。
そして、教諭の棚橋もまた変化の兆しを見せていた。
何よりも「努力」を是としていた彼が「才能」についても目を向け始めたのだ。
いや、むしろこれが棚橋の本音だったのだろう。
岬という宝石を目にし、それが表に出始めたと言うべきだ。
岬の存在は本人の意志に関わらず、かくも影響を与え始めたのだ。
そんなある日、鷹村はある現場を目撃する。
岩倉が岬に暴力を奮っていたのだ。
我関せずを貫くべきか悩む鷹村だが、岬を放置出来ず助けに飛び込む。
こうして、岩倉と決裂することに。
だが、鷹村にとってはそれでさえも何故か清々しい気持ちになるのであった。
しかし、此の状態を放置することが岬の為にもならないと考えた鷹村は彼が周囲に与えている影響について少しは配慮すべきだと苦言を述べる。
これに当初は不思議な表情を浮かべる岬。
だが、やがて鷹村の言葉を理解し多少なりとも考えてみると応じるのであった。
そんな岬の柔軟な態度に、鷹村は余計に好意を抱く。
怪我をした岬を治療すべく自宅に連れて行った鷹村。
其処に鷹村の母が現れる。
岬の力量を知らない鷹村の母は息子が赤面しているにも関わらず、ピアノを教えてあげると申し出た。
これを必死に止める鷹村。
どう考えても岬の技量が抜きん出ていたからであった。
そんな鷹村母子の騒動を目の前にした岬は少し寂しそうにその日は帰ってしまうのであった―――『どこかでベートーヴェン』4話(あるいは本編)に続く。
◆「中山七里先生」関連過去記事
【岬洋介シリーズ】
・『さよならドビュッシー』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『おやすみラフマニノフ』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』第1回(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第一話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.6』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『間奏曲(インテルメッツォ)』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい!2013年版』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『要介護探偵の事件簿』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『連続殺人鬼カエル男』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『静おばあちゃんにおまかせ』(中山七里著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『残されたセンリツ』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)
「さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)」です!!
さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【関連する記事】
- 『どこかでベートーヴェン』(中山七里著、宝島社刊)
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