2015年05月02日

「風暴 ファイヤー・ストーム」(2013年、中国)

「風暴 ファイヤー・ストーム」(2013年、中国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ツァオ(フー・ジュン)が率いる武装強盗団の検挙に燃える、香港警察特捜班のロイ刑事(アンディ・ラウ)。すさまじい銃撃戦を経て彼らを追い詰めるものの、すんでのところで交通事故の影響により逃してしまう。事故を起こしたのは、ロイの古くからの友人で刑務所から出てきたばかりのトー(ラム・カートン)。ツァオの仲間だった彼だが、恋人ビン(ヤオ・チェン)の妊娠を知って更生を誓う。そして、自身の無罪放免を条件に強盗団内でツァオと並ぶ力を誇るパコ(レイ・ロイ)が企てている犯罪計画をロイに伝えるが……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
ロイ刑事:香港警察特捜班の刑事。
トー:ロイの幼馴染、ツァオの部下。
ビン:トーの恋人。
ツァオ:凶悪強盗団のリーダー。
パコ:凶悪強盗団のナンバー2、ツァオの部下。
トン:ロイがツァオのもとに送り込んだスパイ。

ロイは香港警察特捜班の刑事。
彼の目下の任務はツァオ率いる凶悪強盗団の逮捕である。
だが、ツァオは巧妙で尻尾を掴ませない。

其処でロイが採った手段はツァオのもとにスパイを送り込むこと。
ロイは娘の為に更生したトンにこれを依頼する。

実はトンを逮捕したのはロイであった。
トンが罪を償う間、ロイは彼の娘の世話をしていたのである。
この恩に報いるべく、トンはツァオのもとへ。

その甲斐あって、ツァオの次の標的が判明。
先回りしたロイたちはツァオたちを逮捕しようとするが……ツァオたちは軍隊なみに武装していた。
思わぬ反撃に遭い、逆にロイたちが窮地に追いやられることに。

それでも数の力で押し切ることに成功するのだが、ロイの幼馴染・トーにより妨害され逃がしてしまう。
そう、トーもまたツァオの仲間だったのだ……。

情報が洩れていたことから裏切り者の存在を嗅ぎ付けたツァオはトンに気付いた。
結果、トンは娘と共に凄惨な拷問を受け殺害されてしまう。

これにロイは激怒。
周囲が止めるのも聞かずツァオ逮捕に乗り出す。
証拠が無いと主張するツァオだが、ロイは聞く耳を持たない。

執拗なロイの捜査に痺れを切らしたツァオは本性を露にしこれを殺害しようとするのだが失敗。
逆に重傷を負い入院することに。
その所持品から強盗団の証拠が出たことで、捜査は劇的に進むことになった。

しかし、これには裏があった。
用心深いツァオが証拠品を持ち歩く筈がない。
気絶したツァオの所持品にロイが証拠品を紛れ込ませたのだ。
ロイは強盗団を憎む余り、証拠品の捏造に手を出してしまったのである。

この事実にツァオの部下の1人が気付いた。
男はロイを脅迫するも、薬物依存の状態だった為に急死することに。
何とか難を逃れたロイは凶悪強盗団撲滅に執念を燃やす。

一方、トーは恋人・ビンから別れを切り出された。
彼が強盗団の一味であることを知られた為だ。
必死に考え直すよう訴えるトーに、ビンは「妊娠した」と告げるのであった。
此処にトーは「自分はロイに頼まれた潜入捜査官だった」と嘘を吐き彼女の気を惹くと同時に、強盗団を抜ける覚悟を決めた。

数日後、ロイのもとをトーが訪れた。
トーは強盗団を抜けたいので保護して欲しいとロイに訴えた。
また、ビンに「トーが潜入捜査官だった」と嘘を吐いて欲しいとも主張する。

