2015年06月14日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第96話「JOKER」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第96話「JOKER」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

マウ・スガール:「ブラック・マーケットの魔女」と呼ばれる少女。
ベルナルド:マウのビジネス相手だったのだが……。
イネス:ベルナルドの婚約者。
ハビ:イネスの元カレ。道化師。
リカルド:イネスの同僚の道化師。

<96話あらすじ>

「ブラック・マーケットの魔女」と呼ばれるマウ・スガールがスペインに現れた。
彼女の目的はベルナルドが所有している絵画である。

早速、ベルナルド宅へ車で訪問したマウだが、其処は結婚パーティーの真っ最中であった。
しかも、どうも当のベルナルドの結婚パーティーらしい。
当然、招待客であたりはイッパイである。
駐車スペースにも事欠くありさまで、中には二重駐車をしている者さえいるくらいだ。

この有様にマウは苛立ち、二重駐車している車を指差し運転手へと声をかける。
「アレにぶつけろ!!」と。

数分後、何やら上機嫌な様子のマウの姿があった。
どうやら、少し気分が晴れたようである。

上機嫌のマウはバルーンアートで客をもてなす道化師の前を通り抜けながら、ベルナルドのもとへ。
すると、ベルナルドが何者かに刺されて倒れ込んでいるではないか!!

思わず、ベルナルドのもとに駆け付けたマウ。
どうやらベルナルド自身に息はあるようだが……。

と、其処を家人に目撃されてしまった。
こうして、マウはベルナルド殺害未遂の犯人として逮捕されてしまうことに。

思わぬピンチに陥ったマウ。
こんなときに彼女が頼れるのは……。

数日後、マウの前には森羅と立樹が立っていた。
こうして、マウの依頼で森羅たちは彼女の無実を証明することに。

森羅たちはベルナルドの婚約者を訪ねる。
すると、婚約者であるイネスはあっさりと森羅たちを通した。
これに森羅は「イネスが犯人に心当たりを抱いている」と指摘する。
でなければ、ベルナルド殺害未遂犯人とされているマウの仲間を通すワケがないからだ。

森羅の指摘を正直に認めたイネスは元恋人・ハビの名前を挙げた。
ハビは暴力的な性格でイネスを虐待していた。
そんなイネスを助けたのがベルナルドだったのだ。
ハビはイネスを奪ったベルナルドを恨んでいたらしい。

こうしてハビのもとへ向かった森羅たち。
ところが、当のハビはアリバイを主張する。

ハビは道化師の仕事をしているのだが、犯行当日はベルナルド宅から10キロ離れた家でずっと仕事をしていたそうだ。
その姿は周囲の客により確認されていた。
少なくともベルナルド宅との間を往復するだけの時間を空けていたことはないようだ。

これを報告されたマウは当日のベルナルド宅にも道化師が居たことを思い出した。
ベルナルド宅の道化師はハビの同僚・リカルドであった。
これにマウは2人の道化師が入替って犯行に及んだと主張する。
しかし、入替るにはいずれかの道化師が移動せねばならず空白の時間が生じる筈である。
ところが、そんな事実は存在しなかったのだ。

では、ハビに依頼されたリカルドが犯行に及んだのか?
いや、これも不可能である。
何故なら、リカルドは腕を怪我しており物理的に不可能だったのだ。
怪我をして以降のリカルドに出来ることと言えば簡単な軽業と車の運転ぐらいであった。

困り果てたマウ。
森羅は本来マウが入手する筈だった絵画を条件に、真相を明かす。

2人の道化師の入替りと考えるから不可能になるのだ。
3人の道化師の入替りならば問題ないのである。
ハビは同僚のリカルドともう1人仲間を加えて実行したのである。

まず、リカルドがベルナルド宅、ハビが10キロ離れた客宅で仕事を開始。
此処に3人目が登場。
3人目はハビと交代し、ハビは車でベルナルド宅へ。
此処でハビとリカルドが交代し、リカルドは車で第3の男のもとへ。
頃合いを見計らってハビがベルナルドを襲撃し、その場から逃走したのであった。
こうしてアリバイを偽装したのだ。

森羅の告発にも「証拠が無い」と主張するハビ。
だが、森羅は「意外な証拠がある」と譲らない。
それはトリックを実行した為に起こった出来事であった。

まず、ベルナルド宅担当の道化師がバルーンアートを披露していたこと。
これは腕を怪我したリカルドには不可能なことであった。
あくまでハビだからこそ可能だったのだ。

そして、もう1つ。

あの日、マウは二重駐車の車に苛立ち自身の車を衝突させた。
その衝突された車こそ、ハビがベルナルド宅へと乗り付けた際に使用したリカルド所有の車だったのだ。
リカルドは車を修理に出しており、其処からマウの車の塗料が検出された。

こうして、ハビがベルナルド宅へ移動していたことが明らかになった。
ハビは罪を認めることに。

森羅は絵画を手に入れて上機嫌である。
そんな森羅に「愛を失った道化師はピエロでしかない」と告げるマウであった―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2015年7月号掲載「96話 JOKER」です。

マウの冒頭での行動が意外な結末に繋がる点が良かったです。
他にもバルーンアートの件を含め、伏線が配されていました。
何より、2人ではなく3人によって成立するトリックも意外性があったように思います。
この発想もアリです。

次回にも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

なお、講談社さんから『少年マガジン+』に代わって『少年マガジンR』が2015年4月20日に新創刊。
この『少年マガジンR』にて加藤元浩先生『Q.E.D. 証明終了』が『Q.E.D. iff-証明終了-』として再始動!!
こちらも見逃すな!!

「Q.E.D.証明終了 iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「Q.E.D.iff ―証明終了―(1): 月刊マガジン」です!!
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