<あらすじ>
コンビニ店員の永山雅夫(小須田康人)が出勤の途中で何者かに射殺される。
犯罪被害者支援室・室長の吉崎仁美(松下由樹)は、妻の和恵(遊井亮子)のケアを任されるが、和恵は激しく取り乱し仁美の言葉に耳を貸そうとしない。
そんな和恵に、仁美の部下として着任したばかりの戸隠鉄也(高橋克典)が、“支援”のセオリーを逸脱した言葉を掛ける。「しっかりしてください」。被害者支援においてプレッシャーとなるような言葉はご法度だ。
仁美は戸隠を厳しくとがめるが、戸隠は意に介さず、和恵に対して「必ず犯人を見つけ出す」と続ける。これもまた、捜査権限がない犯罪被害者支援が口にしてはならない言葉だった。
しかし、仁美の心配とは裏腹に、和恵は戸隠の言葉と真摯なまなざしに触れて、次第に落ち着きを取り戻していくのだった。
そんな仁美と戸隠に次なる事件の一報が届く。ホテル京禄の経理課長・関田陽介(高橋和也)が誘拐され、身代金が要求される事件が発生したのだ。仁美と戸隠がホテルに到着したとき、そこには犯人の要求に応じ早くも現金三億円が用意されていた。
犯罪被害者支援の任務は、陽介の唯一の家族、一人娘の七海(小林里乃)のサポート。父親が誘拐されるという衝撃の出来事に、捜査員の取り調べに対し一言も話せずにいる七海を、二人は自宅まで送り届ける。そこで戸隠はあることに気づく。コンビニ店員が射殺された公園がすぐ近くにあったのだ。仁美は、今は七海の支援に集中するよう戸隠をたしなめる。だが、七海が初めて口にした言葉で、事態に大きな変化が生まれる。その言葉とは「お父さんを助けないで!」。娘がたった一人の肉親である父親を助けないでとは…。七海は何かを隠していると確信した戸隠は、仁美をある場所へと連れ出す。
そこは、とある日本庭園内の茶室。中では和服姿の岩瀬厚一郎(松平健)警務部長が二人を待ち受けていた。
戸惑う仁美をよそに、戸隠は捜査現場で感じた射殺事件と誘拐事件の関連性を岩瀬に報告。戸隠の推理に一理あると解した岩瀬は直ちに、戸隠たちに“特捜支援”の許可を与える!
岩瀬の許しがあるとはいえ、犯罪被害者支援室の捜査はあくまでも非公式。警察内部にも知られてはならない秘密の任務とあって、まじめな仁美は素直に受け入れられない。だが、そんな仁美が自ら特捜を願い出る事件が発生する。10年前、仁美が支援に携わった家族が、新たに発生した傷害事件の容疑者として浮上したのだ。
事件の被害者は山崎宏史(馬場良馬)。何者かに刺され意識不明の重体となる。妻のいずみ(宮地真緒)は、夫は誰かに恨まれるような人ではないと、突然の出来事に混乱するばかり。しかし、宏史の母・麻子には思い当たる節があった。山崎は10年前、仲間と傷害事件を起こしていたのだ。仁美はその時の被害者、神田昇と家族を支援していた。捜査一課は、今回の事件が後遺症に苦しみ続けた昇の死後すぐに発生していることから、妻の美津子(朝加真由美)による復讐の線で捜査を開始する。だが、事件から立ち直ろうとしていた美津子を知っている仁美は、捜査一課が立てた筋書きに納得がいかず、特捜の許可を得て自らの手で真実を明らかにしようとする。ところが、かつて美津子を支援したときのように畑仕事を手伝う中、仁美は作業小屋で被害者の山崎のライターを発見してしまう…!?
