<あらすじ>
元警視庁捜査一課の刑事で、今は奥多摩・水根の駐在所勤務の江波敦史(寺島進)。かつて取り調べ中に容疑者を自殺させてしまった責任を取らされこの地へやって来た。捜査一課へ戻るチャンスもあったが自ら奥多摩に留まることを決意し、「駐在さん」として住民の問題を解決する日々を過ごしている。
ある日、奥多摩で振興観光ツアーが開催される。竜之巣小屋という山小屋のオーナー探しも兼ねたツアーだ。参加者に挨拶するはずの江波は、途中で出会った女性と話し込みツアーの出発時間に遅れてしまう。江波を待っていた旅館の女将・池原美也子(市毛良枝)によれば、その女性は有名な学校グループの理事長・宮原静子(多岐川裕美)だという。10年前、奥多摩で息子が行方不明になり、時間を作っては探しに来ているらしい。すると2人の前に静子が現れ、息子からメールが届いたと言う。「息子は生きていた」と静子が喜んでいると、江波のもとに殺人犯が奥多摩に逃亡したとの一報が入る。さらにツアーに同行していた図書館司書・内田遼子(笛木優子)からも「竜乃巣小屋、人質」と危機を知らせるメールが届く。バンガロー村の管理人・関口(ダンカン)の道案内で竜乃巣小屋に急行した江波は格闘の末、犯人を逮捕する。
ほっとする江波だったが、格闘の際に転がり落ちた斜面で白骨遺体を発見する。遺体の手には“K”と刻印された金属プレートがあった。やがて遺体は行方不明になっていた静子の息子・智樹(夛留見啓助)と判明。江波を慕う捜査一課の南村陽平(鳥羽潤)の調べにより、メールは通信異常などで届いたものと思われた。
そんな中、渓谷でまた遺体が発見される。遺体を見た江波は驚愕。強盗殺人事件で指名手配中の赤木(稲健二)だったのだ。それは10年前、二人組が宝石店を襲い警備員を殺害した事件で、当時、捜査一課の班長だった現・管理官の加倉井国広(北村有起哉)とともに江波も担当していた。10年前、加倉井と江波は防犯カメラの映像から赤木を突き止め行方を追っていたが、当時の管理官と捜査方針で対立した加倉井が捜査から外された。結果、捜査は難航し今も未解決となっていた。赤木発見の一報を受け現場にやって来た加倉井は、10年前の宝石強盗殺人の共犯者が、赤木の死に関わっているとにらみ、共犯者探しに総力を挙げるよう指示する。赤木の自宅を捜索した南村らは、宮原智樹の免許証が入った財布と壊れた携帯電話を見つける。
そんな中、江波はバンガロー村で、赤木が襲った宝石店のオーナー・狭山和美(河合美智子)に遭遇する。しかも狭山は先日のツアーにも参加していた。赤木が遺体で発見された奥多摩をたびたび訪れている10年前の事件の被害者の狭山…。偶然とは思えない江波は、赤木と狭山を調べ始める…。
(あらすじ・写真共に公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。
江波敦史は元警視庁捜査一課の刑事、現在は奥多摩・水根の駐在所に勤務している。
江波は過去の事件について責任を取らされる形で異動となっていた。
異動当初こそ不満を抱いていた江波だが、今では此の土地と其処に住む人々を気に入り喜んでいる。
地元の人々も江波をすっかり信頼し、名物駐在として知られるほどであった。
そんなある日、奥多摩で振興観光ツアーが開催された。
実はこのツアー、販売に出されている竜之巣小屋のオーナー探しも兼ねていた。
竜之巣小屋は10年前に謎の失火があり、当時のオーナーが手離していたのだ。
江波も地元の関係者として参加を予定していたのだが……。
その途中、資産家で知られる宮原静子に呼び止められ話し込んでしまう。
静子には智樹なる息子が居るのだが10年前に竜之巣山へ行ったきり消息不明になっているらしい。
何でも智樹は山小屋経営に興味を持っており、竜之巣小屋を買い取ろうと考えていたと言う。
静子は時間を作っては消えた智樹をこうして探しているのだ。
矢先、江波のもとに殺人犯が奥多摩に逃亡して来たとの報が届く。
しかも、ツアー参加者の1人・内田遼子から助けを求めるメールが届く。
どうやら、犯人は竜之巣小屋に立て籠もっているようだ。
江波はバンガローの管理人である関口十三の手を借り、竜之巣小屋を強襲。
不意を突かれた犯人を取り押さえ、人質を助け出すことに成功する。
江波、大手柄である。
ところが、直後に付近に埋められた白骨死体を発見してしまう。
白骨死体の手には「AtoK」と刻印されたプレートが握られていた。
さらに、白骨死体の身許が智樹と判明。
静子は変わり果てた智樹の姿に衝撃を受ける。
その数日後、付近でまたも遺体が発見された。