代わりに強盗団についての情報を求めるロイ。
トーはロイが大きな勘違いをしていたことを明かす。

実はツァオは強盗団のリーダーから手を引いており、今はツァオの部下でナンバー2のパコがリーダーとなっているらしい。
先日の襲撃もトン殺害も、実質はパコの指示だったそうだ。
つまり、ツァオから強盗団の証拠が出て来る筈が無かったのだ。

それとなくロイの罪を知っていることを匂わせるトー。
ロイは彼から情報を引き出しつつ、口封じを決意する。

トーの情報により、次の強盗団の襲撃計画が判明した。
ロイはこれを上司に伝え、強盗団壊滅作戦に踏み切る。
その内容は投降しない限り、全員射殺との厳しいものであった。
もちろん、内通者であるトーの存在は明かしていない。
ロイはトーごと強盗団を抹殺するつもりなのだ。

それと知らないトーはパコの指示のもと、現金輸送車襲撃を実行に移していた。
ところが、踏み込むなり警察の猛反撃を受ける。

「罠だ!!」
死地に赴いたことに気付いたパコが叫ぶ。
同時に、彼の部下たちが一斉に反撃を開始。

警察と強盗団は互いに多数の死傷者を出す事態に。
だが、まだ終わりでは無い。
街に嵐が吹き荒れようとしていた。

同じ頃、ビンは婦人科でCTスキャンを受けていた。
「胎児に影響が出ますけど妊娠は?」
「いいえ」
主治医の問いにあっさりと返すビン。

トーはと言えばパコと共に必死に応戦していた。
かなりの痛手を与えているのだが、ロイたちは不退転の決意からか下がろうとしない。

トーは自分が助かるべくロイに必死に連絡を取るが、ロイは相手にしない。
此の状態では……焦ったトーは切り札を持ち出した。
実は、トーもロイの証拠品捏造現場の映像を所持していたのだ。
これで脅されたロイは「交差点の角を抜けた場所にハザードをかけた車があるからそれで逃げろ」と指示する。
もっとも、ロイはトーを本当に逃がす気はない。
トーが証拠品を所持している以上、何が何でも此処で口を封じる気だ。

この間、巻き込まれた市民たちの多くが凶弾に倒れていた。
これを見ていたパコが市民バスに目を付ける。
其処にはガラス越しにこちらを窺う乗客たちの姿が。

爆弾を投擲し周囲を牽制しながら市民バスへ移動したパコたち。
バスへ乗り込むと銃を突き付け人質を取ろうとする。

しかし、外の状況を見ていた乗客たちは混乱していた。
誰1人としてパコに従うことなく我先に逃げ出す。

其処にパコの銃が火を噴いた。
乱射された銃により乗客がバタバタと折り重なるように転がって行く。
こうして、パコたちは無人のバスに立て籠もることに。

遠巻きにこれを囲むロイたち。
パコの部下はトーも含め2人となっていた。
トーたちは投降しようとパコに訴える。
だが、パコは聞かない。

此処でロイがトーの携帯に電話を架ける。
トーの携帯が受信し音を立てた。

これを見ていたパコの顔色が変わった。
トーこそが裏切り者だと察したのだ。
パコはトーを殺そうと銃口を向ける。
そう、ロイはパコの手でトーを殺害させようと考えたのだ。

しかし、残ったもう1人の部下がパコを射殺。
その首を手土産に投降しようとバスを降りる。
一方、命拾いしたトーはビンのもとに戻るべく、投降せずにその場を逃げ出す。

ロイはトーを射殺しようと陰から発砲。
だが、先程の部下に弾が当たった。
この一発が引き金となり周囲から乱射を受けた男は射殺された。

肝心のトーは背中を見せて脱兎の如く交差点を抜けて行く。
ロイはその背中に向けて銃を構える。
後は引き金を引くだけだ。

此の時、パコが投擲した爆弾の影響でガス管が破裂した。
周囲から交差点に向け、一斉に劫火が押し寄せる。
同時に交差点地下が陥没して行く。

だが、トーはこれらを掻い潜って進む。
劫火はトーの背中を通り抜けて行く、陥没はトーの足を止めない。
むしろ、ロイの仲間たちが次々とこれに巻き込まれ悲鳴を上げている。

