2015年03月07日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第14話「探偵女と病院と殺人3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第14話「探偵女と病院と殺人3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第14話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。

末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

口笛と独眼猫に誘われ、毛羽病院で他殺と思われる遺体を発見した蛍と圭一。
だが、其処を楓に目撃され疑われてしまうことに。
自身を探偵だとして逃れようとした蛍は、彼女を疑う楓と事件解決で対決することに。

圭一の存在もあり、楓の気付かない事実を次々と突き止める蛍。
これに楓は内心、気が気ではない。

そんな中、口笛の正体を突き止めるべく毛羽病院を再び訪れた蛍と圭一は其処に謎の女性を目撃する!!

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第13話「探偵女と病院と殺人2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

毛羽病院で口笛を吹く謎の女性を発見した蛍と圭一。
女性の周囲にはこれまでにないほど多くの独眼猫の姿があった。
どうやら、口笛に招き寄せられたようである。

だが、謎の女性が蛍と圭一を確認するや否や彼女自身も独眼猫も姿を消してしまう。
共にこの世の物ではないらしい。

蛍は看護師の叔母を通じて毛羽病院を調査。
すると、謎の女性が葉森美和なる人物と判明する。
美和は過去に毛羽病院で病死していた。

美和が事件に絡んでいると確信した蛍。
と、其処にやって来た楓は蛍を問い詰める。
どうやら、楓が場津間高校に注目していることを知り、あっさりと先を行く蛍に驚異を覚えたようである。

これに対し、蛍はさり気なく楓が逸見から入手した「末為のグループに所属する学生リスト」を盗み見る。
其処には「葉森了」なる学生の名前が記載されていた。

さらに、楓を警戒し過ぎた蛍はあくまで自身の推理単独で此処まで辿り着けたと実証しようと「被害者から薬品の匂いが漂っていた」など被害者の身許を特定出来た理由を実例を挙げて説明。
遂には「これぐらいは気付いて当然、探偵の常識だ」と楓に言い放ってしまう。

もちろん、圭一あっての情報だったのだが、これを知らない楓は敗北感に苛まれ泣き出してしまうことに。
どうやら、敬愛する祖父・宗達に比べ不甲斐ない自身を恥じてしまったらしい。

圭一は蛍の態度が楓を追い込むのではないかと危惧する。
だが、蛍としては楓の鋭さ自体を脅威に感じており、其処まで心配りが出来る状態では無いようだ。

いずれにしても、蛍はリストから見出した「葉森了」なる男子学生に注目。
彼が葉森美和の息子であり、美和が息子に悪影響を与える末為を排除したと推理する。

確認するべく、三度毛羽病院を訪れた蛍と圭一。
すると、現場に穴だらけの奇妙な幽霊が立っていた。
ソレは蛍を見咎めるや両腕を挙げて迫り来る。

圭一は発砲するが相手は弾丸を穴で合わせて避ける為に効果的なダメージは無い。

そうこうしている内に蛍が気付いた。
その幽霊が末為であることに。
末為の身体が蛍と圭一に覆い被さるが―――次話に続く。

いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
2015年4月8日には早くも1巻が発売予定とのこと注目!!

さて、その14話。
サブタイは「探偵女と病院と殺人3」。

事件の全貌が大体見えて来ましたね。
おそらく、既にこの世に居ない美和が息子・了を守るべく彼に仇為す末為の排除を決意。
しかし、圭一同様に霊体の美和には出来ることは限られている。
其処で、独眼猫の特性を知った上で口笛でこれを招き寄せ末為を死へと導いたものか。

こうなると、これをどう周囲(特に楓)に納得させるのかがポイントになりそう。
当然、あったことを伝えられる筈もなく……蛍がどう誤魔化すかに注目です。

一方、末為の幽霊が蛍と圭一を襲う。
それは末為の未練により動くもの、未練を断つこととなるのか!?
あるいは、此処で美和が登場し蛍たちを救うのか。
いずれにしろ、最終的には貝塚のときと同様に本体を叩くことになりそうだが……。

そして、蛍の叔母が看護師であることも判明。

さらに、楓を完敗に追い込んでしまった蛍。
これが今後にどう影響するか。

とは言え、楓は蛍の嘘にすぐ気付きそう。
なにしろ、12話により末為の遺体発見現場は糞尿の匂いに覆われていたのだから薬品の匂いが確認出来ないことは分かりそうだし。
だとすれば、あの蛍のロジックは崩れてしまう。
此処から楓が蛍を疑いライバル視するスタンスは続きそうだなぁ。

そう言えば、此処まで楓が宗達を想うのには理由がありそう。
もしかすると、宗達も圭一同様に何かの事件に巻き込まれたのか?
其処で楓が宗達の仇を討とうと少女探偵としてこれを追っている?
だとすれば、蛍と楓の仇は同一人物の可能性が高く共闘の余地も生まれそうだ。

次回も見逃すなかれ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男:圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。

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