その被害者は赤木肇、なんと10年前に江波が追っていた被疑者であった。
10年前、2人組の強盗が宝石店を襲撃し警備員を殺害。
店内に置かれていた宝石類を奪い逃走した。
防犯カメラの映像から、この1人が赤木と判明。
江波たちが捜索したのだが行方が知れず逮捕出来なかったのだ。
どうやら、赤木は数日前に何者かに殺害されたらしい。
また、その頬には10年前には無かった筈の古い火傷痕も残されていた。
どうやら、逃走中に負った怪我のようだが……。
そんな中、赤木の所持品から智樹の免許証と財布が発見されたのだ。
赤木は智樹の殺害にも関わっていたらしい。
直後、江波はバンガロー村で10年前の強盗事件の関係者を見かける。
被害に遭った宝石店のオーナー・狭山和美である。
不審に思った江波が調べたところ、和美が先日のツアーに参加していたことが判明する。
しかも、和美はそれ以外にも竜之巣小屋をたびたび訪れていたらしい。
此処で江波は和美と赤木の関係を疑い始める。
矢先、静子が何者かに襲撃を受け入院することに。
江波はこれも和美の犯行と疑うのだが、和美には時間的に犯行が不可能であった。
しかし、どうしても和美の犯行を捨て切れない江波はアリバイ崩しに挑む。
すると、ある方法に気付いた。
竜之巣山から折り畳みカヤックを用いて川下りすることでショートカット可能だったのだ。
さらに、江波は例の「AtoK」のプレートに注目。
そう言えば、バンガローの管理人・関口は名前が十三だった。
「十三のキング」で「K」なのではないか。
そして「赤木」の名が「肇」、すなわち「一」だ。
だから「K」と「A」になったのではないか。
だとすれば、10年前の強盗犯は関口と赤木の2人となる。
先の静子襲撃も関口ならば可能である。
もちろん、智樹殺害も関口と赤木の犯行なのだろう。
直後、静子が竜之巣小屋を既に購入していたことが判明。
どうやら、静子は智樹の仇を討つべく犯人を罠をかけるつもりのようだ。
その頃、竜之巣小屋では秘密裏にやって来た関口を静子がスタンガンを手に襲撃していた。
終始圧倒していた静子だが、不意に背後から一撃を受けて昏倒してしまう。
もう1人居たのだ。
その正体は和美であった。
10年前の宝石強盗は和美による自作自演だったのだ。
和美が首謀者となり関口と赤木を巻き込み事件を起こしていたのである。
関口と赤木は得た宝石類を竜之巣小屋に隠した。
直後に謎の失火が発生。
これを目にした智樹が慌てて小屋に駆け付けた。
赤木が火傷を負ったのはこの際だ。
一方、関口は騒がれることを嫌い智樹を殺害してしまう。
智樹の遺体を隠した関口と赤木。
関口は隠した宝石類を後日回収するつもりだったのだが……。
失火により竜之巣小屋の前オーナーが小屋を手放してしまい立ち入れなくなってしまった。
其処で関口はバンガローの管理者となり様子を窺っていたのである。
此処までを明かし、静子を殺害しようとする和美と関口。
だが、江波が駆け付け彼らを一蹴し逮捕する。
残された謎は2つである。
「竜之巣小屋に失火の原因」と「赤木は誰に殺されたのか」。
これはともに静子の犯行であった。
静子は智樹を自身の後継者にと考えており、山小屋経営に反対していた。
其処で智樹の心を掴んで離さない竜之巣小屋に火をかけたのだ。
これにより赤木は火傷を負うこととなった。
この際、関口は逃げて行く静子の姿を目撃することに。
静子は知らなかったが、智樹が竜之巣小屋を訪れ殺害されたのは直後のことである。
それから10年が経過した。
此処で智樹の白骨遺体が発見されたのだが、関口は其処で静子を目撃し赤木に伝えた。
赤木は火傷の復讐の為に静子を襲撃する。
この際に、赤木は丁寧にすべてを打ち明けてしまった。
すべてを知った静子は揉み合う内に赤木を返り討ちにしたのだ。
赤木殺害犯は静子だったのである。
だからこそ、これに気付いた関口が静子を襲撃したのだろう。
関口は10年前の強盗殺人と智樹殺害で逮捕された。
和美は強盗と静子殺害未遂で逮捕された。
静子は赤木の過失致死で逮捕された。
こうして事件は解決し、江波は今日も奥多摩に立っている―――エンド。
<感想>
ドラマ版『駐在刑事』シリーズ第2弾。
本作から「奥多摩駐在刑事」にタイトル変更が施されています。
前作は過去にネタバレ批評(レビュー)してますね。
そんな原作は笹本稜平先生『尾根を渡る風 駐在刑事』(講談社刊)。
第1弾『駐在刑事』に続く「駐在刑事シリーズ」の第2作目です。
あらすじは次の通り。
<あらすじ>
捜査一課から駐在所長へ。奥多摩の自然と温かき人々が不遇の元刑事を変えていく……異色の「山岳+警察」小説!