さらに支援室を揺るがす新たな事件が発生。その事件をきっかけに、戸隠の秘められた”悲しい過去”が明らかになっていく。
(テレビ朝日公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
戸隠鉄也は犯罪被害者支援室に配属されたばかりの刑事である。
過去、戸隠は妻・早苗を犯罪により奪われていた。
傷心の戸隠を支えたのが、当時の犯罪被害者支援室に在籍していた篠崎刑事であった。
以来、戸隠は篠崎のように誰かを救いたいと志し、警務部長の岩瀬厚一郎に申し出て犯罪被害者支援室に異動したのだ。
しかし、戸隠の直属上司である室長・吉崎仁美は彼を危険視する。
戸隠はあまりにセオリーを無視し遺族に肩入れしてしまうからだ。
そんな中、コンビニ店員の永山雅夫が何者かに射殺された。
戸隠は仁美の制止を振り切り、永山の妻・和恵を献身的に支える。
矢先、ホテル京禄の経理課長・関田陽介が誘拐され身代金が要求された。
関田の娘・七海が苦しむ姿を目撃した戸隠は岩瀬に申し出て独自の捜査を行うことに。
結果、永山殺害犯と関田誘拐犯が同一人物と突き止め、これを逮捕することに。
戸隠の行動に反発を覚える仁美。
だが、今度は仁美自身が捜査を望むような出来事が!!
山崎宏史なる男性が何者かに刺され意識不明の重体に陥った。
山崎の妻・いずみが狼狽する中、いずみすら知らなかった新事実が明らかとなった。
10年前、山崎が傷害事件を起こし逮捕されていたのである。
そして、この被害者の支援を行ったのが仁美だったのだ。
10年前、学生だった山崎は稲葉と大森ら2人の仲間と共に京野菜農家の神田昇という男性を暴行したのだ。
結果、神田は寝たきりとなり、妻・美津子が先頃までこれを介護していた。
ところが先日、神田が死亡していたのだ。
こうして、美津子の復讐が疑われたのだが……。
美津子を知る仁美はこれが信じられない。
仁美の申し出もあり、戸隠が捜査に乗り出すことに。
戸隠は他の2人、稲葉と大森に注目。
稲葉は久保田社長が経営する京野菜を提供するレストランで働いていた。
一方、大森の行方は分からない。
さらに、10年前の事件が稲葉に誘導されたものだった疑いも浮上する。
その頃、仁美はと言えば、美津子に接触し真意を探っていた。
すると、美津子と山崎に接点があったことに気付く。
美津子はと言えば、息子・大輔の様子を気にかけているようだが……。
矢先、戸隠が犯人に罠を仕掛けることに。
山崎回復の偽記事を用い誘き出すつもりなのだ。
その夜、山崎の病室に現れたのは美津子であった。
だが、戸隠は美津子の犯行を否定する。
美津子は大輔の犯行ではないかと疑い真偽を確認しようとしたのだ。
実は山崎は神田に謝罪すべくたびたび足を運んでいた。
其処で美津子と親しくなっていたのだ。
直後、山崎が刺されたことで美津子は大輔の犯行を疑ったのである。
しかし、大輔にはアリバイがあった。
美津子の懸念は杞憂だったのだ。
戸隠は「山崎が退院したとの偽情報を流したので今頃は……」と真犯人に想いを馳せる。
山崎宅にナイフを手にした人影が現れた。
ところが、その前に立ち塞がった岩瀬にボコボコにされてしまう。
その背後から病院に居た筈の戸隠たちが登場。
名指しされた犯人の名は……稲葉が勤務する京野菜の店のオーナー・久保田であった。
10年前、久保田は神田に京野菜の仕入れを断られたことを恨みに思い稲葉に命じて山崎たちを操りこれを襲わせた。
その後、報酬として稲葉を雇い入れ監視していたのだ。
だが、山崎が稲葉の勤務先が京野菜の店であることに気付いた。
そう言えば、神田も京野菜の生産者であった。
何かあるのではないかと疑ったのだ。
其処で口封じを図ったのだ。
こうして久保田が逮捕され事件は解決した―――エンド。
<感想>
新番組「京都人情捜査ファイル」の初回スペシャルです。
本来は「木曜ミステリー」枠の作品で次回以降は木曜20時に放送されるのですが、これまでの2時間スペシャルと異なり「土曜ワイド劇場」枠での特別企画となりました。
おそらく「京都人情捜査ファイル」の目的とする視聴者層が「土曜ワイド劇場」のソレと同じなのだと思われます。
きっと「初回で気に入ったら続きも視てね!!」的なメッセージなのではないでしょうか。
ならば、まさに図星の視聴者層としては受けて立つのみ!!
