2015年04月13日

「実は私は」第107話「歯医者に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第107話「歯医者に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「痛い〜〜〜痛い〜〜〜」

何事にも始まりがあれば終わりもある……そう、それはあの茜にも。
今、茜は内から溢れ出る荒ぶる力に耐えられず自壊しかけていた。

それを不安そうに見守る華恋、そして明里。

いや、違う。
明里は小刻みに肩を震わせていた、どうやら耐え兼ねているようだ。
それもその筈、茜の自壊の原因は単なる虫歯の痛みに耐えかねてのことだったのだ。
さらに茜は治療すらも「痛いから」の一言で拒否し続けて居たのである。

明里は「痛くないから」と腕の良い歯科医を紹介しようとするのだが、茜は全く聞く耳を持たない。
その間にも、茜の内からは相次いでオーラが零れ出す。

(まぁ、本人が自壊するならなぁ……)

うっすらと薄情な感想を思い浮かべた明里。
しかし、その認識が誤っていたことがすぐに明らかになる。

なんと、華恋によれば茜がこの状態を続ければ地球が崩壊する方が先らしい。
そう、茜の制御し切れなかった力が破滅をもたらすのだ。

よもや虫歯で世界の危機を迎えようとは……絶句する明里。
そんな彼女の前で、茜は痛みに耐えつつ駄々っ子のように歯医者への通院を拒否する。
その一方で、懲りずにチョコレートを食べ続けた。

これに明里がキレた!!

明里は「歯医者か、それとも今すぐこの場で歯を引っこ抜かれたいのか!?」と茜に選択を迫る。
流石の茜もこれには敵わない。

一方、茜の力は周囲に影響を与えていた。
まずは地球の周辺に謎のワームホールが出現し、危機が迫っていた。
さらに、葉子がシャーペンの芯をノックしようとして誤って指先に突き立てていた。

翌日、歯医者の待合室には大人しく座り込む茜と、監視する明里の姿が。
不貞腐れたように押し黙る茜に、明里はある話題を振る。

それは「此処2年ほどになって急に人外の面々を生徒として入学させたこと」であった。
吸血鬼ハーフの葉子、宇宙人である渚、狼男である獅穂、未来人の凛などだ。
しかも、新入生にさらなる人外の面々を加えている。
他にも、明里のクラスにも新たな人外が加わっているそうだが……。

これについて、茜は「一度、見損ねた世界を今度こそ見る」と応じる。
同時に、その身体は何時の間にやら歯医者の屋外へ。

しまった!!
ついついシリアスモードに入っていた明里は慌てて茜の後を追う。

すると……屋外では茜と明里同様に、嫌がる凛を歯医者に連れて行こうとする結香が。
どうやら、凛と結香は顔見知りらしい。

と、茜と凛の視線が交錯した。
途端、凛は黄龍丸を呼び出し茜と共に逃走する。
その背中には何時の間に現れたのか華恋も同行している。

もちろん、茜と凛の間に一切の事前協議は無い。
共に「歯医者、怖い」との想いが募った結果生まれた見事な連係プレーであった。

こうして空に逃れた茜は高笑い。
しかし、事態はこれで終わらなかった。

殺気を感じた茜がおそるおそる背後を見遣れば……其処には。
仮面の忍者のように大凧に乗り追跡して来る明里が居た。
どうやら、忍者である結香の仕業のようだ。

その頃、ワームホールはさらに地球に接近。
葉子はと言えば、空腹に耐え兼ねて作ったカップ焼きそばの湯きりに失敗し中身をぶちまけ泣いていた。

それはそれとして。

「ええ〜〜〜い、こうなれば」
切羽詰まった茜は凛に過去へ向かうよう指示。

こうして訪れた先は何ともオリエンタルな雰囲気漂う武家世界。
空中には明里たち以外にも多くの忍者が大凧に乗り漂っている。
忍者たちは口々に「曲者」と叫びつつ、茜たちを追い縋る。

何故、明里が付いて来ている!?
しかも、追っ手が増えた!?
困惑する茜はさらなる過去へ。

今度は何処かのジュラ紀のようだ。
空には翼竜が大挙しており、その背には明里と忍者たちが乗っていた。

前よりも悪化してる!?
しかも、凛が明里に買収され寝返った。
もちろん、華恋も一緒だ。

この事態に絶望した茜は精神のバランスを欠き、内なる力の求めるに任せ巨大化してしまう。

同じ頃、ワームホールはもはやすぐ其処にまで迫っていた。
葉子はと言えば、小指を角にぶつけて悶絶していた。

それはそれとして。

巨大化した茜に対抗出来る者はもはや存在しないのか!?
そんな絶望が広がりつつある中、華恋が「最終手段よ」とばかりに「怠惰の羽根」を取り出す。

巨大化した茜の口内に侵入し、虫歯に「怠惰の羽根」を刺し痛みを取り除くことで冷静さを取り戻させるのだ。
これに「初めからその選択肢は無かったんですか……」とぼやく明里。

とはいえ、こうして大きな武器を手に入れた明里は凛たちの支援を受けて茜に特攻する。
数分後、この計画が成功し元のサイズに戻った茜が捕まった。

さらに数時間後、歯医者の前に立つ茜の顔は晴れやかであった。

「痛くなかった!!」
「だから、言ったでしょうに……」

治療を終え元気いっぱいの茜の隣で溜息を吐く明里。
一方、凛は症状が重く治療が難しかったのか頬を腫らして泣いていた―――108話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、11巻も発売。
そして、本作かなり面白い!!

ちなみに遂に「実は私は」がアニメ化されるとのこと。
これについては制作会社や監督さん、キャストなどが少しだけ判明。
登場人物に黄龍院凛らの名前が無いことを見ると、序盤をアニメ化する予定なのかな。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

その107話。
サブタイは「歯医者に行こう!」。

コメディ回かと思いきや、さらっと重大情報が盛り込まれていましたね。
まずは葉子たちのような面々が集まり始めたのは此処2年ほどであること。
そして、結香と凛が顔見知りであり、結香が明里らを知っていること。

前者は茜なりの目的があっての行動の様子。
冗談めかしていましたが、茜の語る「見損ねた世界」とは源二郎や桐子らで果たせなかった世界のことでしょう。
さらに、明里のクラスに新たな人外の可能性が!?

後者は此処2話ほどで予測されて来た「結香が未来人であること」を補強していますね。
こうなると閃も未来人で確定か。

一方で、今回は本筋に挟まれた葉子のシーンがツボ。
シャーペンの芯に、カップ焼きそばの湯きりに、角でぶつける小指。
地味にダメージの大きな出来事ですね……そして、トホホ顔になる葉子。
特にカップ焼きそばの湯きりの際にステンレスにぶちまけられた麺を愕然としつつ眺め「く〜〜〜」とお腹を鳴らすシーンはインパクト大だったなぁ。
これまたメインヒロインの面目躍如か。

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス11巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子。
そして11巻は―――獅穂と凛がコンビで表紙に!!
緑苑坂弓は選ばれませんでした……源二郎涙。
今後はヒロイン2人のコンビで表紙になるのかな!?

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
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「実は私は」第106話「物騒娘に絡まれよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。

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