ロイ自身はこの光景に唖然としていた。
見渡せば仲間や守るべき市民の屍が積まれている。
一方でトーは迫り来る死の刃を次々と躱し続けて居るのだ。

やがて、ロイは銃口をトーの背中から下げた。
トーの姿は曲がり角を過ぎ、消えて行った。
その先にはロイが用意した車が確かに停まっている。

トーは死の口から逃れたと確信していた。
背後からは悲鳴と呻き声が絶え間なく上がり続けて居る。
だが、トーの目の前にはロイが約束していた車があった。
あと一息である。

同じ頃、ビンは婦人科の待合室に置かれたテレビでこの報道を目にしていた。
そして見知った顔を目にして驚いていた、トーだ。
トーは他の人々のように陥没した地面や火柱に巻き込まれることもなく、するすると走り抜けて行く。
これをカメラが追っていた。
誰もがトーに集中していた。
ただ1人を除いては。

そのただ1人がトーに気付いたときには遅かった。
目の前に飛び出して来たトーに運転手が気付いたときにはブレーキは間に合わなかった。
トーは交差点を抜けようと曲がり角を過ぎたところで、横合いから来た車に轢かれて飛んだ。
無防備に撥ねられたトーは空中を錐揉みしながら舞うと地面に叩きつけられた。
それきりピクリとも動かない、即死であった。

この結末を目にしたロイとビンは絶句していた。
互いに別の場所にありながら、放心状態である……。

こうして嵐は過ぎ去り、日常が戻って来た。

ある日、ビンのもとにロイから手紙が届いた。
其処には「トーが潜入捜査官であった」と記されていた。
手紙を目にしたビンは「そんなことって……」と泣いた。

一方、ロイは監察官から取調を受けていた。
彼は自身の罪を償おうとしていたのだ。
だが、ロイの顔は何処か晴れやかだ。
なにしろ、市民に仇為す強盗団は既に壊滅しているのだから―――エンド。

<感想>

さまざまな人間模様を描いた作品です。
作中ではロイの「正義の在り方」、トーの「ビンへの愛」、ビンの「トーへの愛」などが描かれました。

ロイは正義を追及する為に証拠品捏造の罪を犯してしまいます。
当初はこの罪から逃れようと暗躍しますが、トーの「因果応報」的な結末に罪を償うことを決意し実行することに。

トーはと言えばそれまで顧みなかったビンとの関係を「彼女を失うかも」と思った途端に改めようと決意。
それまでの仲間を裏切ろうとしますが「天網恢恢疎にして漏らさず」であのような結末に。
良く考えれば、このトーは最初はビンを裏切り、次いでロイ、そしてパコと悉く裏切り続けたことになります。

そして、そんなトーの恋人であるビン。
胎児に影響が出るCTを特に戸惑うことも無く受診したところを見ると、妊娠は嘘だったのでしょう。
それはトーを更生させる為の嘘だったか。
だが、これがあの結末に。

とはいえ、本作ではこの3人よりも周囲の人間の方が物凄く被害に遭っているんだよなぁ。
なにしろ、3人は能動的に関わっているけど、他の人々は受動的に巻き込まれて行ってるから。
特に、ラストでトーを轢いてしまった車の運転手はかなり切ない羽目に。
因果応報的な結末でさえ他者を巻き込むとは……トーは業が深い。

そんな本作、途中途中に挿入された都市部を襲う嵐は「風雲急を告げていること」を示しています。
そして、ラストで物語が終焉を迎えると共に「台風一過」の光景が描写されます。
それはロイ、トー、ビンにとって運命の一日でさえも日常に繋がる一日にしか過ぎないことを指す。
あの大事件も大騒動も日常に埋もれて行くのでしょう。
それこそが世界なのです。

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