との心意気で視たドラマの感想を。
あらすじを目にした限りは2つの事件が絡んで1つの事件になるように思っていたのですが、全く別々の事件でしたね。
しかも、てっきり「科捜研の女」や「京都地検の女」のように2時間をフルに用いて1つのストーリーを描くものと思いきや、前半後半がそれぞれ独立した1時間ずつ2本分での2時間スペシャルでした。
確か「木曜ミステリー」だと「おみやさん」がこのパターンだったか。
それにしても「まさか、まさか」でした。
結果、21時から「ドS刑事」3話を視聴した管理人は前半を視ていません。
とはいえ、これでは前半1時間本ドラマを視聴してチャンネルを「64」2話に変えた方も多かったんじゃないかなぁ……。
ある意味、前半は前半できちんと完結してたし。
また、それが出来る番組でもありました。
此の点では視聴者思いの番組と言えるのでしょうか。
そう言えば、戸隠の妻・早苗の死にも何かありそうか。
それと、篠崎刑事の再登場も期待したいですね。
さて、此処からは気になった点。
まず、久保田にのみピンポイントでネットの偽記事を読ませた方法が気になる。
どうやったんだ……。
それと、山崎の病室に居た筈の戸隠たちがどうして山崎家に居るんだろう。
岩瀬が久保田をボコボコにしたところで「なるほど、役割分担してるんだな」と思った直後に後ろから出て来た時には絶句した。
「今頃は……」と病室で思わせぶりな台詞を口にしといて「お前も移動するんかい!!」と。
あれ、戸隠たちが病室から山崎家に足を運んだところで久保田に目撃されても不思議ではないぞ。
なんなんだ、ワープか、ワープなのか!?
それともテレポーテーションか、テレポーテーションなのか!?
そもそも、久保田を罠にかけたのなら山崎宅に張り込んでいる筈で、何故に山崎の病室に戸隠たちが控えている必要があったのかが不明だ。
なんだろう、美津子にも偽記事の罠を仕掛けたのか?
それも久保田のソレとは違う別バージョンの物を?
其処までして美津子の心を騒がせる必要があるのだろうか。
これでは支援せずに掻き乱しているような気がするが。
美津子には大輔のアリバイを素直に伝えれば済むし、山崎と美津子の関係を知った時点でいずみに素直に明かせば良かったような。
それを避ける戸隠はなかなかに人の心を弄んでいますね、恐るべし。
さて、此処で総評。
個人的には「正直、今回はあまり魅力を感じません」でした。
此の辺りはあらすじからもひしひしと伝わっているのではないでしょうか。
確かに、稲葉と思わせて久保田が犯人とかは工夫と言えそうですが……ただ、それでも微妙。
とはいえ、まだまだ初回。
木曜日の本放送に期待したいですね。
それと、今回は「連続ドラマ」が「土ワイ」で放送されたワケですが逆もまた真なり。
「相棒」のように土曜ワイド劇場の人気シリーズを連続ドラマ化するのもアリなんじゃないかなぁ……と思ったり。
一部の例外を除いて今まで達成されなかったところを見ると相当難しいのだろうか。
◆「木曜ミステリー」関連過去記事
【科捜研の女】
・科捜研の女2時間スペシャル「恐怖の200メートル狙撃疑惑の体内弾道!?矛盾する発射タイミング!!京都〜小豆島、逃げる女vs迫る狙撃者の謎」(3月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・科捜研の女スタートスペシャル「狙われた科捜研!残された指紋容疑者にされた研究員DNAの罠!仕組まれた誤認逮捕!!接点なき二つの殺人」(7月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・木曜ミステリー 科捜研の女・最終回スペシャル「予告された連続殺人刑務所の中からの告発無実の人間が殺される京都の街を殺意で結ぶ五本線の罠」(9月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・科捜研の女・2時間スペシャル「狙われた大型客船!深夜の海上爆破!!奇妙な航路、不規則な数字の秘密!音カメラが暴く逃走迷路」(3月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・科捜研の女スタートスペシャル「法務省から来た女!疑惑の検事!隠された銃弾の秘密!!京都〜奈良を結ぶ冤罪の罠!?」(10月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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【853〜刑事・加茂伸之介】
・「853〜刑事・加茂伸之介」(テレビ朝日、2010年)
各回ネタバレ批評(レビュー)あります。
【女刑事みずき】
・京都ミステリーSP 女刑事みずき「二人きりの特命捜査…毒殺事件は序章だった!!死者が死者を隠す殺人トリック!?偽りの夫婦、哀しき過去」(6月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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