2015年06月04日

水曜ミステリー9「夏樹静子サスペンス “無敵の法律事務所”弁護士橘明日香 動機証拠も十分な依頼人の無罪を勝ち取れるか!?赤い帽子の謎…脅迫状と指輪が暴く悲しき復讐!(弁護の鉄人)」(6月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「夏樹静子サスペンス “無敵の法律事務所”弁護士橘明日香 動機証拠も十分な依頼人の無罪を勝ち取れるか!?赤い帽子の謎…脅迫状と指輪が暴く悲しき復讐!(弁護の鉄人)」(6月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

五十嵐正樹(榎木孝明)と共に法律事務所を営んでいる橘明日香(沢口靖子)は、信頼できる依頼人のためならとことん闘う冷静沈着な弁護士。しかし信頼関係が崩れると担当を降りてしまう変わった一面がある。自由が丘で起きた殺人事件の容疑者・貝塚陽子(酒井美紀)の担当をすることになり、さっそく接見に行く。被害者の東郷宏康(久保龍一)は5年前に自動車事故を起こしており、陽子の娘はその犠牲者の1人だった。陽子は動機も明確なうえ、事件の3日前に東郷と口論している場面を目撃されている。凶器とみられるナイフからも指紋が検出され、言い逃れのできない状況。しかも犯行時刻のアリバイもない。それでも陽子は容疑を全面的に否認し、「決して嘘はつかない」と明日香に約束をする。

接見を終えた明日香は、事件が5年前の交通事故と関係があるかどうかを確かめるため、同じ事故で息子を亡くした笹井玲子(東風万智子)の元へ。デザイン事務所を経営している玲子は、陽子とは5年前に数回会ったものの最近は会っておらず、今回の殺人事件の犯行時刻頃はタクシーで実家の新潟へ移動中だったという。東京から新潟へタクシーで向かった点に疑問を抱いた明日香は、タクシーの運転手からも話を聞くことに。車載カメラの映像を見せてもらうと、確かに赤い帽子をかぶった玲子が映っていた。しかし明日香は、その映像の中で不自然な点に気がつく。一方、その日の夕方、五十嵐は法務を担当する大手流通企業の会長秘書・望月優介(片岡信和)から、中傷の手紙が送られてきたと相談を受ける。明日香はその会話を何気なく耳にしていたが…。

玲子について調べるため、明日香は新潟へ。一緒に同級生の結婚式に出席した友人によると、玲子は欠席予定だった結婚式に突然出席すると言いだし、二次会の幹事にも立候補。また、「仕事は優秀なアシスタントのお陰で順調」と語っていたという。玲子の行動に不信感を抱く明日香は、5年前の事故をさらに調査すべく、事故当時、東郷と一緒に車に乗っていた男性2人に会いに行く。ところがそのうちの一人、花村稔(野沢大悟)の自宅に到着すると、音信不通な上に彼の車のそばに血痕があったとのことで、土屋賢治(近江谷太朗)ら刑事が集まっていた。そんな中、ふと野次馬に視線を移した明日香の目に飛び込んで来たのは、赤い帽子をかぶった女性の姿だった。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

橘明日香は五十嵐正樹法律事務所の弁護士である。
明日香には「依頼人との間に確かな信頼関係が必要である」との信念があった。
もしも、これに反することがあればどんな依頼人であろうとも明日香は弁護を降りるのだ。

そんな中、明日香は自由が丘で発生した殺人意見の容疑者・貝塚陽子の弁護を引き受けた。
陽子が殺害したとされるのは東郷宏康なる男性。
東郷は5年前に自動車事故を起こしており、陽子の娘・遥たちが犠牲者となっていた。

陽子は事件の3日前に東郷と口論していた。
さらに、凶器のナイフから指紋も検出されていた。
犯行時刻のアリバイもない。
もちろん、動機もある。

明らかに不利な状況であった。
だが、それでも陽子は犯行を否定。
これを信じた明日香は弁護を引き受けることにしたのだ。

明日香は陽子以外にも動機を持つ者が居ることに注目した。
そう、陽子以外の犠牲者遺族にも動機があるのだ。

調べたところ、遥以外に笹井玲子の息子も被害に遭っていたことが判明。
しかし、玲子には「タクシーで新潟へ移動中だった」とのアリバイがあった。

だが、これが明日香の脳裏に赤ランプを灯した。
わざわざタクシーで東京から新潟まで向かうだろうか!?

