ネタバレあります、注意!!
<1話あらすじ>
日本料理の魅力にとりつかれ、自分の舌で確かめようと日本にやってきたフード・ライターのマイケルとその家族。さっそく向かったのは、安くておいしいものが見つかると聞いた新宿・思い出横丁だ。薄暗い路地に飲食店が密集する光景に一瞬たじろぐが、甘辛ソース味の焼きそば、長年つぎ足した濃厚なタレの焼き鳥を味わううちに…。マイケルたちは、最初の晩からディープなニッポンを体験!?
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
パリ在住の日本人シェフであるトシから常々日本料理の素晴らしさを聞いていたフード・ライターのマイケル。好奇心の塊となった彼は家族と共に日本の地を踏むことに。
同行した家族は3人。マイケルの妻・リスン、2人の長男・アスガー、次男・エミルである。
こうして100日に渡る彼らの日本料理とそれに纏わる日本探訪がスタートしたのだ。
早速、彼らが足を運んだのは「新宿・思い出横丁」。
狭い路地に多数の店が並ぶ光景に威圧される一家だが、おそるおそるトシから教えられた1軒の店を訪問する。
一家を出迎えたのは来客にも無関心そうな老女。
アスガーは彼女を「ロボットみたいだ」と恐れ戦く。
どうにも第一印象は芳しくない様子。
だが、家族の恐慌を必死に宥めつつマイケルは「焼きそば」を注文することに。
すると、どうだろう。
注文が入るや否や、先程までとは打って変わり老店主が活き活きと動き出したではないか。
麺が宙を踊り、コテが鉄板の上を舞う。
そして、マイケルの前に差し出されたのは……湯気が立ち上る美味しそうな焼きそばであった。
見れば鰹節がゆらゆらと自己主張している。
ゴクリと息を呑んだマイケルはおそるおそるソレを一口。
すると、たちまち口福に顔を綻ばせた。
そんなマイケルの様子にリスン、エミルも箸を焼きそばに運ぶ。
次々と満足そうな表情を浮かべる彼ら。
だが、ただ1人、アスガーだけは上手く箸が使えずに未だありつけていなかった。
この様子をじっと見ていた店主。
店主の視線に怯えるアスガーの前に、そっと差し出されたのはフォークであった。
にっこりとほほ笑む店主、アスガーもおっかなびっくり微笑み返しつつフォークを受け取った……。
第一印象と異なり焼きそばに大満足であったマイケル一家。
しかし、これで終わりでは無い。
「思い出横丁」は「数軒を梯子するもの」なのだ。
続いてマイケル一家が訪れたのは焼き鳥の店である。
串に刺さった鶏肉に興味津々なアスガーとエミル。
今回は先程と異なり、率先して焼き鳥に手を伸ばす。
「うんま〜〜〜い!!」
頬張るや大喜びするアスガー、普段はあまり感情を表に出さないエミルですら喜色を露にしている。
どうやらタレが気に入ったようだ。
その様子に満足したのか店主はマイケルにある素材を用いた串を差し出す。
こりこりとした食感に面食らうマイケル。
その正体は「軟骨」であった。
だが、上手い!!
こうして、日本グルメ旅初日は大満足のうちに終わったのであった―――エンド。
<感想>
原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。
そんな本作ですが、前半はマイケル一家を中心に据えた特徴的なカートゥーンパート、後半はカートゥーンパートに登場した店や食べ物をトシ視点(但し、トシは登場しない)によるドキュメンタリータッチで描き直したドラマパートからなる。
この2つにより「海外から見た日本」が映し出されており、この「他者から見た自分の視点」が面白い。
例えば、1話では「焼きそば」と「焼き鳥」と共に日本独自に発展した「横丁」の光景が活写される。
なるほど、確かに初見では驚くかもしれない。
これが2話では「天ぷら」と共に「休日のオフィスビル街は人気が無い」、「夏場のオフィスビル街は輻射熱で暑い」、「ゴスロリ文化」などが描かれる。
「ああ、あるある」と頷かされることだろう。
こうして、食と共に独自の文化が20分の中で見事に表現されているのだ。
そして、この視点同様に、この表現の仕方が何とも「粋」なのである。
結果、マイケル、リスン、アスガー、エミルの一挙手一投足に目を奪われることに。
さらに、トシ役が滝藤賢一さんなのも渋い。
耳に心地よい声である。
全体的に完成度が高い番組です。
ご存知ない方は是非、1度チャレンジのほどを!!
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