ネタバレあります、注意!!
<感想>
2015年3月における「金田一耕助VS明智小五郎シリーズ」最新作。
あの「パノラマ島」を舞台に『黒猫亭事件』にて読者に鮮烈な印象を残した金田一の親友・風間俊六が遂に登場です。
でもって当然、金田一行くところ事件あり。
今回も事件が発生。
その被害者は「IKOGORO」!?
と此処までが前編。
此処からが後編となるワケですが……。
前編にて「IKOGORO」が「明智小五郎」ではないかと疑った金田一。
その疑惑の真偽が問われることに。
同時に「パノラマ島」に隠された大きな謎に迫ります。
これに関しては一読して「なるほど、大きな夢ほど1人では不可能だもんなぁ」と思わされました。
そして、個人的には前編の推理が半分的中(被害者の正体)してました〜〜〜。
ただ、メイントリック部分は想定外でしたね。
なるほど、これがあったか……。
ちなみに、『パノラマ島奇談』連載時の大乱歩の担当編集者はデビュー前の横溝正史先生だとか。
うむ、スゴイ……。
さらにちなみに、古谷一行さん版金田一耕助の「黒猫亭事件」にシャア・アズナブルの声優で知られる池田秀一さんが日兆役で出演されていたことをご存知でしょうか。
本作はDVDが発売されているので興味のある方はチェックすべし!!
さらにさらに『パノラマ島奇談』と言えば、天知茂さん土曜ワイド劇場版「パノラマ島奇談」が「江戸川乱歩の美女シリーズ Blu-ray BOX」として発売。
こちらもチェックするべし!!
・土曜ワイド劇場の名作「江戸川乱歩の美女シリーズ」が遂にBlu-ray BOXになった!!「江戸川乱歩の美女シリーズ Blu-ray BOX」は2015年6月24日に発売予定とのこと!!
そして、さらなる広がりを見せる「金田一耕助VS明智小五郎シリーズ」世界。
ラストでは明智が金田一に電報を!?
本作『金田一耕助、パノラマ島へ行く』により、短編集『金田一耕助VS明智小五郎みたび』の存在も見えて来たか。
今回もファン必見です!!
ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
特にメイントリック周辺を意図的に曖昧な表現に留めています。
あのトリック本来の主旨はアリバイ工作にあるので、興味のある方は本作それ自体を読むことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
金田一耕助:若かりし日の金田一耕助。
風間俊六:金田一の親友。詳しくは『黒猫亭事件』を読むべし。
菰田源三郎:パノラマ島の元所有者。詳しくは『パノラマ島奇譚』を読むべし。
人見廣介:パノラマ島建設の野望を抱く。詳しくは『パノラマ島奇譚』を読むべし。
東小路伯爵:パノラマ島の現所有者らしいが……。
角田警部補:捜査に訪れた警部補。
北見小五郎:パノラマ島に崩壊をもたらした人物。
明智小五郎:ご存知、名探偵。
・前回はこちら。
『金田一耕助、パノラマ島へ行く(前篇)』(芦辺拓著、角川書店刊『小説野性時代 2015年3月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
「IKOGORO」なる人物が墜死体で発見された。
遺体は身許が判別出来ない状態になっており、金田一は「まさか明智小五郎では……」と疑うのだが。
矢先、金田一が宿泊していた東小路荘が何者かにより放火され消失してしまう。
謎の墜死に続く放火……金田一は親友の風間俊六と共に真相を追う。
そして気付いた。
「IKOGORO」を満たすパノラマ島の関係者が存在することに。
その名は「北見小五郎」。
過去にパノラマ島の欺瞞を看破し、その隆盛に終止符を打った人物だ。
此処で金田一は推理する。
おそらく北見は何がしかの事情でパノラマ島に戻って来たのだろう。
其処で彼によりパノラマ島を終焉させられたことを恨みに思う人々が復讐したのだ。
パノラマ島に理想郷の夢を見たのは1人、人見廣介だけではない。
彼のもとで多くの者も同じ夢を共有していたのである。
しかし、北見によりその夢は断たれた。
その人々がこれを恨みに思わない筈がない。
パノラマ島はミニチュアなどを利用し遠近感を失わせている。
東小路荘も2つ用意されていたに違いない。
金田一が見た謎の転落さえ仕組まれた罠だったのだ。
さらに北見自身もこの遠近法に騙され数十メートルを数メートルの高さと誤認し転落死を遂げたのだ。
この証拠を隠滅すべく放火が行われたのである。
こうして、真相が明らかになった。
だが、犯人の行方は杳として知れない。
そもそも、パノラマ島に理想郷を夢見た人々たちは何処に消えたのか!?
金田一はパノラマ島を後にした。
そのとき彼は見た、石像が一斉に彼に手を振るのを。
もしや……北見に復讐した人々は石像に化けて今も其処に生活しているのではないか。
戦慄する金田一であった。
一方、金田一がそんな状況にあるとは知らない明智小五郎はある電報を彼に送っていた。
その内容は―――エンド。
◆関連過去記事
【金田一耕助VS明智小五郎シリーズ関連】
・『明智小五郎対金田一耕助』(芦辺拓著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『金田一耕助VS明智小五郎』(芦辺拓著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『金田一耕助VS明智小五郎ふたたび』(芦辺拓著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『金田一耕助、パノラマ島へ行く(前篇)』(芦辺拓著、角川書店刊『小説野性時代 2015年3月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・「金田一耕助VS明智小五郎 犬神家の一族八つ墓村の金田一が名探偵明智と世紀の推理対決!切断された頭部 黒頭巾の男、黒焦げの焼死体…老舗薬問屋で続発する奇怪な連続殺人!予想を全て裏切る謎につぐ謎!驚愕の真相とは!?」(9月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一耕助VS明智小五郎ふたたび 名探偵金田一と明智の推理対決再び!村の入り口に垂れ下がる首つり死体…柳條家に隠された宝と謎…それを狙う怪人二十面相!名家を襲った怪事件!驚愕の結末とは!?」(9月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【森江春策シリーズ関連】
・森江春策シリーズ第1作にして初々しい学生・森江青年が初登場する作品はこちら。
「殺人喜劇の13人」」(芦辺拓著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「綺想宮殺人事件」(芦辺拓著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『異次元の館の殺人』(芦辺拓著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・土曜ワイド劇場版「森江春策」シリーズ第1作となった「弁護士・森江春策の裁判員法廷 殺人レシピのさしすせそ」のネタバレ批評(レビュー)も含んでます。
「裁判員法廷」(芦辺拓著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「探偵Xからの挑戦状!」にあなたも挑戦!?「森江春策の災難」ネタバレ批評(レビュー)です。
「森江春策の災難」(芦辺拓著)ネタバレ批評(レビュー)
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【ドラマ化情報】
・【至急報】謎の推理ドラマ情報が!!果たして「KvsA」とは!?
・「KvsA」の正体判明!!土曜プレミアムSPドラマ「金田一耕助vs明智小五郎」だった!!
・【朗報】「KvsA」続編製作中とのこと!!つまり「金田一耕助VS明智小五郎」第2弾放送決定!?
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