明日香は玲子を乗せたタクシー運転手から話を聞き、車載カメラの映像を確認する。
映像では確かに玲子らしき赤い帽子を被った女性が乗っていた。
だが、帽子で顔も見えず、特徴的なイヤリングも確認出来ない。

これは……別人なのではないか!?
そう疑い出す明日香だが。

一方、五十嵐が法務を担当する大手流通企業の会長秘書・望月優介からある相談が持ち込まれた。
望月によれば会長である佐伯修造について中傷する手紙が届いたらしい。
どうやら、佐伯は手口がダーティーなことで知られているようだ。

翌日、明日香は玲子について調べるべく新潟へ。
すると、玲子が新潟へ戻った理由が欠席予定だった筈の結婚式に出席する為であり、二次会の幹事を務めたことも分かる。
ところが、玲子を知る人によれば彼女らしくない不自然な行動らしい。

此処で明日香は気付いた。
玲子のアリバイは確かなのだが、行動が何ともチグハグなのだ。

明日香はさらに5年前の事故について調べ始めた。
すると、東郷以外に2人の男性が同乗していたことが分かる。
ところが、同乗者の1人・花村稔は何者かの襲撃を受け誘拐されていた。
この周辺では、玲子の姿が目撃されていたが……。

やはり、5年前の事故に何かが隠されているようだ。
こう確信した明日香は事故の鍵を握ると思われる内海圭太から事情を聞こうと考える。
だが、内海は佐伯の孫であった。
これを盾に、内海は何も明かそうとしない。

そんな中、事故のもう1人の被害者がクローズアップされた。
事故の被害者は陽子の娘、玲子の息子以外に浜田結衣なる女性も居たのだ。
もしかすると、結衣の関係者が犯人である可能性も出て来たのである。

矢先、内海までもが姿を消した。
その前後に、またも玲子が不審な行動を取っていたことで明日香は気付いた。
そう、玲子は囮なのだ。
タクシーに乗ったのは間違いなく玲子だったのだ。
玲子は共謀者であり、主謀者が別に居るに違いない。

其処へ結衣の関係者として望月の名前が浮上。
結衣が身に着けていた指輪を望月も指に嵌めていたのだ。
しかも、東郷殺害時の凶器からこの指輪の痕跡が確認されたのである。
やはり、動機は5年前の事故の復讐であった。

明日香は陽子を問い質す。
玲子が囮であったように、陽子も望月と共謀していたのである。
陽子から望月が「富士見町の空き倉庫」に居ることを報された明日香は現場へ。

倉庫には拘束された花村と内海が居た。
望月は内海を殺害しようとするが……駆け付けた明日香に妨害される。

此処で望月は真実を語り出した。

望月は結衣の仇を討つべく東郷殺害を計画した。
其処で同じ立場であった陽子と玲子に協力を依頼したのである。

望月が殺害を実行。
陽子が容疑者として逮捕され、玲子は陽子に容疑が集中しないように攪乱する。

陽子は表面上では接点の無い望月がアリバイを証言することで助ける。
玲子は容疑を集めるものの、犯人ではないから捕まらない。
こうして捜査は迷宮入りする筈であった。

ところが、望月が東郷を殺害した時点で真犯人が別に居ることが分かったのだ。
だが、東郷は自分の犯行ではないことは伝えたが、誰が真犯人なのかは伝え損ねた。

望月は途方に暮れてしまった。
此処で急遽、計画が変更された。
望月は真犯人を探して彷徨うことに。

事故車は花村の物であったことから、同乗者の中から花村が襲撃された。
ところが、花村から内海が真犯人であったことを聞かされることに。
内海は事故当時に飲酒状態にあり、佐伯に泣きついたのだ。
そして、佐伯は身代わりとして東郷を用意したのであった。

復讐を完遂しようとする望月だが、明日香の説得で投降。
明日香は望月たちの弁護を引き受けることに―――エンド。

<感想>

ドラマ原作は夏樹静子先生の短編集『乗り遅れた女』(新潮社刊)。

<あらすじ>

もしかしたら犯人は私だったかもしれない……。身近で緻密なミステリー6編。快いミスリードをお楽しみください。

新幹線に乗り遅れたと、東京駅から新潟までタクシーを飛ばした女は、好物のはずの夕食の蕎麦をなぜ残したのか?──「乗り遅れた女」。深夜タバコを買いに出、交通事故に遭った男の妻とその犯人は、なぜ監察医に会いに行ったのか?──「三分のドラマ」。もしかしたら犯人は私だったかもしれない……。身近で緻密なミステリー6編。快いミスリードをお楽しみください。
(新潮社公式HPより)


『乗り遅れた女』と言えば、その収録短編の1つ『女請負人』が原作となった同名ドラマもありました。
こちらも過去にネタバレ批評(レビュー)してますね。

金曜プレステージ「夏樹静子サスペンス 女請負人〜仕掛けられた女の罠〜女便利屋に舞い込んだ殺人依頼!?狂わされた犯罪計画…不審死の男と暗躍するストーカーの正体は?なりすまされた容疑者 真犯人との騙し合い!哀しき女の罪を暴け!」(9月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

