2015年05月01日

「英国一家、日本を食べる」3話「日本料理の神髄」(4月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」3話「日本料理の神髄」(4月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<3話あらすじ>

マイケルは、料理学校の経営者で「日本料理界の重鎮」とも呼ばれる鬼塚を取材。最初は緊張していたマイケルだがその熱心さを気に入られ、鬼塚が審査委員長を務める料理大会の見学に招かれた。「だしの取り方」をはじめ、マイケルはプロの料理人たちの手際の良さに感心。果たして、鬼塚がくだす審査の結果は?
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

来日から数日が経過し宿からマンションに移ったマイケル一家。
だが、その日に限って当のマイケルの様子がおかしい。

うわの空でどうにも落ち着きがないのだ。
それもその筈、マイケルは此の後に日本料理界の大物・鬼塚との面会を控えていたのである。

早速、黒塗りのリムジンに迎えられ向かった先はテレビでしか見たことの無いような見事な日本家屋。
門を潜ると、使用人だろうか小ざっぱりした身なりの礼儀正しい人々に迎え入れられた。
此処からも主人の性格が窺えようと言うものだ。

ガチガチに緊張したマイケルが客間で待たされていると……来た!!
現れたのはスキンヘッドに厳めしい面構えの壮年の男性だ。
彼こそ鬼塚、日本料理界を牛耳る首領なのだ!!

鬼塚の雰囲気に怯えつつ、何とか挨拶を交わすマイケル。
すると、鬼塚が急に柔和な笑顔を浮かべた。
さらに、気さくにマイケルに話しかけて来たではないか!!

何でも鬼塚はマイケルの著作のファンらしい。
ほっと一息吐いたマイケル落ち着きを取り戻し、鬼塚と実りある時間を過ごすのであった。

鬼塚によれば「現代は和食にとって受難の時代」。
戦後、食事が欧米化されたことで正しい和食の技術と心が継承されていないらしい。
さらにこれを指導しようとしても批判が批判として受け入れられない時代でもある為に難しいのだそうだ。
これに「なるほど」と頷かされるマイケル。

と、本人に会ったことでさらにマイケルを気に入った鬼塚は料理選手権大会に彼を誘う。
良かったら見学でも……と言うのだ。
マイケルはマンションで待つ妻子を想いつつも、一も二もなくこれに応じることに。

先に会場入りしたマイケル。
すると、選手権大会の参加者であろうリーゼント姿の青年に出会う。
エレベーターに同乗したマイケルは、青年が容姿に似ず和食に対し真摯に取り組んでいることを知る。

さて、大会が開始された。
参加者それぞれが3時間にわたり調理に取り組む中で、肝心の鬼塚は姿を見せない。
それもその筈、鬼塚は別室で出来上がった料理を待っているのだ。
実際に調理風景を目にすることで調理者の印象などから評価が左右されないようにする為の配慮らしい。

そうこうしているうちに3時間が過ぎた。
会心の表情を浮かべる参加者たちに対し、マイケルの表情は浮かなかった。
何故なら、マイケルから見ても彼らの出汁の取り方には疑問があったからだ。
いわば、基本が出来ていない。

このマイケルの直感は的中。
参加者の料理を食べた鬼塚はみるみる表情を厳しくすることに。

そして、選手権大会も閉幕を迎えた。
鬼塚は閉会の辞として「失礼ながら、基礎の出来ていない方が大半とお見受けする」と語り「一層の精進を忘れぬよう」と締め括る。

その夜、帰宅の途に就こうとしたマイケルはあのリーゼント青年が路傍に座り込んでいる光景に出くわす。
思わず声をかけたマイケルに青年は「一からやり直す」と再起の言葉を口にする。
これにマイケルは「批判を批判として受け入れる者もいる」と何処か明るい気分になるのであった―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この3話のテーマは「和食の継承」。
如何にして和食の伝統を継承して行くかに触れられました。

その一端として鬼塚が「和食の現状」を語るのですが……彼によれば「現代は和食受難の時代」らしい。
まず、和食の精神が受け入れられづらくなっており、此の点を指摘しようにも批判自体が受け入れられづらくなっているのだそうだ。
とはいえ、悲観すべきことばかりではなく、そのアンチテーゼとしてリーゼント青年が登場し「批判を批判として受け入れ向上させる人々も居る」と仄めかしていました。
「少なくとも光はある」との結論でしたね。

そもそも、この「和食の継承」といった問題は深く大きな問題。
これを敢えて簡素化すれば次の2点が解決に向け重要視されるでしょう。

1.作り手側の継承。
2.作られた和食の味を正しく理解出来る受け手側の継承。

このどちらかだけでは駄目。
まず、作り手側が正確に作れなければ正しい心は伝わらない。
そして、作り手側が正しく作っても、受け手側がその心を理解出来なければ意味が無い。
この2つをバランスよく育てることが重要。

其処で本作では、アニメパートで1について触れ、ドキュメンタリーパートで2について触れました。
具体的には1については鬼塚による後進の育成、2については食育事業の推進といったところでしょうか。
2については他にも和食の裾野を広げると言った意味で出汁を扱う店も取り上げられていましたね。

かなり的確な構成だったように思います。
なるほど、この3話は本作の別の側面を視ることが出来たシリアス回でした。
管理人は今回でさらに本作が好きになりました。
この緩急……大事ですね。

全体的に完成度が高い番組です。
ご存知ない方は是非、1度チャレンジのほどを!!

そう言えば、この3話にはもう1つ印象深いことが。
なんと、放送時間が通常よりも大幅にずれ込んだのです。
当初は午前0時40分からなのですが、特番で午前1時30分に。
此処からさらに緊急特番で30分ほど押され、午前2時から放送されてます。
管理人、思わぬ夜更かしを強いられることとなりました。

◆関連過去記事
「英国一家、日本を食べる」1話「新宿・思い出横丁」(4月16日)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」2話「最高の天ぷら」(4月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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