「駐在刑事」ドラマ化決定! 「水曜ミステリー9」(テレビ東京系)にて
警視庁捜査一課の敏腕刑事だった江波淳史(えなみあつし)は、取り調べ中に容疑者が自殺したことで青梅警察署水根(みずね)駐在所所長へと左遷された。亡くなった女性への自責の念から、江波が望んだ異動でもあった。駐在所の仕事と暮らしにも馴れ、山歩きを趣味とする江波は徐々に自らを取り戻していく。ある日、御前山(ごぜんやま)でペットの犬がいなくなったという連絡があり、山に入った江波の見つけたトラバサミが山梨で起きた殺人事件とつながっていく――。
花曇りの朝
仙人の消息
冬の序章
尾根を渡る風
十年後のメール
(講談社公式HPより)
原作の「駐在刑事シリーズ」はこれまでに2作の既刊が存在している(第1弾が『駐在刑事』、第2弾が『尾根を渡る風 駐在刑事』)。
ちなみに、ドラマ版の主演である寺島さんは同じ笹本先生原作のドラマ版「越境捜査」にも出演されています。
ちなみにちなみに、同じ講談社からは「駐在刑事」繋がりで同様にドラマ化された濱嘉之先生『世田谷駐在刑事』もある。
さらに、奇しくもこちらの「駐在刑事」も2014年4月7日に第2弾が放送されています。
・月曜ゴールデン「世田谷駐在刑事 鬼コバと恐れられた刑事が世田谷の駐在に!高級住宅街に渦巻く嘘と裏切り…消えた息子が目撃した衝撃的真実!その意外な結末とは」(6月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、そんなドラマ版の感想を!!
ラストでまとめてくれていましたが、再度まとめ直すと次の通りですね。
まず、本作中で起こった事件は合計7件。
10年前:「宝石強盗及び警備員殺害事件」「竜之巣小屋放火事件」「智樹殺害事件」
現在:「竜之巣小屋立て籠もり事件」「赤木殺害事件」「静子傷害事件」「静子殺害未遂事件」
この犯人はそれぞれ……。
「宝石強盗及び警備員殺害事件」:和美、関口、赤木
「竜之巣小屋放火事件」:静子
「智樹殺害事件」:関口、赤木(但し、直接手を下したのは関口)
「竜之巣小屋立て籠もり事件」:逃亡犯
「赤木殺害事件」:静子
「静子傷害事件」:関口
「静子殺害未遂事件」:和美、関口
ちなみに劇中では語られませんでしたが、関口が静子を襲撃した理由は赤木が殺害されたことで犯人が静子だと気付いたからでしょう。
此の点についてはあらすじ上に加えてみました。
そう、竜之巣小屋への放火犯は静子でした。
劇中、赤木は「静子が放火したからこそ智樹が殺されることになった」と主張していましたが、彼らが小屋に宝石類を隠した時点でいずれにしろ小屋の購入を計画していた智樹は殺害されていたでしょう。
むしろ、静子が此の時点で関口と赤木への先手必勝に成功していれば智樹は助かってたのかもしれません。
あと、気になったのだけどキャスト一覧に「関口」の名前が無い。苗字だけ。
そう言えば「赤木」の名前も記載が無い。これも苗字だけ。
おそらく「KtoA」のこともあってだとは思うのだけど、劇中でもあの時点まで関口の名前に特に触れられず後出しに近い形で提示するのは流石にアンフェアの謗りを免れ得ないのではないか。
此の点も気になったので、あらすじでは敢えて明記してます。
前回、かなり批判的な評価だった本シリーズですが今回も同様かなぁ……。
少なくとも管理人好みの作品では無かった。
とはいえ、こうしてシリーズ化した以上は第3弾もある筈なので次回に期待。
【駐在刑事シリーズ】
・水曜ミステリー9「駐在刑事 奥多摩渓谷・殺意の夜想曲 偽装の転落死!?岩壁に残る謎の白い粉と青い羽根…罪を被って死んだ女の無念を晴らす元刑事の執念」(4月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
【笹本稜平先生著作関連】
・「挑発 越境捜査2」(笹本稜平著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【駐在刑事シリーズ】
・水曜ミステリー9「駐在刑事 奥多摩渓谷・殺意の夜想曲 偽装の転落死!?岩壁に残る謎の白い粉と青い羽根…罪を被って死んだ女の無念を晴らす元刑事の執念」(4月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【越境捜査シリーズ】
・土曜ワイド劇場「越境捜査・警視庁vs神奈川県警、エリアの死角に消えた連続殺人犯!監視カメラには映らない暴走車…疑惑の警察ミステリー」(5月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・ドラマスペシャル「越境捜査 警視庁vs神奈川県警、暴走車を炎上させた空飛ぶ刑事!?あのキケンな2人が帰ってきた…本格警察ミステリー!!」(12月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
江波敦史:寺島進
加倉井国広:北村有起哉
池原美也子:市毛良枝
宮原静子:多岐川裕美
内田遼子:笛木優子
大沢直人:嶋田久作
南村陽平:鳥羽潤
池原孝夫:鈴之助
沢井真紀:小林星蘭
石川博康:つまみ枝豆
狭山和美:河合美智子
関口:ダンカン
赤木:稲 健二
山下:佐久間哲
宮原智樹:夛留見啓助 ほか
(公式HPより、敬称略)
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