では、ドラマ感想を。

明日香が玲子に疑惑を抱いたくだりで「まさか、ロング乗車が真っ向から否定されるなんて!!」と衝撃を受けた作品でした。
これは「タクシードライバーの推理日誌」を根底から覆しかねないぞ……とばかりに驚きのあまり固唾を呑んでしまいました。

それと、キャストが超豪華!!
沢口靖子さん、片岡鶴太郎さん、榎木孝明さん、酒井美紀さん、東風万智子さん、西岡コ馬さんも。
そして、望月役を演じた片岡信和さんも良かった。

此の点は特徴的でした。
とはいえ、それ以外はごくごく普通、本当に驚くほど普通。

そんな中、気になる点もありました。

3人も犯人が居ながら実行犯は1人だけ、望月のリスクが限りなく高いとか。
玲子の存在意義は本当にあったのか、とか。
望月の供述1つで本当に陽子は無罪だと判断され得たのか、とか。
それだったら3人でもっと巧妙に立ち回ることも出来たのではないか、とか。

疑問は無尽蔵に湧いて来ますが「東郷以外にターゲットが浮上したことがそもそも想定外だったから計画が対応出来ていなかった」と言われればそうなんだろうし。
ただ、ターゲットが東郷だけの場合でもどうも上手い方法とは言えないような気がするが……。
此の点、妙にモヤモヤした。

とはいえ、全体的に普通で普通な普通の感じだったし、ツッコミどころも奮わないし、かといって泣かせにかかるワケでもなし。
なんとも評価がしづらくはありますが「特に求めはしないけど次回作があっても良いかな〜〜〜」と言った印象です。

◆夏樹静子先生関連過去記事
【書籍】
「見えない貌」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「てのひらのメモ」(夏樹静子著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「天使が消えていく」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「第三の女」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『死なれては困る』(夏樹静子著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

【ドラマ】
【検事・霞夕子シリーズ】
金曜プレステージ 夏樹静子サスペンス・検事・霞夕子「首吊り死体が歩いた!悲劇の始まりは1年前の交通事故…歯科医の死体!残された親指の指紋の謎が解けた時…事件の真相が明らかになる(森を歩く死体)」(2月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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【イソベン・里村タマミの事件簿シリーズ】
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【弁護士・朝吹里矢子シリーズ(フジテレビ版)】
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【弁護士・朝吹里矢子シリーズ(テレビ東京版)】
水曜ミステリー9「夏樹静子サスペンス 逆転弁護士ヤブハラ 証言拒否 資産家セレブ一族の連続殺害事件!美しき内縁の妻の2つの顔…黒い保険金6000万円と封印された謎の遺書」(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【その他】
月曜ゴールデン夏樹静子原作「Wの悲劇」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

NHKドラマスペシャル てのひらのメモ「あなたは本当にわが子を放置したの?裁判員に選ばれた一人の主婦がたどり着く真実」(10月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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金曜プレステージ「夏樹静子・作家40年記念 第三の女 運命の出会いは交換殺人の幕開けフランスで愛しあったあの女は一体誰なのか禁断の恋はエリート准教授を転落させていく…」(12月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「夏樹静子サスペンス 女請負人〜仕掛けられた女の罠〜女便利屋に舞い込んだ殺人依頼!?狂わされた犯罪計画…不審死の男と暗躍するストーカーの正体は?なりすまされた容疑者 真犯人との騙し合い!哀しき女の罪を暴け!」(9月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【その他情報】
夏樹静子先生インタビュー記事が「asahi.com」に掲載!!

夏樹静子先生、読売オンラインにて囲碁について語られる!!

<キャスト>

橘明日香:沢口靖子
鎌田幹生:片岡鶴太郎
五十嵐正樹:榎木孝明
貝塚陽子:酒井美紀
笹井玲子:東風万智子
佐伯修造:西岡コ馬
土屋賢治:近江谷太朗
磯部明:小宮孝泰
望月優介:片岡信和
真部美波:池澤あやか
矢代昌美:中村綾
矢代尚之:ノモガクジ
内海圭太:三上陽永
東郷宏康:久保龍一
花村稔:野沢大悟 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


ドラマ原作「乗り遅れた女 (新潮文庫)」です!!
乗り遅れた女 (新潮文庫)





キンドル版「乗り遅れた女」です!!
乗り遅れた女





「火曜サスペンス劇場 セレクション1 DVD-BOX」です!!
火曜サスペンス劇場 セレクション1 DVD-BOX



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